差出人: OsI [osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp] 送信日時: 2017年10月8日日曜日 21:22 宛先: 件名: 衆議院総選挙の争点について;経済と教育 転送歓迎 配信無用の方はお手数ですが返信願います。本MLは会員の紹介により加入する会員の自主研究会です。返信 または全員へ返信により意見交換をお願いします。二十一世紀世界研究会とは「人が全国どこでも働き、生涯豊か に生きられる世界」を提案し研究する会です。研究しながら理想の二十一世紀世界を実現しましょう。 NHK党首討論 今日の朝と午後のNHK党首討論で各党の公約の概要はつかめたと思います。 選挙を行う理由 今回の選挙に約600億円かかるそうですが、そういう大金を使ってまで今やる理由が私にはよく分かりません。安倍 氏は消費税の使い道を変える事について民意を問うとも言われますが、二年も先の事で上げるかどうかも分からな いものの使途について今民意を問う必要があるのでしょうか。何よりそれは国会で決める事でしょう。 もう一つ安倍氏のスローガンは「国難突破選挙」ですがそもそも選挙によって国難を突破する事ができるものでしょ うか。絶対多数の国会を背景に安倍一強と言われる現状でできないのなら他の条件では尚更できないでしょう。 その国難とは北朝鮮の脅威と少子高齢化だそうですが、安倍一強の今こそ最も強力に政策を推進できるのでは ないでしょうか。安倍氏は勝敗ラインは過半数と言っておられますが勢力拮抗の連立内閣になればより実行力は弱 まるのではないでしょうか。私の邪推かも知れませんが、安倍氏は政権担当に自信喪失し、また自民党内に「今 なら勝てる」ので総選挙を求める声があったと聞いていますのでそれが実態かも知れません。要は長く政権に居座 りたいという職業政治屋の願望です。 安倍政権の経済政策を問う 年率物価2%のインフレを目標にする政策は根本的に間違いだと思います。仮にその状態が10年続けば物価は 20%以上上がります。消費税どころの話ではありません。インフレは社会的弱者を直撃します。年金生活者の多く も生活に困窮するのではないでしょうか。 私は会社で技術開発畑を歩んだ経験から言えば、日夜原価低減に奮闘している開発努力により物価は下がって 当然です。新たな製品が普及するにはその価格が十分下がらなくてはなりません。物価が安定してGDPが増大す るのが経済成長でありインフレによる名目経済成長はまやかしです。それは老人から虎の子の老後資金を奪う社会 的強奪に他なりません。 破綻した経済学 先々週安倍氏が消費税の値上げ分を財政赤字の補填から教育無償化に切り替える事を国民に問いたいと無理に 選挙の争点を作った当日NHK朝の「私の視点」で経済学者で有名な竹中平蔵氏が米国の経済学者が「日本の財 政赤字は国有財産に比べたら大した事はない」と言っていると紹介していました。私はその時この二つは偶然では ないなと感じました。各人が持っている腎臓の一つを売ったと仮定してその金額をその人の財産と見なすなどという 事があればそれは学問とは言えず只の暴論です。 米国の経済学にはリーマン破綻をもたらした某ノーベル賞経済学者の金融工学なる愚論など学問的に破綻してい るものが多々あると思われます。 今、自民党、維新、希望等の政党が口を揃えて幼児教育支援、若者への投資を叫んでいますが、これも以前 NHKで見た米国の某経済学者の「幼児教育投資はやがてその何倍もの経済成長効果がある」という「研究」に 乗った主張ではないかと思います。 またHarvard Business schoolが如何に凄いかという証拠としてそこの卒業生の大半が後年社長になっている等と いう「調査」結果もあります。 これは元々収入の多い上流家庭の子女がバカ高い金を払って幼時から大学まで種々の習い事をして後年親の 会社を継いで高収入を得ているだけの事ではないでしょうか。 教育について 教育に投資すればその何倍もの成果が上がるというのは幻想です。米国の貧困問題の一つの原因として多額の 奨学資金の返済負担があります。それを公的負担に置き換えれば、単に公的財政赤字が増えるだけです。そうなる と大学に行った人と行かなかった人の社会的不公平がより甚だしくなってしまいます。 教育よりも学問 学問とは生活の中での自己教育と定義できるでしょう。学問、芸術の修得過程は以下の段階を踏むと考えています。 1.知る ;まず名を聞く、 2.分かる、 ;聞いたものを理解する。習う 3.為す ;習った事を復習する。仕事に活かす。 4.成る ;その学術が身に着き、考えなくとも自然に体が動いて問題を解く。 5.積む ;その学術を長年実践する。 6.創る ;既存のものでは問題を解決できず、新たな学術を創造する。 上のうち学校教育で出来るのはせいぜい1,2です。しかも「勉強」という語に表現されているように外からの強制であり 、学校でいじめなどの不適応問題が生じるのも無理ないと思います。PTA委員としての経験から思うのは学校教育 において決定的に欠けているのは教師と生徒の間の「対話」です。授業参観で見ましたが先生は一生懸命やって いるけれどもそれは学習指導要領で期待されている事を必死にやっているたけで対話の欠如では生徒には全く入 っていかないと感じました。