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【テキスト】溺殺戦士ステラちゃん

 

2005.2.8

 

「ううっ……ぐすっ……」

 

ようやくミネルバ(子猫ちゃん)を捕捉したネオ達。

さっそく出撃準備をする3バカですが、ステラさんの表情が優れません。

一体彼女に何があったのか、船酔いでもしたのでしょうか?

 

「ううっ……ステラだけ、おるすばん……」

「だって、ガイア飛べないじゃん」

「泳げねえし」

 

そう、ガイアは飛べない、泳げない。

盗むときにたまたまガイアを選んでしまったのが運の尽き、

よって今回の作戦は、ステラさんだけが仲間外れです。

 

「いじめ、かっこ悪い」

 

仲間外れにされているステラさんを庇うネオ。

今回はステラさんの代わりに彼が出撃します。

 

「あっ、ネオだ!」

 

面白仮面おじさんにステラさん大喜び。

満開の笑顔でネオの元へと駆け寄ります。

 

「ホ〜レ、よ〜し、よしよしよし」

「にゃ……にゃあ……」

 

ムウゴロウさんのなでなで攻撃。

元から虚ろなステラさんの瞳が更にとろけていきます。

 

「いい子でお留守番してるんだぞ」

「わ、わかったにゃ!」

 

すっかり調教されているステラさん。

さすがネオ、子猫ちゃんの扱いは慣れたものです。

 

「お土産買ってきてね〜!」

 

戦場へと向かう母艦を見送りながら、

インド洋産の本マグロを所望するステラさん。

 

「私だって、出来るなら留守番したいわよ!」

 

一方、パイロットが4人しかいないので、

強制的に出撃せざるをえないルナマリアさん。

今日こそは活躍してやろうと意気込みますが……

 

「お土産買ってきてね〜!」

 

そういえば、ザクも飛べなかった。

ということでルナマリアさんとレイは待機。

《実際は飛べるけど、すぐ墜落するので(第2話参照)

 

「シン、発進後の戦闘指揮はオレがとる」

 

艦長から部隊の指揮を命じられたアスラン。

しかし出撃するのはアスランとシンだけなので、

実質的な役割はシンのお守りです。

 

「えぇ〜? マジかよ〜!」

 

あからさまに嫌がるシン。

これまで仲良し3人組でのんびりとやってきたシンにとって、

突然現れたアスランは目の上のタンコブ。

部活にOBがやって来たみたいなものです。

 

2人がそんなやりとりをしている間にも、

上空にはカオスとネオ率いる30機のウィンダムが。

いよいよ「インド洋の死闘」の火蓋が切って落とされました。

 

セイバー VS カオス

 

圧倒的な火力を誇るカオスには、

圧倒的な機動性を誇るでセイバー対抗します。

 

インパルス VS ネオ率いる30機のウィンダム

 

アスラン隊長、シンに面倒なところは全部押し付けます。

 

「こんなやつらにやられるか!」

 

圧倒的な数的不利をものともしないインパルス。

敵陣中央に突撃し次々と敵機を撃破していきます。

シンも腕を上げてきました。

 

「や、やられる!」

 

360度から包囲され一斉攻撃を受けるインパルス。

自ら前フリしておいて、しっかりと落とす。

シンも腕を上げてきました。(お笑いの)

 

「シン、出すぎだぞ、何をやっている!」

 

自分がつっこむ前にオチを付けちゃっているシンに、

ザフト一のツッコミであるアスランもおかんむりです。

 

「ヘン!文句言うだけだったら、誰だって」

 

指揮官の命令を「文句」の一言で片付けるシン。

今日も絶対的な階級組織である軍隊に一石を投じています。

凸凹コンビの受難はこれからも続いていきそうです。

 

迫り来る脅威は上空からだけではありません。

その名の通り、深海からミネルバへと忍び寄るアビス。

奪われた3機の中で、海上での戦闘で最も力を発揮するのが、

水中戦用のMAに変形できるこのアビス、最も警戒すべき存在です。

 

「……誰もいねえな、オイ」

 

それにも拘らず、上空にアビスの姿がないことを、

開発側でありながら何の疑問も感じてなかった艦長。

 

「レイとルナに水中戦の準備を!」

「え゛!?」

 

思わず自分の耳を疑うメイリンちゃん。

しかし確かに艦長はこう言いました。

「ルナに水中戦の準備を」と。

 

「ビームライフルではダメだ、バズーカを!」

 

水中戦用の武装に切り替えるレイ。

今回は水中戦なのでビームライフルは使えません。

 

「バ、バズーカ……?」

 

聞きなれない単語に動揺するルナマリアさん。

ライフルでもあれだけ当たらないのにバズーカ、

それも水中戦となると、その命中率は天文学的に低い数値に。

 

「……連続で起きないから奇跡っていうんですよ」

「今までのは奇跡なんかじゃない、奇跡はこれからだ!」

 

水中の凸凹コンビも受難が続きそうです。

 

「ひまだな〜」

 

のんびりと戦況を見つめるステラさん。

上空では次々と撃墜されている仲間のウィンダムの姿が。

 

(……ネオが危ない!)

