「子どもと過ごす 宝物の時間」

 (家庭画報 2011年5月号)

全員で作ったランチを囲んで。右が次男の輝明くん、左が長男の悠貴くん。
大鉢と皿は加山さんの作品です。
「全身全霊をかけて向き合えば
  親子の絆は揺るがない」
加山雄三さん
「若大将」の名で親しまれている国民的俳優で歌手の加山雄三さん。デビュー50周年の節目を迎えた今も、そのエネルギーに満ち溢れた姿は以前と変わりません。ご自身の歌同様、「愛」「絆」を一番に考える加山さんは、家庭で過ごす時間を常に大切にしてきました。
一二年間、欠かさず続けた「親子一緒の朝食」
「子どもと一緒に何かをするときには、楽しむだけでなく、人間同士の絆、愛を育むことを心がけてきました」と語る加山さんの行動は、仕事が多忙を極めていた時期にも変わりませんでした。
「愛情、情熱、やる気さえあればできること。どんなに忙しくても、全身全霊をかけて向き合っていれば、親子の関係がおかしくなることはありません。」
 その強い信念のもと、加山さんが昔、実行したことの一つが、「必ずこどもと一緒に朝食をとる」ということでした。「四人の子どもたちにとって、小学生時代は特に大事な時期だと思ったので、いちばん上が小学校へ入学した年からいちばん下が小学校を卒業するまで、十二年間、毎朝一緒に食事をすると決め、完璧にやり遂げました」
 長女の真悠子さんは、そのことを「なかなかできることじゃないと、大人になって気づきました。とても感謝しています」と話します。
 食べることを大事にする加山さんは、料理の腕もプロ顔まけ。きっかけは愛艇「光進丸」の完成でした。
「海に出たら、自炊が基本。毎日同じ食事じゃ飽きるので、雑誌の料理カードを見ながら、次々作ってみたんです。そのうち、自分なりに味や材料を工夫するようになって、料理がおもしろくなりました」
 今や料理暦は五一年、レパートリーは四〇〇を超えるといい、船上で友人たちにフルコースのディナーをふるまうことも。そして、加山さん自慢のレシピは、真悠子さんへ、さらには二人の兄弟へ、着実に受け継がれています。
褒められたいという思いが料理の上達につながりました。
「父は私たち子どもにいろいろなことを体験するチャンスをくれましたが、決して何かを押しつけることはありませんでした。好きなことをする私たちを褒めて、伸ばしてくれたんです。料理も、父においしいねといわれるのが楽しみで、熱心に作るようになりました」
 加山さんは、娘の料理を一度もけなしたことがないといいます。あまりおいしくないと思ったときは、「こうするといいかもな」とだけいい、おいしかったら思い切り褒める。その結果、真悠子さんの料理の腕はめきめき上達し、サロンで教えるまでになりました。
「父がしてくれたように、私も子どもたちのよいところを褒めて、伸ばしてやりたいと思っています。将来、二人が、私たちと過ごした時間を楽しく思い出してくれたら嬉しいですね」
「父のように、子どもは褒めて
 才能を伸ばしてやりたい」
梓 真悠子さん

左は全員で調理中。
右はタピオカの入ったボウルに牛乳を注ぐ輝明くん。
どんな作業も張り切って取り組みます。

上段左:「鯛サラダ中華風」「獲れたて鯛をさばいて作るとうまいんだ」と海の男、加山さん。

上段中:タピオカミルクに入れるメロンをスプーンでくり抜く作業に奮闘中。力が要ります。

上段右:加山さん「特製春巻き」は豚ひき肉と玉ねぎ、缶詰のたらばがにと帆立の入った豪華版。しょっつるが隠し味の特性だれでいただきます。

下段左:悠貴くん、サラダ用に揚げたワンタンの皮をつまみぐい。これも料理を手伝う楽しみの一つ。

下段中:春巻き作りのハイライト、具を皮で包みます。「見本どおりに作れよ」と加山さんにハッパをかけられ、兄弟の表情は真剣そのもの。

下段右:デザートのタピオカミルク。がんばってくり抜いたメロンが彩りを添えておいしそう。

11年04月11日新設