ヒマラヤのピークヘ
ネパール トレッキングピーク ロブジェ東峰6119m・アイランドピーク6189m 1998/10/23-11/15
同行 岩瀬
ロブジェ東峰6119m 6000m峰でありながら立派な独立峰の風格を備えている。この山でヒマラヤの氷雪に触れてみたいと思った。トレッキングではなく登るために二人だけの小さな隊を結成し、再訪したのは一年後のことである。 |
|
ロブジェ東峰南西稜より夜明け 未明にテントを発ち、稜線上で夜明けを迎える。高い峰から徐々に色づき、やがて我々の足下にも陽光が当たるようになる。始めは淡い紅色だった雪面は、すぐに目も開けられないほど鋭い白になる。 |
|
南西稜を見上げる これから登る稜は波うち切り立っている。怖さもあるが、ヒマラヤの氷雪に触れ登っている喜びもいっぱいだった。下から見上げていた稜線に実際に立つ。足下の雪の感覚を確かめるように踏み締めた。 |
|
南西稜 下を振り返ると平衡感覚が曖昧になる。急傾斜の稜線を、あえいで呼吸しながら登高。動いている時は目の前の斜面を見つめると安定する。立ち止まりまわりに目をやる。標高が上がるに従い、景色の広がりも大きくなる。 |
|
ロブジェ東峰頂稜 南西稜を抜け頂上稜線へ、そこは左右切れ落ちたナイフリッジになっていた。ダークブルーの空に架かる白い橋を慎重に渡る。これは極楽浄土への径か。シェルパの顔がやけに黒い。 |
|
ロブジェ東峰よりエヴェレスト 息苦しくも登り詰めた最高到達点より世界最高峰エヴェレストを望む。遥かに続くヒマラヤの山並みを見た時、幾つかの旅を経て、自然へ目を向け、そして山を目指すようになったのは間違いじゃなかったと思った。 |
|
アイランドピーク6189m 2峰目はトレッキング・ピークの中でもポピュラーな峰。だがローツェやマカルー、その他の高峰に囲まれた盆地に浮かんでいるため、存在感が小さいような。それでもヒマラヤの一峰であることに変わりは無い。 |
|
アイランドピーク雪原部 ルートは左の雪壁からコルへ登り、稜線を奥の山頂へ辿る。人気のピークだけあって氷河、雪壁、細い稜線とヒマラヤ登山の要素がほどよくまとまっている。やさしい峰と言われるが、ここを余裕を持って登るには、ある程度の技量も必要だ。 |
|
雪壁の登攀 高差100m、斜度50〜55度の核心部。何人もの登山者の登降により雪面は荒れているが、氷結部もあり緊張感がある。希薄な酸素に耐え、一歩一歩足を上げて登ると、頂上へと導かれる稜線へ飛び出す。 |
|
頂上稜線 意外と傾斜のきつい頂上稜線。本来の山容を形作っているはずの岩部がどこにあるのか分からないほど、氷雪の起伏が山稜を覆っている。氷結しているが、ルート上は段になっていて楽だった。 |
|
頂上稜線 再び雪稜のスカイウォーク。いくらか丸みがあるだけやさしさがある。ここでも遠くを見るより目の前の一歩に集中する方が気は楽だ。進み続ければいつか到達する時がくる。頂上も近い。 |
|
アイランドピーク山頂 山岳会旗を持って記念撮影。こんな小さな峰でもヒマラヤ登山の気分は味わえる。この時二人は初めてのヒマラヤ登頂だった。 |
|
山頂より どこまでも波打つヒマラヤ。その中のひとつのピークに自分は立っているのだ。至福の時。ねらいを完全には達成できなかった微かな悔恨と、ヒマラヤの稜線で得たこの上ない喜びを胸に下山してゆく。「やっと街へ帰れる」 |