差出人: OsI [osamu-ichiyoshi@muf.biglobe.ne.jp]
送信日時: 20121020土曜日 23:42
宛先:件名:
危機こそ好機

 

森さん、

貴重な情報をありがとうございます。

 

ベネズエラは犯罪と貧困で最低の状況だったのでそこから立ち上がるために音楽で子供達に夢を与える偉大な活動が推進されたのだと思います。いざとなれば人は偉大な力を出します。

 

日本の場合は森さんが言われるように悲観的な見方をよく聞きます。それは真実の一端はあるかも知れませんが、何よりそう言う人の立場を示しています。私も現役時代には労働組合の支部委員をやりましたが全般的に同僚は組合活動に消極的でした。また子供達が小中学校に通う時にPTAの役員もやりましたが、次年度の役員を決めるのに何ヶ月もかかりました。わが子の大切な学校のためにどうして多くの親がかくも非協力的なのか理解できませんね。ご指摘のように自分だけ楽をしたいという消極的な人が多いようです。

 

それではいつも日本はそうだったのかと言えばそうではありません。労働組合の研修で聞きましたが、戦争直後の頃は労働組合の委員長選挙には自薦他薦の候補者が林立したそうです。私はよく覚えているのですが日本の農村は直接民主制でした。常会と呼ばれる寄り合いで村の事は決めていました。公民館が村の自治の場であり、今でも故郷の村では村長のことを分館長と呼んでいます。ただ今は昔ほど集まることは少ない様です。私が子供の頃はまだ結いと呼ばれる互助制度が残っており家の建築、冠婚葬祭、農繁期の人手不足を助け合いで乗り切っていました。子供達にはご馳走やお菓子がもらえて楽しいものでしたが、結いは現在ではもう殆ど機能していないようです。

 

以前に日比谷公園のNPO祭りを報告しましたが、今横浜で国際festaをやっています。それらの祭りに行って若い人々がアジア、アフリカの開発援助に如何に活躍しているかを見れば日本の現状についての悲観的な見方は消えるのではないかと思います。実際日本はすごい国ですよ。今月は山中さんのノーベル賞で全国が湧きましたがノーベル賞に限り無く近いと言われる人は日本には沢山います。アフガニスタンで長年地域開発に尽くしているペシャワル会もノーベル平和賞の価値は十分あると思います。ただ本当に奮闘している人達はノーベル賞などは眼中に無いと思います。

 

日本の一千兆円を越える財政赤字、生活保護200万人を越える貧困問題、世襲政治家による政治レベルの低下がなぜ続いているかと言えばこれまではそれでもやって来られたからです。戦後日本は餓死者も出る食料危機でしたが開拓団が荒地を開拓して食料を増産した結果私達がもの心ついた1960年代には食料は殆ど自給自足していました。この頃は日本の輸出の第一位は生糸でした。すなわち日本は原料の大輸出国だったのです。ナイロンの実用化により生糸の需要が消えると日本は工業化に力を入れて繊維産業ではナイロンにも勝るビニロンを実用化しました。日本の工業のあらゆる分野で生じた高度成長は世界の産業史に残るものです。現在の情報化社会の基礎はCPUですがマイコンの開発に最も貢献したのは島正利さんだと思います。NHKProject-Xで紹介された日本発の技術は21世紀の情報社会をもたらしたと言っても過言ではありません。

 

私は日本の底力を信じています。変えなくては成らない時には徹底的に変える力があるのは幕末から明治維新の激動が示しています。人は行動すれば力が出ます。行動しなければ方向が分かりません。大学教授や評論家で悲観的な事ばかり言っている人は自らは行動せず他人の批評ばかりしている人に多いようです。彼らが言う失われた10年も20年も実はありません。この間アジア、アフリカ諸国の発展が目覚しかったのを日本の存在感の低下と呼ぶ人はものの見方が間違っているのではないでしょうか。

 

