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『自閉症裁判――レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』
洋泉社より3月10日ごろ刊行予定。予価2200円。
*タイトル、定価とも、今後変更の可能性があります。(『罪と罰』からパラグラフをと書きましたが、ページの都合で割愛となりそうです。残念!)

<オビ文>(案)
オビ表1
レッサーパンダ帽の男は本当に「凶悪な通り魔犯」だったのか。男はどう取り調べられ、裁かれたのか。
二〇〇一年四月に浅草で起きた「レッサーパンダ帽殺人事件」。当時、凶悪で無差別な通り魔事件として大々的に報じられ、「自閉症」という発達障害は隠された。「障害」はどう裁かれたのか。弁護人は「精神鑑定を。心身耗弱であり刑の軽減を」という旧来の主張をくり返しただけだったのか。自閉症青年の「罪と罰」とは何か。四年に及ぶ徹底取材を経て、司法・教育・福祉・司法精神医学が問わずにきた重要課題を明らかにする渾身の問題作。
洋泉社 定価:本体2200円+税


オビ背
自閉症青年の重大犯罪、その取調べ
と裁判はどう行われたのか?
鎮魂と怒りの書!

オビ表4
私たちが望む安全で安心できる社会とは何か。そのとき私たちが分け持たなくてはならない責任をどう考えたらよいのか。本書は、その背後にこうした問いを持っている。法や制度の整備を進めることは言うまでもなく重要であるが、それとともに、彼ら自閉症の人びとを少しでも理解することもまた同様に大事なことではないのか。政治経済その他、多くの問題が山積し、ゆとりをなくしてしまった社会だからこそ、その重要性が痛感されるのである。――本書「あとがき」より


<著者より>
 この作品の主人公は、新聞、テレビで「通り魔殺人」「無差別性犯罪者」「猟奇殺人」とさかんに報じられた一人の「殺人犯」です。まもなく初夏になろうかというのに、レッサーパンダの帽子をかぶり、ハーフコートを羽織っていました。その男が白昼、浅草で突然、一人の若い女性に刃を向けました。

 男は「自閉症」という発達障害をもっていました。そのことへの理解抜きには、この事件を語ることができません。

 男の「自閉症」という障害とはなにか。
 男はどう裁かれたのか。
 男にとっての「罪と罰」とはなにか。

 そのような問いが、「裁判」と「被害者」、そして男が生きた30年の人生を通して問われます。
 ひとつひとつに、壮絶な「ドラマ」があります。

 一つの事件が、これまで、このような形で描かれたことはありませんでした。
 自閉症成年の事件、という視点を真正面に据えたことも初めてです。
 作品冒頭に、以下のエピグラフをつけましたが、まさにこれは現代の「罪と罰」であるとひそかな自負とともに考えています。


《十字路へ行って、みんなにお辞儀をして、大地に接吻しなさい。だってあなたは大地に対しても罪を犯したんですもの、それから世間の人々に向って大声で、〈わたしは人殺しです!〉と言いなさい》
 彼はこの言葉を思い出すと、わなわなとふるえだした。
 「『罪と罰』ドストエフスキー全集8 工藤精一郎訳(新潮社)」より


<目次>

[プロローグ]
レッサーパンダ帽の男が浅草に
[第一章]加害者・被害者
逮捕まで
[第二章]報道
隠されたこと
[第三章]裁判(一)
初公判での「沈黙」
[第四章]被害者(一)
家族のアルバム、その突然の空白
[第五章]裁判(二)
「障害」はどう受けとめられたのか
[第六章]裁判(三)
「自閉症」をめぐる攻防
[第七章]加害者(一)
「なぜ顔を上げないのか」と男は問い詰められた
[第八章]加害者(二)
放浪の果て
[第九章]被害者(二)
「思い出も、声も忘れたくないのに……」
[第十章]加害者(三)
「教え子の事件」が連れてきた場所
[第十一章]裁判(四)
消された目撃証言

[第十二章]裁判(五)
「殺して自分のものにする」と言ったのは誰か
[第十三章]裁判(六)
彼らはどのように裁かれてきたのか
[第十四章]被害者(三)
「この国を腐らせているのはマスコミのあなたたちではないか」
[第十五章]加害者(四)
その責任と贖罪
[第十六章]裁判(七)
それぞれの判決
[エピローグ]
最期のレクイエム


《本編には公判での証言が数多く記載されているが、被告人尋問と弁護側証人(高岡健氏、山元寿子氏)の証言においては速記録との照合がなされている。その他証人の証言記録は筆者の傍聴ノートによる。予めお断りしておきたい》