田 沼 家

若大将雄一、妹の照子、父親の久太郎、そして、りきおばあちゃんのユーモア溢れる会話をお楽しみください。
 キャプテンになった雄一は部員を「田能久」に招待、その費用は、おばあちゃんが「まかせなさい!」と言ってくれたのですが・・・。
久)おばあちゃん、売り上げと現金が合わないだけど、今日の二階の分はちゃんとお金もらったんですよね。
りき)もらうけど、入金はまだだよ。
久)ああ、そうですか。え〜っ!?
りき)会社の宴会とおんなじださ、大学だってお勘定は月末って決まってるんだよ。
息子より警察のことを信用しようとする久太郎を叱るりき。
久)ほんとですか、おばあちゃん。
りき)そうさ、ご苦労さんだったね、茶をお上がり。ケーキがあるけど食べるかい?
久)ええ、いただきますけどね。で、この宴会は大学の誰が責任者なんですか?
りき)まあまあいいじゃないか、大学が夜逃げをするわけがないだろう。そこへ電話が
久)はいはい、田能久です。えっ、警察?なんですって、いやあ雄一はうちの息子ですが。はい、はい。
りき)どうしたんだい?
久)どうもこうもありませんよ、雄一のやつ自動車事故を起こしやがった。
りき)自動車に轢かれたのかい?
久)もっと悪いいんですよ、酔っ払い運転して、信号無視で、衝突事故起こして、相手に怪我させたらしい。
りき)そりゃあ、なにかの間違いだろう。雄一がそんなことするはずがないよう。
久)だって警察が言ってきたんです。警察が!
りき)お前は自分の息子より警察の言う事のほうを信じるのかい。なんて情けない。だから商業学校出はねえ!
久)商業学校は、なにも関係ありません!
部屋で寝ている雄一。そこへ、久太郎が・・・。
久)雄一、雄一、雄一はいないのか。雄一!
りき)静かにおしよ、アメラグのキャプテンは、やたらと忙しいんだから。ゆっくり寝かしてあげないとだめじゃないか。
久)そんなこと言ってる場合じゃありませんよ。
久)こら、雄一、見ろ!
なんだよ、飯か?とベッド布団から起きだす雄一。
久)目が覚めりゃあ食う気でいやがる、それより、これどうするんだ。
なんだい?
久)病院の請求書だよ。お前一切の責任を持つなんて大きなこと言ったそうだな。
これならもらっておくよ。と寝なおす雄一。そこへおばあちゃんもきて
りき)こんなもんがきたよ。
久)なんですか、今度は自動車の修理代だ。えっ、5万7千円!?
大丈夫これも預かっておくよ。と雄一。
久)どうやって払うんだ!雄一!
ベッドのリクライニングを起こす久太郎。
お父さんには迷惑かけないよ。
久)なに、えらそうなこと言ってお前。
そこへ照子が
照)こんなものが。
久)ちょっと見せなさい、罰金の通知書だ。
目じゃない、目じゃない。
テレビのエレキ合戦を見ていた、久太郎とりきと照子。
久)こんなとこへ出てくる娘や息子を持った親の顔が見てみたいよ。
りき)いいじゃないか、若いうちだけなんだから。
照)あら、兄さんよ!
久)どこの?えっ!?まったく親不孝面天下にさらしやがって!
りき)でも、雄一がどうして大将にならないのかねえ。
照)石山さんが楽器を提供してるからリーダーなんですって。
りき)雄一も言ってくれりゃあ、楽器の一つも揃えてやったのにねえ、久太郎。
久)冗談じゃありませんよ!
ナイトクラブでの乱闘を伝える新聞(写真左)
ついに勘当を言い渡す久太郎(写真右)
ナイトクラブで乱闘騒ぎを起こし、新聞沙汰になった雄一に対し、久太郎の怒りが爆発。
久)勘当だ!勘当だ!
りき)勘当なんて、いくらなんでも惨いじゃないか。
久)私が融資を頼んでいる銀行の頭取のご子息を殴ったんですよ。勘当でもしなくちゃ先方に申し訳がたちません。