従来の20世紀型社会が大きく変わらなくてはならない時期に来ているのは確かです。変え方として政治に打って出るなどというのは前世紀までのやり方であり、現在はインターネットを活用して有志が提携して足下に事業を始める事ができます。この研究会も6年ほど前に私が勝手に呼びかけて始めました。既にインターネットは社会の情報基盤になっていますが、その活用はまだまだ未開拓です。私が約10年前に拙著「ガクモンのススメ」で予想したものの半分くらいは実現していますが、インターネットを活用すればもっと根本的な社会の変革が可能です。まず変わらなくては成らないのは人々のものの見方ですが、それは財政赤字が国民貯蓄に到達する数年後に否が応でも起こると考えています。その時は別に世界の終わりではなく新たな世界の始まりです。簡単に言えば人間の互助による自立社会、人が全国何処でも学び、生涯現役で働ける産業社会です。

 

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      市吉 修                                Osamu Ichiyoshi                         

二十一世紀を楽しく生きよう会  Human Network for Better 21 Century   

 http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/

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From: Etsuro Mori [mailto:etsuromori@jcom.home.ne.jp]
Sent: Saturday, October 20, 2012 2:45 AM
To:

Subject: RE: 北大植物園に思う大学の行き方

 

市吉さん

昨晩10時からNHKの「地球イチバン」という番組でベネズエラの「エル・システマ」というクラシック音楽の教育システムを知りました。現在33万人の貧しい家庭の子供たちが楽器も学費も全て無料で音楽を学んでいます。すべて政府の援助と寄付によりまかなわれています。子供たちはオーケストラの練習の中で時間を守るという倫理感、一生懸命に練習して上達せねばならないという責任感を持つようになります。そしてうまく演奏できた時の達成感を得て非行から立ち直る子供も多くいます。子供たち同士が励ましあいながら練習するすがたは感動的でした。ベネズエラを訪れる機会があれば是非見学してください。2000人の子供たちによるコンサートを見ることができます。

 

今や世界中民主主義国です。北朝鮮もミャンマーもみな建前はgovernment of the people, by the people and for the peopleです。憲法で保証されている筈の自由も平等も公共の福祉に反しないという大義名分により実際には武力により国民の権利が侵害されています。シンガポールでは路上喫煙も地下鉄で飲食することも500ドルの罰金という制度がありました。エレベーター内での放尿も罰金というのがありました。にわの木を切るのに政府の許可が必要です。中国人は元来マナーが悪いので罰金で厳しくしめあげないと国中が汚れるというリークアンユーの懸念によるものだったそうです。それでもシンガポールの国民はよく学び、よく働き、豊かな生活を送っています。

 

日本では直接民主制は難しいと思います。日本人の投票率の低さは間接民主主義への長年の信頼の現れであり、本音としては面倒なことはいやという気持ちでしょう。1000兆円を超える国債、地方債の借金財政が破綻するときは否応なくツケを払わされることになります。最近の東電の録画映像の公表で不透明な対応があったようにIT技術が進歩してもそれを適切に利用しなければ意味がありません。今の政治屋は遠からず淘汰されるだろうとの市吉さんの予想には同感です。代議士の4分の3が2世か3世であり、当選することが目的の人たちばかりです。民主主義政治はよき代表者を得なければ衆愚政治になります。シンガポールのように優秀で清潔な独裁者なら国民にとって恩恵です。オバマとロムニーのように野田さんと阿部さんもインターネットでDEBATEしたらどうでしょう。その場で届いた質問にも答えるという離れ業を見せて競い合うのを見て国民が投票の判断をするという今までにない選挙になると思います。

 

役人には希には頭のよい人もいます。公取委の元委員長の竹島さんは密告制度を強引に押しすすめ、初めに談合を密告した会社には罰金を課さないという制度を立ち上げたことろ公取委のTELは鳴りっぱなしとなり、光ファイバーけブル談合やワイヤーハーネス談合に絡んでいた古河・住友・日立が立ちどころにご用となり700億圓ほとの罰金を払わされました。株主代表訴訟の対象になるので密告制度はますます盛んにあるでしょう。

 

代議士は世襲だと言いましたが日本では企業経営者も年功で階段を上りつめた人が多いので従来のビジネスモデルの維持する傾向にある、新しい分野に挑戦して地位を失いたくない人がおおいのはないでしょうか.スマホも検索エンジンもアマゾンもみなアメリカの発明で製造は中国。日本の、メーカーが現地法人で造った部品を納めている。これを日本でやろうとすれば中国人なみの賃金でなければらない。