シグルドに「とりあえずお茶にでも」 (早瀬)






「そんな所にいつまでも立っていると風邪を引きますよ、ルクス様」
「シグルド、いつからそこに」
「今のセリフを口に出来るくらい前から、ですかね」
「嘘、人の気配は感じなかった」
「……先ほど通りかかった時に見た後姿が今も変わらずそこにあったので、つい声をかけてしまいました。お邪魔してしまったのなら謝ります」
「そんな事ないよ」
「そうですか」
「…………」
「…………」
「ごめん、気を使わせてるね」
「いえ。ただもう日も落ちて風も冷たくなってきましたので」
「うん、分かってる」
「夕食ももうすぐだと思いますし、それに……」
「?」
「あまり長く貴方の姿が見えないと、酷く心配される方がいらっしゃいますから」
「……そうかな……」
「ルクス様?」
「そう思う?」
「…………」
「…………」
「………………ルクス様」
「ん?」
「夕食前ですが、とりあえずお茶にでもしませんか? 身体も温まりますし、ご馳走しますよ」
「……」
「こうしてただ冷たい風に身体を晒していても、何もいい事はありません」
「…………そうだね。頂こうかな」
「ええ、そうして下さい」





ルクスに「困った」 (風望)






「よう、ルクス。」
「ハーヴェイ。」
「1人なのか?」
「そだけど。」
「ふーん。で、1人で何考え込んでんだ?」
「別に。」
「嘘付け。」
「………。」
「………。」
「………、ただ、少し困っていた。」
「何にだ?」
「気付くと避けようとしている、聞いても判断が鈍る、その事に。」
「いつも思うけどさ、お前は通常会話の時もきっちり全部組み立てて話せ。せめて何を避けて何を聞いてんだかくらい言えっての。」
「ハーヴェイに言われると微妙。」
「うるせぇ、分からなきゃ話の聞きようもないんだ、さっさと考えろ。」
「………、さっき、キリル君と話をしていた。」
「ああ。」
「どのくらいで終わるか、終わった後どうなるか、そんな話だった。」
「………、ああ、成る程。」
「聞いて答えたいのに、上手くいかない。それが何故か、よく分からない。」
「嘘付け、分かってくるくせによ。」
「………。」
「でも、いいんじゃねぇか。たまにはお前も、何かに執着して、少しくらい困れ。今までが今までだったんだ、わけ分からなくなるくらいで多分ちょうどいいんじゃないか?」
「………、本当、困ったな…。」





キリルに「雨がやんだら出かけましょう」 (早瀬)






「あ、雨だ。いつの間に……ルクス、気付いた?」
「いや、知らなかった。風もないしそんなに強くもない。中にいるとまず気付かないだろうね」
「そうだね、波も立ってないし。折角港に着いたばかりなのに残念だね」
「そうだね……」
「止むかな」
「空が明るいから、そのうち止むよ」
「あ、本当だ。雨降ってるのに明るい」
「通り雨だね」
「…………」
「…………」
「何か静かだね」
「うん」
「…………」
「…………」
「ねえ、ルクス」
「ん?」
「雨が止んだらさ、ちょっとだけ出かけようよ。散歩とかきっと気持ちいいよ」
「どこに?」
「どこでもいいよ、表ならどこでも。散歩ってそんなものだよ」
「そんなもの?」
「そんなもの。雨が空気中のいらないもの全部流してくれた後だから深呼吸もし放題」
「そうか、それは素敵だ」
「でしょ」
「なら早速誰かに伝言してから出かける準備始めようか。この降りだと止むのも時間の問題だよ」
「賛成」





キリルに「怒りますよ」 (風望)






「………、ねぇ、ルクス。」
「なに?」
「その…、寝ないの?」
「うん、もう少し。」
「………、もしかして、ボクが邪魔だったりする?」
「何で?」
「えっと…、いきなり泊まりに着たから、落ち着かなくてルクスが寝れないとかかなーって。」
「そんな事はない。来てくれて嬉しい。」
「そう?」
「うん。」
「………。」
「………、ああ。もしかして、起きている気配が邪魔?」
「あ、違う、そうじゃないんだけど…。」
「じゃあ先に寝ていてよ。ボクは遅くなるし。」
「………。」
「………。」
「………、ルクス。」
「なに?邪魔なら部屋から出るよ?」
「怒るよ。」
「………、え?」
「………、あ。」
「………。」
「そ、その、ごめん!ただ、ボクがこのまま寝たらルクスはあんまり寝ないんじゃないかって心配になって…、ごめん。」
「ううん…、ボクの方こそ心配かけて、ごめん。」
「えと、あの…。」
「じゃあ寝ようか。」
「………、うん。」





 






NOVEL