プロローグ
いつものように朝起きる。時計を見ていつもより五分早いことを確認し、下に下りた。
朝ご飯はいつもパンだ。食べ終わり、歯を磨き、顔を洗って髪の毛をセットした。
ここまでは毎日の儀式のようなものだ。高校に行く準備も整い、自転車に乗り、駅に向かう。
今日はいつもより人が少ないようだ。少し違和感を感じる。
いつも見かける通勤のサラリーマンや、同じ電車に乗る違う学校の生徒もいない。
良く考えると周りにいつもと違う風景があることにきづいた。明るさも違うようだ。電車が入ってくる音。
いつも乗る3番ホームから聞こえてくる。そんなはずはない。あの電車は45分発だからあと5分ある。
まだ入ってくるはずがない。時計が壊れているのか、自分の時計は確かに40分と表示してある。
駅の大きな時計は、あれは正確なはず。40分を指している。あっている。電車の時刻が変わったのか。
大きな時計が狂うはずは・・・えっ!!
一瞬時空が自分の前を猛スピードで通りぬける感覚に襲われた。
夢?いや現実だ。駅の時計を見て、はじめて気づく時間のずれ。
今は7時40分じゃなく。8時40分?だった。
ちょうど1時間のずれ、まさに時間にいたずらされた気分だ。
えっいつから?起きたときにはもうずれていたのだろうか。
現実でいてどこか夢のような不思議な感覚だった・・・
本当に不思議な体験だった。もうすることはないだろう。
しかし、3年後に再びあの感覚に囚われるとは・・・