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結婚問題
日本の少子化問題の原因は若者の非婚、晩婚にあると思います。また深刻な貧困問題もその原因の
大半は離婚にあるようです。そこで結婚問題について考えてみたいと思います。
古代の妻問婚
高校で奈良、平安時代の文学を習った時に「世」とは大抵男女の恋愛関係を示すと聞き、我々の祖先の
熱血ぶりを感じました。当時の結婚方式は妻問婚、即ち妻の所に夫が通う方式でした。家と財産は母
系で継承され、家長は「母刀自」と呼ばれて非常に尊敬されていました。神話の天照大女神、邪馬台
国の卑弥呼などはその史実の表れだと思います。明治時代の女性解放運動の担い手「青鞜」に平塚雷
鳥が「元始女性は太陽であった」と宣言文を書いたのもこの事を指していたのでしょう。
男は相愛の女の所に夜通い、朝には自分の生家に戻って働きます。愛が覚めると自然に足が遠のきます。
妻問婚においては生まれた子には安定した家があるので大事に育てられたのではないでしょうか。
また不倫や離婚問題もなく純粋に相互の愛情に成り立つ仕組みであり、私には人間味が感じられます。
つらいのは相愛の男女が夜しか共にできない事、男は自由ではあるが社会的立場が弱い点などでしょう。
妻問婚は後々まで「夜這い」という形で各地に残っていました。私の故郷の南九州では「夜ばなし」と
言っていました。私が小さい頃青年達が「夜ばなし」に行こうなどと本気とも冗談ともつかず話して
いたのを覚えています。夜這いで生まれた子は父親が分かりませんので生まれたその家で育てられ
ました。
鹿児島小原節でも「月のちょいと出を夜明けと思うて、主を帰しておはらは気にかかる」という節が
あります。「あの人に悪かったな」と思うと同時に「他の女の所に行ったのではないか」と気にかかっ
たのでしょう。
嫁取り婚
時代が下ると家長は母から父に代わり、家は男系で継承され、嫁を「もらう」嫁取婚に変わりました。
ここで大事なのは「家」であり、人は家に従属する立場でした。「嫁して三年、子無きは去る」という
ことわざがありますが、私は是に家制度の非人間性が端的に表わされていると思います。
子ができない場合は養子をとって家を存続させる方法もありますが、ややもすると愛情に薄い事がある
のは明治の文豪夏目漱石の自伝によく表れています。
核家族
過去半世紀に夫婦と子共により構成される核家族が主流になってきました。
離婚問題
昔の離婚原因の多くが「嫁が婚家の家風に合わない」事でしたが今の離婚原因の多くは「二人の性格
が合わない」という事です。
非婚問題
結婚斡旋業が栄えているのに非婚問題が深刻なのは何故でしょうか。「まだ理想の相手に出会わない」
、「もっといい人がいるかも知れない」というのが非婚の理由でしょう。
親子の断絶問題
子共の生活態度、学校の成績、進路や交際相手について親子がけんかするのはよくある事です。中に
は殺人事件にまで至る場合すらあります。
ストーカー問題
愛していると称してつきまとい、相手を不幸にして、これも時に殺人事件に至る事がありますね。
以上の問題にたいする愚見
離婚の理由となっている家風や性格の不一致はそもそも一致しなくてはならないものでしょうか。
家風や性格が異なる方が却って新鮮で広い視野が開けて家のためにも良いのではないでしょうか。
非婚の理由の「理想の相手」とはそもそもこの世に存在するものなのでしょうか。また親子の断絶で
は親が「私はお前のためを思ってこう言っているのだよ」とは言っても実は親の期待や願望を押し付
けているのではないでしょうか。ストーカーに到っては愛を唱えて害を加える厭うべき犯罪です。
上の問題の全てに共通する原因は「当人の人格の軽視」であると思います。親は親心から子共を転ば
せないように干渉するのですが、実は転ばないと子供は歩く事を修得する事はできません。時が来ると
鳥の巣立ちのように子は家から自立していきます。異なる背景で育った成人同士が「ぴったり合う」
事はまずありません。相互に「違い」を認め「人格を尊重」する事が以上の問題の解決につながると
思います。
この考えを以下の詩にまとめます。
家と結婚
人は結婚して家を創める
結婚はあらたな
自由と責任を生ず
おのが事は自ら行い、
家の事は共に行うべし
子ができたらば
共に育てて子の事は
その子のために行うべし
家は家のためにはあらず
人のためにあるなり
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* 市吉 修 Osamu
Ichiyoshi
* 二十一世紀を楽しく生きよう会
* Human Network for Better 21 Century
* http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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