差出人:	Osamu Ichiyoshi <osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp>
送信日時:	2019年3月30日土曜日 23:24
宛先:	
件名:	L.トルストイ著イワンの馬鹿に学ぶ

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イワンの馬鹿
子供の時に聞いたり、読んだりしましたが大人になってから何回読んでもこのトルストイ民話は飽きる事がありません。
トルストイ翻訳者の北御門二郎さんはL.トルストイの思想を実践して戦争中も徴兵拒否を貫き、思いかけず「精神異
常につき兵役免除」の宣告を受けました。戦争は絶対悪だという北御門さんの主張が役人の心にも響いたのかも知
れません。北御門さんは世界の人が「イワンの馬鹿」を読むならば世界から戦争を無くする事ができるだろうと述べ
ていましたが私も全く同感です。

イワンの馬鹿の力の源泉
それは身を粉にして働き、両親と唖の妹を養っているばかりでなく、助けを求めて来る者は誰でも助けてやる広い心
にあると思います。二人の兄はそれぞれ世に出て長兄のセミョーンは軍人として、次兄のタラスは商人として栄達を
遂げましたが結局は悪魔にやられてすべてを失いイワンの厄介になる結果に終わりました。
イワンに似た人が実は日本にもいました。鹿児島県の知覧町の富屋食堂を経営していた鳥浜トメさんは知覧基地
から出撃する特攻隊の若者からお母さんと慕われ、富屋食堂は特攻兵達が短い人生の最後にほっとくつろぐ事が
できた家になりました。
鳥浜トメさんは困った人を見ると助けずにはいられない人で、自宅に泥棒に入った少年を警察からの連絡で面会に
行き何とそのまま自宅に連れて来て、家族の一員に加えて、少年は富屋食堂から高校に通うまでになりました。
鳥浜さんの実の娘さんの話では常時家には30人くらいの人がいて誰が実の家族やら分からないほどだったそうです。
戦後米軍が知覧に進駐してきました。特攻兵の母と呼ばれた鳥浜トメさんは米軍に報復されるのではないかと人々
は心配しましたが事実は反対になりました。米兵が富屋食堂でXmasパーティをやったりして出入りする間にトメさん
は米兵の若者達にも慕われてMamaと呼ばれるようになりました。
イワンとトメさんに共通する力の源泉は身を粉にして働く事と誰でも困った人を助けてやる広い心と能力だと思います。

富と権力の源
長兄の軍人セミョーンは軍隊により次兄の商人のタラスはお金によりそれぞれ一つの国の国王になるまで栄達を遂
げました。しかし結局悪魔にやられて元の木阿弥にもどりました。軍隊と金は現実の世界では富と権力の源のよう
ですが、フィリピンのマルコス、イランのパーレビ、ルーマニアのチャウシェスク、リビアのカダフィ、イラクのフセイン
等の独裁者は結局それぞれ没落して悲惨な最期を遂げました。
軍隊とお金が権力の源になるのは兵隊や役人が上役に盲従するからでしょう。失業や世間での評判が怖いから人
が自分を欺いてまで上に盲従する事が富と権力、社会の不平等、不当な支配の原因であるとするなら、イワンのよう
に身を粉にして働いて自立する事、他人の不幸を見たら助けてやれる力、そのような心を養う事が大切ではない
でしょうか。

直接国際交流
悪魔はイワンの国を隣国のタラカン王をそそのかして攻めさせましたがイワンの国民は抵抗せず、何でも欲しいもの
は上げて、生活が苦しいのならこちらに移住しなさいと勧め、兵隊が家や作物を破壊するとただ泣くばかりでした。
兵隊達は嫌気がさして軍隊は散り散りになって悪魔の試みは失敗しました。
現実にはこのような事は起りませんが、私がここから読み取るのは直接国際交流の重要性です。イワンの国民は無
抵抗によってタラカン王の軍隊と直接に交流しました。国民が直接交流してお互いに人間である事が分かれば
戦争はあり得ません。戦争をするのに権力者がやるのは国を閉ざして人民の交流を禁止する事、国の中では国民
を分断してお互いに争わせる事、複雑な社会階層を作って役人の出世欲を煽る事、こうして役人を上に盲従させて
独裁体制を確立する事などです。そのためにマスコミを統制しインターネットに嘘を流して国民を欺く事が独裁者の
権力の源です。
最近米国のトランプ大統領がイスラエルのシリア領ゴラン高原併合を認め、イスラエルとパレスチナ間の紛争が俄か
に激化しだしたのは来月イスラエルで選挙がある事とは無関係ではないのではないでしょうか。

イワンの馬鹿に学ぶ事
日々仕事に、生活に、学問に精進し自立すると共に困った人を助けてやれる力を養う事が大切ではないでしょうか
。人生を楽しむ事は自分だけでなく他人の為にもなります。笑は伝染します。楽しみは広がります。交換経済では
消費が経済の原動力です。良い消費により更なる価値、即ち楽しみ、経験、人間関係、新たな知識や技術が加わ
る事が社会の成長だと思います。
今日韓関係が悪いと言われますがそれは政府の間の事であり、両国の国民はお互いに行き来して観光、仕事、芸
能を楽しんでいます。毎年私が参加している日韓合同衛星通信研究会は今年は福岡で開催される予定です。
外国語を学ぶ事は国際交流に役立つばかりでなく、自分の世界が遥かに広がります。
戦後の新円切り替えで人々の財産が一挙に消えたようにお金の力も実は淡いものです。同様に華族制度が廃止さ
れたように爵位や家柄なども時代が変わればその価値は無に帰してしまいます。そのような時にも自分が身につけ
た知識や技術技能は必ず役に立ちます。大切なのは人に付随するものではなく人そのものではないでしょうか。

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi                    
* 二十一世紀を楽しく生きよう会                    
* Human Network for Better 21 Century      
*  http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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