品質マニュアルを無料で公開:豊田システム研究所


品質方針は、会社が勝手に決めるものではない

 品質方針とは組織の品質に関するゴール(方向性)を示すものです。組織にとってのゴールは「まさに顧客の要求事項を満たした製品を一貫して提供している状態」です。ただ、そのゴールの状態をわかりやすく、例えば数字で表したようなものは組織によって異なるというだけなのです。だから品質方針は会社が勝手に決めるものではなく、対象製品を選んだ時点で決まっているといってもいいのです。
 それでは、一つの事例として審査機関の品質方針を考えてみましょう。審査機関にとっての、まさに顧客要求事項を満たした製品を一貫して提供している状態というゴールは、審査ミスゼロです。ですから品質方針は次のようなものでなければなりません。

(例)

   我が審査機関は審査ミスゼロを目指します。
  
   なお、審査ミスゼロというのは次の意味です。

   @ JABの監査での指摘事項ゼロ(信頼性、公共性)

   A 本来不適合であるのに審査ミスにより客観的証拠が見つけられず不適合にできなかった
    ということがゼロ、(組織の顧客に対する責任)

   B 本来不適合でないのに不適合と指摘してしまった審査ミスゼロ。(組織に対する責任)


 品質方針は、品質目標を設定する際の枠組みを与えるものです。しかし、品質目標のところで説明したとおり、日本の組織では品質目標がなくても品質マネジメントシステムを策定しています。つまり、日本の組織では、品質方針もそれほど重要ではないのです。




品質マニュアルを提供:豊田システム研究所トップへ