4キリ4「日曜日の計画」 (早瀬)



*4主とキリルが大学の2年生
*シグルドが何かの先生で、ハーヴェイが何かの部活のトレーナー、そんな設定




講義と講義の間に挟む長い休み時間の合間や、午前中に大学にいる全ての用が終ってしまった時など。
何気なく立ち寄った図書室で、並んだ本をゆっくりと眺めながら何気なくただただ歩く。
そんな一見無意味とも取れる行動をルクスは好んだ。
何を探している訳でもない、眺めているだけ。
わざわざ図書室まで来て騒ぐ人間などいないので、この場所にある音と言えば指先が本をめくる音と、本を探す時に鳴る踵の音くらい。
酷く落ち着く空間。
時間を持て余している時には何気なく顔を出し、そして本を眺める。
その中でふと気になるものを見つければ、手に取って椅子に腰かけ本を開く。
周りにどう評価されようが、ルクスにとってはこの上なく有意義な時間の過ごし方だった。

今日も昼食の後に、同じように何気なく訪れた図書室。
そこでルクスは珍しい光景を目にする事となった。

本の並びを目を皿のようにしながら睨みつけている横顔がある。
いや、本人にしてみればきっと睨んでいるのではない、ただ真剣になりすぎて目が細まり眉間に皺が寄ってしまっているだけなのだろう。
背表紙の文字を一字一句逃すまいと目線どころか顔まで一緒に動かしながらそれを追っていく。
両手には分厚い本が既に数冊抱えられている状態。
ルクスは声をかけるべきかどうか少し迷った。
真剣そのものである相手に一言だけとはいえ声をかける事で邪魔になってしまう可能性はあるのだが、しかし何か探しているのならば手伝えるかもしれない。
特にする事もないのだ、相手の役に立てるのなら自分を使って欲しいとも思う。
さて、どうしようか。
その間わずか数秒。
数秒で己の取るべき行動を弾き出す。
ルクスが思考を巡らせるのを見計らったかのように相手の腕に抱えられていた本のバランスが崩れ危なげに揺れ始めたので、咄嗟に身体が相手に向かって動いた。

「キリル君、どうしたの? そんなに本抱えて」

名前を呼びながら横からスッと腕を伸ばして腕の中の揺れを押さえると、相手―――――キリルが本棚から顔をパッと上げ、代わりにルクスを視界に入れる。
しかし表情までは切り替えきれなかったのか、未だに残る厳しいそれにルクスは笑みを浮かべる事で落ち着かせようと試みた。

「ああ、ルクス。うん、実は課題が……」

近くで見ると真剣というよりは焦っているという表現がよく当てはまる。
理由を聞いてみれば明らかだ。
キリルの腕の負担を軽くする為に抱えられていた分厚い本を数冊受け取りながら、その内容を覗き込んだ。

「ああ、シグルド先生のね。あの人意外に厳しいから」
「そうなんだよねー……遅れたら単位に響くみたいな事も言ってたし……ああー、何でこんな大切な課題忘れてたんだろう……」

だからとりあえず本を片っ端からかき集めているんだと、盛大な溜息をつくキリルの横でルクスは何気なく本に視線を落とす。
確か課題の提出期限は明後日の月曜までだったと記憶している。
しかし残っているのはそれだけで、実際に自分が課題をこなしている姿はまるで記憶にない。
これはどういう事なのだろう。
そういえば同時期に出ていた比較的得意分野である課題の方を先に片付けて、そのままだったような気がする。

「………………キリル君、明日の予定は?」

思わぬところでとんでもない記憶を掘り起こしてしまったルクスは、それでも淡々とした声でキリルに問う。
先ほどの表情を見る限り、キリルもルクスよりはいくらかマシだろうが似たような状況である可能性が窮めて高い。
返ってきた答えは案の定「今日借りた本にひたすら埋もれる」というものだった。

