安倍内閣の最重要課題として教育の再生を取り上げています。そして教育再生会議第一次報告として「社会総がかりで教育の再生を」旗印に以下の提言が行われました。その概略を報告すると共に、我々空手道場が取り組む役割について述べてみたいと思います。
 空手道場の目的も子供達の指導、育成です。そこには我々指導者だけでは出来ない問題があります、どうしても保護者の支援が必要です。一部
例を上げながら、保護者にお願いしたいことを述べ、意見交換をしたいと思います。
 具体的な例を述べる前に、国で取り上げている、教育再生会議第一次報告について概略説明し参考にして頂きたく思います。
 先ずは教育内容の改革です。
1.「ゆとり教育を」見直し、学力を向上する。
 (このテーマは空手道場とはあまり関係ないので省略します)
2.学校を再生し、安心して学べる規律ある教室にする。
 (1)いじめと校内暴力を許さない学校をめざし、いじめられている子を全力で守る。
 (2)いじめている子供や暴力を振るう子供には厳しく対処、その行為の愚かさを認識させる。
 (3)暴力など反社会的行動を繰返す子供に対する、毅然たる指導、静かに学習できる環境の構築。
 (この項目は空手道場として果さなければいけないことがあります、後で例を上げて説明します)
3.すべての子供に規範を教え、社会人としての基本を徹底する。
 (1)社会人としての最低限必要な決まりをきちんと教える。
 (2)父母を愛し、兄弟を愛し、友を愛そう。
 (この項目も我々空手道場の果す役割が沢山あると思います)
 そして最後に、「社会総がかり」で子供の教育にあたる、とされております。
 (1)家庭の対応  −家庭は教育の原点。保護者が率先し、子供にしっかりしつけをするー。
 (2)地域社会の対応 ー学校を開放し、地域全体で子供を育てるー(放課後こどもプランの全国展開)
 (空手道場はこの地域社会の対応の部類に入ります、しっかり自覚してやらねばと思います)
 「社会総がかり」の対応は他にもありますが、今回は省略します。
 
