のどかで暖かいある日。

ここはマジマジワールドにあるラムネスの部屋。

ここでラムネスとミルクは二人仲良く、日本茶をすすりながら、のほほ〜んとしていた。

「ずずずず〜っ・・・。はぁ〜っ、お茶がうまいねぇ〜、ミルク。」

「ずずずず〜っ・・・。ほぉ〜っ、ホントにおいしいね、ラムネス〜。」

などと、最近の10代の若者にはめずらしい時間を過ごしていると、


コン、コン、コン。


と、窓ガラスをたたく音が。

「何だろ?」

ラムネスが窓をのぞきに行くと、


にゅっ。


と、いきなり二人の人影が顔を出してきた。

「だわわわわ〜っ!!」

ビックリしてひっくり返るラムネスに、ミルクも驚いた。

「どどどどどしたの? ラムネス・・・あ〜っ!」

ミルクが窓の方を見ると、そこには見たことのある男女の姿が。

シロップとアップルの二人であった。

EX2の事件以来の再開に、ラムネスとミルクは二人の再会を歓迎した。

「わー、しばらく〜。今日は二人でどうしたの?」

「ホント、びっくりしたよ。わざわざオレの部屋の窓から入ってくることないのに〜。」

「そうなのか? ダ・サイダー殿はここから入ったと言っていたのだが・・・。」

きょとんとした顔でシロップが答える。

「アイツ・・・、いらんことを・・・。ま、それはともかく、今日はどういった用事でオレの世界まで来たわけ?」

すると、いきなりシロップは姿勢を直し、

「今回はあの時の事件のお礼を改めてしようと思いラムネス殿のお宅へおじゃましたのだ。

 あの時は色々とごたごたしていたのでな。

 ラムネス殿、改めてユラユラ銀河帝国を代表してお礼を言います。本当にありがとうございます。」

と、深々と頭を下げた。

「ありがとうございます。」

シロップに続いて、アップルも頭を下げる。

「それで、お礼の品なのですが・・・。」

「いや〜、もういいって、いいって! あの時のことは、あれでおしまい!

 改めてお礼なんて照れくさいし、お礼の品なんてのもいらないから、気をつかわないでよ!」

と、ラムネス。

「お礼はともかくさ、今日二人はそれだけのためにわざわざオレの家まで来たのかい?」

「そ、そうだが・・・。」

「ええ、今日はそのために来ました。」

ラムネスに質問に二人が答えた。すると、ミルクが

「ね、ね、それじゃもう用事は済んだんでしょ? せっかくはるばる来てくれたんだから、

 泊まっていきなさいよ! いいでしょ? シロップ、アップル!」

「い、いや、そんなつもりは・・・。」

いきなりのミルクの提案に遠慮がちなシロップ。とは、対照的に、

「え! いいんですか!? わ〜、私、一度こっちの世界を観光したかったんですぅ〜!

 せっかくミルク姫がこうおっしゃてるんですし、お言葉に甘えませんか? シロップ様!」

と目をキラキラさせるアップル。

「そうか? じゃあ、1泊だけお言葉に甘えるか。ミルク姫、お世話になります。」

と、あっさりシロップも泊まりを決める。

「決まりね! やった〜!」

シロップたちが泊まることが決まり、大ハシャギのミルク。

「あの〜、ここはオレの家なんだケド・・・。」



 マジマジワールドを楽しんだシロップとアップルの二人は翌日、ユラユラ銀河帝国へと帰っていった。

そして、それから1週間後。

ラムネスとミルクはまた二人で日本茶をすすりながら、のほほ〜んとしていた。

「ずずずず〜っ。こないだは楽しかったね、ラムネス!」

「ずずずず〜っ。そうだな、結構楽しんでもらえたようで良かったよ。」

などと、再び10代の若者には珍しい時間を過ごしていると、


コン、コン、コン。


先週と同じく、窓の方からたたく音が。

「またか、何だろ?」

ラムネスがのぞきに行くと、


にゅっ。


といきなり誰かが顔を出してきた。

「だわわわわ〜っ!!!・・・と二度も驚かないぞ! あれ?」

前回は窓をのぞいていたのはシロップとアップルの二人だったが、今回は一人。

その人はアップルだった。

「あれ、どうしたんだい、アップル? 今日は一人で。」

「あの・・・、シロップ様がこちらにおじゃましていませんか?」

アップルの質問にきょとんとするラムネスとミルク。

「ううん、シロップは来てないけど、何かあったの?」

心配な表情でミルクがたずねる。

「はい、じつは5日前にシロップ様の部屋にこんな置き手紙が・・・。」

そう言って、アップルは一枚の紙を取り出した。

手紙には、


     ちょっと出かけてきます。すぐに戻ります。


とだけ、書かれていた。

「『すぐに戻る』と書かれてあるのに、もう5日も戻られていないんです。

 先日、ラムネス様のお宅におじゃました時に、シロップ様がCDとCDラジカセをラムネス様から

 お借りしたことを思い出しまして、それを返しにこちらへ来られたのでは、と思ったのですが・・・。」

「いあ、来てないなあ。お城の人の誰かに行き先を告げてるってことはないのかい?」

「シロップ様がどこへ行かれたのか、知っている者はいませんでした。もう、5日も連絡が無くて・・・。

 もし、シロップ様に何かあったらと思うと・・・。うぅっ・・。」

アップルは泣き出してしまう。

「泣かないで、アップル。ラムネス、シロップを探すのを手伝いましょうよ!」

「う〜ん、もちろんそうしたいんだけど、手がかりが何も無いとなると・・・、難しいぞ〜。」

腕組みをして考えるラムネスにミルクが、

「そうだ! こういう時はココアお姉様に何か役立つものを作ってもらいましょ!