「なら僕も一緒にいいかな? ふたり協力し合えば早く終わるかも」
「え? それってもしかしてルクスも……」

途端にきょとんとしたキリルにルクスは苦笑いで返す。
答えとしてはそれで十分だ。
周りはもうとっくに終わらせてしまっていて自分ひとりがギリギリな状態で、とにかく早く何とかしなければとそう思っていたのだろう。
それでは先ほどの表情も致し方ないと言える。
心持というのはとても大切で、ひとりじゃないというだけで余裕も生まれてくるというもの。
ルクスも似たような状態であると知ったキリルは、ホッと息を吐き出しながら表情を緩めた。

「勿論大歓迎だよ、明日一緒に頑張ろう! それじゃ……とりあえず手分けして本借りようか」

明日は日曜日。
この図書室に集合して課題に挑むとしても、肝心の本がなくなってしまっては意味がない。
他の人も使う事を考えると手当たり次第に借りていくのは少々気が引けるが、しかし何もふたり同じものを借りる訳ではない。
この図書館には最低数冊は同じ本の用意があるし、何よりこの課題の提出期限は明後日である。
こんなギリギリに慌てて本を漁りにくる人間などあまりいない。
単位に厳しい先生の課題だ。
何を置いても先に済ませようとするか、誰かと協力して短期間で終わらせるか。
提出期限ギリギリになってしまえば誰かに泣きついて写させてもらうか、潔く諦めて別のもので単位をカバーするか。
それでもルクスやキリルのように最後の最後まで粘る人間も確かにいるが、本をめくるよりパソコンを使った方がすぐに必要なものが出てくるので遥かに効率はいい。
だから本を漁りにくる人間は圧倒的に少ないのだ。
それが分かっているのにふたりがパソコンを使わないのは、この課題を出した教師がパソコンよりも本を使う事を推していたから。
パソコンで検索するのは簡単だが、しかし苦労して調べればその分だけ確実に頭には残る。
ギリギリで時間に余裕などないのにそれを律義に実行しようというのだ。

ひとりならば本の山に埋もれたまま完成を見ず提出期限を過ぎていたかもしれない。
ルクスに至っては課題の存在すら忘れたまま過ぎ去っていた。
しかしふたりならば、作業スピードも2倍となる。

何気なく訪れた図書室で偶然拾い上げた奇跡。
互いに相手に、そしてこの奇跡に感謝せずにはいられなかった。





ハーシグ「携帯電話」 (風望)






 机の隅に放っておいた携帯電話が光ったのが目に入った。
 次に机の上でカタカタと音を立てて震えたと思えば、すぐにぴたりと止まった。
 それを視界の片隅で何となく見ていたシグルドは、メールか、と思って時計を見る。
 示されているのはよく目にする時間。
 送られてきた内容を確認しなくても、今のが誰からのメールでどんな内容なのか、今の時間で何となく分かり、携帯はそのまま握っていたペンを再び動かす。
 少しすれば書いていた文章は終わる。
 思い出すように視線を紙から逸らすが、他に書くべき事柄は思い浮かばない。
 ペンを置いて机の上を見てみるが、他にやらなければいけない事も見当たらない。
 確認を終えて、これで終わりか、と一息つく。
 そうして漸く放ったままの携帯を手に取った。

