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宛先:件名: NHK Special東京裁判を見て思う
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NHK Special東京裁判
四回に分けて放送されたこの映画は実像も交えて第二次世界大戦の戦勝国から派遣された11人の判事
が如何に当事者、証人、被告の証言や証拠に基づきまた戦勝国が敗戦国を裁く法的根拠について議
論しつつ判決に到ったかを再現したものでした。約二年に渡る東京裁判はドイツのニュルンベルク
裁判と同じく未曾有の惨害をもたらした第二次世界大戦に一つの結末をつけるものだったと思いま
す。
裁判の法的根拠
インドのパル判事は戦勝国が戦敗国を裁く法的根拠が無く被告は無罪にすべきだと主張しました。
オランダのレーリンク判事も同様の意見を持ち母国の見解との解離に悩みました。これに対して英
国のパトリック判事を筆頭に大半の判事は1928年の不戦条約を法的根拠にして平和に対する罪、
人道に反する罪、戦争を起こす共同謀議の罪などを被告に問うべきだと主張しました。約二年の努
力の上に多数決によって判決が決まりました。
私見
私はニュルンベルク及び東京裁判が行われた事は良かったと思います。あの第二次世界大戦は思い
出すのも嫌な事が無数にありました。学徒招集され戦車隊に配備されていた司馬遼太郎が当時を振
り返って「集団発狂していたとしか思えない」と言うように根本的な所に過ちがあったと思います。
あれだけの惨禍に対して戦争指導者が誰も罰せられないならばそれこそ人類には絶望しか残らなか
ったのではないでしょうか。
東京裁判は日本人の集団発狂を直して正気に戻す効果があったと思います。ここで日本人として誇
りに思うのは集団発狂の中でも正気を保った人々が多々いたという事です。和田博雄、斉藤隆夫、
石橋湛山などの政治家は勇敢に軍国主義に反対しましたが大勢を変えるには到りませんでした。
第二次世界大戦は世界を分割し尽して植民地大国となっていた英、仏、米、露、蘭などの持てる国
に対して遅ればせに帝国主義競争に参加した日、独、伊などの持たざる国が植民地の再配分を要求
して戦ったものであり、基本的には戦勝国も戦敗国も同罪だと思います。形式上は持たざる国が仕
掛けた戦争なので日独両国を裁く裁判になりましたが、16世紀以来の植民地化の長い歴史を通観す
れば上記戦勝国も戦敗国に劣らぬ「人道に対する罪」を無数に犯したのではないでしょうか。
日本の所謂大東亜戦争ははからずも戦後アジア・アフリカの植民地の独立に寄与したと思います。
インドのパル判事の日本弁護もそこから来ているのではないかと思います。
良心に基づく徴兵拒否
戦前の軍国日本においては赤紙が来れば徴兵拒否をする事は到底できなかったと父が言っていまし
た。学校で教え込まれた軍国主義ばかりでなく、両親、親類、地域社会の所謂世間体が強い拘束と
なっていました。
その中でも良心に基づく徴兵拒否を貫いた人々もいました。その一人がトルストイ民話の翻訳で有
名な北御門二郎さんです。北御門さんは戦争は絶対悪だとの主張をくずさず、徴兵拒否を重ねまし
た。最後の喚問に行く時には銃殺を覚悟して行ったのですが何と判決は「精神異常による徴兵免除」
でした。戦争中は特高の刑事による見張りを受けていましたが、刑事にも繰り返し「戦争は絶対悪」
と説きました。特高の上司が北御門さんの拘束を命じた時に部下の刑事が「北御門さんは政治運動
を行っているわけではないから」と上司を説得する事もあったそうです。北御門さんについては下
記URLをご覧下さい。
http://h-kishi.sakura.ne.jp/kokoro-292.htm
法とは何か
北御門さんはトルストイの「イワンの馬鹿」がもっと広く読まれていたら戦争は起こらなか
っただろうと言いましたが私も同感です。
法律家は法とは「紙に書かれたもの」と考えているようですが、これでは本質を全く見逃す事に
なると思います。人間社会には紙に書かれた法よりも自然の人道に基づく法、自然法がより
根源的なものではないでしょうか。それは一人ひとりの人を尊重せよ、人のものを盗むなという
極く当たり前な事です。
国民学校、すなわち小学校において「子供は天皇の赤子」と教えを垂れ戦争を推進した日本国
が何万人もの戦争孤児を見捨てたのは日本人として真に残念です。日本の裁判所の判決は
「軍人は国と雇用関係があったが、戦争孤児とは雇用関係が無かった。戦争孤児を救えという
法律がないのだから国が戦争孤児を救済しなかった事は国の罪ではない」という趣旨です。
六法全書の字面だけで論理を組み立て、自然の人道法、即ち道徳が欠如した日本の司法には深い
疑問を感じます。
仕方がないから今や平均年齢が80歳を越えた戦争孤児達が立法に運動の場を移して戦い続けて
います。前回お知らせした集会に関心のある方は参加願います。
12月19日全国空襲連・院内集会のお知らせ
場所 衆議院第二議員会館 1階、多目的会議室
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* 市吉 修 Osamu Ichiyoshi
* 二十一世紀を楽しく生きよう会
* Human
Network for Better 21 Century
* http://www5e.biglobe.ne.jp/~kaorin57/
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