[名称]
クライミング主体に訪れる時、このエリアはプラナン、プラナーン、ライレイなどと呼ばれている。プラナンはエリア名で本土と陸続きの半島だが、付け根一帯は切り立った断崖で、陸路で入ることはできない。ビーチは欧米人に人気の南国リゾート地になっていて、その中心地の地名がライレイ。半島は歩いても数分で横断できるほどの広さで、本土アオナンからアプローチするビーチがライレイ・ウェスト、クラビーからアプローチするビーチがライレイ・イーストというが、どちらもバンガロー式の宿とレストランしかない。
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[アプローチ]
バンコクからは先ずクラビーに向かう。バスで13時間半。飛行機で70分ほど。空港からクラビーの町まではおそらく空港タクシーを利用するより他、手は無い。350Bの定価で20分。ライレイ・イーストへは、先ず町のクラビー川沿いの船着場へ行き、ロングテイル・ボートに乗る。一人75B程度。チャーターするなら300B余り。30分ほどでライレイ・イーストのビーチに着くが、陸まで遠浅の海を歩かなければならない。
ライレイ・ウェストへは、アオナンの町まで移動する。タクシーで40分ほど。ビーチからロングテイル・ボートで15分。60B。 |
[移動]
半島内に交通機関はない。歩くしかない。しかしどこへ行くにも30分と歩くことはない。 |
[宿泊]
リゾート地ライレイはイースト、ウェストともバンガロー式レストラン併設の宿泊施設がそれぞれ3、4軒あるが、どれも欧米観光客向けでやや割高。ファシリティーが揃っていてエアコン付き一泊1000B以上。エアコンなしでも600B〜程度。比較的安いのはイースト北側のView Pointなど。
クライマーのほとんどは半島北西部のトンサイ・ビーチ周辺に宿をとる。ビーチから一本入ったところがバンガロー・エリアになっていて、一泊250B程度からバンガローが借りられる。更に山側に登って行くと、もう少しリーズナブルになるようだが、クォリティも落ちるし蚊が多い。トンサイは連泊割引が交渉可だ。
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[食事]
バンガロー付きのレストランで食べるしかない。小さなスーパーも何軒かあるが、品揃えは少ない。どこのレストランでも多様な食事が楽しめるが、本土の食堂などと比べれば割高になってしまう。それでも日本での食生活よりはずっと安い。 |
[物価]
滞在時のレートは1US$=約40B(バーツ)。1B=\3.2ほど。トンサイで我々が滞在していたDream Valley Resortは蚊帳付き(エアコン・ファンなし)バンガローで一泊300B。連泊で交渉し250B/泊になった。食事はセットの朝食が100B前後、昼、夜は200B出せばレストランで一食しっかり飲み食いできるか、といった感じ。屋台は少しあるが安食堂などは皆無のため節約は難しい。 |
[気候・シーズン]
緯度が低く、常夏の気候。ビーチリゾートで湿気が多く、日が当たると暑い。岩場の各エリアは日陰になる時間帯が登り時で、それでも一本登ると全身シャワーを浴びたように汗が出る。朝は22℃、日中は30℃以上になる。ベストシーズンは11月〜2月頃と言われるが、その前後2ヶ月も何とか登れるだろう。ハングや上部がルーフになっているところが多いため、雨の影響はさほど受けない。暑いため濡れてもすぐに乾く。 |
[治安・言葉など]
タイ一般の町ではなくリゾートのみのために人が住んでいる場所であり、治安への不安はない。タイの人びとは愛想が良く、すれ違えば挨拶を交わす。宿やツアー会社など、直接交渉が必要なタイ人には英語が通じるが、レストランのウェイターなどはあまり英語をしゃべれないので、オーダー間違いが多い。
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[店]
クライミング店、クライミングツアーをやっている代理店が数軒ある。人気はライレイ・イーストのTex Rock Climbingと、プラナンのルートガイド本も出しているKing
Climbers。ここのルートガイドは2004年発行の第五版(赤い表紙)が最新。ほとんどのラインが掲載されていて詳しいが、分かり易いとはいえない。
ミニコンビニも点在。他タイ風の衣類を扱う店やサンダル、みやげを置いている店、タイ式マッサージ、古本屋。スマトラ沖地震の津波の影響が残り、復興作業が続いているが、ツーリストには不便はないほどになっている。
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[プラナン・クライミング・エリア]
離島も含め50余りの岩場が近辺にちらばっている。すべてビーチクリフの石灰岩で、垂直以上がほとんど。岩壁はかなりの高さがあるが、地上から1ピッチのフリーラインがたくさん設定されている場合が多い。その上に抜けるマルチピッチ・ルートが各岩壁に1、2本作られている。
易しいラインの多い123エリアやDiamond Cave NFは講習会で常にロープが垂れているが、他は自分たちで登れるクライマーがそれぞれ取り付いている。人気はライレイ・ウェスト南のThaiwand Wallやトンサイビーチ周辺で、人の集まる岩場はやはりおもしろい。
トンサイ・エリアのビーチ沿いは10〜15m前後の短いラインも多いが、それ以外は25〜30mある場合も多く、最低60mロープは必要になる。マルチピッチをやるなら、懸垂用にもう一本ないと下降できなくなることがある。支点は、石灰岩特有の柱状部にスリング(スレッド)が結ばれているか、ケミカルが埋め込まれていて安心感がある。ハンガーボルトと併設されている場所は、ケミカルを使用した方が良いだろう。ハンガーは潮風による腐食が懸念される。
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[グレード]
プラナンではフレンチ・グレードが使われている。相対すると関東圏のグレーディングと体感はほぼ同じだった。短いラインはトリッキーな核心があったり、長く持久力が必要なルートは厳しいムーブがあまりなかったりといった具合に、かなり的確なグレーディングがされている。
高グレードの難しいルートはそれほど多くなく、岩場も多彩なため、初級者でも充分楽しめるエリアとなっている。
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[クライミング文化]
日本でフリーの岩場の振る舞いを心得ていれば、プラナンでも同じように楽しめるだろう。現地タイ人で登っているのは皆インストラクターで、クライマーのほとんどは欧米人。登りのうまさに関係なく、同じクライミング仲間として触れ合う空気が満ちていて、高い壁を前にしても言葉の壁は高くない。
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