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介護レポート:2005年10月度
「お巡りさんのお世話になりました」

今月の生活行動状況徘徊実績等
 今月の主な生活行動状況は下記の通りです。
徘徊:今月は2回徘徊がありました。1回目は35分、その時の当番(女房)が付いて歩いたので何ら問題はありませんでした。2回目は3時間40分の長時間、更に問題は一人で出て行ってしまったことです。本件の詳細は下記の今月の出来事に紹介しますが、お巡りさんのお世話になってしまいました。
デイサービス:デイサービスは先月から止めていますが、今月は月一回の定期健診にも連れて行くこともできませんでした。
食事:食事成功率は先月78%に対して84%でした。通常の食事の時間に誘ってものってこないことが増えているのは先月同様ですが、多少改善しているのは、そういう場合の対策、例えば、おにぎり、パン、いなり寿司、おかずなどを小さいお皿に載せてベッドの上に置くなどの対策を妹達も行うようになってきたためと思います。
入浴:今月は1週間当たり2回ペースが確保できました。しかし、気分次第なので間隔はまちまちであり、1週間位空くこともありますが、今のところ問題はないと考えています。
編み物:次第に長時間編み物をする回数が減ってきました。途中でほどいてぐちゃぐちゃにすることも多くなりました。しかし、大切な日常行動であることには変わりがありませんので、編み物の準備は常に行っています。
その他:ときどき大きな声で怒鳴ることが増えています。例えば、「私の家ですから、帰ってくださいっ!」「お金を取らないでください!」「バカなんていわないでください!」など不安や被害者意識的な内容が多いです。じっと見守るしかありません。

今月の出来事
今月は、3時間半に亙って母の行方が分からなくなる大事件がありました。
10月30日(日)、私はいつもの如く午後7時過ぎに弟と介護当番を交代すべく母の家に着いたのですが、 家にはテレビは点いていたのですが、母も弟も居ません。直ぐに弟の携帯に電話したら、「30分位前にちょっと部屋を外した隙に外へ出て行ったらしく、お母ちゃんが見当たらなくなった。今、探している。警察にも電話した。」ということでした。 弟は門に鍵をかけていたのでちょっと油断したようで、母は鍵がかかっていない他の出口から出てしまったようです。

私も直ぐに探し始めました。いつも徘徊していたルートや迷い込みそうな道など人通りの少ない、暗い道を中心に探しました。 人通りの多い道や明るい道は、もし母が座り込んでいれば誰かが気が付いて警察に電話してくれるであろうと考えたのです。 弟に時々連絡してみてもまだ見つかっていないということです。延々と3時間位歩き続けて探し続けた頃、弟から電話があり、「警察から、見つかったと電話があった。衰弱しているので救急車で病院へ向っているらしい。どこの病院かまだ分からないので連絡を待っている。取りあえず家に帰って来て」ということでした。 私は直ぐに母の家に戻り、待機しました。10分後位に母の家の電話に救急隊の方から電話があり、母を保護しているとのことです。母の靴に書いてあった電話番号でかけてみたということでした。

母はまだ発見された場所におり、言うことを聞かないのでてこずっているようでした。私は母が認知症であることを言いますと、病院へ行くべきかどうか本人の様子を見て欲しいということでした。 直ぐに現場へ行くべく場所を聞いたのですが、非常にに分かりにくいため、母の家の近くまで来てもらうことにしました。 家の近くの大通りに出て待っていると母を乗せた救急車が明かりを点滅させながら来ました。救急車のベッドに座っている母の様子を見るとそれ程衰弱しているように見えないので、取りあえず家に上げることにしました。 救急車から降ろして車椅子に座らせるときに嫌がりましたが、さすが救急隊の方は慣れた手さばきで母を車椅子に乗せました。 救急隊対応は弟に任せて私は母の車椅子を玄関の前まで押して行き、私は家にちょっと入っているうちに母は自力で部屋に入り、ベッドに腰を掛けていつも通りお金を数え始めました。 私と目を合わせると「背が大きくなったね!」と何事も無かったように言いました。これで母は大丈夫であることを確信しました。