『今終わった』

 タイトルは無題、内容はそれだけの短いメール。
 それがハーヴェイからだなんて、送信者を見なくても分かる。
 毎日のように見る気がするメールは、返事を送らないまま閉じられた。
 今ハーヴェイがするべきことが終わった。
 だから、一緒に帰ろう、か、どこかに行こう、か。
 どちらにしろシグルドの仕事の現状を確認して終わっているのなら合流しようというメール。
 これに返事を出すのは、それが出来ない時だけ。
 毎回律義に返事を出すのが面倒で、気付けば何も送らない事が了承の返事になった。
 今回もこのまま何もしなければ勝手に理解してくれるだろう。
 だから携帯を閉じてそのまま鞄の中にしまおうとしたが。
 その前に、また携帯が手の中でカタカタと震えだした。
 またメールだろうか、と思えば今度は長く、表示されている文字を見れば着信の2文字。
 そうしてハーヴェイの名前。
 珍しい、と思いながらその電話を受け取る。
「どうした?」
 相手が分かっているので電話を受けるなりそういえば、よう、と無駄に明るい声が聞こえてきた。
 よく聞く、本当に毎日のように聞く、聞きなれた声。
『いや、別にどうしたってわけでもないんだけど。』
 ハーヴェイの言葉を聞きながら、何か違和感を感じてシグルドは少し首を傾げた。
 声はいつもと特に変わりはない。
 けれど聞こえ方が何かおかしい。
 耳にぴたりとくっついている携帯からと同時に、どこか別の場所から同じ声が聞こえてくるような感じだ。
 そう思って、シグルドは椅子から立ち上がり、扉を開く。
 すぐに横を見れば、壁に寄りかかって同じように携帯を耳に当てているハーヴェイの姿があった。
「よう。」
 携帯からと直接と、聞こえてきた声と目の前でひらひらと手を振るハーヴェイの姿にシグルドはため息をついた。
「何をしているんだ、お前は。」
「別に何ってわけでもないんだけど。」
 先程と同じ言葉を携帯を繋げたままハーヴェイが言う。
 また機会越しと直接に聞こえてきて不思議な感じになり、シグルドは携帯を切る。
 相手がいなくなっては通話を続けていても仕方なくてハーヴェイも携帯を閉まった。
「ここまで歩いてきてもお前と出くわさなかったから、どこにいるのかと思って。」
「中にいると分かっていたくせに何を言う。」
「まぁなー。」
 けらけらと笑うハーヴェイが、それで、と言ってシグルドを見る。
「帰れるのか?」
 聞いてくるハーヴェイにまたシグルドはため息をついた。
 答えなんて聞かなくても分かっているだろう。
 それでも聞いてくる片割れに、何の気まぐれなんだかと思いながら部屋の中に戻る。
「分かっているだろうが。」
「おう。それじゃあ今日はどこかよろうぜ。」
 お前は学生か。
 そんな事を思わせる台詞に、もうため息は出なくて。
 代わりにシグルドは背中を向けたままに小さく笑った。
「片付けるから待っていろ。」
 言葉ばかりは素っ気無く答えて、もう必要はなくなった携帯を今度こそ鞄の中に放り込んだ。





ハーシグ「飲み会」 (早瀬)






資料を纏めていたら校舎を出るのが遅くなった。
既に月が高く昇る真っ暗な空を見上げながらシグルドが小さく息を吐き出せば、それは白い色を纏い空中へと舞い、そして消えていく。
随分と冷えたものだと羽織ったコートの襟を正しながら足早に校門を目指していくと、そこにひとつの影がある事に気がついた。
弱くなった照明の光におぼろげに浮かぶ影。
座り込んでいるのだろうか、黒が下の方に小さく固まっている。
こんな寒空の下、誰が好きこのんで外にいたいと思うだろうか。
誰かを待っているにしても何もこんな所で、随分物好きな人間だとその横を何食わぬ顔で通り過ぎようとする。
関わらないに越した事ないと判断したからだ。

「よう」

しかし近付くにつれある違和感。
視線すらも向けないようにしていたのに、無意識に影を気にしている己を知る。
不思議に思いながらも歩みを止める事なく真っ直ぐ前を見ていると、ふいにかけられたその短い一言、その声。
それにようやく違和感の正体を知り、シグルドの眉がピクッと反応した。
歩くペースを徐々に落とすと、影がゆっくりと起き上がり軽く片手をあげながら挨拶をしてくる。

