それは、夏の暑い日。

その日は日差しがギンギンでうだるような暑さだった。

そんな日のハラハラワールド。



 ここはアララ城。

その城の庭の木陰で一人、この暑さでぐったりとしている男がいた。

ダ・サイダーである。

「あぢぃ〜。あぢ〜な〜。なんでまた今日はこんなに暑いのだぁ!?」

そんなところに、日傘を差している一人の女性が近づいてきた。

レスカであった。

「なにこんな所で一人ぐったりしてるの、ダ・サイダー。」

「今日は非番で暇な上に、この異常な暑さだ。そりゃ、さすがのオレ様でもぐったりするっつーの。

 ホレ、あの花壇のひまわりもヒマしとるだろ〜。」

この暑さでもダジャレを言う元気はあるようで・・・。

「アホ・・・。この暑さであんたの脳ミソも溶けちゃったんじゃないの!?」

「溶けとらんわっ!!」

いつもの二人のやりとり。平和だねぇ・・・。

「ところでレスカ、お前、どっか行くのか?」

レスカの出かける服装にようやく気付いたダ・サイダーが尋ねる。

「もうすぐココアの誕生日でしょ。それでそのためのプレゼントを買いに・・・・という口実で、

 街に買い物へでも行こうと思ってるんだけど。

 だって、この暑さの中じゃ、仕事ばっかりやってらんないでしょ!」

この異常な暑さにレスカも仕事から逃げ出したくなったようで。

「ふ〜む、街へ行くのか・・・。よしっ、オレ様も行くぜっ!」

そう言うと、ダ・サイダーはすくっと立ち上がった。

「へっ!? あんたも行くの?」

「悪いか?」

「い、いや別に・・・。」

ダ・サイダーの突然の発言に驚くレスカだったが、内心はとても喜んでいた。

「よしっ、じゃあ行くか、レスカ。かあいいものを探しに買い物へ出発だっ!」


ズガッ!


「ぐえっ!!」

ダ・サイダーの頭にレスカの日傘が突き刺さった。

その場にバタッと倒れるダ・サイダー。

「そのダジャレ、『EX』でやっただろうがっ、ボケ!!」

レスカはプンスカ怒りながら、一人スタスタと先に街へ行ってしまった。

「・・・いって〜な! 良いダジャレは何度言っても良いもんだろうか・・・っておいコラ、待たんか〜っ!」

先行くレスカをダ・サイダーは慌てて追いかけ、二人は城下の街へと行った。



街はこの暑さにもかかわらず、人でいっぱいだった。

人の波をかき分けて進んでいくと、レスカが一つの屋台を発見した。

それは屋根に『FLOWER SHOP』と書かれた、花売りの屋台だった。

「花かぁ・・・。ねぇ、ちょっと見ていきましょうよ、ダ・サイダー。」

が、ダ・サイダーの姿は無い。どうやらはぐれてしまったようだ。

「あれ? はぐれちゃったか・・・。ま、いっか。そのうち見つかるでしょ。」

ダ・サイダーを探すのをあっさりと諦めて、レスカはその花売りの屋台へと足をはこんだ。

「ちょっと見せてもらってもいいかしら。」

レスカの声に反応して、その花売りの屋台の女の子が振り向いた。

「あっ、いらしゃいませ〜! どうぞ、ご覧になっていってください!」

そこには見たこともない綺麗な花が数十種類も並んでいた。

「へぇ〜、見たこともない花がいっぱいね。ねぇ、これってここら辺の花じゃないんでしょ?」

「はいっ、ハナハナワールドで育った花なんですよ〜!」

「ハッ、ハナハナワールド〜!?」

その名前を聞いてレスカは後ずさりをした。

そう、ハナハナワールドに生息する植物はみんな何らかの形で爆発するという、恐ろしいものなのだ。

3年前、七色の石板探索のために、一度ハナハナワールドを訪れているレスカを含めた勇者一行は、

この星の花でかなり痛い目にあっていた。

その時の恐怖がレスカの頭をよぎったのだ。

「ま、ま、まさか、この花たちも爆発するんじゃないでしょうね!?」

ビビリながらレスカは女の子に聞いてみると、

「あ、いえいえ。この花たちはハナハナワールドで新たに植えて育ったものなので、爆発はしませんよ〜!

