Re: 日常生活の量子論; 訂正
2021/06/20 00:08
宛先
市吉修, その他51件の宛先
前回粒子の速度測定に関し全く無意味な事を書いてしまいました。以下のように訂正します。
前回
物体の位置と速度の不確定性
今時刻tにおける車の位置をx(t)、その速度をv(t)とします。車はt=0にx=0から走り始めt=Tにx(T)
で停止するとします。同じく速度は始めと終わりは止まるのですからv(0)=0,
v(T)=0です。
車の平均の位置は xm = ∫x(t).dt / T
車の平均の速度は vm = ∫v(t).dt / T
そこで
x’(t) = x(t) - xm
v’(t) = v(t)- vm
とすると
∫x’(t).dt = 0
∫v’(t).dt = 0
となるので時間[0,T]の中での車の位置と速度の広がり(分散)は
(Δx)^2 = ∫x’(t)^2.dt / T
(Δv)^2 = ∫v’(t)^2.dt / T
となります。
そこで
(Δx)^2・(Δv)^2 = 1/T^2.∫x’(t)^2.dt . ∫v’(t)^2.dt
>= 1/T^2.{∫x’(t). v’(t) dt }^2
となります。上の不等式はSchwartzの不等式で私達は高校の数学で習いました。
位置x(t)と速度v(t)の関係については
v’ (t) = dx’(t)/dt
ですので部分積分法を用いて前述の式は
(Δx)^2・(Δv)^2 >= 1/T^2.{x(T).
(x(T) -2.xm) }^2
なります。
この式で車の位置と速度が正確に分かる(分散がゼロ)のはx(T) - 2.xm=0の場合だけです。それは車が一
定の速度で走り始めかつ停止した場合です。実際には加速と減速が必要だし、その他の原因で速度が変
動すれば位置と速度の同時確定は難しくなります。
訂正
以上は全く無意味な事を書いてしまいました。以下のように訂正します。
速度の数学的な定義
粒子の位置をx(t), tは時間とすると時刻tにおける粒子の速度はv(t) = { (x(t') -x(t) } / (t'
-t) (t'--> t)
現実
には種々の雑音がありますので
v(t) = { (x(t') - x(t) +Δx } / {(t' -t) + Δt }
(t'--> t) = v(t) + Δv
Δv = Δx / {(t' -t) + Δt } (t'-->t) = Δx / Δt
雑音の原因は先ず普遍的な熱雑音、時計では基に成る発振器の位相雑音などです。また現在の装置は殆
どDigital信号処理(DSP)を用いますのでAnalog/Digital変換によって生じる量子化雑音も避けられませ
ん。
粒子の運動は連続的ですので上の微分を実行すると現実には
v --> Δv = Δx / Δt
となり速度測定は全く無意味になります。
実用
通常はt'-tを例えば一秒間隔にして t'-t >> Δtとなるようにして毎秒とか更には毎時とかの単位の速度
を測定します。即ち瞬時速度は測定不可能なので平均速度で代用します。毎秒平均は実は1Hzの周波数
filterを通す事であり、熱雑音のような広帯域雑音は殆ど除去する事ができます。しかし標本化速度が毎
秒1回であると量子化雑音は除去できません。即ち測定可能な速度の量に下限が残ります。
結論
(1) 日常生活の上では粒子の位置と時間の測定機器内部に普遍的に存在する熱雑音等のため瞬時速度
は測定不可能である。日常の世界では時間的な瞬間、特定の時刻における粒子の位置を厳密に測定
する事はできない。
(2) TVや映画等の動画は毎秒30場面で写真撮影されている。それは人間の感覚が1/30秒より短い時
間隔は瞬時に等しい事を用いている。人間の鈍さにより動画も音声も情報を伝える事ができるので
ある。
余談ですが水泳や陸上競技で1/100秒の差でメダルの色が変わる事がありますが、これは人間の能力が
上述の鈍さにある事を思えば殆ど無意味な事だと思います。
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+ 市吉 修
+ 二十一世紀を楽しく生きよう会
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