 そこで今回、私達の支部で起こった、いじめ(大人の人に対するいじめ)について紹介し、私の反省と保護者の認識、協力をお願いしたい訳です.。今回おこったいじめは学校内のいじめとは違いますが、当然学校内でおこるいじめに通じると思います。.
 事件は今年の鏡開き時に行われました。稽古後会議室で皆で食事をしたあと、交野ドームでトイレの掃除をしている女の方が、責任者である私のところへ来られ、「先ほど私は空手道場の生徒に、個人的な尊厳を傷つけるような、こんなことを言われ、はやしたてられました」といってこられたのです。私は顔から火の出る思いをしました、私は何回も何回も謝り続けました。私はひどい言葉をかけた中学生の道場生を見つけました、悪いことをしたような顔をしていなかったので、私は悪いことは悪いとわかってもらうために、往復ビンタをしました。あまりの私の剣幕に周りの道場生は黙ってしまいました。ただビンタをもらった者以外にも、中学生、小学高学年の中に、はやしたてる者がいたのが想像できました。私はビンタした子を連れて、再び掃除をしている女の方のもとに行き謝りました。その女の方はとても冷静な方でした、「私が我慢して無視すれば良い事なんですが、あんまりひどいことなので、責任者の方にお知らせしたい」とのことでした。その方は感情的にならず我々の侘びに対して、理解をして頂きました。とても人間的にできた方で私は安堵しましたがー、でもその方は本当にすごく傷ついたと思っておりますし、何回も謝りたい気持ちです。
 私はいじめについては、絶対にいかんと、道場で何回も話したつもりです、青山のホームページ掲示板にも昨年11/11に長文の解説をのべ、その時にも話をしました。小さい子供達には、わかりにくいかもと思いましたが、少なくとも小学高学年、中学生はわかってくれると思っておりました、私は甘かったのです、今回の事件でもだれも止められなかったのです。わたしの力不足を実感すると共に、保護者の方のご理解、協力が必要だと感じました、そこで今回の父母会総会の議題の一つにさせて頂きました。
 少なくとも、我々の道場生達は世間の子供達より、はるかに良い子だと思っております、では、何故道場生達は掃除の方をからかったのでしょう? 私なりの考えですが、その一因として、掃除という職業を下にみているのではないでしょうか?その方が事務所に座って仕事をしていたら、からかったでしょうか?  今の子供達はきれいな服を着て、机に座り、パソコン相手に仕事するのがかっこいいと思っているのでしょうか?肉体労働する人、又は服が汚れる仕事をしている人を軽く考えているのではないのでしょうか?私はそれは違うと思います。どんな職業でも、世の中のために役に立つ仕事はすべて立派な職業なのです。世の中には素晴らしい企業、商社、役所、銀行、IT産業、先生、警察官、など素晴らしい職業についている方がおられますが、贈収賄、汚職、不正経理、談合、粉飾決算、セクハラ、いじめ隠し、法律違反など不正な行為を行う人が沢山おります、このような人は職業を持っているとはいえないと思います、何故なら世の中のためになっていないからです。辛抱して、努力、精進をしてその道をきわめ、世の中の役に立つ方は立派な職業人です、職業に貴賎はないと思います。
  それから、いじめは誰か特別な子のことではなく、今の日本中の子供の心の問題です、と識者は言っておられます、常にいらいらするような、心細いような、希望がないみたいな、このような心を持っている子供達が増加しているといわれております。したがって、いじめている子を学校に来させないとか、特別に道徳教育をする、とかはあまり良い結果を生むとは考えられない、いじめっ子が転向しても、いじめはなくならない。まるで学芸会の劇のように、すぐ代役がでて、いじめは繰返される、と「子供110番」の電話相談員を20年続けた安達先生は言っておられます。我々の道場生においても、いじめをする側になる可能性が十分ある、何時起こってもおかしくないと思いました。現に練習中、休憩時、練習前後、子供達の言動に私自身、不安に思うことが多々あります、単なるふざけあっているのか、弱いものをいじめて喜んでいるのか?わからない時があります、注視する必要があると思います。保護者の皆様におかれましても、うちの子に限っていじめなどするはずはない、いじめに加担などするはずはない、と思わないでいただきたいと思います。
 それでは、日本中の子供の心の問題を良い方向に持って行くためには、空手道場は何をしたらいいのでしょうか?すぐに結論は出ません、口で説教すればすむものではありません、効果的な指導、教え方、悩んでしまいます、でも何かしなければなりませんので、当面次のようなことをやってみます。
 1.厳しいながらも、楽しく練習できる雰囲気を作るよう工夫します。
   来る時はいやいやながらも、練習後は各種ストレス、いらいらをすっきり、明るい気持ちで帰れるよう練習プログラムを
   工夫します。
 2.空手をやっていることを誇りに思えるように、強さ、忍耐力、包容力をつける。
  厳しい練習にたえた実績をもとに、少々のことには動じない精神を養い、又道場内では教え教えられの精神で弱者に
  たいする思いやり、先輩に対する感謝の気持ちを持たす。
 3.規律を守り、正義感のある子を育てる
  練習、試合、行事を通じて規律意識をつけ、良いことと悪いことを判断できるようにし、良いことを進んでやる正義感を養う。
 4.各人に目標設定をさせ、それを達成させるように支援を行う。
  試合、練習を通じて目標設定をさせ、その達成をはかることで自分自身に自信をつけ、将来に夢が持てるように仕向ける。
 5.自分の体験を通して、幸せとは何か、人のために尽くことの重要性、思いやりの気持ち、など言って聞かせる。
  練習時間の一部を使用し、私の体験、時事問題などを通じて、解説と私の考えを話し子供達と意見交換をする。

 とりあえず、素人の私が思いつくのは以上の通りですが、皆様方からここが抜けている、などアドバイスをいただきたいと思っております。 今回 私は道場生がいじめる側に立った場合について述べました、いじめられる側に立った場合については、当ホームページ、掲示板に詳しく書き込みをしていますので、参照下さい。(いじめ問題に私の一言  11/11書き込み)
保護者の皆様にお願いします。
どうか、子供さんと向かい合って「いじめ」問題について話し合っていただきたいのです、いじめる側、いじめられる側、どちらも不幸です、子供さんは本より、ご両親にとっても大変なことです、新聞記事を見ればその苦悩がわかると思います。私は今回の事件で、保護者の協力が是非必要と思いました、どうか子供さんと腹を割って話し合っていただきますよう重ねてお願いいたします。

