差出人: OsI [osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp]
送信日時: 2017年7月8日土曜日 22:10
宛先: 'OsI'; '
件名: 点と線

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幾何学における点と線の双対性
古代ギリシャ幾何学の集大成であるユークリッドの原論では点とは位置があり、大きさは無いものと定義されていま
す。二つの点を最短距離で結べば直線になります。ユークリッド式に言えば直線とは長さがあって幅はないもので
すね。二つの直線が交われば一つの点(交点)が決まります。実は幾何学において「点」と「線」を入れ替えると対応
する別の定理が成立します。これを点と線の双対性と言います。
例えば
 三角形 <---> 三辺系
三角形の各辺を二等分する三本の直線は一点で交わり、それはその三角形の外接円の中心である。
<---;->
三角形の各角の二等分線は一点で交わりそれはその三角形の内接円の中心である。

 素粒子の点と線、不確定性原理
物質の点は位置があるが方向が無く、線とは向きがあって位置が無い(ベクトル)ものです。これは日常の経験には
合わないので理解し難いですね。大砲の弾の弾道は発射位置と弾の初速度で軌道計算でき不確定ではないので
この粒子の位置と速度の不確定性は考えれば考えるほど不可解ですが実は極めて自然な事です。
例えば夜が明けると辺りが明るくなり物が見えるのは何故か考えて見ましょう。
日光が物に当たるとその物は光をあらゆる方向に発するので全ての方向からその物が見えるわけです。物が無け
れば直接目に向けられる以外には光の存在すら人は気づく事はありません。テレビの画面の各点はあらゆる方向
に光を出しているからこそ家族でTV番組を一緒に見る事ができるわけです。
上とは逆に方向が確定すれば位置が不確定になります。例えば電子はTVの画面を光らせる時は点として位置が
確定、方向が不定、というより全方向にエネルギーを発しますが、移動する時は方向が確定、位置が不確定の波に
なります。移動する電子の波動性を利用するのが電子顕微鏡です。電子線は目に見える光線よりも遥かに波長が
短いので細かい所まで見える、即ち飛躍的に倍率を上げる事ができます。

言語の点と線
此処で点とは単語であり、線とは語と語のつながりです。ここでも点と線の不確定性が明瞭に見られます。語とは意
味が定義された言語の最小単位、言わば元素ですが、それを定義するためには他の概念との関係を確定する事
が必要ですので結局各語は他の語との関係によって定義される他はありません。
    力=質量x加速度
という力学の基本法則は力、質量、加速度の三つを一度に定義しています。これを無視して例えば力だけについて
どんなに考えて無駄でしょう。この簡単な法則にたどり着くのに人類は何千年もかかりました。私は高校で初めてこ
公式を習った時に加速度に感激しました。これは微分積分学が出て初めて確立した概念であり、数学の有用性を
感得しました。

人間世界の点と線
ここで点とは各個人であり線とは人間関係です。個人は所在はあるが他は何も無い、他方無い事はあらゆる方向性
、即ち可能性があるという事です。五体満足な人間の多くがその可能性に気づかず、人生を無為に過ごす事、それ
どころか偏狭な思想に凝り固まってテロや戦争等の惨害を生ずるのは実に残念な事です。
古代ギリシャの哲人ソクラテスは「汝の無知を知れ」と説きました。無知の自覚は正しい知識への一歩であるという教
えです。上述の論証から私はソクラテスに習って「汝の無知を知れ、さりて進まばあらゆる方へ道が開けむ」と訴えた
いですね。
他の動物に比べて人間の際立った特長は上の線の多さです。人間の思考形式も自問自答であり、個人とは畢竟
人間網の一点に他なりません。
他人の一言で新たな道が開ける事もあります。特に貴重なのは世人が見落としている問題に気づかせてくれる簡単
な問いかけです。皆様疑問や問題など提起して頂ければ幸いです。

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi                    
* 二十一世紀を楽しく生きよう会                    
* Human Network for Better 21 Century      
* http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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