因島にはたくさんの漁船が停泊していた。
瀬戸内海の無人島に渡る方法は二つ。
一つは海上タクシー、もう一つは漁船の
船長さんに頼んで渡してもらうことだ。
僕は海上タクシーを使うつもりだった。
実は、その日はお盆休みの最中でそんな時に
見ず知らずの僕たちがそんなお願いをして
いいものかとそんな事を考えていたからだ。
近所のホテルのフロントで海上タクシーの会社の
電話番号を聞いて、かけてみた。
「どこでも行きますよ!」
海上タクシーの担当者はあっさりとそう答えてくれた。
無人島ってそんなに簡単に行けるのか?
僕はちょっとあっけなく感じていた。しかし・・・
正直、驚いた・・・。
無人島に渡るのに5万円、そこに泊まって
迎えに来てもらうのに、また5万円。
合わせて10万円必要なのだ。そんな金は無かった・・・。
僕たちは途方に暮れていた。
僕が行きたかった島は「ひょうたん島」と言う。
NHKのひょっこりひょうたん島と同じで本当にひょうたんの形をしている。
無人で野生のうさぎや鹿が住んでいる。
そこに行きたかった。
と、考えていても仕方が無いので神社の境内で食事をした。
こうゆう状況ではとりあえず空腹でも満たせば新たな考えが出てくるものだ。
食事をしてから、もう一つの無人島候補地へ行く事で話がまとまった。
ひょうたん島でなくとも、もっと簡単に行ける無人島がある。
そこは、ここ因島から生口島、大三島、伯方島と経由した先にある。
僕たちは陸路と海路を乗り継いで伯方島へと辿り着いた。