それから、日本空手協会総本部でも今年は「いじめ問題」をとりあげ、いじめ撲滅にむかって推進しようということになっております。JKA-NEWS、2007年新春号で中原会長は以下のように述べられておりますので、参考にして下さい。
 「いじめ」問題
1)生命の尊さ、自殺をしてはいけない
2)「いじめ」られない強い心身の育成
3)「いじめ」はしない「いじめ」を見たら助ける勇気
4)学校だけが君らの世界ではない。空手道場で多くの友達、仲間が作れる
5)協会の全会員は「いじめ」問題について深く理解し、それぞれの立場からこの問題について真剣に取り組む
6)いじめ相談空手ホットラインの開設(TEL 03-5800-2100)

 元巨人の長嶋監督(現、オリンピック野球の総監督)が脳梗塞で倒れ、約3ヶ月が経ちます。最初の病院を退院して、別の病院で必死のリハビリを続けていると報道されています。そしてオリンピックの総監督はなんとしても長嶋監督で行くんだーと、多くのファンが待ち望んでいます。何故私が長嶋監督のことを取り上げた かーと言いますと、実は私も同じ脳梗塞で闘病生活をした事があったのです。しかも脳梗塞の原因、症状が驚くほど似ているのです。監督の今の病状とリハビリの状態について、最近はテレビ等であまり報道されていませんが、私は経験者として、今の長嶋監督の病状が手に取るように判るのです。 今回「師範のつぶやき」で、今は元気ではつらつとしている人が突然この様な病気になる恐怖についてー。体験者として、その実態と前兆、対処法、予防法について延べ、保護者の皆様、全国の空手道指導者に注意を促したいと思いました。私の病気の内容を告白して、一寸恥ずかしいのですがーーー、お蔭様で私は今でも空手を続けられる幸運に恵まれております。冷静に考えてみますと私の場合は、本当に色々な幸運が重なった結果であろうと思っております。脳梗塞は恐い病気です、亡くなった方、手足の不自由な方、言語障害の方、私は色々見てきました。私の体験談が皆様にとって何かの参考になれば幸せだと思いました。
 恐ろしい脳の病気の中に・脳梗塞・脳出血・くもまくか出血、があり、これらを総称して脳卒中と云います。そしてこれらの病気の原因は、一般的に血圧が高い、血糖値が高い、血中コレステロールが高い(動脈硬化)、タバコを吸っている等が云われております。私がここで述べる脳梗塞についても同じ事が言えるのですが、私の場合は一寸違っていました、多分長嶋監督も新聞報道によりますと私と同様であったと思っております。私は毎年実施する健康診断の結果、上記の原因は全くありませんでした、即ち血圧、血糖値、コレステロール値も正常でした、もちろんタバコも吸っておりません。ただ私の場合心臓に不整脈がありましたが、医者から空手を止められることもなく仕事も空手も元気に頑張っておりました。病気になった後で医者から聞いた事ですが、不整脈の人は心房細動になりやすいと言われました。心房細動とは心臓内の心房がぶるぶる震える症状だそうです(但し自覚症状は全くありません)そしてこの症状を持っている人の心房は血液の流れが悪く、心房の内壁に血の塊(血栓)ができやすくなります、その血栓が何かの拍子に心房の内壁から外れ、血流と一緒に脳に送られ血管を詰らせてしまったのです。私の場合は長嶋監督と同じ左脳の血管を詰らせ、右手、右足の機能麻痺と言語障害が残されました。長嶋監督もほぼ同じであろうと思っています。それでは次に、急に起る脳梗塞について、私の場合の前兆、初期症状、そのとき取った対処法について延べ、参考にして頂きたいと思っております。 
