文明の病、権力の克服

 

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2022/06/05 14:42

 

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毎日ロシアのウクライナ侵略

の報道に接しその甚大な災厄を見るにつけ、一体これは何のための戦争かと思わずにはいられません。

経済的な災厄だけでも既に何百兆円でしょう。人命と人生の被害については評価も不可能です。

プーチンの主張は「NATOの東方拡大に反対」、「東部二州の開放」等でした。TV等でこれに有識者が地

政学的解説をとうとうと行いますが、真実はもっと簡単だと私は思います。それはプーチン等の権力欲

です。

 

人間社会の権力が文明と共に現れた事は考古学から明らかです。動物段階では群れの指導権を巡る戦い

はありますが、群れのリーダは危険に対しては自ら先頭に立って戦い群れを守ります。他方人間の世界

では戦争において権力者は安全な所にいて前線で戦うのは下っ端の兵隊です。今のロシア軍の戦争にお

いてもロシア軍はロシア兵の死者の収容もせず、自軍の兵隊に対してすら人権無視の様子が見られます。

どうも地方の貧しい徴収兵をむりやり契約させて職業軍人にしたてて前線に投入しているようです。

ロシア軍の兵隊の命の軽視についてはずっと以前ロシアの潜水艦が海底に沈んで動けなくなった時に欧

米諸国の支援を拒絶してむざむざ兵隊を死なせた事が思い出されます。人命よりも政権のメンツを優先

させたわけです。

 

今のロシア軍に劣らず兵隊の人命軽視が甚だしかったのは大日本帝国の軍でした。私の父が言っていま

したが軍隊では「お前達の命の価値は一銭五厘、即ち赤紙のハガキ代だ」と言われたそうですがそれは

冗談ではありませんでした。私が米国留学の時大層おせわになったHost familyは戦時には戦闘機のpilot

として大日本帝国と戦いましたが偶にZero即ち零戦の事を話しておられました。当初米軍を恐れさせた

零戦の誇る航続距離や旋回能力などは実は装甲を薄くして機体を軽くした結果でした。一発銃弾を食ら

うと火を噴くので戦闘機乗りからは「マッチ」と言われていました。落ちたらそのまま、操縦者の生命

は軽視されていました。それに対して米軍の飛行機は装甲が厚くて被弾してもなかなか落ちないし、撃

墜されたら直ちにそのpilotの救出作戦を行い、またpilotは撃墜された場合の生還に必要な各種装備を

有していました。単に経済力、技術力の差に止まらず人に対する考え方の差が日米の戦争の帰趨を決め

たと思います。即ち戦争が長引くにつれ日本軍は経験豊富な飛行機乗りがたちまち減少したのに対して

米軍は経験の蓄積により操縦技術が向上しただけでなく新規技術開発にも大いに有益でした。その結果

日本軍は最後にはろくに訓練もうけていない子供に粗末な飛行機で「特攻」をさせ貴重な人命を浪費し

ました。

プーチンは「ウクライナは二週間で片付く」想定でウクライナ侵略を始めましたが、大日本帝国は「シ

ナ事変は三か月で片付く」との想定で戦争を拡大しました。予想より長引き政府は天皇の奉勅命令で収

集しようとしましたが奉勅命令は結局出ませんでした。侍従曰く「天皇の命令でも収集できなければ天

皇の権威に傷がつく」、権威主義国家権力の在り方を示していますね。誰も責任を取りません。実際誰も

責任を感じていないのですから。ただ事態の赴くまま、時流にのって自己の権力を維持、拡大する事が

最大の関心事です。

 

私は古事記1300周年に古事記を通読しました。古事記は天皇家を中心とする有力豪族の係り合いの物語

ですが、その底には何らかの史実があると思います。そこに見られるのは農業の始まりに於いて発生し

た初期の文明は民主的な社会であった事です。重要な事は八百万の神が集まって決定しました。ところ

が「国譲り」の巻に入ると天照大御神が「突如として」「下つ国は我が子孫の治めるべき国」と言い出さ

れて八百万の神に諮ったとあります。弟のスサノオの子孫の大国主が治めていた国を強奪したわけです。

このあたりから国家権力の本質が見えるのではないでしょうか。「突如として」との言葉に私は作者の権

力に対する違和感を感じましたが、後世の庶民はそれをもっと的確に表現しています。勝てば官軍。

 

大日本帝国が蒋介石を屈服させられなかった原因はインド側から米英が物資援助を行ったからです。

その援蒋ルートを断つ名目で日本軍が行ったインパール作戦に私の父も投入され、無謀な作戦から当然

ながら日本軍は総崩れになって父もビルマの山の中を逃げまどってやっと生還したのでした。

 

今回は欧米諸国の援助によりウクライナ軍がロシア軍を押し返しつつありますが、ロシアをウクライナ

領の外に追い出し、プーチン一派を戦争裁判にかけるまで努力を続けるべきだと思います。今日では

歴史は単純には繰り返さない、戦争を始めるものは滅びる事を確立すべきだと思います。

 

ロシアは軍人や警官がやたら多いようです。雇用を生み出す産業が弱いのですね。その結果日本よりも

大きい人口、世界最大の領土を有しながらGDPは日本の1/4以下です。プーチンのロシアの戦争継続能

力も直に枯渇すると思います。

 

以上から文明の病、権力の克服の為に人が心がけるべきは何でしょうか。

(1) 常に学ぶ事

 プーチンのロシアから分かるように権威主義権力の基盤は「国民をだます」事です。権力者に騙され

ないためには不断の学問が必要不可欠です。 

 

(2) 学問、信教、集会、結社、報道の自由の保障

 支配者はすべての自由を有しています。その自由が支配を通じて支配される者の不自由や抑圧になる

わけです。従ってそれを憲法によって人民に保障するのは当然ではないでしょうか。

 

(3) 基本的人権の保障

 上の事はすべて基本的人権から出てきます。私はそれを自然法学として以下のように表現しています。

     人間の自然法

   人の人たる権利を奪う 

   いかなる権利も人にはあらず

   人は本来自由にして平等なり 

   権利と義務は一つなり

   人の人たる権利を守るは

   人たる者の義務にぞある 

 

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+ 市吉 修 

+ 二十一世紀を楽しく生きよう会

+ HP ;   http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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