クロスエターナル
present by ゲバチエル
第一章〜始動・発動〜

フォルとレナは、ネットゲームにカギがあると考えて再びゲームにログインする。 「やっぱりなんも変わんないね・・・」 いつもと変わらないゲームの様子を見てレナは少々ガッカリしていた。 「そういえば・・・手伝って欲しいことがあるって、言ってたな?」 フォルはネットゲームに誘われていた時を思い出した。何かそのことが関係してるのではないかと。 「うん・・・。近頃このゲームで、おかしいエリアが出始めてるの・・・。  リリーと一緒に調べてるんだけど・・・二人じゃ大変だから・・・フォルにも手伝って欲しくてね」 とレナが言うと奥のほうから一人のPCが走ってきていた。 「レナ!!!フォル!!」 そう言って二人の名前を呼ぶPCの名前は、リリス・シルフィード。どうやらリリーのようであった。 「あ、やっぱフォルもこのゲーム始めたんだね?・・・・でもレナ・・・。」 とリリーのPCは暗い表情を見せていた。フォルも同じように沈んでいる。 「ううん。足だけでまだ良かったほうだよ。二人が心配してくれて助かるよ・・・」 そう言っているレナが半分涙声だった事に気づいた二人だった。それと同時にリリーは強く言った。 「許さない・・・!!私・・・いや、私達レナをこんなにした奴を許さない!!  事の真実を絶対に見つけてやるわ!!フォル、絶対レナを助けようね?」 リリーがフォルとレナを見ながらそう言っていた。 「ああ。レナは絶対助けてやるよ!だから心配するなよ?二人とも」 三人は決意を新たに三人それぞれ武器を掲げていた。 「二人とも、ゲーム掲示板見た?」 フォルのその言葉に二人とももちろんとばかり頷いていた。 「・・・何故か行けないエリアの事ね?起こったのが丁度昨日・・・私達があの指輪を持ってった時間と同じ」 「同じ・・・何かありそうね・・・。そのエリア。そこは初心者がレベル上げに最適なエリアだし、フォルも大丈夫だわ」 そう言って調査に行く価値はありそうだ、と言っていた。 「指輪・・・・。そうだ・・・封印の遺跡。あそこ行かなくていいのか・・・?」 フォルがそう言う・・・が、リリーが口を開いた。 「あたしさっき封印の遺跡におそるおそる行ったんだけど・・・・・・  まるで闇の結界が張られてた・・・。入ったら二度と戻れないような・・・。そんな感じがしたよ。  それに階段の所に守護神らしき・・・三つ首の犬がいたわよ。多分あそこに行く時は私達も強くならないと」 まだその時ではない、とリリーはそう言っていた。 「そうか・・・じゃあ行こうか?例の行けないエリアへ。」 「うん、行こう!フォル、リリー」 そうして三人は問題のフィールドへ向かった。 全てのキャラが共通して転送される最初の街、バルイザーク。 街の郊外に位置する草原。初心者の為に雑魚モンスターがいわば放牧のように存在している。 だがそのエリアの隅っこに不思議な転送ゲートが出来ていたのだった。 「・・・あれか?あの転送ゲート」 フォルが指をさす方向にはゲートと人だかりが出来ていた。 「そうみたいね。よし行ってみよう」 そう言ってレナは二人をよそに走り出していった。 ザザザザザザザザ・・・・・・・・。 突然画面にノイズが走り出した。あまりに突然の出来事に周りのプレイヤーは草原から離脱するものが出ていた。 「フォル。羽を見て。」 そうレナが言ったので自分のPCの羽をみると、光り輝いているのが判った。そしてノイズが止まると同時に ゲートの目の前にはこのエリアに現われるはずのない魔物が姿を魅せていた。 ・・・三本の尻尾を持つサソリ。クエストのボスモンスターのはずの魔物が其処にいた。 場に残ったプレイヤーたちは一斉に攻撃し、殲滅する。 しかし、そのサソリは二本の尾っぽを腕として変形し再び襲い掛かってきた。 「レナ、フォル。二人の羽がさっきよりすごい!!」 