ひろみとベキ子の横浜珍道中

 

「エースをねらえ!」ドラマレビュー 第6話・後編@

 

ベキ子(宝力)に強引に誘われ、

横浜中華街にやって来たひろみとベキ子。

 

「岡さんは、プロになったら何がしたい?」

「そんな先の事聞かれても……

 

「ウソ、だったらどうして、選考会なんて出てんのよ?」

「それは……

「プロになる気が無いんなら、出ても意味ないじゃない!」

 

ひろみ、ベキ子に痛い所を突かれます。

 

「あ、岡さん、あれ!」

 

突然、何かを発見し、走り出すベキ子。

 

 「あ〜ん、可愛い〜♪」

 

一体、何を見つけたのでしょうか?

 

「すみません、これいくらですか?」

「ペアで千円です」

 

なんですか、これは?

これも携帯ストラップにするのでしょうか?

 

「でも、それって……」

 

「1つは彼にあげるの」

 

「彼?宝力さん彼氏いんの?」

「決まってるじゃない、岡さんいないの?」

 

「私は……

 

「恋をしても溺れるな」

 

 (な、何?今の?)

 

どうやら、ひろみは恋愛の話になると、

宗方コーチの声が、頭の中に響いてくるようです。

 

……すごく嫌な能力ですね。

 

その事をベキ子に話すと、

 

「へぇ、コーチがそんな事をねー。

もしかして、あなたに気があるんじゃないの?

 

(な、何て恐ろしい事を……)

 

 「そ、そ、そんな、まさか……」

 

動揺するひろみ。

 

「じゃあ、何でそんな事言うのよ。それ以外考えられる?」

「それは…今は大事な時だから、テニスに集中しろって」

 

「何よそれ!」

 

(うわ、あっさり否定……)

 

「はっきり言って、私、今まで、

テニスのために、恋を犠牲にした事なんて一度もないわよ。

それでこれまで上手くやって来た、これからもそうするつもり。

 

大体、何でコーチにプライベートまで干渉されなきゃならない訳?

 テニスはテニス、恋愛は恋愛じゃない!」

 

「でも、コーチが……

 

「また出た!」

「え?」

 

「岡さん、あなた二言目にはコーチコーチって。

あなた、コーチのためにテニスをやってるわけ?」

 

「それは

「そうやって、コーチに頼りきってるから、

向こうもあれこれ言ってくるのよ」

 

「でも、それはあたしのためを思って……

「いい、選手はコーチの操り人形じゃないのよ。

主役はあくまでも自分。何事もコーチ任せじゃ、

あなた、このまま一生コーチの言いなりよ!

 

(そ、それは嫌だ!)

 

結局、ベキ子に言いたい放題言われてしまった。

 

「テニスはテニス、恋愛は恋愛じゃない」

 

ベキ子の言葉がひろみの脳裏をよぎる。

 

街には、カップルが。

 

それと、バカップルが。

 

(大勢の前で、恥ずかしくないのかな……)

 

大勢の前で……

 

(は、恥ずかしい!)

 

結局、心にモヤモヤだけが残った、ひろみの横浜珍道中でした。

 

 

翌日

 

「お前だったら知ってるだろ、あの2人の事」

 

ひろみが廊下を歩いていると、教室から千葉の声が、

 

 (何だ?何だ?)

 

こっそり覗くひろみ。

 

「藤堂と岡君の事」

「ああ、何かあったのか?あの2人」

 

(あたし達に何があったの?)

 

本人も気になる。

 

「藤堂、岡君の事が好きなんだよ」

 

「ああ!」

 

(廊下まで聞こえる声で言うなよ!)

 

「だったら、何で避けるようなマネするんだよ?」

「止められてるんだよ」

 

「止められてる?何を?」

 

「宗方さんに。

男なら女の成長を妨げるような愛し方はするなってさ」

 

(コーチがそんな事を……

ていうか、何で尾崎が知ってるの?)

 

「それで、藤堂は黙って従っているのか?」

「仕方がないだろう。

宗方さんは本気で岡君を世界に送り出そうとしている。

 藤堂もその事がわかっているんだよ」

 

 

「ガタン!」

 

!?

 

「バケツ?」

「雑巾?」

 

(つい、隠れちゃった……)

 

「何故、バケツがこんな所に?」

「俺たちに何か用なのか?」

 

(あと、掃除は任せた!)

