スイートコーンの栽培記録   2004


   ○ スイートコーンの栽培は3月初旬の播種に始まって6月の収穫までの4ヶ月間です。

   ○ コーンの収穫とともにハウスに集積した肥料塩類の除塩が主な目的です。



    スイートコーン栽培予定のハウス  2/19


 スイートコーン栽培予定のハウスでは現在スプレー
 ストックの出荷が最盛期になっています。

 3月初旬にスイートコーンの播種をし、3月下旬定植します。


     スイートコーンの発芽  3/6


  第1回目の播種早生タイプ(キャンベラ82・
  あまいろコーン)の発芽です。

  
サムネイルになっています。klickして下さい。

                     3/21

  播種後3週間経過し3葉期になりました。

  この時期以前には種子根1本しか発根していない
  のでトレーから抜き出せません。

  また、この時期以降定植が遅れると特に早生品種で
  生育量が足りなくなります。


     定植準備  3/21


  ストックの採花が今日終わりました。

  冬の雑草・ストックの残渣(出荷する部分以外の根・茎
  ・葉は全てハウス内に残します)を浅く鋤きこみます。

  栽培期間中に灰カビ・菌核病で枯死した株もその場に
  鋤きこむようにします。
  病株はハウス外に運び出し・・という指導がありますが、
  意味はありません。
  処理は天敵と豊かな生物相に任せましょう。

  下は定植準備の様子です。

  上の写真のストック残渣・雑草を浅く(10p程度)
  全面に鋤き込みます。


  通路を管理機で谷上げし、天場をならします。

  整形したうねの中央を歩いて足跡を付けます。
  

  コーン用ポリマルチを張ります。(45X27cmピッチ)


       うねの形は図のようになります。


定植  3/24       






  左上−定植適期の苗です。

  右上−セルトレーから抜き出した苗です。
       葉枚数2.5〜3.5枚が定植期です。

  左 −定植後に充分な量の潅水を行ないます。  
     
  時間的な余裕があれば定植はうね立て後10日
  以上経ってからが安全です。

  うねに付けた足跡に水を一杯に貯めます。
  この水がマルチ押さえと夜間の保温の役に立ちます。


    定植後1週間(5葉期)  3/30


  定植後の活着がよければ、この時期4〜5日で
  1葉のスピードで新葉が展開します。

  早生品種では写真の時期に葉色を見ながら第1回
  の追肥をします。

  スイートコーンの栽培では追肥のタイミングが重要です。
  2回の追肥によりコーンの大きさ・歯並びの良さが
  決まります。


    定植後3週間(8葉期)  4/11


  7〜8葉期になりました。
  この時期に2〜3本の分枝が発生してきます。

  葉色が薄く分枝が少ない場合は肥料切れです。
  葉色が濃く生育が良くない場合は肥料濃度が
  高すぎるか、潅水不足です。

  中生以降の品種はこの時期に生育の状態を見て
  必要ならば追肥をします。

  この時期の茎の太さがコーンの大きさの違いになる
  チェックポイントです。



    定植後4週間(10葉期)  4/21


 10葉期になり茎・分けつ共に充実してきました。


    定植後5週間(止葉期)  4/29


  止葉が出葉し背丈が1メートルを超えました。

  雄穂が間もなく出穂します。
  これから出穂が終わるまでに2回目の追肥をします。

  この追肥はコーンの充実と歯並びに重要な意味を
  持ちますのでタイミングをはずさないようにします。


    定植後6週間(出穂期)  5/5


  草丈1.2m早生タイプの雄花が出穂しました。

  数日遅れで雌穂が出ます。

  この後は追肥と共に充分な潅水を行いコーンを
  充実させます。


    定植後7週間 雌穂出穂  5/11


  若いコーンから白い毛が伸びてきます。
  また、同時に雄穂から黄色い花粉が落ち始めます。
  この時期が双子葉植物の開花に当たります。

  少し遅れて1節下にもコーンが付きますが、
  生育量の少ない早生タイプでは1個目の充実を
  図る為間引きします。

  この時期以降は乾燥に気を付ける以外作業は
  ありません。


  


    定植後8週間 受粉完了  5/17


  雌雄の出穂が終わり、節間の伸長も止まります。

  正常に受粉したコーンは毛が褐色にしおれ、
  急速に太ってゆきます。

  毛がいつまでも元気な場合は受粉の不良です。
  
  
  
  


    定植後70日 収穫  6/1


  出穂後のコーンの成長は非常に早く、2週間目
  には収穫可能です。

  収穫適期の目安は、ヒゲが半分くらい褐色になり、
  コーン先端部まで実が詰まり、真珠色だった
  実の色が黄色くなった頃です。

  今年は全量グリーンマーケットでの販売になります
  のでよろしくお願いします。


  スイートコーンハウスの一角で作ったエダマメも
  収穫期になりました。

  来年はエダマメ栽培を報告しましょうか。



スイートコーン作業日誌

   品種 あまいろコーン・キャンベラ82

作業内容 作業日 資材等 使用量(単位) 備考
播種 2/28 プラグトレー・育苗培土 5枚/a 128穴トレー
圃場準備 3/21 有機カキガラ石灰 10kg/a 48%カルシウム
畝たて 3/21 --- --- ---
マルチング 3/22 2列植穴あきマルチ 70m/a 45X27cmピッチ
定植 3/23 --- --- ---
追肥 1 3/30 アサヒポーラス 10kg/a N16・P16・K10%
追肥 2 4/29 アサヒポーラス 10kg/a N16・P16・K10%
収穫 5/28〜 --- --- ---