リリーは羽がまるでサソリに反応しているであった。 とサソリはまた倒される。が今度は腕がハサミに変わり、空中飛行して尻尾は三本と変形した。 プレイヤーが揃いも揃って攻撃をするが、表示されるダメージは・・・ 「なによ・・・ダメージが行き届いてないじゃない!ゼロダメージなんて・・・」 無敵のサソリは空中でハサミ二本と尻尾三本を一点に集中させて、まるで闇の魔法を放とうとしていた。 そしてその闇の魔法はあたりのPCを攻撃していく。そして直撃したPCは消えていく。 聞こえるプレイヤーたちの悲鳴と消えていくPC・・・・。 レナとフォルは、ルシファーの闇の波動を思い出してしばし硬直していた・・・。 「ルシファーと同じ?ふざけるな・・・これ以上レナを苦ませることがあってたまるかぁ!!」 「私と同じ目にはあわせない・・・・絶対許さないんだから!」 二人はルシファーとの場面を心拍数が高まりながら鮮明に思い出していた。そして。 二人のPCの翼がまばゆい閃光を放つ。PCは空中に飛翔し、まるで天使のような姿を見せる。 背中の翼が分離して空高く舞う。空中を舞う二枚の翼は空を翔け、二人のPCに大きな二枚の翼を供えさせる。 その二人の姿、まさに天使そのもの。そして首にはエンジェルリングがつけられた。 「え・・?私のプレイヤーどうなってるの??」 レナは自分のPCに起こったことを理解できていなかった。だがここで終わりではなかった。 サソリが再び闇の波動を打とうとすると、フォルとレナの翼が輝き、二枚と二枚、合計四枚の翼から、 何本もの閃光の筋がサソリを襲う。光の筋に襲われてサソリは分解されて、小型のこのエリアに出てくる普通のサソリに。 そして光が止むと、サソリと同時に一つの本のアイテムも落ちてきていた。すかさずリリーはそれを拾った。 「・・・さっきの閃光・・・闇じゃないにしろルシファーのとそっくりだ・・・。  まさか・・・・レナをこんな目にあわせた力と同類の力じゃねえのか・・・?」 フォルが自分自身が駆使した力をなげいていると、レナはそれを否定した。 「ううん。力ってのは使い方だよ。いい事に使うか悪いことに使うかでしょ?  私達の使う魔法も同じでしょ?滅ぼす為の力じゃなく、守る為・救う為の力として使えば。」 レナ自身が一番辛い。そのはずなのにどうしてここまで言い切れるんだよ・・・とフォルは涙を流していた。 「そうよ。レナを助けたいって思いだけじゃレナを助けられないし、ただルシファーに勝てる力があっても、  それを救う為に使う意思がないと意味が無い・・。だから私達に力をくれたんじゃない?ミカエルは」 そう言ってリリーもフォルを説得するようにそう言っていた。 「そうか!力だけを憎んでもしょうがないよな・・・。悪いのは心だもんな・・・。」 天使の姿と変形したレナとフォルのPCであったが、力のあり方を再確認していた。 「そういえば。この本・・・セイントルナって本に書いてある言葉、  天使の力が放たれたとき、現われた封印は壊れゆくであろう・・・って書いてあるわよ」 リリーがゲートの方を指差してそう言った。そして二人の翼は白く光っていた。 「ムーンライト・・・。プロテクト解除の能力ね。技欄に追加されてるよ。  どうなるかわからないけど・・・やってみようよ!フォル!!」 レナはそう言って翼を開き、解除を試みようとしていた。 「・・・できることはやらないとな・・・。よし。レナ、リリー行くぞ」 ゲートの頭上に満月があらわれ、羽が輝き、ゲートを包む・・・。 そしてゲートは開き三人のキャラを吸い込んでいく・・・しかしこのゲートはゲームのゲートではなかった。 一瞬まばゆい光が辺りを包む。だが三人が気づいた先はパソコンの画面など無かった。 「・・・ここは一体・・・?」 辺りを波が押し寄せている・・そこは海岸のようであった。 「フォル・・・」 レナがフォルを呼んだ。