 直接の前兆は何もありませんでした、私が倒れたその日、会社を終って帰る時、私は会社の専用バスに乗らないで、いつもの駅まで足を鍛えるためにランニングで帰りました。電車に乗り、家に帰りテレビを見ながら、夕食を待っていたのです。それまで何の前兆もなかったのに、突然意識がもうろうとして、何もしゃべれなくなり、右手が動かなくなってしまいました。幸い、まだ右足は少し動いていたので、家族に助けられ、タクシーで近くの病院に運んでもらいました。その病院では脳梗塞と判断したのでしょう、ここでは手におえないと、設備の整った大病院に救急車で運ばれました。ピーポー、ピーポーのサイレンを聞きながら、私は意識がなくなりました。その後妻の言葉を借りますと、大病院ではすぐ脳の血管をふさいでいる血栓(血の塊)を溶かす点滴をうってくれたそうです。お蔭で何とか脳の血栓が解け、血管が通り、生還する事が出来たのです。しかしその間、脳の壊死(脳の一部が死んでしまう事)進み、左脳に大きな壊死の部分が出来てしまったのです。それから2週間絶対安静(食事も家族から口に入れてもらう)の時間が過ぎました。もちろんまだ全くしゃべれませんでした。筆談しようにも字が書けません、ひらがなさえ書けないのです。左脳の壊死した部分を廻りの正常な脳でカバーするために、懸命のリハビリが開始しました。その病院にはリハビリ施設が整っていました、早速、言語療法士がベットのそばに来て特訓を始めました。幼稚園の教科書程度で、乗り物や動物の絵本を持ってきて、私がたどたどしい言葉で答えるのです、でんしゃ、じどうしゃ、バス、ライオン、らくだ、うま、いぬ等、これが出来るようになると漫画です(四コマ漫画)漫画の筋書きを言う練習です、次は漢字にフリガナをつける又ひらがなを漢字にする練習、小学3年〜6年ぐらいまで、又たし算、ひき算、かけ算、割り算、など最初は全く出来なかったのに、次第に出来るようになりました。3ヶ月経つと、新聞の社説について言語療法士と言葉はまだはっきり言えないけれど、真剣に論争するまでになりました。 一方右手、右足の方は作業療法士、理学療法士のお蔭で驚異的な回復力を見せました。瞬く間に握力、脚力、腕力すべて健常者の能力を超えるまでになりました。リハビリのための広い訓練場の鏡の前で形の練習を始めると理学療法士の先生が止めてくれーと言われました。一人で歩くのがやっと、という人が圧倒的に多い仲で、これはまずいなーと思いました。又医者の先生方は脳の壊死がここまで進んでいるのに、何故こんなに早く回復をするのだろうとーー、不思議に思ったのか?何人もの医師が面接に訪れ質問しました。私が十数年間、毎週3回空手を続けていましたーーと答えると、なるほどと納得して帰って行かれました。そうです、私は空手のお蔭で脳梗塞を克服できたと思っています、又道場生達が千羽鶴をおって励ましてくれました、何としても空手の出来る身体になろうーという気にさせてくれました。今でも本当に感謝しております。それでも空手が再開出来るまでには半年かかりました。
 次に前兆はなかったと言いましたが、今考えると遠い前兆はあったような気がします。それは過労とストレスです。私が脳梗塞になったのは54歳の時でした、当時、バブルの絶頂期であったような気がします、いくら作っても製品が売れ、私は製造の責任者として、多くの部下をかかえ、生産目標の達成と納期を守ること、品質の向上、に追われていました。上司は元より営業より毎日、やいのやいのと催促を受けて気の休まる時がなかったように思いました。又空手の方では子供達の指導と自分の昇段審査で形、組手の稽古に明け暮れておりました。お蔭で何とか昇段審査には合格したのですが、仕事と空手で過労とストレスが蓄積していたような気がします。 長嶋監督も多分、オリンピックの準備で過労とストレスがあったと思っております。

