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中村哲さん最後の報告

今週届いたペシャワル会報を読んでいます。中村哲さんの最後の報告が載っていました。緑の大地計画

で開設した用水路の維持にかかる管理の大変さと同時に大勢の人が帰ってきて賑やかになっている事

(隣国パキスタンから難民が追い返されている)、年々進む旱魃化に抗して緑の大地計画を進めて行く

覚悟が述べられていました。

 

もう一つの報告はアフガニスタン政府から「アフガニスタン・イスラム共和国市民証」がガニ大統領

から直々に授与されたという事でした。中村さんは「これで事業の現地化」が進むと喜んで報告されて

いました。

 

私はこれを読んでこれが中村さんの災厄を招いたのではないかと感じました。政府とは言え国土の6

足らずの部分しか統治が及ばないアフガニスタン政府から市民証を受けた事は反政府勢力から敵対視

される結果になったのだと思います。

 

ペシャワル会は任意団体であり、どこの政府にも依らない自主独立の組織です。徹底して政治からの距

離を保つ事が必要だったのではないでしょうか。

 

政治的中立

永世中立国スイス、政府の表彰を拒否した福沢諭吉、文部省の文学博士号授与を拒絶した夏目漱石、

最近では度重なる政府の国民栄誉賞の授与依頼を辞退したイチローなどの姿勢に学ぶものがあると

思います。

 

政治の性質

それは強者が弱者を併呑する性質です。「両雄並び立たず」ですね。日本の土地に初めて統一政権を成立

させた大和政権の「まつりごと」(政治)とは「まつろはぬ」(従わない)ものを「平らげる」事でした。

後世中央政府が弱体化して戦国時代に突入した日本は「天下は麻の如く乱れる」状態が一世紀も持続

しました。文明時代には無政府状態とは暴力に満ちた不幸な混迷状態になります。悪い政府でも無政府

よりは良しとされる所以です。

従って文明社会において政治中立を保つ事は難しい事です。学校のいじめなどもいじめる子は「いじめ

られるのが怖いからいじめる方にまわる」のではないでしょうか。ここにも既に文明社会の政治の性質

が出ているのだと思います。

日本政府が米国の要請でイランからの原油輸入を停止したり、ロシアの在日米軍基地に関する懸念を

払拭できないのは対米追随外交のつけですね。更には効果が疑問視されるイージス陸上システムを

とてつもなく高価で買わされたり、在日米軍駐留費負担の増額を求められるなどこのつけは止まる所

が見えません。

 

政治的自立の条件

上の事から政治的自立を保つには自己を強くする事が必要だと思います。スイスは国民皆兵ですし、前

述の福沢諭吉、夏目漱石、イチロー等は国家の権威に頼る必要のない強い人達だと思います。却って政

府が自分を偉くみせるためにそれらの偉人の権威を利用しようとしたのではないでしょうか。

 

強い自己の条件

それは自我の自立だと思います。福沢諭吉や夏目漱石の事業は突如開かれた近代社会における自我の自

立を実現する事業であったと思います。自我の自立が不十分だと他者への依存が人の自由を奪ってしま

います。学校でのいじめでは不登校、精神的不安定、甚だしくは自殺に至る事もあります。学校制度の

問題ではありますが、一つには今日の子供の心の弱さもあるのではないでしょうか。いじめられても平

気だ、悪い友達ならいなくてもいい、勉強や運動で見返してやるぐらいの気持ちが欲しいですね。その

ためには自我の確立が必要不可欠です。

日本国の対米追従外交の原因は第二次世界大戦後の初心を忘れると同時に自己の内部の力をも忘れてい

る事だと思います。国内の技術を無視して米国一辺倒だからトランプ大統領からとんでもない出費を迫

られるはめになっています。

 

自我の確立のために

まず強調したいのは対話と読書です。幼児にはお話や絵本、学童以上は読書です。情報化時代の現在

かえって疎かにされているのが読書だと思います。私達の孫達はもうすぐ三つですがこの一年間の言葉

の発達は奇跡的です。時々寝る時に昔話をしてやりますが、浦島太郎が竜宮城から帰ると地上は既に

300年の月日が流れて太郎が絶対的な孤独に落ちた事をちゃんと理解しています。パパ、ママ、

おじいちゃん、おばあちゃん、そして同年齢の子供の名を挙げて自分は孤独ではない事を確認して

います。イソップ物語、おとぎ話に始まりアンデルセン童話、トルストイ民話、世界の偉人の伝記

など幼時にお話を聞き、読書になじむ事は自我の自立に必要不可欠です。自己を知るとは他者を知る

事ですから。もう半世紀以上になりますが学校教育で重点的に行われていた読書、作文をしっかり

やる事が必要だと思います。教育とは読み、書き、そろばんであり、大学受験などは枝葉末節です。

枝葉にとらわれて根幹が疎かになっているのではないでしょうか。

 

原始の心

原始人は皆自立していました。自然採集経済では自立せずには生存できません。食糧の確保、道具の

制作、生産物の交換、知識の伝承など毎日が学びの日だったと思います。今日の文明社会では自給自足

は皆無です。日々の生活の糧で他者に依らざるものはありません。巨大で複雑な人間社会の中で自分の

位置が見えにくく、個人は巨大な機械の中の歯車のようなものです。従って自立の心が育ちにくいです

ね。自立心を育てるには人間社会全体を知る事が必要です。前述の文明社会の矛盾の解決はJ.J.ルソー

による社会契約論により示されました。それは文明により失われた原始人の自立をより高度な形の

民主主義により回復する事だと思います。その思想を理解し発展させるためには学問が必要不可欠です。

 

学問立国 人間交流

国民共立 産業興隆

学問立世 汎人間網

到所人生 安心立命

 

我ひとり 

いかに小さく

弱くとも

己が他には

寄る辺は無し

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+      市吉 修 

+     二十一世紀を楽しく生きよう会

+     HP ;   http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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