彼女は先のルシファーとの戦いで足が動かないのだった。 「レナ・・・ちょっと指輪を見てくれ。ここがどこかは判らないけど、指輪が光ってる。  光が邪気を払うような気がするんだ。だから・・・俺の指輪もつけてみてくれないか?」 フォルはそう言ってレナに指輪を渡し、レナはそれをはめた。すると指輪はさらにまぶしく光りだした。 「あ・・・・歩ける・・・。今は指輪の光のほうが強いみたい・・・。歩けるよ!」 そう言ってレナはフォルの周りを何度もまわって見せていた。そんな様子にリリーも安心した表情を見せる。 「指輪の光が何かを指しているわね。そっちに行こう。どうせこのままじゃどうにもならないし」 リリーはそう言って現状でできる事を確認した。 「だな・・・何故か武器と道具もあるし・・・これは導かれたんだろうな。真実を見つけるために」 フォルは剣を構えて強くしっかりと言い切った。 「うん。じゃあ行こう!」 三人は剣・槍・短剣をそれぞれ構えながら、そこへと向かっていった。 指輪の光が指す方向・・・森林を目指して 「まるで・・・さっきの草原の敵みたいだね」 レナは森の中にあらわれるモンスターを蹴散らしながらそう言っていた。 「やっぱりあの世界と現実では何かつながりがあるんだよ」 フォルは確信をもった意見を堂々と述べていた。 「何かって何よ?」 リリーがそれに食いついていた 「何かが判らないからこうしているんじゃないか。そうやって急ぐなよ」 三人は森林地帯を駆け抜けていた。指輪を頼りに。 そして光が指すものへと三人はたどり着く。 「ここは・・・まるで封印の遺跡ね。石碑にはなんて書いてある?」 リリーが辺りを見回しながら石碑の内容を求めた。 「えーーっと。読めない。文字が削り取られてる」 レナが残念にそう言うとフォルは何かを見つけていた 「おーい!こっち。階段があるぞ。降りてみよう」 三人はそうして階段を下っていった。 奥にあったものは一つの箱が台座に安置されていた。 その台座には、『パンドラ』と書かれていた。 「レナ!俺の指輪を!!」 フォルはそれが邪悪な存在だと判ると、レナから指輪を返してもらう。 「レナ。指輪をこの台座の穴にはめてくれ」 二人が指輪をはめると箱が開き、箱の中から二つの箱がフォルとレナの前に現われる。 箱の中にはペンダントが入っていた。フォルの箱には『インフェルノ』レナの箱には『カオス』 「闇のペンダント・・・か・・・?この指輪と対をなす物じゃないか・・・?」 フォルの疑問に答えるように突如声が響いていた。 「やはりそれをあけたのはお前たちか」 目の前に現われたのはミカエルであった。 「ミカエル!」 フォルとレナはそろえて驚きをあらわにしていた。 「皮肉なものだろう。光と闇を一緒に持つなんて」 「ミカエル!これはどういうことなんだ!?教えてくれ!!」 フォルは最も謎に近いと思われるミカエルに詰め寄って質問していた 「・・・・・ルシファーいや、魔界の連中は地上を滅ぼそうとしている。  正確に言えば乗っ取りだな・・・。魔界よりも物資が盛んな地表なら武力が生産しやすい。  神話ぐらい知ってるだろう?天界と魔界の戦争。魔界は俺たち天界を潰すつもりなんだよ。」 目の前の大天使は威厳のある口調で強く言葉を発していた。 「そんなのってない!いくらなんでも天界と魔界の争いにレナを・・・レナを巻き込んで!」 リリーはミカエルへはっきりと牙をむいていた。 「これは・・・地上を巻き込む戦いなんだ。天使と悪魔だけで争っていたらここが戦場になる。  地上は滅びてしまうんだ。そうなる前に力を貸して欲しかったんだよ。」 ミカエルはレナに向かってすまない、という表情を見せた。 「いえ・・・ルシファーに襲われたのは光の力のせいかもしれないけど、  ルシファーに世界を滅ぼされるぐらいだったら私戦うよ。自分の故郷が無くなるのは嫌」 そう言ってレナはフォルに指輪を借りてゆっくりと立った。 