差出人: OsI
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送信日時: 2012年9月1日土曜日 23:47
宛先: '
件名: 地球村としての21世紀世界
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過去未来を振り返って
以下は私が12年前に書いたガクモンのススメの最終章です。
第七章 二十一世紀の世界
以上述べて来た事をもとに二十一世紀の社会がどうなるのか、如何にあり得るのかを
考えてみよう。
産業
通信網と交通網の発達によって売り手と買い手、生産者と消費者が直結される。インターネットを利用した電子商取引(EC)や契約農家による有機農産物の注文生産、販売契約を受けてから生産を開始して三日以内に顧客に納入するパソコンの注文生産等は既に実現しているのであるが、今後この動向はますます発展して行くものと期待される。調査研究、営業提案、開発設計、製造検査、保守点検、顧客支援等あらゆる生産段階においてコンピュータ通信網が駆使され、社会に必要な事業の探求と実現の間隔が短縮される。事業家と投資家が直に結ばれて必要な事業に必要な資金が有効に投資され、開発の投資効率が高まる。生産技術の高度化によって設計と製造が自動化されて来ると、企業のあり方も大きく変わってくる。従来同じ企業の中の異なる部門であった営業技術部門と製造保守部門が分離独立して且つ相互に開放化する。従来の企業系列を越えた会社間の取引や事業提携が進展して行く。コンピュータを駆使する設計、製造即ちCAD/CAMの標準化が進み、必要なものが必要な時に最適な所で調達、製造される。消費者と生産者、顧客と企業、企業と企業とが有機的に結合されて産業が高度に発展して行くものと期待される。
教育
産業の基礎は技術にあり技術の基礎は学問にある。福沢諭吉の「学問のススメ」の精神は国家の支配下に運営されてきた教育制度の中で、ややもすると失われてきた。インターネットと移動通信、双方向TVと衛星通信等に代表される通信網と画像音声符号化に代表される信号処理技術に支えられたマルティメディア即ち多元情報技術を駆使すれば、時間と空間を超え広汎にして且つ多様な個々人の需要に応える学習教育システムを提供する事ができる。九年間の義務教育は国や地方自治体が主となって国民に基礎教育の機会を平等に提供する責任があるのは勿論であるが、それ以降はむしろ個々人が自己の目的に合わせて多様な選択肢を活用して学習を続けて行くようになるであろう。こうして家計は教育費の重圧から開放されると共に、与えられるものではなく各人が求めるものとして学習者主体の生涯学習の制度が確立して行くものと思われる。現在国立大学の独立法人化が検討されているが教育機関としての大学は今やその使命を終え、義務教育以降の生涯教育は通信網を活用した通信網学園が主となり、大学受験の呪縛から解き放たれた教育は本来の学問精神を復活して更に発展して行く事になろう。それは決して大学の終焉を意味しない。むしろ教育の足枷から解かれた大学は研究の場としての役割を強めて行くものと思われる。通信網学園においても大学は学問研究の中心として大きな役割を果たして行くに違いない。現在国立大学の独立法人化に関する議論のなかで国は大学にもっと金を出せと言う人があるが、世界にも類を見ない硬直化した財政状態にある我が国には最早そういう余裕は無い。そもそも大学が象牙の塔と化し、学歴社会の元凶として存在する限り、学問のための投資はますます先細りして我が国の学問そのものが活力を失って行く事になる。反対に学問研究の成果を広く世の中に還元して行く事によってこそ学問研究を支えるのに必要な資金が集まるのである。学問の成果を社会に還元する一つの
有力な方法として通信網学園があり、その成果を産み出す研究の場として大学は発展して行く。おそらくこれからの大学は専門の研究を深め、諸分野の総合化を行う学問の場として、学問研究ばかりでなく起業と問題解決の場としてより多くの人々を引きつけ、発展して行くであろう。
社会
産業と教育の変化と共に社会もまた変化する。通信と交通網の発展によって東京一極集中と地方の過疎問題が同時に解決される。地方にいても中央にいるのと変わらず学問の機会があり、必要な情報源に接続できる。コンピュータ通信網を活用した分業と協業によって場所を問わず仕事をする事ができる。地方が自立を強めれば国家の仕事は外交と防衛及び国家的な基盤事業に限定され、より細かな行政サービスは地方自治体が担う事になる。インターネットと衛星通信の発展によって国の事も地方の事もすべての住民が参加できる形の会議によって議論し、決定する事、即ち直接民主制が実現可能となる。地方の自立が進めば世界のあちこちの国境紛争や民族の争いも徐々に意味を失って終息する。古代ローマ帝国のローマ市民のように世界市民としての自覚が広まり、人々の活動の舞台は地域から世界に広がり、世界から地域へと深まるであろう。
人生