「こんな所で何をやってるんだ、ハーヴェイ……」
「 いや、そろそろ終わる頃だと思って迎えに来た」

爪先の向きを少しだけ変え、物好きなその相手の傍まで寄ると分厚い手袋にホッカイロを閉じ込め、鼻の頭を赤く染めたハーヴェイがニカッと笑みを向けてくる。
傍まで寄ると分かる、異様に染まった頬と独特な匂いにシグルドはあからさまに顔を顰めた。

「……お前、もしかしなくても酔ってるな?」
「歩きで来たから安心しろ。それに言うほど入れちゃいねーよ。お前もこれから行くんだろう? 新年会。だから迎えに来た」
「場所くらい知っている。それにいつからここにいたかは知らないが、俺の仕事が長引いたらどうするつもりだったんだ」
「そん時はそん時。引き返すのもアホ臭いし大人しく待ってるさ」

それに酔い冷ましに丁度いいからと、そんなみえみえの台詞にシグルドは2、3回瞬きを繰り返した後大きな溜息をつく。
余計な言葉とはまさにこの事。
この言葉がなければ、ただ気まぐれに、本当に酔い冷ましのついでに迎えに来たとも思えたのに。
一度ではおさまりきらなくて、再度白い息が宙を舞う。
それを見たハーヴェイが間髪入れず疑問の言葉と共に顔を覗き込んできたので、シグルドは「何でもない」と相手の頭を軽く小突きながら歩き始める。
一瞬だけ触れた髪は想像以上に冷たくて、この場所にいたのがたかが数分でない事を物語っていた。
メールなり電話なりすればいいのに、それをしないのは仕事の邪魔にならないようにというハーヴェイなりの気遣いである。
普段は何に関しても無遠慮なのに、変なところで気を回してくる。
こんなつまらない気遣いで風邪でも引いたら笑い話にもならないというのに。

見上げれば真っ暗な色の中に点々と交じる小さな光。
相変わらずの白い息。
隣を歩くハーヴェイに気付かれないよう小さく苦笑いを浮かべたシグルドは、今日は一杯くらい奢ってやるのも悪くないかもしれないと考える。
勿論相手に知られれば調子に乗るだけなので、あくまでも気付かれないようさり気なく。





ハーシグ「お昼休み」 (風望)