「すまない・・・ルシファーの負の力は俺でも治せない。だがせめてキミ達三人のお守りにこれを」 ミカエルは一枚のマントをレナに手渡した。 「それは魔力の込められたマント・・・マテリアルマント。君達を倒そうとする攻撃を  全て軽減してくれるはずだ。・・・本当にすまないが俺たち天使は地上では天界の10分の1ほどの力しか今は出せない。  魔界の連中が何かを地上に施しているんだ。とはいえ奴等も完全じゃないはず・・・。  だからその時まで・・・頼んだよ。勝手ばっかりですまないけど」 「地上を滅ぼすって聞いて、はい滅ぼしてくれ、って馬鹿があるか!  教えてくれただけありがたいってもんだ。ミカエル、地上のことは俺たちに任せろ。」 フォルはレナとリリーに同意を求めるようにミカエルに言の葉を解き放った。 「そうか・・・君達ならやってくれそうだよ。く。体が持たない・・・また会おう!」 白い光とともにミカエルはその場から姿を消していた・・・。 「レナ、フォル。用事も済んだし外へ出ようか?」 リリーは二人の背負う巨大な力とまだ先もわからない使命をただ辛いだろうと思うばかりでそれしか言えなかった。 しかし外に出ると待ち受けていたものは・・・。 「ほう。そんな子供がミカエルの継承者とはな・・・。」 目の前には先ほどまでいなかった魔物がその場にいた。 「お前、何者だ!?」 三人が武器を構えて魔物へ向ける。 「ルシファー様の使い・・・ヴァンパイアナイト。そういう悪の芽は速めに摘まないとね」 そう言ってヴァンパイアと名乗る魔物は翼を広げ空中から攻撃を繰り広げる。 「空中じゃあ物理攻撃はとどかないわよ!!レナとフォルは、光の魔法を使って!!」 リリーは短剣を構え前に飛び出す。そこをヴァンパイアは追撃しようと襲い掛かる。 「光の粒子よ・・・敵を討て!!ライトニング!!」 リリーは念昌の言葉とともに指先からまばゆい光の球をヴァンパイアへ目掛ける。 魔界の住人なだけに、光の魔法は効果はてき面なようだった。だがヴァンパイアもリリーに一撃を加えていた。 「く・・・でもレナの足の苦しみに比べたらこれぐらい、どうってことないわよ!!」 リリーは前線で二人の壁を徹した。せめて戦闘ぐらい苦しい役は自分が受けよう、と。 「リリー!!無理だけはするな!!絶対に死ぬんじゃないぞ!!」 フォルが魔法で追撃しながら地上に来たヴァンパイアに的確な一撃を加えていく。 フォルの攻撃にヴァンパイアは翼を失い地面に立った。 「行くぞ!一斉攻撃だ!!」 フォルの一声で三人が攻撃を連続で叩き込む。そしてヴァンパイアは断末魔をあげた。 ヴァンパイアの持っていた剣は消えずに地面に突き刺さった。 「この剣も魔法の剣か・・・使えそうだな。」 そうしてフォルが剣を引き抜くとレナのはめていた指輪が光り、剣の邪気は封じられていた。 「あれ・・・?ペンダントが光ってる」 レナがふと言うと、三人はその光が指す方向を見た。そしてペンダントには自分たちの街が写っていた。 三人はまた森林を駆け抜けて自分たちの家へと帰っていく。知ったのは事実だけで、 解決策もどうするべきなのかも、何も判らないまま・・・。光と闇の力を胸に秘めて。 そして三人は自宅へ帰るなり、パソコンへ接続してゲームへ入っていた。 あの後自分のプレイヤーがどうなったか知りたかったからだ。 「あれ・・・?」 一足先にログインしたフォルだったが、事件前の場所と同じ場所に転送されたことに少々驚いていた。 「フォル!」 真後ろでパソコンをつけていたレナがそう呼んだ。 「やっぱあのゲート、現実の扉を開くゲートか・・?」 「フォル!レナ!」 リリーは二人の下へと走ってくる。つくと同時に口を開く。 「ふうーー今日は色々あったわね・・・。あらメールね」 「俺も」 「私もだよ」 三人はメールを確認した。三人の内容は同じだった。 「バルイザークの南の洞窟最深部まで来い。お前たちに渡すものがある。