 

 

 

――――その夜

 

 

「サーブの調子が良くないの。

もしよかったら、見てくれないかなと思って……

 

蘭子の電話の相手は……

 

久しぶりに登場、宗方コーチ。

 

久しぶりに宗方コーチと2人っきりになり、昔を思い出す蘭子。

 

中学生の頃の蘭子。

 

髪型が違うだけで、ずいぶん違って見えますね。

 

「コンプレックスが何だ。

その目でしっかり自分を見ろ!」

 

全然変わっていない、宗方コーチ。

 

「い、いや……」

 

「人より少しぐらい背が高いのが何だ!」

 

「そんなに苦しいなら、

その背の高さをテニスに活かせ!」

 

この言葉が、後の「弾丸サーブのお蘭」を生むことに。

 

その日から、2人の特訓が始まった。

 

2人の特訓が……

 

2人の……

 

……何だコレ?

 

 「お母さん、私、好きな人ができたの。

テニスの先生でね……」

 

「宗方仁って言う人」

 

ガシャーン!

 

突然、お母さんが固まった。

 

「……ダメよ、蘭子。

いけない、その人だけは……」

「え?」

 

 「だって、その人はあなたの……」

 

(私の?)

 

(兄だった……)

 

 「どうした?」

 

お兄ちゃんが不思議がってます。

 

「ねえ仁、あたしの事恨んでる?」

「恨む?」

  

「私の母は、あなたのお母さんから愛する夫を奪った。

 もし、あたしの母があんな事をしなければ、

あなたのお母さんは、今だって死なずに……

 

お母さんの話題になると、寂しそうな宗方コーチ。

 

「ねえ、答えて。

あなた、私の事恨んでるんでしょ?」

 

「俺がお前を恨む?たとえ俺が、

お前の母親を恨んでいたとしても、お前に何の罪がある」

 

「じゃあ、どうして?

どうして、私じゃなくて岡さんなの?」

 

「……………」

 

答えられない宗方コーチ。

 

……わかったわ、それがあなたの答えね。だったら、私は、

あなたがその全てを注いだ、岡ひろみを叩きのめす!

彼女を倒す事で、あなたへの思いを証明してみせる」

 

(た、叩きのめすのか!?)

 

 

 

 

……そんな2人の会話を知らないひろみは、

 

「……………」

 

(強くなるんだよ、テニスで、僕も負けない)

 

「藤堂さん…」

 

「恋をしても、溺れるな。一気に燃え上がり、

燃え尽きるような恋は決してするな

 

藤堂の事を考えると、同時に頭の中に響いてくる宗方コーチの声。

 

病気はかなり深刻なようです。

 

「テニスのために、恋を犠牲にした事なんて一度もないわよ」

 

「恋」という単語を思い浮かべただけで……

 

「やる以上はトップを、世界を目指せ!」

 

同時に頭の中に響いてくる宗方コーチの声。

 

(明日、病院行こう……)

 

 

 

 

――――翌日

 

病院には行かずに、練習。

 

「遅い!もっと走れ!」

 

(人の気も知らないで……)

 

(蘭子に叩きのめされてたまるか!)

 

「コースが甘い!」

 

「集中しろ!」

 

宗方コーチのしゃがみボレー!

 

「うわ、下段攻撃!?」

 

ひろみ、KO。

 

「どうしたぁ!

そんな事で世界に通用すると思ってんのか!」

 

ひろみイライラゲージ

MAX □□□□■■ MIN

 

「世界はそんなに甘くないぞ!」

 

ひろみイライラゲージ

MAX □□■■■■ MIN

 

「その程度で音をあげるな、あと100本!

 

ひろみイライラゲージ

MAX ■■■■■■ MIN

 

ついに、ひろみのイライラが頂点に!

 

 イヤです!」

 

「……何?」

 

「世界ってそんなに大切ですか?」

 

「何だと……」

 

「世界で勝つ事、

それがあたしのテニスなんですか?」

 

(多分……)

 

「あたしは世界なんて、一度も望んだ覚えはない。

 なのに、みんな世界世界ってどんどん進んでいって、

 

どうして、あたしの事無視するんですか!

あたしの事、勝手に決めないでください!」

 

「強くなりたい、そう言ったのはお前だ。

 その言葉は嘘だったのか!?」

 

「嘘じゃない!

だけど、こんな形を望んだんじゃない!」

 

「甘えるな!

苦しみを避けていて強くなれるか!」

 

 

 

 

……決まった。

 

今までのひろみなら、これでしぶしぶ練習に戻るのですが、

 

「そんなに世界に行きたければ、

コーチが自分でやればいい!」

 

今日のひろみは、とことん反抗します。

 

(……その手があったか!)

 

練習から逃げ出すひろみ。

 

(……いや、よく考えたら、

年齢が違うからユースは無理だ!)

 

シャワー室に逃げ込んだひろみ。

 

「もうヤダよ……」

 

合宿での「離さない!」発言以来、

2度目の_||

 

 

ひろみは立ち直る事が出来るのでしょうか?

 

後編Aへ

 

トップへ ホームへ