・脳梗塞にならない為に保護者の皆さん、指導員の方々に注意してほしい事
1.過労とストレスを上手く解消して下さい、保護者の皆さんは仕事以外に趣味でストレス解消を、又空手の指導者は何時までも若いと思わないで−−、やりすぎないこと、適当に休息日を取って下さい。
2.定期的に健康診断を受けること。心電図検査、血圧、血液検査(コレステロール値、血の濃いさ測定等)糖尿病検査。
3.水分補給は本当に大切です、寝る前の水分補給の習慣、練習中、汗をかいた時の水分補給。練習中、汗をかいた時、水を飲むのを我慢して、ビール、酒、焼酎の湯割等でのどの渇きをとめる、これは厳禁です(私の場合はこれで、血が濃いくなり血栓が出来やすくなった)アルコール類は水分補給にならず、かえって体の水分を取り、血を濃くしてしまいます。

・次に運悪く脳卒中(脳梗塞・脳出血・くもまくか出血)らしい症状があった時の対処方法に述べます。
1.個人差があると思いますが、いずれも次第に意識がもうろうとなります、すごく疲れた感じの状態になります。この場合、しばらく寝て様子を見ようとは、絶対に思わないことです。要は早い対応が絶対必要です、おかしいと思ったらすぐ救急車を呼ぶ事です。意識がもうろうとしていても、又しゃべれなくとも家族の人に異常を知らせる事は出来ます。寝ている間に良くなるだろうとは絶対に思わない事です。私の場合は運良く、家族がすぐ異常に気がついてくれました。長嶋監督はしばらく家族の人が気がついていなかったと聞いています。ここが私が心配している点です、多分、リハビリが大変だろうなーと想定しています。
2.この様な症状になった場合に、どのように対応するか、家族としっかり事前打ち合わせをしておく事をお奨め致します。即ち病院の選定は大切な事です、救急車がきた時、希望病院を告げて下さい。症状に合った良い病院と悪い病院では回復力が変わってきます。

 私は今でも毎月病院に行き診察を受けております、そこでは血液検査をして、血の濃度測定ほか、血圧、肝機能検査、コレステロール値、等の検査をしてもらっております。比較的大病院ですが、30歳代の若い人も含めて、そこで出会う脳卒中(脳梗塞も含めて)の患者の多さに驚きます。皆さんも例外ではないのです、くれぐれもご注意をお願いします。私の体験談が保護者の皆様、又空手の指導者の皆様に役立つ事を願っております。

H18.11.18

格差社会を生き抜くためにー

 今、日本では格差社会が問題になってきております、子供たちはこの格差社会に対応して生きていかなければ、幸せな生活はありません。今日は格差社会の問題に空手道場が果せる役割について皆さんに提言していきたいと思っております。
新聞によりますと、日本の景気は不況を脱出して、確実に回復基調になり大企業は軒並み儲かっており、今年の冬のボーナスも最高になるのではと言われております。私は退職しておりますので、実感はわきませんが
良いことだと思っております。一方で小泉政権では景気は良くなったが、国民の経済格差がだんだん大きくなってきたと言われております。一般的なサラリーマンの年間給与が500〜600万円といわれる中で年収200〜300万円といわれる人が増えてきたと言われております。これらはアルバイトで生活をしている人、フリーターと呼ばれる人、派遣社員の方に多いとされております。事実、以前私が勤めていた会社では、従業員全体の30%がフリーターと派遣社員が占めていると聞いております、私が勤めていた頃には5%ぐらいでした。当然のことながらこれらの人は生活が苦しいと思いますし、若い人も結婚も出来ません。企業が生き残るためには仕方が無いと思いますが、早くこれらの方がまともな賃金で平穏に暮らせる日が来ることを願っております。ただこれらの方々にも反省点はないのでしょうか?勉強は人並みにやりましたか?人間としての付き合いは、即ち人間関係はうまく行くように努力しましたか、仕事をするうえで困難や苦しいことに耐えて、逃げないで辛抱できましたか?簡単に仕事を次々変えませんでしたか?挫折に耐える訓練はできておりましたか?今からでも遅くはありません、気持ちをしっかり持って、精神的に強い人になって下さい、努力すれば必ず報われます、仕事に貴賎はありません、自分に向いた仕事を見つけチャレンジしてほしいと思います。