生徒は「どうせ塾でやるから」と考えているのではないでしょうか。学校と塾、部活、今の 生徒には自由時間が無いと思います。 現在学校教師の過剰労働が問題になっていますが、それは学校が生徒そっちのけで自分の成績を上げるのに躍 起となっているのだと思います。学校のクラブ活動の部が地区や全国大会で優勝したとか、有名大学に何人通った とか生徒そっちのけで教師もしくは学校経営者が自分の成績をあげようと躍起になっているのが学校の諸問題の原 因ではないでしょうか。 今の日本の教育問題は教育の不足ではなく過剰だと思います。 その結果としてできるのが自主性に乏しい従順な人間です。長期残業で過労死した電通の高橋まつりさんは東大 出で有名広告代理店の電通に入り、一年も経たない中に過労死されました。先日その裁判で電通に50万円の 罰金が課されましたが、私はその金額の低さに驚きました。我が国では人の命はそんなに軽いものなのかと。 特攻などという非人間的な戦術を大規模に実行した大日本帝国とあまり変わっていないのではないでしょうか。 私の考えでは上の罰金は少なくとも50億円以上あるべきだと思います。 また本人には少し酷かも知れませんが高橋さんの従順さにも問題があると思います。高校で日本国憲法、基本的 人権、労働法などの基礎について学習された筈です。会社の理不尽な要求に対しては反対し、最後は辞表をたた きつける位の不屈さが必要だと思います。 序に学校のいじめ問題でも今の子はいじめに弱いなという印象をもっています。昔の学校でもいじめはありましたが 、それを苦に自殺する場合は今より少なかった気がします。ライン等で表面的には社交的でありながらその実孤独 な子が多いのではないでしょうか。教師と生徒の対話不足が生徒どうしの会話力と自我の確立の過程を阻害してい るのではないでしょうか。 内村航平と白井賢三 今朝テレビで白井選手の世界体操の床運動での優勝を見ました。内村選手の後継者として実に立派な偉業です。 内村選手も白井選手も親が体操教室を営んでいる家の出であると聞いています。彼らには体操は物心ついた時 からの生活の一部であり、他の選手のように体操教室に通って修得したものではないと思います。内村選手の鉄棒 や白井選手の床は他の選手とは明らかに一段違うと感じます。習ったものではなく生特のものという感じです。 音楽家の家に生まれたバッハやモーツァルトの音楽も同様、無理に即ち「勉強」したものではなく幼時からの生活の 中で生得したものだという印象をいつも受けています。どの作品も無理の無い自然な流れを思わせます。 大学の改革こそ必要 大学が学問の府ではなく教育の府となっている事が諸悪の根源だと思います。大学の序列なるものを挙げて希望 の小池氏などが世界における日本の地盤沈下に警鐘を鳴らす等とは私には滑稽の極みです。序列が着くような 大学は学問の府とは言えません。吉田松陰の松下村塾などはそういう序列評価では最初から無視されるでしょう。 大学が文部省によって管理される等とは私には本末転倒に思えます。東大と文部省が結託して北里柴三郎が所長 を勤めていた伝染病研究所を乗っ取った時に、北里柴三郎は私立の北里研究所を立ち上げました。ところが伝染 病研究所の全職員が北里柴三郎に従って新職場に移り、伝染病研究所を辞職しました。このため伝染病研究所で はその業務たるワクチンの製造が不可能になりました。この明治の日本にこそ学問がありましたね。北里研究所から 志賀潔、秦差八郎、野口英世等の世界的偉人が輩出したのは理の当然です。 大学を政府の支配から外し、社会の中で人が働きながら学び、資格が得られる体制にすべきだと思います。例え ば医療者がまず看護、介護から入り、必要な実践と教育を重ねて医者の資格を得る道とか、職人が実践と教育を通 じて必要なら博士号をとれるとか。その他あらゆる分野で人が全国何処でも学び、働き、学術を伝える事のできる制 度が必要だと思います。今でも人間国宝とかありますが、その制度をもっと広い分野でより体系的に作れば良いと 思います。誰が作るか、それは国ではなくそれぞれ専門の学会が適任だと思います。 実は今でも既にその条件は整っています。インターネットは世界最大の図書館です。放送大学やNHK学園高校 は働きながら学業を重ねて資格がとれます。これらをもっと整備していけばけち臭い大学の序列を排し受験教育の 歪を正して真の学問立国が可能になると考えています。 日本国憲法 第26条[教育を受ける権利、教育の義務] @すべて国民は法律の定めるところにより、その能力によりひとしく教育をうける権利を有する。 Aすべて国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。 義務教育はこれを無償とする。 国の基本法たる憲法にこれ以上何を付け加える必要があるでしょうか。 *********************************************** * 市吉 修 Osamu Ichiyoshi * 二十一世紀を楽しく生きよう会 * Human Network for Better 21 Century * http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/ ************************************************