アンナプルナBC

ネパール アンナプルナ・ベースキャンプ 1996/2/27-3/12
同行 マヘンドラ

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マチャプチャレ
ネパール観光の象徴的な6993mの峰には真の登頂はなされていない。それは聖山ゆえである。独特の雰囲気のある湖畔の町ポカラでこの山を眺めながら過ごすのは、何にも代え難い、癒しのある贅沢な時間だ。
アンナプルナU峰
ポカラの北に広がり、8091mのT峰を主峰とするアンナプルナ山群は気高く美しいが、登るとなるとその懐の深さゆえ容易ではない。アンナプルナBCは山群の真っ只中にあり、ひとつの谷の切れ込み以外はヒマラヤが取り囲む。そこは「内院」と呼ばれている。
ディタル村
一帯の谷は生活圏となっている。ヒマラヤと高い空と田園風景が夢のようだ。アンナプルナをトレッキングすることは、ネパールの生活に触れることでもある。山の美しさは地元の民の心をうつしているようにも感じられる。
ロッジの部屋
道中どの集落にも簡素だが宿とするに充分なロッジがある。寝る場所を提供するのは当然のホスピタリティと考えるのか、宿賃は実に安い。食事や飲み物は標高が上がるほど高くなった。
デウラリ
3000mを越えた翌日、一晩で数十cmの積雪に見舞われた。標高が低いせいか湿雪である。雪に谷は静まりかえり、朝の空気も緊張している。我々は構わず谷を詰める。

明け方までの降雪で岩壁まで白くなった谷を登った。時折上部から落ちる雪崩れの音が、谷に響きわたる。トレッキングでありながらヒマラヤの山中に分け入ったような迫力である。
アンナプルナBCへ
雪のためか、他にトレッカーの見ない雪の谷をBCへ登る。「内院」へと入ってゆく。瞑想する聖域へ踏み入るような、例え難い空気感がそこにはあった。それは4000mを越えた標高のためだけではない。
アンナプルナT峰南壁
BCから標高差4000mにも迫るヒマラヤの岩壁を目の前にする。屏風のように広がる山に四方を囲まれ、ひときわ大きく聳えるその姿は尚のこと近付き難い。ここを登ろうなんていう発想は常人には出てこない。
マチャプチャレと朝日
聖山は全く形を変えた。その山容から現地名「魚の尾」と名付けられたことは、図らずもヒマラヤが遥かな昔海だったことをも物語っている。近辺には海生物の化石が多く見られるが、山そのものが巨大な化石なのかもしれない。
ふたたびディタル
チェトリ族の典型的な住まい。農耕牧畜の生活は一般的で、貨幣は動かなくとも食に困ることはないようだ。彼等のシンプルな生活に触れることが、自分を見つめ直す素晴らしい機会を与えてくれる。

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