「Music 私の出会ったこの音楽

 (ゆうゆう 2012年2月号)

「ゆうゆう」に掲載された加山さんの記事です。
”栗っ子”さんから情報いただきました。
ありがとうございました。

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私の出会ったこの音楽
加山雄三さん 
坂本冬美 「坂本冬美2008全曲集」
夜のひとときに聴く習慣にまでなった
「これぞ演歌の真髄!」と思う一枚です
「誰かがCDをプレゼントしてくれてピン!とくることもあれば、たまたま耳にして印象に残ったり、自分で探してようやっと見つけたり・・・。音楽とはいろんな出会いがあるけれど、坂本冬美さんの楽曲との出会いは、僕がチャリティ目的で主催していた「湯沢フィールド音楽祭」がきっかけ。

 彼女は演歌歌手だから、いつもお客様の前ではしっとりと和服を着こなしているでしょ。でもステージにあがる前の普段着では、ジーパンをはいている。その姿自体もカッコいいし、そのギャップに最初ヤラレちゃったんだ(笑)。そして、2007年のこの野外ライブのとき、彼女とは「浪花恋しぐれ」をデュエットしたんだけれど、このときの彼女の演出は心憎かった!僕は和服を持っていないけれど、きちんと僕の分も用意してくれて二人揃って和服姿で歌ったんだ。その日は、あいにく雨が降っていたけれど、それに合わせて番傘まで用意してくれて、それを見たお客様は大盛り上がり!そんなことがあって、僕は”坂本冬美”という人物にすごく興味を持って、彼女の歌をきちんと全部聴いてみようと思ったんだよね。そのとき手にしたアルバムの一枚がこの「坂本冬美2008全曲集」。下積みで苦労して訓練を積まなければ、これほどうまくは歌えないはずだと確信するぐらい、彼女は本当に歌がうまい。そして聴けば聴くほど、彼女の歌というのは、日本の演歌の真髄だとしみじみ思わされる。それまで演歌を日常的に聴くことはなかったけれど、それ以来、夜寝る前にこのアルバムを掛け流すことが僕の習慣のひとつに加わったんだ。

 装いのギャップに興味を持ち、さらび演出の発想に感心して、CDを聴いて歌唱に感動する・・・。こうやって、ふとした出会いが面白い方へどんどん転がっていく。人との出会いも音楽との出会いも何がきっかけになるかわからないし、それがどう広がって行くかもわからない。だからこそ出会いって面白くてワクワクするよな。

かやま・ゆうぞう●1937年県生まれ。慶應義塾大学卒業後、60年、映画「男対男」で俳優デビュー。翌年、「大学の若大将」が公開、当たり役に。同年「夜の太陽」で歌手デビューを果たす。65年に発売された「君といつまでも」は350大ヒットに。加山雄三の原点とされる湘南サウンドに焦点を当てた今回のコンサートツアーの演奏曲目すべてを新録し収めたアルバム「若大将・湘南FOREVER」が1月11日に発売される。 「坂本冬美2008全曲集」/EMIミュージックジャパン 3000円。独特のこぶしをきかせる坂本冬美の2008版全曲集。前全集以降に発表された2枚のシングル「秋まつり、お月さま」「雪国〜駒子 その愛〜」をはじめ、「祝い酒」「夜桜お七」などの代表曲をたっぷり16曲収録。

2012年06月14日新設