アウストラル街道

南米パタゴニア チリCamino Austral 〜アルゼンチン 2000/3/18-30

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コジャイケ郊外
アルゼンチン側から越境すると、チリ側は一転して起伏が豊かになる。周辺数百キロで唯一の大きな町コジャイケで自転車を直し、極端に対照的なチリ側パタゴニアの名ルート・アウストラル街道を北上。豊富な水の作り出す絶景が展開する。
道路距離標識
ほんの一部だけ舗装が進んでいた。北にある街までの距離が示してある。ペルー国境の街アリカへは3704km。途方も無い距離に感じられる。果たしてそこまで行きつけるだろうか。
アウストラル街道
国境を成すアンデスの東西では地形も天候も全く違う。パンパに吹く風はなく、深い緑の森と山、よく締まったダートロード。チャリダーとして旅をするにはこの上ない環境だった。しかし季節は雨季に入っており、400kmの街道旅の間、濡れたものが完全に乾くことはなかった。
ケウラット国立公園
途中には幾つもの滝が断崖となった山肌に見られる。幾つもの自然保護区がある。入り江、氷河、河川、山など複雑に入り組んだこの一帯の自然を唯一縦断できるのがアウストラル街道だ。
ケウラット国立公園
鬱蒼とした森にちょっとだけ視界が開けた先には氷河を抱く山があった。黒かった岩肌も時雨れ雲が覆った後には雪化粧し、徐々にはだけて垣間見せてゆく山の姿に心を奪われた。

街道には何本もの川が交差している。どれもが清流で水量も豊富だ。水の流れがこれほど多様な自然を創り上げたのだろう。水があるというだけで気分も豊かになり、ルート40では感じられなかった気持ちの余裕が生まれた。

森に拓かれた道の向こうに人影を見たが、次の瞬間にはどこへともなく消えた。そこに近付けど誰も見当たらない。辺りは森に覆われているばかり。あれは真か幻影か。

犬の優しい土地は人も優しい。敷地でのキャンプを許され濡れものを干していると、数匹の犬たちが訪ねてきた。作業の邪魔をすることもなく取り巻きくつろぎ、異邦人を受け入れてくれた。アンクー湾に面した靄る音の無い町チャイテンから、古びたフェリーで街道を離れた。
ナウエル・ウアピ湖
街灯の賑わう港町プエルト・モンへ上陸。三たびアンデスの国境を越え、アルゼンチン・パタゴニアの北端の街バリローチェへ向かう。山湖リゾートの雰囲気もあり、長きにわたるパタゴニアの旅を区切りくつろげる滞在となった。
紅葉
3月終わりには秋も深まってゆく。北上する季節の変化に追われるように、北へと走った。パタゴニアにははっきりとした境界はない。パタゴニアで過ごした時間が記憶として思い出された時、パタゴニアを抜けたんだと思った。

アウストラル街道の詳細情報(2000/3当時)あり。問い合わせはこちらへ。

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