品種 おひさまコーン・キャンベラ90

作業内容 作業日 資材等 使用量(単位) 備考
播種 3/5 プラグトレー・育苗培土 5枚/a 128穴トレー
圃場準備 3/21 有機カキガラ石灰 10kg/a 48%カルシウム
畝たて 3/21 --- --- ---
マルチング 3/22 2列植穴あきマルチ 70m/a 45X27cmピッチ
定植 3/29 --- --- ---
追肥 1 4/10 アサヒポーラス 10kg/a N16・P16・K10%
追肥 2 4/29 アサヒポーラス 10kg/a N16・P16・K10%
収穫 6/1〜 --- --- ---

   防除暦

使用薬剤名 成分 使用日 使用目的 倍率/量




スイートコーン品種特性表

    2003年度栽培品種の記録をまとめました。

品種 特性  ただし、我が家の栽培条件によるものであり普遍性は?です。
キャンベラ82
 ●草丈         190cm
 ●出葉枚数        13枚
 ●着果節位       8節目
 ●発芽性          良好
 ●生育揃い   やや不揃い
 ●生育日数       85日
 ●果重          350g
 ●品質           ○
 ●甘味           ○
 ●判定     △

 ●特記事項
  草丈150〜220cmでばらつき有
  草色やや薄く多肥を要す
  生育期間短いため初期の生育を
   重視する
キャンベラ86
 ●草丈        220cm
 ●出葉枚数        14枚
 ●着果節位      9節目
 ●発芽性         良好
 ●生育揃い       良好
 ●生育日数       88日
 ●果重         420g
 ●品質           ◎
 ●甘味           ○
 ●判定     ◎

 ●特記事項 
  生育揃いが良い 
  最も果重が大きい
キャンベラ90
 ●草丈        250cm
 ●出葉枚数        14枚
 ●着果節位       9節目
 ●発芽性      やや悪い
 ●生育揃い        良好 
 ●生育日数        94日
 ●果重          400g
 ●品質           ◎
 ●甘味           ○
 ●判定     ○

 ●特記事項
  草丈が高く倒伏の可能性あり
  露地抑制作型に良い
  生育揃いが良い 
あまいろコーン
 ●草丈        160cm
 ●出葉枚数       11枚
 ●着果節位      7節目
 ●発芽性         良好 
 ●生育揃い   やや不揃い
 ●生育日数       85日
 ●果重          400g
 ●品質           ○
 ●甘味           ◎
 ●判定     ○〜◎

 ●特記事項
  生育期間の差が大きい
  着果位置が低い(地上30cm)
  粒皮の黄色味が薄い
  5品種中糖度が最高
  5品種中最も草丈低くがっしり型
おひさまコーン
 ●草丈        150cm
 ●出葉枚数        14枚
 ●着果節位       9節目
 ●発芽性         良好
 ●生育揃い       良好
 ●生育日数       90日
 ●果重          350g
 ●品質           ○
 ●甘味           ○
 ●判定     ○

 ●特記事項
  生育揃いが良い 
  耐倒伏性が良い
  最も果重が小さい




  我が家の農法について少しだけ言わせてください。

 私は有機農法無農薬農法といった特定の農法にこだわりは持っていません。
 また、そういった農法そのものへのこだわり自体が付加価値であり、生産物は高価 
 であるとも思っていません。
 目指しているところは低投入・安定収量のローコスト農業です。 

 最近は農業でも家庭菜園でも、作物の特性にはお構いなしに、栽培者の思い込みによる
 肥料・土壌改良剤等の過投入
になっているのではないでしょうか。 
 その結果害虫や病気を多発させて農薬にたよる栽培になっているように思います。
 
 よほど土壌成分の流出の激しい場所で無い限り、基本的には収穫して圃場外に持ち出した
 作物に含まれる成分のみを圃場に返すことで物質の循環は成立すると思うのです。
 つまり、田畑から持ち出した(もの)だけをジャストインタイムで補充する「かんばん方式」 
 の栽培
をイメージすればよいのかもしれません。

 我が家の肥料・農薬等の資材費は平均的な農家の3分の1程度ですが、収量・品質は
 平均以上だと思っています。
 減農薬栽培としても通用するのでしょうが、それはうたいたくありません。
 なぜならば、有機・減農薬・減肥料といった方向が農業にとってはコストダウンの手段
 であり、農産物の
高価格化の為の手法ではない
とおもうからです。

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