 

ステラさんはニュータイプではありませんが、

直感でネオの危機を察知、急いで援護へ向かいます。

(実際のところ、ネオはピンピンしてます)

 

「とぉ!」

 

その場の勢いのままに跳躍。

しかし下は海。ガイアは泳げないはずですが、どうするのでしょうか?

 

「ニンニン、待っててねネオ!」

 

そう、これぞ忍法「アメンボの術」

右足が水面に付く前に左足を前に、左足が水面に付く前に右足を前に。

これを繰り返すことによって、水中を歩行することが可能になるのです。

ウソだと思う方は明日にでも近所の池で実行してください。(落ちても責任は持ちません)

 

「このぉ、調子に乗ってくれちゃって!」

 

水中では、ルナマリアさんがアビスを発見。

調子に乗ったことのない者の力、今こそ見せてやるときです。

 

「マイナス×マイナス=プラス!」

 

ごくわずかな可能性に賭け、放たれるバズーカ。

はたして結果は!?

 

「ハン、そんなんでこの僕をやろうって!?」

 

鼻で笑われました。

「あの赤いザクの攻撃は当たらない」と3バカの間でも有名なようです。

 

「なめんなよ、こらぁ!」

 

ルナマリアさんの必死の攻撃に逆上するアウル。

自分にザコを回されたのがよほど気に食わなかったようです。

 

「ひ、ひどい!なめてなんか……」

「……返す言葉も見つからない」

 

たとえやっている方は一生懸命でも、

実力が見合っていなければ失礼にあたることがあります。

 

「ネオをいじめちゃダメ〜!」

 

海面を爆走するガイア。

ネオのウィンダムを追撃するインパルスを発見。

 

「とぉ!」

 

そのまま水しぶきを上げて跳躍。

抜けるような青空の下、不釣合いな機影が一つ。

 

「飛んでる、ステラ飛んでるよ!」

 

大盛り上がりのステラさん。

そのままインパルスへ突撃します。

 

「ガイア!?」

 

突如視界に映った見覚えのある漆黒の機体。

すぐさま回避行動に移るが間に合わず。

 

「きゃあ、ステラ泳げない!」

「コラ!離せ!ガボゴボゴボ……」

 

そのまま2機はもつれあって海に落下。

もつれあい海です。

 

「はぁはぁ……死ぬかと思った……」

 

ずぶ濡れになりながら立ち上がるガイア。

ステラさん、なんとか溺死を逃れました。

 

「……それはこっちのセリフだ」

「うぅ……怖かったよぉ……」

 

落ちたところが浅瀬で助かりました。

 

「この犬っコロ、相手になってやるよ!」

 

ビームサーベルを構えるインパルス。

ここで会ったが百年目、ガイアとの戦いに今日こそ決着を付けます。

 

「犬じゃないもん! ……たぶん」

 

接近戦は望むところ。

MS形体に戻って対峙するガイア。

 

「シン、下がれ!乗せられてるぞ!」

 

飛べないガイアを相手に、高機動のインパルスが、

わざわざ地上で接近戦を仕掛ける必要性は皆無。

無駄に熱血しているシンを静めようとするアスラン。

 

「うるさい!やれる!」

 

しかし、チャンバラに熱中している子供を止める術はなく、

シンとステラさんによる、バカ宇宙一決定戦が開幕します。

 

近くの島に上陸して繰り広げられる死闘。

もはやインド洋はあまり関係なくなってきました。

 

「なんだ、ありゃ?」

 

島で基地建設のために強制労働させられていた現地民たち。

突如現れた2機のMSに建設中の基地は大混乱。

 

「基地? こんなところに? 建設中か?」

 

戦闘に熱中して気が付いたら知らない場所へ来ていたシン。

自覚症状がないまま周りに迷惑をかけるタイプです。

 

「止まれ、止まらなくても撃つぞ!」

 

この混乱に乗じて逃走しようとする労働者たちですが、

軍人たちが彼らに対しマシンガンを乱射して、逃走を阻止します。

 

「ぐふ!」「ぎゃん!」「げるぐぐ!」

 

マシンガンダンスの標的にされる労働者たち。

スタンガンダンス(by梅沢春人先生)より凶悪です、デストローイ!