 シグルドの姿をハーヴェイが見つけたのは、昼休みの時間になってから少し経った頃だった。
 ちょうど今からシグルドの所へと向かうつもりだったからちょうどいい、と声をかけようとしたが。
 自分の居場所を示すように手を上げようとして、やめた。
 理由は、シグルドが1人ではなかったから。
 授業が終わって戻る途中だったのだろう、色々と物を抱えたままのシグルドの周りに、女生徒が3人。
 シグルドを囲んで随分と楽しそうにしている。
 少し離れているので何を話しているのかは分からないが、それでもシグルドが困った顔をしているのだけは分かった。
 時間が時間なので、昼食にでも誘われているのだろうか。
 可愛らしい女生徒に囲まれて困っているシグルドの姿に、ハーヴェイは出来るだけ声を殺して笑った。
 それが聞こえたなんてことはないだろうが、ふとシグルドが視線をハーヴェイの方へと向けて、目が合った。
 何気なくこちらを見ただけのようだ。
 見た先にハーヴェイがいて少し驚いた顔をする。
 そうして次に助けを求めるような視線を向けられたが、ハーヴェイは先程中途半端に上げて下げただけだった手を、今度こそ上げてひらひらと振った。
 あからさまに面白い見世物を見ているような表情で。
 頑張れ。
 口の動きだけで告げれば、少し眉を顰めたので伝わったのだろう。
 けれど苛立ちをぶつけている暇もなく、1人の女生徒に服を引っ張られて、慌てて笑顔を取り繕う。
 そうして、何を言っているかは分からないが、賑やかな声で話しかけてくる女生徒達を、シグルドは何とかやんわりとやり過ごそうとして。
 5分くらいは経ったろうか。
 シグルド先生またね、とそう言った声が聞こえた。
 女生徒達が手を振って去っていくのに、シグルドも笑顔で手を振って見送った。
 けれどその姿が見えなくなり、ハーヴェイの方へと歩み寄ってくる頃には表情が疲れきっていた。
 それを見てしまえば、ハーヴェイが笑をこらえるのは、もう無理だった。
「笑うな。」
「いやぁ、悪気はないんだが…、にしても、随分と好かれているようで。」
「からかうな…。」
「何言ってんだ。3人ともそれなりだったじゃないか。」
「生徒だぞ。」
「オレわりと関係ねぇーし。」
「まったく…。」
 さっきまでの愛想笑が嘘のように、気持ちのままに不機嫌そうな顔をするのがおかしくて、ハーヴェイはまた笑った。
 咎めるように向けられる視線は気にしない。
 けれど確認するようにじっとシグルドを見る。
 この学校の教師の中では若い方で、見目はいい、と少なくともハーヴェイは思う。
 ああやって好かれるのも仕方のないことだろう。
「………、何だ。」
「いや、自分が認めたものが周りにも認められるのって、悪い気はしないなーってさ。」
「は?」
「それより、さっきのは何の用だったんだ?」
「別に…、昼食をどうかと言われ、用があるから今回は遠慮すると、それだけだ。」
「そんで、その用がオレと一緒に昼食でいいわけか?」
「………。」
 シグルドは酷く微妙そうな顔をした。
 それはそうだろう、別に約束も何もしていないのだから、断る理由にハーヴェイは使えない。
 どうしても理由にするというなら、いつものように一緒がいい、というシグルドなら頭を抱えなければいけない言い訳になる。
 顔を顰めるシグルドと、それならそれで別にオレは面白いと笑みを浮かべているハーヴェイと。
 傍から見れば随分と変な雰囲気だ。
 それを壊したのは、暫く経った後に後ろから聞こえてきた2人を呼ぶ声。
「あれ、シグルド先生。それにハーヴェイさんも。」
「ん?ああ、キリル。ルクスも相変わらず一緒か。」
「こんにちは。」
「何しているんですか?」
「ああ、ちょっと面白いことになっててさ。」
「面白い、ですか?」
 どう考えてもそんな雰囲気ではないのだけれど、とキリルが首を傾げる。
 ルクスの方は何の表情の変化も見えないけれど、きっと似たような事を考えているだろう、じっと2人を見ている。
 そんな2人を見て、ハーヴェイが何かを思いついたように、ああ、と言った。
「キリル、お前これから何か用があるか?」
「え…?えと、ルクスとご飯食べて、1つ分授業がなくて時間が空くから、時間潰そうかなって…。」
「それならちょうどいい、シグルドも暇だから分からないとこ見てもらえ。」
「え?」
「これで用事が出来たな。よし、まずはその前に飯だ。ほら、行くぞ。」
「え…、えぇ…!?」
 話の流れについていけずに困惑するばかりのキリルをハーヴェイがずるずると引き摺っていく。
 それを無表情に、実際は驚いて、見ているばかりのルクスはシグルドに視線を向ける。
「すみません…。」
「別に…、キリル君も見てもらったほうがいい場所はありますから。ただ、2人の間に割って入っては邪魔じゃないかと。」
「………、え?」
 淡々としたルクスの言葉にシグルドが驚いたが。
 遠くから助けを求めるようにキリルがルクスを呼んだ。
 その声にルクスが走っていってしまったので、言葉の真意を確かめる事は出来なかった。
 でも何となく、おそらくはルクスの持つ雰囲気からだろう、2人の間柄を理解しての言葉と思って。
「………、もう少し自粛が必要なのだろうか…。」
 動こうとしないシグルドを急かすように呼ぶハーヴェイの声を聞きながら、ため息交じりにシグルドはそう呟いた。





 






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