
函商新世紀に寄せて
北海道函館商業高等学校
校長 海老子 格行
本校は、明治19年に北海道最初の商業学校として開校して以来、激動と混乱の時代を経ながら115年の年輪を刻んでまいりました。
そして今、新世紀の幕開けと同時に新校舎落成記念の大きな節目を迎えることができましたことは、誠に慶祝に堪えないところです。
函館市民の期待を集めて元町に誕生した本校も、廃校の危機や火災という悲運に見舞われましたが、そのたびに不屈の信念で乗り越え、「士魂商才」の精神を身につけた商業人を世に送り続けました。
しかし、大正11年に三度目の火災を転機として、新天地を五稜郭の懐に抱かれた五稜ヶ丘校舎に開き、新たなページを記すことになります。この時代には、地域経済や産業社会の発展に寄与できる多様な人材を輩出し、「五稜ヶ丘の浅みどり」の校舎で学んだ卒業生の母校に対する熱い思いには胸を打たれるものを感じます。
さらに、昭和45年には生徒数の増加によって、手狭になった五稜郭を離れ、近代的な施設・設備を有する商業高校への躍進を目指し、現在の地、昭和へ三度目の移転をしました。その慣れ親しまれた初代昭和校舎も次第に傷みが目立ち始め、25年の歳月を経て校舎改築促進期成会が設立され、改築の気運が高まりました。
この度、関係各位のご支援により、異例の早さで近代的な設備をもつ重厚な2代昭和校舎が新築されましたことは、誠にありがたく、本校のさらなる隆昌を確信する次第です。今後は教職員が一丸となり、地域に根ざした学校づくりと、豊かな心と高い問題解決能力を身につけた生徒の育成に努めるとともに、函館地区の商業教育の拠点校として、学科の特色を生かした教育を推進していく覚悟です。
この日を迎えるに当たり、協賛会が設立され、その事業の一環として記念誌を発刊する運びとなりました事は、大変意義深いものがあります。発刊にご尽力くださいましたすべての方々に深甚なる謝意を表しまして、ご挨拶といたします。 |