母の発見は、お巡りさんが武蔵野市関前3丁目の「市民の森公園」で見つけ、母の様子から救急車を呼んでくれたようです。後でこの場所を調べたら、以前(2003.11)に「母の迷子事件」で紹介した徘徊事件と同じ場所のようです。家の前をどんどん北の方へ歩き、五日市街道にぶつかると左(西)へ曲がり、どんどん歩いていくとそこに出るようです。 今回の反省点は、対策に抜けがあったことです。今回は三つある出口の内一部がたまたま開いていたことです。今後はこのようなことがないように気をつけることとしました。

一日の記録(その4)
今月は10月24日(月)について丸一日の行動および気分の変化を記録してみました。

注:下記記述の中で、気分(精神状態)のレベルを10段階で示しており、現状の母の通常状態をレベル0(L0)、一番良い状態をレベルプラス5(L+5)、一番悪い状態をレベルマイナス5(L-5)としました。 これは私が勝手に付けたレベルであり、各レベルの厳密な定義はしておらず、大まかな私の感じであり、大体下記の通りです。

・L+5:心が開いた状態であり、他人とコミュニケーションができ、こちらの言うこともある程度理解できる。
・L0 :母の通常の状態であり、幻聴が聞こえたとしてもそれに心を奪われることはなく、編み物などの自分のことができている状態。
・L-5:心が閉じた状態であり、幻聴が聞こえ、他人を全く寄せ付けない。この状態のときには食事などの日常生活行動はできない。
 
時刻 (レベル)気分、行動等
6:30 (L+5)トイレ(小)、起床。機嫌よい。着替え、洗顔、食事準備、食事、食器洗いOK。
7:25 (L+5)トイレ(小)
7:30 (L+3)部屋の中をウロウロ。
9:00 (L+3)布団にもぐり入眠。鼾をかく。
9:10 (L+3)起きる。身の回りの整理。
9:20 (L+3)再び入眠。
9:30 (L0)ヘルパさんと交替。「殺す、と言っている」「バカだ」などの独り言。
10:30 (L+3)機嫌がよくなる。
11:25 (L0)ヘルパさんから交替。静かに編み物。
12:20 (L-3)編み物しながら一人言。「殺せ」モードへ。
「何も知らないくせに」「何も悪いことしてないんですよ」「一生懸命やっているのですよ」など。
13:50 (L+3)ベッドに置いたかんぴょう巻きを食べ始める。かんぴょう巻き6切れ、梨2切れを食べる。
15:30 (L-3)「家に帰る」と言って部屋の中を歩き回る。門まで行く。
16:30 (L0)ベッドに座り少し落ち着く。
17:00 (L+3)晩御飯食べ始める。
18:20 (L-3)「殺す」モードになる。
18:50 (L-3)入眠。
19:00 (L+3)起きる。編み物。
19:30 (L-3)テレビ「クローズアップ現代」を見ながら編み物。
20:00 (L0)テレビを消すと「良かった。死にそうになったよ」機嫌よくなる。歌を歌いながら編み物。
21:30 (L+5)私の人生の千切れた1ページを何回(10回以上)も読んでは、ゲラゲラ笑う。(増吉さんはしゃべらない人でした。ある時、どうしてしゃべらないのか聞いてみました。そうしたら「面倒くさいものと言いました」)
23:15 (L+5)就寝。

上記表を時間軸上で図化したもの⇒10月24日(土)一日の記録
 
○一日記録の分析
@この日の平均レベル:プラス1.31
Aこの日の内訳(就寝時間を除く):Lプラス→550分(55%)、L0→235分(23%)、
Lマイナス→220分(22%)
B良い状態(L+5、L+3)時は、着替え、洗顔、食事、食器洗い、入浴などの生活行動、編み物、お金数えなどを行っているときや「私の人生」を読んでいるとき
C通常の状態(L0)は、することがなくボンヤリしているときや静かに編み物をしているとき
D悪い状態(L-3)は、「私を殺す」「バカだ」などの悪い幻聴が聞こえているときや「家に帰る」と言って部屋や外をウロウロしているとき
○考察
@今回は特別なことはせずにいつもどおりの介護を行った。平均レベルはプラス1.31であった。このレベルは現状の平均値的レベルより少し高いレベルのように思う。
Aテレビは悪い方向に働くことが多そうであるので余り見ない方が無難である。

○歌詞カードを見ながら歌っている母(2005年10月24日撮影)

○ひ孫の写真を見ている母  (2005年10月30日撮影)

○好物の梨を食べている母  (2005年11月3日撮影)

(2005年11月1日)
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