 空手道場生の保護者の方はこれらの世間の動きはよくご存知だと思います。そして先ず勉強、塾に行って学力をつけ、良い大学に入れたいと思っていることでしょう、当然のことと思いますがーー。先般、文部科学省が履修漏れで大騒ぎになりました。全国の高校で10%の学校が必修科目をごまかして、したように見せ、大学受験に出る問題の科目を重点的にやっておりました。進学校に不正が多かったように思いますが、私はまるで良い大学に行く事が人生のすべて、のように見えました。学校は真面目で正直な所と思っておりましたが、私は誠に残念に思いました、又勉強が出来るだけで良い大学に入るだけで、子供は幸せな人生を送ることが出来るのか?と思いました。事実、良い大学を出て立派な官僚になっている人や有力企業のエリートといわれる人の不正が、いかに多いか、最近の新聞を見ればよく分ります。立派な銀行や大企業の脱税、不正経理、各種保険会社が保険の勧誘はするのですが、実際に病気や事故にあったとき保険金を払わない、県庁、県知事、市役所の、談合、汚職、横領、学校の先生のセクハラやいじめ、生徒のいじめを放置して知らんふりをする、又学級崩壊を仕方ないと直そうとしない先生、警察の強盗、など数え切れません。今の子供達はこのまま放置すれば、勉強だけ出来て変な子に育つような気がして仕方ありません。勉強以外の心の教育が必要に思います。例えば外に出て仲間と遊ぶ、小さい子や大きい子と人間関係について自然に学ぶなど、又クラブ活動や武道を通じて、辛抱すること、困難に耐えること、勝つ喜び、負けて挫折する悔しさ、と同時に人に優しくする心、人のために奉仕する心など勉強以外に勉強することが一杯あります。 

 私は39年間サラリーマンとして会社に勤めました、そこでは色々な体験がありました。有名な国立大学を卒業して入社する人、名もない私立の大学を卒業して入社、又高校のみ卒業して入社する人、色々ありましたがそこで上司、部下に信頼され、確実に昇進していくのは立派な大学を卒業した人だけではありませんでした。常に謙虚、努力して、辛抱し我慢して、チャレンジする心を持ち、上司、部下との人間関係を大切にして、特に部下に対して厳しさと思いやりがある人でした、特に会社の色々な行事があった時に最後まで残って部下と一緒に後片付け、掃除をする人でした。私がいまだに道場生に掃除の大切さを言うのはこのことも関係あると思います。単に立派な大学を卒業しただけの人は、そこそこ昇進はしますが、大事な仕事は任してもらえません、プライドだけは十分あるので人間関係が限られておりました、常に不満を持って仕事をします。やめる人も沢山いました、その頃は人手不足でどこにでも就職が出来ました、が現在は簡単に就職できるでしょうか?ただ勉強が出来るプライドの高い人はいずれは嫌われます、会社に就職しても長続きしないし、立派な仕事は出来ないと思います。私が言いたいことは要は勉強だけではなく、子供の教育には勉強以外にも大切なことが多いと言う事を認識してほしいのいです。
 