 

アビスとルナの水中戦(ポロリもあるよ)も引き続き継続中。

一方的なアビスの攻撃をひたすらかわし続けるルナマリアさん。

 

「きゃあ!」

 

ミサイルがザクの左肩を直撃。

ルナマリアさんのザクの左腕がポロリ。

 

「これで勝ったと思わないことねえええええええ」

 

爆煙と捨てゼリフを残し、

インド洋の藻屑と消えるルナマリアさん。

 

「仇は取るぞ、ルナマリア!」

「勝手に殺すなああああ」

 

元より期待はしていませんでしたが、

やはり水中でアビスを相手にザクでは敵いません。

このまま2人ともやられてしまうのでしょうか。

 

「まだまだ行くよ〜!……って、あれ?」

 

一方、舞台は再び上空。

アスランと戯れていたネオですが、

気がつけば仲間のウィンダム30機はすでに全滅。

残っているのは3バカだけという状況になっていました。

 

「アウル、スティング、ステラ、離脱しろ!」

 

明らかに遅い判断。

やはり鷹は集団を指揮するのは苦手なようです。

 

「えっ?」

「どうして?」

「借りたウィンダムを全部壊した!」

 

借りるときに偉そうにした手前、これでは面目が立たない。

みんなで一緒に謝りに行けば怖くないという魂胆です。

 

「何やってんだよ、ボケ!」

「お前だって、大物は何も墜とせてないだろう」

 

一人冷静にネオの無能ぶりを罵るアウル。

それに対して大人気なく煽って反論するネオ。

こっちはこっちで隊長は部下になめられているようです。

 

「なら、やってやるさ!」

 

ネオの挑発に乗ったアウル。

ルナマリアさんたちに背を向け、大物へと狙いを変えます。

 

「何なの?」

「急用でもできたか?」

 

呆気にとられるルナマリアさんたち。

理由はどうあれ、危機は去ったようです。

 

「ていうか、私たちの立場は……」

 

取り残された小物2人。

 

「すみません、ちょっと通りますよ……」

 

アスランの命令を無視し基地を破壊していくインパルス。

基本的に軍人はいくら殺してもいいので、容赦ありません。

 

「ひ、ひいいぃぃ!」

 

そのまま民間人にも迫るインパルス。

ついにシンの隠された残虐性が明らかに!

 

「さあ、今のうちに!」

 

と思ったら、意外な行動に。

強制労働者と家族を分断していたフェンスを持ち上げるインパルス。

破壊の限りを尽くしていた大魔人ですが、実は優しかったのです。

 

「お兄ちゃん、ありがとう!」

 

大喜びで父親の元へ駆け寄る子供たち。

シンのおかげで現地民たちに自由と笑顔が戻りました。

(父親は職を失ったけど気にしない)

 

「坊主、両親と妹を大切にするんだぞ」

 

家族(妹)の大切さを誰よりも知っているシン。

彼らが自分と同じ悲劇を繰り返させずにすみ満足げです。

(何人かは射殺されていたけど気にしない)

 

こうして、シンと現地民たちは、

末永く幸せに暮らしましたとさ。

 

 

「めでたし、めでたし」

 

 

「……って、そんなワケあるか!」

 

アスランのノリツッコミが炸裂。

乾いたいい音が辺りに響き渡ります。

 

「……ぶったわ」

「……ぶったな」

 

高まる周囲の期待。

アレか、あのセリフが来るのか?

 

「フン、お約束のリアクションはしませんよ!」

(……あら、残念)

 

ぶたれても自分の非は意地でも認めないシン。

この子、反抗はしますが、反省はしません。 

 

「戦争はヒーローごっこじゃない!」

 

生意気なシンをさらに殴るアスラン。

修正どころか消去するかのような勢いです。

しかし仮にも16歳相手に「ヒーローごっこ」って。

シンを幼稚園児か何かだと思っているようです。

 

「自分だけで勝手な判断をするな!」

 

SEEDの最終回のジェネシス破壊や

先日のユニウスセブン破砕作業のときに、

自分一人残ったことはすっかり忘却の彼方のアスラン。

 

「力を持つ者なら、その力を自覚しろ!」

 

しかし、アスランもシンが憎くてこんなことを言っているのではありません。

先の大戦で自分も同じような立場を経験しており、

また力の使い方を誤って死んでいった者を多く見ているのです。

 

そう、これはアスランがシンの力を認めているがゆえの愛のムチなのです。

 

「……あの〜、力を持たぬ者はどうすれば?」

「……………」

 

 

続く。