 あそこは花を育てるのにとてもいい環境なんですよ〜。」

と、笑顔で答えてくれた。

「ふぃ〜、やれやれ・・・。驚かさないでよ〜・・・。」

レスカの額は冷や汗でびっしょりになっていた。

気を取り直して、レスカは花を選ぶことにした。

「う〜ん、どれがいいかしら・・・。」

「こちらのお花なんて、いかがでしょうか?」

そう言って、花売りの女の子が取り出したのは、小さなひまわりの花束だった。

「あら、ひまわりなら、うちの庭の花壇にも咲いてるけど。」

レスカがそう言うと、花売りの女の子がにっこりと微笑みながら説明をしてくれた。

「いえいえ、普通のひまわりじゃないんですよ〜。これはですね、『恋愛ひまわり』って言いまして、

 このひまわりを異性の人に渡すと、その人が恋愛対象として自分のことをどう思っているのかが

 わかるんですよ〜。」

「へぇ〜、どうやってわかるの?」

恋愛ひまわりをまじまじと見つめながらレスカが尋ねた。

「相手があなたの事を好きならば、花びらが黄色く光るんです。

 逆に嫌いならば、花びらが赤く光るんですよ。

 しかも、好き嫌いの想いの強さによって、光具合の強弱も変わるんです。

 例えば、少し好きなら黄色くぼんやりと光って、大嫌いならば赤くキラキラ光るんです。すごいでしょ〜。

 あ、ちなみに相手が恋愛対象として別に何とも思ってなければ、何にも光らない普通のひまわりなんですけどね。

 いかがですか?」

「ふ〜ん、恋愛対象の相手にねぇ・・・。」

この話を聞いたレスカは、一人の男性にこの花束を渡してみたくなった。

その男性とはもちろん、あの男だ。

こんな小さな花束一つで、本当にそこまでわかるのかという疑問があったが、試しにやってみたくなったのだ。

たとえ、その結果がどうであれ、それで運命が決まってしまうわけではないから。

「じゃあ、これを一つもらおうかな。いくらなの?」

「あ、これはお代は結構ですよ〜。はい、どうぞ〜。彼氏にでもあげるんですか?」

そう女の子に言われると、レスカは顔を真っ赤にしながら、

「べ、べ、べ、別に彼氏にとかじゃなくて、その、ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと遊びでね、遊びで。

 あ、タダなのね? それじゃコレ、もらっていくから。どうもありがと!」

と言って、足早に花売りの屋台を後にした。



気が付くと、時刻はもう夕方になっていた。

レスカは小さなひまわりの花束を片手に持ち、はぐれてしまったダ・サイダーを探して街を歩いていた。

すると背後から、

「おぅ、レスカここにいたのか。」

と、ダ・サイダーの声が。

「あ、ダ・サイダー! どこにいたのよ!」

「悪りぃ、ちょっと寄ってた所があったんでな。

 それはそうとレスカ、お前に渡したい物があるんだ。」

「え? 偶然ねぇ、私もあんたに渡したものがあるんだけど。」

「お? そーなのか。それじゃ、せーので投げて渡すか。落とすなよ。」

「いいわよ。あんたこそ、落とさないでね。それじゃぁ・・・」


『せーのっ!』


ぽーん。

それぞれの投げたものが相手の手元に渡った。


バサッ。

バサッ。


「お?」

自分の手元へ渡ったものを見て驚くダ・サイダー。

「え?」

同じく驚くレスカ。

それぞれの手元に投げ渡されたものは、どちらも同じあのひまわりだった。

すると、二つのひまわりの花束からそれぞれ・・・


パアァァァァッ!


黄色くまばゆい光が、お互いのひまわりから放たれていた。


(こいつは・・・)

(恋愛・・・ひまわり・・・?)


そしてしばらくすると、ひまわりから放たれていた光が徐々に消えていった。

二人はひまわりを見つめたまま、何も言わずに立ちつくしていた。

しばらくして顔を上げると、お互いの目が合ってしまった。

今度は顔を赤くしながらまた二人とも下を向いていた。

「か、帰ろっか、ダ・サイダー。」

「お、おう・・・。」

二人はそれぞれのひまわりの花束を片手に、アララ城へと帰っていった。

いつのまにかわからないが、腕を組みながら・・・。

そんな夏の日。










 いかがでしたでしょうか? へっぽこ小説第2弾。
前作よりは短くなったものの、内容は相変わらずさっぱりでしたね。
今回も最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございます。

今回のお話も、何を書いてるのか、何が書きたかったのか、
よくわからない内容になってしまったと思います。

そして、次の小説は、いつになるかはわかりませんが、
TOP絵と同じく、
とりあえず、下手なりに書いて行こうとは思っておりますので、
よろしくお願い致します。








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ひまわり 第2章