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送信日時: 2014825日月曜日 0:10
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 日本には日本の道がある

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823STFセミナーで聞いた気になる事

昨日電気通信大学の牧先生に「蛍の光で未来の医療技術を切り開く」と題する講演をしていただきました。そこでちょっと気になる事を聞きました。それは日本の医療機器メーカが米国特許侵害で米国の企業に訴えられる事を恐れて研究者が求める機械を作ってくれない事が多いそうです。その結果米国製の機械を買って研究をするので研究において米国に勝てるはずがないとのことでした。同時に言われたのはEUの企業は米国企業の特許には構わずどしどし自主開発して研究を進めているそうです。それで別に訴訟になってもいないそうです。

 

日本は米国式に染まってはいませんか。

特許に関しては米国は諸外国に対して遅れている面が多々あると思います。殆どの国が先願主義なのに米国だけ長らく先発明主義を貫いて来ましたが二年ほど前にやっと先願主義に変更されたそうです。また特許紛争が多く、争われる金額がバカでかいのも特長だと思います。私には米国の特許制度は本来の趣旨(発明家の権利保護)を外れているように思われます。このように米国が遅れている点は多々あると思いますが日本は米国崇拝の気風が強く、そのため自己喪失状態を来たしていると疑われる例が時々見受けられます。

 

国際人の条件

国際人を作る教育となると直ぐに小学校から英語を教えるとか、ある大学は授業は全て英語でやるとか宣伝していますが、私は大いに疑問を感じます。私は中学校で英語を習い始めるまでは英語は一言も知りませんでした。高校、大学ではESSで部活し、大学4年の時、米国の大学に一年留学し、就職してからは米国、英国に各二年間勤務し、海外出張も多く、定年退職後も日韓合同衛星通信研究会には毎年参加していますので一応国際人の端くれにはなっていると思います。その経験から思うのですが、国際人を育てるのには英語はさる事ながら、自国の文化を確り習得する事がまず必要だと思います。英語はどの道に進もうとも学問を進めれば否が応でもやりますが自国の文化がなおざりになっている人は基礎が弱いので大成できないと感じます。まず日本語、日本人は日本語で思考するのですからこれを確り習得する事が大切です。古文、漢文も確り学ぶべきです。国際的な舞台に出て、日本の歴史に関する知識の不足や日本の音楽、芸術や料理などの無知を思い知り、悔しい思いをした事もありました。国際社会では皆それぞれお国なまりのある英語をしゃべっています。何も米国式の発音にこだわる事はありません。

 

米国に対する自粛

前述の日本の医療機器メーカの態度がまさにそれですが、あまりに自主性に乏しいのではないかと思います。米国特許が通用するのは米国内であり、米国以外では何ら米国に遠慮は要らないと思います。TPPにおいても論者によっては米国基準を押し付けられるとか、米国企業に訴えられるとかまるで日本が米国の植民地になってしまうのではないかと思える程の恐怖感が感じられる時がありますが、日本国内の事は日本の法で律すれば良いのでもっと自信を持って頂きたいと思います。

 

安倍政権は特に米国に対する縮み思考が過ぎませんか

集団的自衛権問題では「米国に対して日本がもっと貢献しないと米国が日本を守ってくれないのではないか」という安倍氏の恐怖を感じます。よく「米国の若者が血を流すのに日本が血を流さないのでは米国は日本を守ってくれないだろう」という人がいますが、私は前述の米国に対する縮み思考の一種だと思います。日米安保条約では日本が米国に軍事基地を無料どころか賄い付きで提供している事に対して日本が攻撃されたら米国が日本を守るという保障をしているのだと思いますが、それで十分ではないでしょうか。戦前は鬼畜米英に対して日本は神国であり神州不滅などと呼号していた日本の政治屋は戦後他ならぬ米国にその神州を提供し、スターリンの命令で北方領土から日本人が追われた時にも何ほどの抗議行動をしたでしょうか。住民が入れ替わると旧地を奪回することが困難な事はイスラエルとパレスチナ問題を見るまでもなく明白な事だったと思います。日本の政治屋の不作為はその時それが大した票にならなかった事によるのかも知れません。

 

