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介護レポート:2005年8月度
「4年続いたデイサービスを今月で断念」

今月の生活行動状況徘徊実績等
 今月の主な生活行動状況は下記の通りです。
徘徊:今月は徘徊ゼロでした。これは必ずしも良いとは言えず、体力維持のためには適度の徘徊(ウォーキング)があっても良いと思っています。
デイサービス:今月は4回中、1回行きました。この1回も通常のやり方(ヘルパさんが迎えに来たときに行く)ではなく、朝の機嫌が良いタイミング時に私が「買い物に行こう」と誘って(騙して)連れて行ったのです。定期健診のためにどうしても月1回は連れて行きたかったからです。 定期健診の後、デイサービスに行ったのですが、母は行事にはある程度参加したようでしたが、昼食は食べなかったようです。
この3ヶ月、デイサービスは行けていませんので、ケアマネージャにも相談し、来月からデイサービスを止めてヘルパさんによる2時間の在宅介護に変えることにしました。2001年7月から開始したデイサービスも4年2ヶ月で終わることになりました。
食事:食事成功率は78%でした。先月は81%でしたから多少悪くなっています。しかし、抜けた後は通常より多く食べることが多いこと、またお腹が減ると自ら進んで食べることもある等により、現在の所余り心配していません。
入浴:今月も1週間当たり2回ペースが確保できました。最近は、母が湯船に入ると私が手拭に石鹸をつけて背中をゴシゴシと洗ってあげます。すると「きむち(気持ち)いい〜」と目を細めます。
その他:トイレは自分でできています。これは一番助かっています。しかし、大便の後を拭かないらしいので匂うなどの問題はありますが・・
最近感じていることは、昼間寝るケースが多少増えていることです。夜、寝る時間は以前と変わっていないので寝不足ではないと思います。87歳という歳のせいかな、と思っています。

今月の出来事:「玄関のドアに内側からロックできる鍵を取り付けました」
今月、母は早朝3時頃外へ出て行くことが2回程ありました。幸いなことにこちらも気がつきましたので大事には至りませんでした。 今までも夜、介護当番が寝ているときに外へ出て行くことが何回かあり、最悪のときは警察のお世話になったこともありました。そのときには母が開けられない鍵をつける必要性を感じて取り付けを試みたのですが、素人工事だったせいかすぐに外れたりしてうまくいきませんでした。 その後、鍵をつけることに対して余り気が進まなくなったので止めていました。 今回は母の安全確保のためにどうしても取り付けようと決心し、近所のロックセンターに相談して鍵を買ってきて何とか取り付けに成功しました。

心配は母が外へ行こうとドアを開けに行ったときに開かないとどのような反応をするかでした。ドンドンとドアを叩くだろうか、気が狂ったように大声を出すだろうかなど心配でした。 そして先日、ついに母は夜中に起き出し、玄関のドアを開けようとしました。私は寝ながら注意深く観察していました。 母は何回かドアを開けようと試みましたが、開かないのでベッドに戻ってしばらく考え込んでいました。そして5分位後、再びドアを開けに行きました。 しかし、また開かないので再びベッドに戻りました。そのようなことを3回繰り返していました。私は心の中で「お母ちゃん、ごめん。でも出て行って交通事故に遭ったら大変だから許してね」と謝りました。 母は大通りでも信号無視で渡ってしまうのです。 4回目に玄関に行ったとき、気分を変えてあげないといつまでも続くと思い、私も起きて明かりを点けて待っていました。 母は私と顔を合わせると「戸が閉まっているから戻って来ちゃった」と言い訳のように言いました。母はここが自分の家でないと思っていますから、自分の家に帰ろうとしていたのだと思います。

私は母を食卓の前に座らせ、母の自叙伝「私の人生」を1ページ目から大きな声で読んで上げました。
 『私のお母さんは「佐藤すなお」といいます。私は「かあちゃん」と呼んでいまし
 た。いつも優しく、怒ったことがありませんでした。』

母はじっと聞いていました。そして次のような母のお気に入りの箇所、
 『おとちゃんは酔うと「ちょん愛子、ちょん愛子、ちょんちょん愛子愛子、ちょんが
 菜の葉でおっちょちょいのちょい」と歌ってふざけました。』

になると、「今まで悲しくて泣いていたけど、おかしいこと言うから笑ってしまったよ」と言って明るく笑いました。 このとき、母は調子の良いときに戻っていました。 30分位読んで上げると気が済んだらしく、ベッドに行って眠りにつきました。