FROMミカエル」 そのメールを読むと三人は勢いづいてそのエリアへと向かっていた。 そしてダンジョンで最も簡単なエリアを進んでいく三人。 どんどん先に向かい、いよいよ最深部手前まで近づいてきた。 「ふうここか・・・よし入ろう」 三人は最深部へと赴いた。予想していた通りに別のエリアへと転送される。 「よく・・・来てくれた」 ミカエルは一つの箱を取り出していた。あの時遺跡にあったものと同じ箱を。 「これをインストールさせてもらうよ。思いだけでも力だけでもという言葉と同じく、  光だけでも闇だけでも戦いは終わらない。光と闇の力があればこそ全てに対抗できる。  それが出来るのは君達しかいないんだ・・・。」 ミカエルは両手を突き出して、箱を開かせる。 そして開いた箱からは暗黒の光が立ち込めてフォルとレナのPCを包んでいく。 そして背中には天使の羽とともに小さな悪魔の翼が刻まれた。 それが終わるとミカエルと話を聞く間もなくエリアは転送される・・・。 もとの最深部へ戻る。しかしそこにはミカエルじゃない天使が一体待ち受けていた。 「貴様らが光の力を持つ物達だな?」 「誰だ!」 三人のPCは戦闘モードへ移行して静かに対峙していた。 「私の名はフラウロス。ソロモン72柱の一人にしてルシファーさまの忠実な配下!!  今こそここで消えてもらう!!」 豹の顔をした天使はこちらへ襲い掛かってきていた。 「ライトニング!!!・・・くそ光の魔法が効かないぞ」 フォルが光の魔法を放つものの、天使のためか攻撃が遮断されてしまっていた。 「光が効かないなら・・・ストーンフォール!!・・・光じゃない魔法ならある程度のダメージは行くみたいよ。  物理攻撃と魔法で攻めよう!!」 レナの一言で三人は全員守りを棄てて攻めに出た。フォルはレベルが二人より多少低かったが、 それでも何度か攻撃を繰り出していた。お互いに激しい攻撃がぶつかる中で突如フラウロスは動きを止めた。 リリーはチャンス!とばかりにPCを走らせ攻撃スキルを叩き込む。 だが動きを止めたフラウロスは口から真紅のレーザーを発して回転させた。 三人のPCはHPがかなり削られ、しばし防戦状態となっていた。 そんな事が何度か繰り返されると、フラウロスの方に変化が見えていた。 羽がちぎれたのだ。するとそれに反応するようにフォルとレナの天使の翼は煌き、 悪魔の翼が大きく広がった。そして悪魔の翼から、無数の小さな羽根が蝙蝠のように敵を包む。 そして敵のデータをまるでシルエットのような人型へと変化させ、撃滅。 「・・・一緒だ。光と同じ。それに今の天使・・・。そうか判った気がする。  闇だけでも光だけでも戦いが終わらない理由。魔界には天使いや堕天使がいるけど天界には天使しかいない。  これじゃいつまでたっても戦いは終わらないんだ・・・」 フォルは納得するように漆黒の翼の意味をかみ締めていた。 「・・・闇と光の力か。まだまだ私達の想像できないことが待ってるのかもね」 「それより今日はもう終わり!また明日学校で会おうよ」 リリーは疲れた表情を見せると、すぐにログアウトして行ってしまった。 「フォル、私達もね?」 そう言って二人のキャラクターもログアウトしていく。 そしてパソコンの切れた室内。 「・・・あれ・・あれ・・・?」 レナは怯えたような声でフォルを見ていた。 「指輪してるのに・・・左足が動かない・・・。」 フォルはレナを安心させるように肩に手を置いた。 「・・・レナ・・・大丈夫。きっと・・・いや絶対大丈夫だ。俺とリリーがいるだろ?」 フォルは優しくゆっくりとレナを落ち着かせていた。まるで自分を落ち着かせるように。 ・・・真の戦いはまだ始まろうとしているのを待っている・・・

第ニ章〜開戦の鐘〜 に踏み込む

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