「エンタジスタ」 entasista! |
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THE INTERVIEW 加山雄三 (2008年9月号) |
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プロフィール 1937年神奈川県生まれ。 |
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ザ・ワイルドワンズと行っているツアーやそれに伴って9月10日に発売されたニューアルバムについて、そして古希を過ぎているとは到底思えないそのエネルギーの基について加山雄三氏に伺ってきた。 司会)ワイルドワンズとのツアーは初めてだそうですね。 そうだね。ワンズとはこれまでにもNHKの番組等で一緒にやったりしたことはあったけど、ツアーなんてまったく初めてだよ。やっぱり高校からの付き合いだし、気心しれてるからねぇ。たまに言いたい事を言い過ぎて顰蹙かう事もあるくらい(笑)。でも観る方もどこか安心するんじゃないかな。みんな湘南で生まれ育って、潮風を受けながらそれぞれがいろんな曲を創ってきた。影響を受けたのはエルビス・プレスリーで、彼らはグループ・サウンズに向かい、僕は「若大将」に。そういうものが総称されて「湘南サウンド」と言われるようになったわけでね。おかげさまでこれまでのツアーは全部ソールドアウトです。去年からの積み重ねもあるけれども、これは間違いなくワンズの力も大きいと思うね。 司会)お客さんの反応はいかがですか。 いいよ。すごくいいよ。もう始まる前からかなり盛り上がっているし、スタンディングオベーションになったケースが何回もある。50歳前後になったらなかなかみんな立ってくれないよ(笑)。それをね、みんな「ワァー」とやってくれて感謝の気持ちを表してくれるっていうのは、それはもう、こっちもすごく感謝したいし、心の底から嬉しいんだ。 司会)今回のアルバムはツアーのプログラム順に収録されたコンピレーションアルバムだそうですね。 うん。コンサートを観たお客さんのなかでも「この曲久しぶりに聴いたけどやっぱりいいなぁ」と思う曲がたくさんあると思うんだ。だったら全部ひとつにまとめてアルバムに入れたらどうかと思って。曲の年代的なことを考えても、まとまったものの方がいいと思うし。 司会)アルバムのなかで特に思い入れのある曲はありますか。 もちろんすべてだけど、なかでも「TREAT ME NICE」かな。アルバムを聴いた人はこの曲だけ雰囲気が違うから驚くかもしれないけど、この曲はね、僕が大学2年の時に自分でエルビス・プレスリーの曲をピアノで歌って録音したものなんだ。その当時、録音に使っているのはテープじゃなくて、その前に存在したワイアーレコーダーという機材なんだけど。そもそもは加山ミュージアムに置いてあった僕の昔の音源をNHKの特番で再現してみたら、これが録音されていたというわけ。これはもう驚いたよ。50年以上も前の音がそのまま再現されてるんだから。ツアーでも流れるし、すごく嬉しいね。 司会)ワイルドワンズとの新曲「風を見たいか」も収録されていますね。 一昨年くらいに来場客のリクエストのなかから上位20曲を毎回唄う『オールリクエストコンサートツアー』をやったんだけど、ほとんどの場所でトップになった曲がワイルドワンズがコーラスをやった「旅人よ」なんだ。不思議にも「君といつまでも」じゃないんだね。それを考えてもワンズとの新曲を入れるのもいいんじゃないかと思ってね。曲調としてはビーチボーイズやビートルズを意識しながら創ったんだけど、まぁ今の僕らに彼らのような美しいコーラスは難しくて(笑)。でもとにかく僕は「いいメロディを創りたい」という気持ちで常にやっているから。 司会)なるほど。 音楽は自分のなかでかなり大きい領域を占めてるし、もともと僕は音がすごく好きな「音人間」でね。しかもクラシック音楽からスタートしたから、「時間を超越して耳に残ったり心に残ったりする旋律というのはどういうものなのか」ということを、ずっと考えて生きてる人間なんだよ。例えばサイモン&ガーファンクルがヒットさせた「コンドルは飛んで行く」という曲があるよね。あの曲なんて1800年代のインディオの民謡だと言われてる。それを彼らが歌って大ヒットさせた訳だけど、そこには何百年もの時間が経ってるわけだ。他で言えば平原綾香さんやイルカさんがクラシック音楽を取り上げてヒットさせたよね。若い人は元のクラシックの曲を知らなかった人も多かったと思うんだ。今の時代にそれをやってヒットするというのは、やはりメロディが時を超えているからでしょう。やっぱり音楽は時を、国を、年齢を超えるものだからね。 司会)それにしても加山さんのようなエネルギッシュな姿勢はどうやったら得られるのでしょうか。 やっぱり苦労をすることじゃないかな。人間は苦労しないとダメだね。つらーい思いをするんだよ。その苦労を自ら受け止め、逃げないで立ち向かって、なんとか押し返すということを一生懸命やるんだ。そうするとそれを克服したときに自分に力が備わる、ということがわかるんだよ。逃げたらなんのためにもならない。必ず同じ事を繰り返すからね。そういうことが僕のエネルギーの基になっているのかもしれないね。「享楽からは失う事が多く、苦しみからは得る事が多い」ってその格言通りだと思うよ。 司会)団塊の世代の方々に、加山さんから何かひとことメッセージをお願いします。 団塊の世代はほんとに頑張ったと思うよ。彼らのおかげで今の経済状態があるわけでね。僕は彼らに感謝してる。彼らに言うとすれば、まずここまで生きてよかったね」という気持ちになれるよう、どれくらいいろんな趣味を生かしたり、好きな事をやれるかだよね。お金があるからってそれはできるものじゃないんだよ。大切なのはアイディアなんだから。団塊の人達だって納得のいく人生ばかりではなかったかもしれないけど、人生というのは絶対に無駄な時間なんてないからね。そして出会いが人生を大きく左右する。それは人との出会いだけじゃないよ。曲との出会いでもいい。だから常にアンテナを張る必要があるんだね。なんにでも関心をもたなくなったらダメさ。 司会)加山さんくらいの立場になられてもアンテナを張っているんですか。 そりゃそうだよ。ありとあらゆる音楽を聴いているし、僕は画を描いているときはいつもラジオを聴いているからね。若い人の音楽のなかでも「これが日本人の創った曲かよ、すごいなぁ」というのがたくさんあるよ。 司会)最後なんですが、絵画や陶芸など多趣味で知られる加山さんのなかで今一番おもしろいことって何でしょう。 やっぱり一番おもしろいのは光進丸に乗ってるときだな。釣った魚を料理して仲間と食べたりしてね。波を蹴っ飛ばして船で走ってると、こんなに爽快なことは無いね。起き抜けに海に飛び込んで顔を洗うのもいい。身体で自然を満喫するということは本当に素晴らしいね。
聴けば思わず鼻歌を歌ってしまうほど、どこかで慣れ親しんだ名曲の数々。リアルタイムで体験された方ならばそれはなおさらの事だろう。是非今回のアルバムを聴いて、あの蒼い気持ちを思い出してほしいと思う。 |
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10年12月17日新設
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