訳もわからず下に下りていくと、父と兄はもう仕事に出かけていた。

母はいつも通り寝ているだろう。ペットのマルチーズが飛び跳ねながら足でしゃかしゃかしてくる。

「おはよー、ラブ。」

ラブは、ペットの名前だ。とりあえず新聞を探した。

・・・1997年4月10日月曜日・・・

いつもはあまり注目しない日付が大きく見えた。

1997年?今年は2002年のはず、何が起こったのだ。5年前に来てしまったのか。

バック・テゥー・ザ・フューチャーで車が加速し過去にワープする映像がよぎった。

あれは映画の世界だ。現実には起こり得ない。だから面白いし、過去や未来に行ってみたいと思ったものだ。

しかし今起こっている状況を前にして、よろこびという感情はどこか牢獄にでも閉じ込められたようだ。

ショックのあまり新聞を見つめたまま、ここまでの経緯や起こり得ない可能性について考えていた。

ふと我に返りそそくさと服を着替え(もちろん私服)、家を出て、通学に使っている車を見に、

月極駐車場に向かった。

・・・ない!!・・・                      続け