日常生活の量子論
2021/06/12 14:45
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日常生活の量子論
20世紀初めの物理学の暗雲は光に関するものでした。一つは真空中の光の速度が観測者の運動状態に依
らないという事実が光伝搬の媒体と考えられていたエーテル(Ether)説と矛盾する事、もう一つは黒体輻
射の周波数分布について実験と合う公式を求める問題でした。
前者は1905年にA.Einsteinが提案した特殊相対性理論で、後者は同じく光電効果の理論で先にM.Plank
が黒体輻射の研究で成功裡に用いた量子仮説が疑いようの無い形で確立しました。前者については以前
にLorentz変換の導出と双子の逆説等で紹介しました。後者は量子力学の重要な出発点でしたが量子力
学についてはその確率的解釈、不確定性原理、対応原理などにあやふやなものを感じ、勉学意欲を失っ
たと私の学生時代の不勉強の言い訳をしました。
しかしよく考えて見ると量子力学の不確定的、確率的な性質は日常生活の上でも広く見られ実はとても
身近なものであると思います。
物体の位置と速度の不確定性
今時刻tにおける車の位置をx(t)、その速度をv(t)とします。車はt=0にx=0から走り始めt=Tにx(T)
で停止するとします。同じく速度は始めと終わりは止まるのですからv(0)=0,
v(T)=0です。
車の平均の位置は xm = ∫x(t).dt / T
車の平均の速度は vm = ∫v(t).dt / T
そこで
x’(t) = x(t) - xm
v’(t) = v(t)- vm
とすると
∫x’(t).dt = 0
∫v’(t).dt = 0
となるので時間[0,T]の中での車の位置と速度の広がり(分散)は
(Δx)^2 = ∫x’(t)^2.dt / T
(Δv)^2 = ∫v’(t)^2.dt / T
となります。
そこで
(Δx)^2・(Δv)^2 = 1/T^2.∫x’(t)^2.dt . ∫v’(t)^2.dt
>= 1/T^2.{∫x’(t). v’(t) dt }^2
となります。上の不等式はSchwartzの不等式で私達は高校の数学で習いました。
位置x(t)と速度v(t)の関係については
v’(t) = dx’(t)/dt
ですので部分積分法を用いて前述の式は
(Δx)^2・(Δv)^2 >= 1/T^2.{x(T).
(x(T) -2.xm) }^2
なります。
この式で車の位置と速度が正確に分かる(分散がゼロ)のはx(T) - 2.xm=0の場合だけです。それは車が一
定の速度で走り始めかつ停止した場合です。実際には加速と減速が必要だし、その他の原因で速度が変
動すれば位置と速度の同時確定は難しくなります。
時間信号の時間幅と周波数帯域幅の不確定性関係
通信網のサービスにおいてBroadbandは一つの切り札です。初期のデータ通信速度がせいぜい5kb/sで
あった30年前に比べると最近の5G無線システムでは5Gb/sと1,000倍になっており、正に別世界です。
これは周波数帯域が広いほど短い時間パルスが伝送でき高速通信が可能な事に基づいています。詳細は
拙著「波束変換」http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/WaveletTransform.pdf
をご覧下さい。
日常生活の量子論
極微の世界では決定論的な理論は成り立たないが、確率的な理論は成り立つ。それが量子力学です。
よく考えると日常生活もそうではないでしょうか。
天気予報
昔は断定的に、しかし未来形で「明日は晴れでしょう」と言っていましたが、今は「雨の確率はx %です」
と確率的に表現しています。同様に地震や火山の噴火についても「向こうx年間に起る確率はy%」とい
うように確率を用いています。結局理論的に予言できるのはあくまでも確率でしかありません。
睡眠法
孫達は私に「お仕事が終わっても帰らないで」と言い置いて風呂に入ります。即ち私が皿洗いと居間の
掃除を終えても帰らないように釘を刺しているのです。孫達が風呂から上がってから着替えは自分でし
ますが時には歯磨きを手伝い、絵本を読み聞かせ、寝かしつけて帰るとしばしば10時になります。金曜
日になるとほっとするのは会社勤務時代と変わりません。
孫達が私を帰らせないのは快適に眠るのが主たる目的だと思います。色々な歌を歌ってやると通常10分
位ですやすや眠ってしまいます。
不眠症の人は眠ろうとするから眠れないのであって何か他の事を考えていれば眠れると思います。寝て
いる時は体が休んでいるので頭はありとあらゆる事を考える事ができます。科学者のケキュレは眠って
いる時ベンゼン環の構造を思いついたそうです。私は夜トイレなどで目が覚めるとこれ幸いと色々頭を
巡らせますが、直ぐにまた眠ってしまいます。
不眠、脅迫観念、うつその他の精神疾患等
には不確定性原理に通ずるものを私は感じます。即ちある悩みを押さえつけようとすればするほどそれ
が大きくなる感じです。ある事を考えまいとすればする程それを考えるのは心理的不確定性だと言える
でしょう。こうして恐怖はいや増し、悩みは増々深くなる。そういう場合にはそれを色々違った方向か
ら学問するのが良いのではないでしょうか。研究していると思いがけない展開で問題が発展的に解消す
る事もあります。
生きているとは何か、それはあらゆる可能性がある事である。悪しき可能性は縮小させ、良き可能性は
拡大させる、そうすれば生きるとは楽しい事ではないでしょうか。
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+ 市吉 修
+ 二十一世紀を楽しく生きよう会
+ HP ; http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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