 『ラムネ&40』って何でもアリだから、きっと、シロップの行方を探せるものを作ってくれるはずだわ!」

と、身もフタもないことを提案。

「う〜ん、『何でもアリ』ってのが少し引っ掛かるケド、それしかないか。

 よし、アララ城へ行こう。アップルもいっしょに。」

「は、はい。」



 あっという間に、ここはアララ城のココア専用工房。

ミルクはアップルの事情をココアに説明した。

「・・・という訳なの。何か作れる?お姉様。」

「え〜と、要するに〜、シロップさんが〜、どこへ行ってしまったかがわかればいいんですね〜。

 では〜、30分ほどお待ちくださいまし〜。」

ココアはそう言うと、机に向かって何かを作り始めた。


30分後。

「できましたわ〜。」

完成したものを見てみると、それはティッシュ箱大のさほど大きくはない機械だった。

オルゴールのようにフタが開き、フタの内側にはモニターがついていた。

それと箱とは別に、野球ボールサイズの発信機があった。

「名付けて、行方調査メカ『ミーハーちゃん』です〜」

「相変わらず、名前のセンスがわからない・・・。」

頭を抱えるラムネスをよそに、ココアが機能を説明する。

「この箱の中に、探したい人が触れたことのあるものを入れますと〜、発信機が飛び出しまして〜、

 その人がどこにいるかを追跡する様子がこのモニターで表示されます〜。

 アップルさん、何かシロップさんが触れたことのある物を持ってませんか〜?」

「は、はい。これなんかどうでしょうか?」

アップルがポケットから取り出したのは赤い色のガラス玉だった。

このガラス玉はシロップとアップルの思い出の品で、二人が幼い頃、一緒に遊ぶための待ち合わせや

メッセージ代わりに使われたものだった。

そして、二人が大きくなって再開したとき、二人の距離を縮めるきっかけとなるものとなった。

(詳しくは小説EX2をお読みください)

ガラス玉は赤と白の二つがあり、今はこのガラス玉を1個ずつそれぞれが持つようにしていた。

白のガラス玉をシロップが、赤のガラス玉をアップルが持っていた。

その話を聞いたミルクは、

「いいな〜、アップルは〜。ラムネスぅ〜、私もあんな風にしたいなー。」

と、うらやましさ120%の表情でラムネスに訴える。

「い、今はそんな場合じゃないだろっ! ささっ、アップル! 早くそのガラス玉を!」

ごまかすかのように、ラムネスはアップルにガラス玉を『ミーハーちゃん』に入れるよう、すすめる。

「は、はい。では・・・。」

アップルは『ミーハーちゃん』に赤のガラス玉を入れた。

「よろしいですか〜。では、ぽちっとな〜。」

ココアが『ミーハーちゃん』のスイッチを入れると・・・


シュバババババッ。


と、すごい勢いで、あっという間に天井を突き破って、ボール型の発信機が飛び出した。

「あ〜あ、天井に穴あけちゃって・・・。カフェオレお姉様、また怒るわよー・・・。」

ミルクがポカンと天井を見つめながら言った。

「ま〜ま〜、気にしないで〜。ほら、モニターに探索している様子が映し出されてますわよ〜。」

4人がモニターを覗き込むと、そこにはドキドキスペースの映像が映し出されていた。

映像の様子からすると、いちもくさんにどこかの場所へと向かっているようだ。

「う〜ん、どこへ行くんだろうなー。しばらく様子をみてみるか・・・。」

そして、ラムネスの言ったとおりしばらくすると、発信機の映像がどこかの星へ落ちていく様子が映し出された。

「ここはどこかしら? お姉様、わかるー?」

「はいはい〜。今調べます〜。・・・この位置はベルベルワールドですわね〜。」

「ベルベルワールド? どういう場所なんだい、ココア?」

「ベルベルワールドは、楽器作りなど、音楽に関する産業が盛んなのどかな星です〜。」

ココアの話によると、このベルベルワールドはいたって平和な星で、

ゴブーリキの魔の手も及ばなかった、数少ないところらしい。

「どうして、シロップ様がここへ行ったのかはわからないけれど、

 危険なところへ行ってなくて本当によかった・・・。」

ようやく、アップルに安堵の表情が。

「よしっ! じゃあ、そのベルベルワールドに早速行ってみよう! アップル、オレとミルクも一緒に行くよ。」

「ありがとうございます、ラムネス様。一度だけでなく、またお世話になってしまいまして・・・。」

「いいのいいの! 水くさいことは言わないの! 困った時はお互い様! なっ、ミルク!」

「そうそう、遠慮しないの! 行きましょ!」

「ありがとう・・・ございます・・・。」

「もぅ、また泣かないの!シロップと会ってから泣きなさい! ほらほら!」

嬉し涙をぽろぽろ流すアップルを連れ、3人はベルベルワールドへと向かった。



                        <後編へ 続く・・・>










 いかがでしたでしょうか、小説第4弾。
ムダに長くなってしまい、前後編に分けないといけなくなってしまいました。
ここまでお付き合いくださいまして、まことに感謝しております。


今回の『星に願いを』はシロップ&アップルをメインにしようと思って書きましたが、どうでしょうか?
あまり、この二人をメインにした小説は少ないと思って書いてはみたものの・・・難しかったですね。
他に例が少ない分、苦労しました。


そして後編はどうなるのやら・・・と引っ張るほどの内容ではないので、
あまり大きな期待はなさらぬよう、お願いいたします。
それでは、後編もよろしければ、またお付き合いくださいませ。








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星に願いを (前編)