アウトバック

オーストラリア アウトバック ステュアート・ハイウェイ 1997/4/24-5/23

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アウトバック
ほとんどの人口が集まる東海岸から内陸へ入ってゆくと、たちまち人の住まない荒野となる。ひたすらに平たい赤の大地がどこまでも広がる。この辺り、270km間補給できる場所はない。
日射
始めは強い日射と暑さにやられた。補給地のない行程に備え、水のポリタンクをそのまま搭載して走る。乾きにぎりぎりまで耐える。休憩時、決して飲み干さぬよう抑えて抑えて水のボトルを傾ける。だが温くなった水は一向に喉を潤してはくれない。
Mt.アイザ
Mt.アイザの街に世界の都市への距離と方角を示した標が立っていた。東京まで6270km。同じだけの距離を自分の足を使って移動すれば、少しだけ世界の大きさが分かるようになる。地球の大きさが感じられるようになる。
風車
アウトバックの道路沿い、平原に背の高い風車が見えるとそこはレストエリアだ。風の力で地下水を汲み上げ、コンクリートのタンクにためている。この水に何度も助けられた。熱した体を冷し、それでメシも炊ける。
休憩
強烈な日射に曝され続ける旅、木の疎らな荒野では快適な日陰を得るのも難しい。止まると数百という蝿がたかりストレスとなる。蝿よけネットを被ってしのぐ。アウトバックをひとことで表現するなら「ワイルド」だ。
展開する景色
四方にはひたすら平原の景色が広がっているばかり。地平線を見ながらペダルを漕ぎ続けるストイックな旅。ただ、背に受ける風と同じスピードになった時、完全無風状態となり、風になれる瞬間がある。自然の一部になったようで爽快だ。
デビルズ・マーブル
巨石が不自然に転がる一帯が突然現れた。しかしこれらは全て自然の造形。一人で押せども動きはしない。老境の大陸に流れてきた途方もない時間が造り出した自然の力に、若年の人間ひとりが敵うはずもない。
オーミストン・ゴルジュ
太古、ここには現在のヒマラヤをも凌ぐ山脈があった。それは想像を絶する長い時間をかけ削られ、現在の姿になっているのだ。老年期になった大地には安定した落着きが感じられる。
動物の頭蓋
道端に何らかの動物の頭蓋骨があった。カンガルーのものか。光りに向かって飛びつく習性があるカンガルーは、夜、車のライトに飛びこんで事故を起こすようで、生きたものより死骸を道中多く見た。ハゲタカの群れる下には必ずカンガルーの死骸があった。
エアーズロック・リゾートのキャンプ
オーストラリア大陸の臍エアーズロックは世界の観光地だ。近くにはリゾートという観光拠点の町がある。青草の瑞々しいテントサイトは、赤く乾燥した大地を走ってくると、あまりにも目に眩しく涼しげだった。たくさんの人を見るのも久し振りだ。
エアーズロック
海から走り出してエアーズロックへ達する。アボリジニが神聖視するエアーズロックは、日没後、残照が当たるほんの短い間だけ赤く燃える。それが彼の岩が見せる最も美しい時だろう。

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