安倍氏得意のホルムズ海峡封鎖問題

これはこれまで何回か述べましたが、日本の防衛とは何の関係もありません。現地国の反感を買うだけです。石油が日本の死活問題というのも米国式思考法にとらわれているのだと思います。シェール革命で今や米国は石油生産量が世界一だそうですが、米国が自国に豊富にある資源で石油文明を築いて行くのは当然でしょう。日本は石油資源は殆ど無いのだから、日本国内にある資源を活用して日本文明を築けばよいのです。日本に豊富にある資源はバイオマス、水力、風力、地熱などの再生可能エネルギーです。外国の模倣ばかりして国内に豊富にある資源をないがしろにしていませんか。今回の広島の地すべりの原因も山が荒れているせいではないでしょうか。根の浅い木が密生して下草が生えていないので集中豪雨の水は地面にしみこんで岩盤に到って流れ出せばその上の土が地すべりを起こすのはあたりまえでしょう。間伐をして木が深く根を張り土を固めると共に日光が入って下草がびっしり生えればちょうど大地が雨合羽を着た状態になって集中豪雨水は草の上を滑り降りて谷川に注ぎ、地すべりは起こらないのではないでしょうか。

米国のまねばかりしていると自分を見失ってしまいます。戦時中は松の根を掘り其処から取った油で飛行機を飛ばし、木炭からガスを発生してエンジンを回す木炭車で公共交通機関を動かしていたではありませんか。

あれくらいの努力を今やれば国内に豊富にある資源でエネルギー自立する事も可能であると考えています。

http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/Study%20of%20the%20way%20for%20self%20supply%20of%20natural%20energy%20for%20Japan.htm

 

 

日本には日本の道がある

司馬遼太郎が戦前を振り返って、「日本人全体が発狂していたとしか思えない」と書いているのはごく当たり前のことです。自由な様でも人はその時代の枠の中でしか思考する事ができません。南米のインカ帝国では毎年太陽神におびただしい人身御供が捧げられていたそうですが、現在から見れば「発狂していたとしか思えない」ですね。イスラエルのユダヤ主義者が旧約聖書を根拠にパレスチナ全域の占拠を主張していますが、その旧約聖書を読んでみるとユダヤ人の先祖とされるアブラハムはもともとアブラムというアラブ人であり現在のイラクにあるウルという町からパレスチナに移住して来たと記されています。人は時代の枠のなかでしか思考できないどころか自分に都合の良い枠の中でしか思考しない実に横着な動物でもあるようです。

明治維新後日本は欧米に多数の留学生を送って勉強させましたが、全員といって良いほど皆帝国主義に染まりかつ出世欲を膨らまして帰国し、その後の日本の舵取りをしました。残念なのはスイス連邦に留学して、永世中立国、直接民主主義の思想を学んでくる人間がいなかった事ですね。日本は遅ればせに帝国主義競争に参加したため、先輩国に輪をかけた大日本帝国主義国家となり最後には国民を総動員してアジア全域で展開した第二次世界大戦によってアジア諸国と日本の国民を破滅させ、大空襲、そして最後には原子爆弾の恐るべき爆発によって国土を塵芥に帰してしまいました。その廃墟の中から日本はかの帝国主義戦争の惨害を痛切に反省して基本的人権、国民主権、平和主義を三本柱とする日本国憲法を制定し、帝国主義時代の終焉を世界に高らかに宣言しました。日本人が世界で尊敬されているのは正にこの歴史を大きく前進させた快挙によると思います。

米国独立革命の世界史的意義は絶対王権の時代に国王なるものの居ない民主的な大国が出現した事にあります。それに勝るとも劣らぬ世界史的快挙が我が日本国憲法であり、それは軍隊を持たない民主主義の大国を世界に先駆けて出現させた事です。それは安倍氏らが簡単に「押し付け憲法」とか「憲法を取り戻す」などという戯言とは全く次元の異なる歴史の一大前進であり、我らが先達の吉田茂を始めとする当時の政治家の努力の成果を昭和天皇が是として発布された日本の宝なのです。

従って日本の行くべき道は日本国憲法に従って基本的人権を尊重し、国民主権を実践して平和主義に徹した外交を行う事でしょう。そして日本国内の資源を活用して食料、原料、エネルギーの大半を自給し、日本の自然を活かす形で「国土強靭化」を進めて安全な国にする事ではないでしょうか。

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* 市吉 修   Osamu Ichiyoshi

* 二十一世紀を楽しく生きよう会

* Human Network for Better 21 Century

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