伯方島には砂浜の海岸があった。
ザックを降ろし、靴を脱いで海岸に寝そべる。
近くには海水浴場もあるが、人は少なく、
今、僕たちのいる砂浜も他には誰もいない。
波の音を聞く、風を感じる、
瞼を閉じても太陽の光と暖かさを感じる。
時間が止まってしまったのかと錯覚するくらいに
おだやかにゆっくりと時間が流れている。
このまま・・・・このまま・・・・・、
ずっと、このままでいいと、そう思っていた。
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どのくらい時間が流れただろう。
ぽつぽつと小雨が降り出した。
神様がそろそろ泊まる所探しなさいと
言ったような気がした。
今、僕たちのいる伯方島の海岸からは隣の大島が見える。
その大島と伯方島を繋ぐ伯方大島大橋も見える。
その橋の中程、橋桁の下に小さな島がある。
人は橋からその島へ降りる事が出来るが車は進入できない。
人は一人も住んでいない。
そう、そこが陸路で行ける無人島「見近島」なのだ
僕たちは橋を歩き出した。陸路で無人島へ行く。ちょっと変だけどいいんじゃないかと思った。