 最近我々の道場生の中にやめる人が比較的多く出ております。私は落ち込んでしまいます。緑帯、水色帯、紫帯、茶帯、1年〜2年経ってようやく辛抱が出来る、我慢が出来るようになって、多少根性も付き、空手の力も付いた時にやめますといわれた時です。
 私は初段を取ってそれぞれ苦労をして黒帯を締めた人にはやめてもやむをえないと思います、(本当はやめてほしくはないーー)黒帯をとるまで、少ない子で4年、多い子で6年、道場の練習で、審査で、試合で、努力する、辛抱して耐える、挫折するなど色々な体験をしてきました、勉強以外の人生に必要な経験を積んだと思いますし、私もある程度の満足感を感じております。ただそうでない人のやめたい理由を聞くと、塾があっていけないからやめる、子供が行きたくないといっているから、行きたくないといっている子を説得するのが、面倒だからーー、組手が痛くて恐いからなどです。一番多いのが子供が行きたくないといっているからーーです。それで良いのでしょうか?ある人は言います、子供の自主性を尊重しているからーー、子供の思うままにのびのび育てたいからーー、私は馬鹿なことを言ってはいけませんよーといいたいと思います。子供は常に楽な方、楽な方に逃げていきます、それはある面仕方ないと思いますがーー、同じように親が逃げては子供は救われません。親が信念を持って子供を将来を見据え、厳しさと優しさを持って、引っ張っていってほしいのです、ただ優しさだけでは良い子は育ちません。 青山支部には年間を通じて見学者も沢山来られます、幼児、小学低学年の子を連れて来られますが、小さい子に向ってどうするーやってみるー、やりたくないのー、聞いている人がおられます、子供を将来を考え立派に育てたいのならば、私は親の貴方が判断し決めたらいいでしょうーー、と思います。
 それから以前にも言いましたが、幼児、小学生のときこそ、親がしっかりコントロールすべきと思います、この時こそ子供に苦労をさせて下さい、青山支部の保護者の方々には素晴らしい子育てをしておられる方が大勢おります、同様に言える事は優しさに中に本当の厳しさをもっている方たちです、私は感服しております。それから中学生後半、高校生になったら子供の自主性を持たせて下さい。そうしないと先日奈良で起こった、有名な進学校で、高校生が家に放火をして、母親と2人の兄弟を殺してしまうような事件に発展する可能性があります。これは高校になって父親が厳しくしすぎた結果です、小学生のときにこの厳しさがあればなー、と思いました。
 最後に再度言いたいことは、格差社会に生きていくためには、勉強も大事ですが、良い大学に入れることがすべてではないのです、勉強以外にも子育てでやらねばならないことが一杯あることを知って頂きたかったのです、又空手の宣伝になりますが、空手道場で皆が唱和する「五条訓」は正に子育ての基本だと思います。
皆さんはとても幸せだと思います
(今後とも幸せな気持ちを持ちつづけるためにー)  H16.04.08
脳梗塞の体験者が語るその実態と対処方法及び予防法
  (保護者の方、全国の空手指導者に注意を喚起します)
 H16.5

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空手道場生の育成は道場、保護者が一体となってー

 先日、道場生の皆さんに「今私は幸せです、と思える人は手を上げてー」と聞いてみました。最初約10%の人が手を上げてくれました。そこで私は、青山支部の人はほとんどの人が、幸せだと思うけどなー、と言いました。そして再度時間を置いて「幸せだと思う人」と聞いてみますと、50%ぐらいの人が手を上げてくれました。今回はこの「師範のつぶやき」で幸せ(幸福)について述べてみたいと思います。 
 私の考える幸せとは、先ず親と子の健康、即ち親が元気で働く事が出来、子が元気で学校に行ける事です。空手道場に来ている子は、この件ではほとんどの人が幸せといえるでしょう。次は衣、食、住が満たされ治安が安定しているか?です。着るものは皆さん変化に富んだ個性にあった良い衣服を着ておりますねー。食べ物も好きな物をお腹一杯食べられますねー、ひもじくて苦労している子は誰もいません。ただ住まいだけは大きい家に住んでいる人、小さい家に住んでいる人で差はありますが、これが幸せと関係があるのでしょうか?私は全くないと思います。以前に以下のような話を聞いたことがあります。
 ある住宅地に住んでいた人がこの度、一億円の家を購入し意気揚揚と高級住宅街に引っ越しすることになりました。周りの人達は、このお金持の引越しする人を大変羨ましく思いました。ところが引越ししてみると、その周りに出来た家は2〜3億円の家ばかりでした、一億円の家を購入した人はそれを見て大変惨めで不幸な気持ちになりました。私が言いたいのは、お金があってどんなにいい家に住んでも、人をうらやむ気持ちがある限り幸せな気持ちにはならないと思うのです。即ち、お金は次から次へ欲が深まり、いくらあっても幸せな気持ちにはならないと思うからです。 次に治安の問題ですが、日本という国は、時々事件は起りますが、世界の中では治安はトップクラスです。それに戦争がありません、何時までもこのような国であってほしいですねー。
 次に幸せのポイントになる事は、皆さんが将来に明るい希望、夢を持っているかどうか、です。テレビで見たのですが、私は世界の恵まれない国に住んでいる子供たち、みすぼらしい衣服を着て、貧しい食べ物、家に住んでいても、彼らの目が輝いているといった事を聞きました。何故でしょう、それは自分の将来に明るい希望と夢を持って、今よりは絶対に良くなると信じて過ごしているからではないでしょうか。
 紛争のないめぐまれた国に育った、空手をやる皆さんは、何の心配もなく思いきり勉強できますねー、勉強の為の本ならいくらでも買ってもらえますねー。本当に幸せな事だと思います。これからも良い友達を見つけ共に成長し、そして世の中のためになるような仕事を探し、明るい家庭を築いていって欲しいと思います。皆さんの前途は洋々です、希望をもって明るく前向きに生きて下さい。そうすればあなた達は今本当に幸せなのです。 
 ついでに皆さんの将来の仕事(職業)について私の考えを述べます。世の中では良い学校に入り、良い会社に入った者が成功者だと思っている人が沢山います、本当にそうでしょうか?人のためになる職業は沢山あります、その中には良い学校に入らなくても、良い会社に入らなくても出来る立派な職業があるのです。例えば料理人、コック、お菓子職人、色々な商売をするサービス業、動物の世話をする人、花の栽培をする人、手に技を持った職人さん等、皆さんが興味を持って、打ち込める仕事ならば、それはそれで立派な世の中に役立つ職業です。
 ここで再度言っておきたい事があります、良い学校を出て良い会社に入った人も、自分に合った仕事についた人も、ここ一番、頑張れる、辛抱できる人にならないと駄目なのです。つらいからすぐやめて楽な方に行ってしまう、これではいい仕事は出来ません。私は39年間機械メーカに勤めました、そこには油にまみれて仕事する、機械部品を作る工員さんがおります、辛抱して努力し熟練工になった人は、やめていく時、多くの人から尊敬され、惜しまれます、課長、部長さんがやめられた時より惜しまれて幸せな気持ちで退職していきます。世の中の事を良くご存知の、皆さん方のお父さんお母さんは、皆さんの将来を真剣に考え、忍耐力を養う空手道場に通わせているのです。皆さんは本当に幸せなのです、心より感謝の気持ちを忘れてはいけませんね。