上に述べた社会において人々の生活はどう変わって行くのであろうか。まず人々は今よりも遥かに自立性を高め、より自主的な生き方をして行くものと期待される。歴史時代を通じて人々は何らかの共同体、即ち家、村、部族、藩、幕府、政府、会社、宗教団体等に所属して生きてきた。何故ならば一人では世の中との接触が困難であったからである。今や高度に発達した交通通信網によって、国境をも超えて人々は日々通信し往来している。人は特定の組織に属さなくても学び、働き、生活する事が可能になりつつある。政治のしくみが先進国においては一人一票の平等な民主政治に進化してきたように企業もまた究極的には一人一社の形に発展して行くに違いない。もちろん従来の会社形態は特に工場を主とする生産法人においては長く続いていくであろうが、その中で働く人の仕事のやり方は今よりも遥かに自由かつ平等なやり方に変わっていくであろう。会社よりも組合が企業の主要形態になるかも知れない。研究や生産及び保守のための設備は組合が保有し運営するが、実際に研究、開発、設計を行うのは独立した企業家としての組合員である。販売は通信網を介する仮想店舗あるいは広域物流企業を通じて行われるであろう。二十一世紀に向けて人々は通信網で結ばれた大学、専門学校、電子図書館等の多様な選択肢を通じて生涯学習を続けると共に、発達した交通通信網を活用して時と所を超えた柔軟な実行団方式で仕事をして行く事であろう。交通通信網の活用によって人はより広い世界で働き、より近しい地域に住み、より大きな自由を持って生活して行く事ができるであろう。
以上に述べた事は半分くらいは既に実現されていると思います。
予想もできなかった事
東日本大地震と福島原発事故は全く予想もできませんでした。その傷は決して完全に癒える事はないと思いますが、傷の深さはその分従来の社会の問題の深層を明らかにしたと思います。
[1] エネルギー
原発事故は従来の地域独占、大規模システムの技術的な弱点と巨大な利権に群がる官僚、産業、学者、政治家が如何に嘘をいうものかを厭というほど見せ付けました。しかしそれだけ今後人類が目指すべき方向も明らかになって来ました。私は自然再生エネルギーの学習を始めて日も浅いのですが、それでも多くの事が分かってきました。
a. 原発は全く不要。
b. 石油が枯渇しても自然再生エネルギーで十分である。
c. 風力は最も普遍的に存在するエネルギー源である。人類の必要とする全エネルギーを供給できる
可能性がある。
d. 日本は特に小水力、森林資源、農業資源に恵まれており、エネルギーは完全に自給自足できる。
将来は日本がエネルギーの輸出国となる可能性もある。
[2] 国家
権力機構としての国家制度は既に限界に来ている。それはシリア、イラク、アフガニスタン等の惨状が雄弁に語っている。民主制度が確立している先進国においても財政赤字が膨大で早晩政府は行き詰る。豊かなはずの日本でも毎年3万人以上の自殺者が出ており、老人の孤独死、幼児虐待のように弱者が保護されない社会は病の根が深い。よく「決められない政治」と言われるがそれは幕末の徳川幕府と同様に制度が歴史的使命を終えつつあるからだと思います。
一つの方向
[1] 国の機能は外交、防衛、立法、司法、社会福祉に限り、行政は基礎自治体(市町村)が行う。
[2] 政治は間接民主制から直接民主制に進化する。政治家なる職業は昔の大名や将軍のように過去の歴史の中
に消え去るでしょう。直接民主制を可能にするのは高度に発達した現代の情報通信及び交通網です。
呼べば聞こえる範囲、一日で行ける範囲が村だとすれば現在は地球全体が一つの村に他なりません。
[3] 国内は直接民主制、国際は直接民間交流によって世界は真に平和になると思います。
補足
現在の多くの問題の根は国家と間接民主制の限界にあると思います。現今かまびすしい尖閣諸島の問題は今回の経緯を考えてみると石原問題に他なりません。日中国交正常化の時に周恩来首相と田中首相、大平外相が知恵を絞って解決した問題を石原慎太郎氏がぶち壊していると思います。石原氏は従軍慰安婦問題についても「強制は無かった」と公言していますが一体彼は何を根拠にそう言うのでしょうか。石原氏ができるだけ多くの元従軍慰安婦に会って十分話を聞いた上でそういうのなら耳を傾ける価値がありますが、彼は根拠は示さずにただ主張するだけです。まさに典型的なデマ屋ですが、こういう人物が東京都知事に何回も選ばれるところに日本の政治の未熟さが現れていると思います。
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市吉 修 Osamu Ichiyoshi
二十一世紀を楽しく生きよう会
Human Network for Better 21 Century
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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