一日の記録(その2)
 今月は8月24日(水)について丸一日の行動および気分の変化を記録してみました。

注:下記記述の中で、気分(精神状態)のレベルを10段階で示しており、現状の母の通常状態をレベル0(L0)、一番良い状態をレベルプラス5(L+5)、一番悪い状態をレベルマイナス5(L-5)としました。 これは私が勝手に付けたレベルであり、各レベルの厳密な定義はしておらず、大まかな私の感じであり、大体下記の通りです。

・L+5:心が開いた状態であり、他人とコミュニケーションができ、こちらの言うこともある程度理解できる。
・L0 :母の通常の状態であり、幻聴が聞こえたとしてもそれに心を奪われることはなく、編み物などの自分のことができている状態。
・L-5:心が閉じた状態であり、幻聴が聞こえ、他人を全く寄せ付けない。この状態のときには食事などの日常生活行動はできない。
 
時刻 (レベル)気分、行動等
5:55 (L0)トイレへ(大)。その後、部屋の中、台所、玄関などを何回もウロウロ。
6:30 (L0)ベッドで再び寝る。
7:30 (L+5)起床。機嫌良い。着替え、洗顔、食事OK。
8:15 (L+5)食事完(全部食べた)。食器洗い開始。
8:36 (L+5)食器洗い完了後、トイレへ。
8:45 (L0)「学校の先生いないの?」「先生いないなら学校やめる」「何をしていいか分からない」など独り言。段々気分低下。
9:10 (L0)編み物開始。その後も静かに編み物。
9:30 (L0)ヘルパさんに交代。(本日は調子が良かったようだ)
11:25 (L-3)ヘルパさんから交代。交代時、声をかけても応答しない気分。その後、ベッドに座って編み物など。
12:00 (L-3)昼食を誘ったが、「もう食べた」と言ってのってこない。「坂東さんはバカだ」「人をバカにしている」など独り言。
12:45 (L+3)トイレへ。戻ってから急に良くなる。テーブルに座ったので食事を勧めたら食べ始めた。
13:05 (L-3)昼食を半分位食べたところで関心が他に移ってしまい、ベッドへ戻る。
13:54 (L0)ベッドで布団を被って寝る。
14:10 (L0)ベッドで起き、ニコニコして編み物を始める。
15:00 (L0)再びベッドで布団にもぐって横になる。
15:30 (L-3)「ウルセイ、ウッセイ」と独り言。お金を数える。
16:00 (L0)「ありがとうございます」と独り言。編み物。
16:10 (L0)テレビの「ハツラツ道場」を見て笑顔。
17:15 (L+5)食事開始。食事は全部食べた。その後、食器洗い。
18:10 (L+5)食器洗い完。
18:20 (L0)玄関に座り込み、何かを考えている。ベッドに戻って編み物をしたり、「雨が降っているか見てくる」と言って玄関のドアを開けてみたり。
20:00 (L-3)「私を殺す」との幻聴。玄関に行ったり、編み物をしたり。
20:30 (L0)布団にもぐって横になる。
20:40 (L+3)機嫌がよくなったので入浴に成功。
21:50 (L+3)「杏仁豆腐」を食べる。「私の人生」を見る。
22:10 (L+3)就寝。

上記表を時間軸上で図化したもの⇒8月24日(水)一日の記録
 
○一日記録の分析
@この日の平均レベル:プラス0.51
Aこの日の内訳(就寝時間を除く):Lプラス→250分(28%)、L0→466分(51%)、
Lマイナス→189分(21%)
B良い状態(L5、L3)時は、着替え、洗顔、食事、食器洗い、入浴などの生活行動が可能
C通常の状態(L0)は、編み物に集中している時など
D悪い状態(L-5、L-3)は、「私を殺す」「坂東さんはバカだ」「ウルセイ」などの悪い幻聴が聞こえている時など
○考察
@平均レベルは、前回マイナス0.88に対し、今回はプラス0.51で良かった。これは最悪のL-5が一回も出なかったこと及びマイナスレベルの時間比率が43%から21%に減ったことによる。 これはコントロールして良くなった訳でなく、たまたま良かっただけである。
A今回のレベルが良くなっていることは、食事が前回は2食、今回は3食成功していることや今回は入浴に成功していることにも現れている。
B生活行動をしているときはレベルが高い。これは生活行動をしているからレベルが上がるのか、レベルが高いから生活行動ができているのか分からないが、私はこれらが相互作用しているように思う。即ち、何らかのきっかけでレベルが上がったタイミングをつかまえて生活行動に誘って一緒に実行してあげるとうまくでき、それがまた良いレベルを維持するのに役立つのではないかと思う。 従って出来るだけ生活行動をサポートして上げることは平均レベルを上げることに役立つと思う。

○上機嫌で朝食中の母  (2005年8月30日撮影)

○テレビの子供番組を見ている母  (2005年8月31日撮影)

(2005年9月1日)
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