 最後に皆さんに幸せの種類というか幸せの形態について述べてみたいと思います。それは人から与えられる幸せから、人に与える幸せも感じて欲しいという点です。皆さんの幸せは、両親からうれしい事、楽しい事、一杯与えられて育っておりますねー、又先生や先輩よりも沢山の事を教えてもらって幸せを感じていますね。
それでは人に与える事により自分が幸せと感じる、とはどんなことでしょうか?
 私の家の近くに松塚公園があります、子供、親子連れ、若者、お年寄り、沢山の人が遊びに来て憩の時を持ちます。ところが心無い人がいて公園はごみで汚れてしまいます。特に若者が遊んだ後は弁当くず、飲み物の空き缶等本当に散らかっています、しかしあくる日の朝は本当に綺麗になっているのです。何故かなー、誰が掃除をしてくれているのだろうと思い調べてみました。真冬の朝、まだ薄暗い6時30分頃行ってみますと、60〜70歳ぐらいのお年寄りの方が2〜3人で掃除を終えておりました。聞いてみますと毎日決まったように掃除をやってくれているそうです。無報酬です。どういうつもりで毎日掃除をやってくれているのだろう?人に自慢したいのなら、皆さんが出勤する、人が多いときにやるだろうにー、。私はこのお年よりの方達は自慢したいとか、人から感謝され褒めてもらいたいなどとは思っていないと思いました。人が喜んでくれる事を、やらせていただくことに幸せを感じているのではとーー。即ち奉仕の心が自分の心を幸せにする、ということだと思いました。私達はこのお年寄りの方達のような立派な事は出来ませんが、少なくとも人のために何かして喜んでもらえれば幸せだと感じるようになればと思います。私が道場の掃除をきちんとしなさいと盛んに言いますが、綺麗な体育館はあくる日に使う生徒達にとっては気持ちがいいし嬉しいものです、小さい事でもいいのです、師範から注意されて掃除するのではなく、自分が掃除出来ることを幸せに感じるようになれば、私は本当に嬉しく思います。

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師範のつぶやき NO-3