りき)それじゃあ、お前は自分の息子より銀行のお金の方が大事だと言うのかい。なんて情けない。だからお前は・・・。
久)商業学校は関係ありません!
おばあちゃん、もういいよ。俺は弁解が嫌いなんだ。勘当なら勘当でいいよ。この家を出ていけばいいんだろ。
照)兄さん、学校から手紙よ。
久)見せなさい。
どうせ学校の名誉を傷つけたとかなんとかで停学か退学のどっちかだ。
久)当たった。一ヶ月の停学だ。
ねっ。僕の言ったとおりだろ。
久)そんなことを威張るやつがあるか。荷物をまとめてさっさと出ていけ!
わかったよ。
りき)雄一!
照子からの電報で、「田能久」が破産したことを知った雄一は、東京へ戻る。
だけどなんだって破産なんかしたんだよ。
りき)前から商売が思わしくなかったんだけどね、そこへきてこの不景気だろ。会社関係の貸し倒れが多くてねえ。
お店をビルにする計画はどうしたんだい?
りき)銀行がお金を貸してくれなきゃあどうしようもないよ。
だけど、なかなか住み心地の良さそうな部屋じゃないか
りき)何が住みいいもんか!何しろ11階の天辺だろ、私はもう生きた心地がしないんだよお。雄一、お前の好きな肉まんだよ。
今朝から何も食ってないんだ。
りき)雄一の胃袋がよくもったねえ、ここでお食べ。
肉まんにかぶりつく雄一。
オヤジや照子は?
りき)久太郎は中央市場の経理に入ってサラリーマンだし、照子は洋裁学校をやめて勤めに出て助けてくれてるんだよ。
久)ただいま!お客様かい?
お父さん、僕だよ。
久)雄一!?お前か
大変だったね。お父さん。
久)なんだと!?お前どういうつもりでここへやってきたんだ!
りき)なんだねえ、久太郎。せっかく雄一が心配して来てくれたのに!?
久)そんなことでごまかせるもんかい、今の家にはお前のような極道息子を養う余裕はないんだからな。すぐ出てってくれ!
りき)雄一、出てくんなら、今度こそあたしを連れてっておくれ!あたしはまだこんなコンクリの牢屋に入れられるような悪いことをした覚えはないんだからね!
久)牢屋ですって!これでも家賃払ってるんですからね
りき)あたしゃ、この三味線とおじいさんの位牌さえあれば橋の下で寝たって結構だよ。さあ!
おばあちゃん待ってよ。僕だって「田能久」の家に生まれた息子だ!きっと店を再建して迎えに来るから、それまで辛抱しててくれよ。
照)ただいま!兄さん!どうしたの?
照子、電報ありがとう。
照)おばあちゃんが、あんまりションボリしてるんで。お父さんに黙って打っちゃった。
照子も大変だろうけど、しばらく家の方を頼むよ。
照)兄さんどうするの?ねえ、兄さん!
家を出て行く雄一。
田沼家はいったいどうなるのか?
この大ピンチをレコードの売上で救った雄一。
再建した「田能久」でのパーティで、久太郎とガッチリ握手。
メデタシ、メデタシでした。
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おばあちゃんの趣味

今回のおばあちゃんの趣味は「三味線」でした。雄一に一節唸ってみせます。

どうしたんだい、今頃そんなもの持ち出したりして
りき)いやね、今日は宴会のお客さんがあるから、場合によっちゃあサービスしようと思ってね。

おばあちゃんの三味線じゃあ、どうかなあ。せっかくのすき焼きが不味くなっちゃうんじゃないかなあ。
りき)とんでもない!あたしゃこれでもねえ、お客に来た先代左団次から筋がいいってほめられたことがあるんだよ。
♪つね〜に!♪
雄一は退散してしまいます。
アメラグ部の宴会でも、得意の三味線を披露してご満悦のおばあちゃんでした。

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10年01月01日新設