クロスエターナル
present by ゲバチエル
序章〜選ばれし者〜

「もうやってられねぇ・・・魔法剣なんて無理だぁ・・・」 魔法剣に憧れて高校に入学した、フォル=リグスター もともと剣術は得意で、魔法も好きであった。だからこそこの進路を選んだのが その道は険しく辛いもので、早くもあきらめそうなものであった。 「もう何よ?こんなところであきらめるつもり?」 レナ=アリフィスは諦めモードに入るフォルにそう言った。 二人は中学校から一緒で今は付き合っていた。 「あーーー世界で有名な魔法剣士になりたかったのにい・・・」 「刹那は有名な剣士になりたいんだよね?」 レナは微笑を浮かべてそう言った 「それじゃあ・・・『エターナルアース』っていうネットゲームあるんだけど・・・やらない?  それネットゲームだから、剣士の気分味わいながら有名になれるんじゃないかなぁ・・」 「ネットゲーだろ?いくら金かかるんだよ・・・・俺金欠なんだよ」 フォルは趣味にすぐお金をつぎ込んでしまう性格だったので、あまり高いとプレイできるか心配だった。 「月々五百円よ。それに・・・私一人じゃ寂しいしなあ・・・。手伝って欲しいこともあるんだ」 フォルはレナのさびしいという言葉に心を強く打たれて、そのゲームをプレイする事を決意した。 帰りにレナにインストール用のCDを借りて、フォルは説明を少しされていた。 「よし、出来たぞ。プレイヤー名はフォル・ルナー。よし誰も使ってないな・・・OKだ」 家に帰るなりフォルは登録を済ませていた。フォル、という名前が気に入っていたのでそれを名前に組み込んだ。 と、不意にフォルの携帯電話にレナからのメールが届くメロディが流れていた。 「件名:プレイヤー名は?From レナ  名前何にした?私はレナ・フォルスだよ〜ゴメンネ・・・フォルの名前使っちゃって。  じゃあゲームで待ってるね☆」 レナのメールを読むと、自分の名前が使われる当たりレナらしいなと思いながらもログインした。 「や!フォル!」 突然レナの声が響いたのでフォルは驚いていた。ふと見ると目の前にはレナ・フォルスという名前の キャラクターが立っていた。どうやら声の発信元はゲームだ、とフォルは認識した。 「このゲームボイスチャット搭載かよ。まいったなぁ。んで・・・この後どうしたらいいんだ?」 フォルはいざゲームにログインしたはいいが、ここから何をしたらいいのか判らなかった。 「んーーとねえ、なりたい職業のクエストをやるんだよ。私も一緒に行くから大丈夫だって」 そう言ってレナはフォルを誘導して行った。 「上級職業に転職する時もここにくるから覚えておいたほうがいいよ」 と、レナは親身に色々と教えてくれた。そんなレナの声にフォルは何か惹かれるものを感じていた。 「はい。ここよ。転職前のビギナーじゃ装備がしょぼいんだよねえ・・。  まぁいいか。ビギナー最強装備よ。これ使って」 「なんか俺だけずるしたような気がするんだけど・・・」 「ソルジャーになったら、自分で頑張ってもらうからいいのいいの。じゃあ行くわよ?」 クエスト名・ソルジャー適正試験  クエスト内容;最奥部のボスを倒せ。 「なんだよレナ。こいつら弱いぞ?」 アクションRPGに熟練したフォルは、初心者とは思えないテクで敵を倒していく。 「フォルが強いだけでしょ?もーーほら行くよ?」 しかし敵を倒しながら不審に思った事があった。 「レベル上がらないジャン。」 「このゲームは自分の強さと同じキャラクターになるから。だからゲームで体感したことは現実のフォルにも身に付く。  それに攻撃を喰らった時に痛みが少し走るでしょ?このゲームはリアリティを追及したゲームみたいだから。」 まるでゲーム世界に飛び込んだような話だな、とフォルは笑っていた。 「ま、命の危険はないわけだし。リアリティを味わってみますか」 そう言って一直線の魔物の住処を駆け抜けていった。そうするうちに最奥部に到達していた。 「あらおかしいなぁ。ここにドラゴンがいるはずなのになあ・・・。」 「レナ、ここが本当に最奥部なのか?」 「そのはずなんだけど・・・・」 と不意に二人のPCは別のエリアへ転送されていた。 「レナ、ここは?」 突然のことでよくわからないフォルはレナにそう聞いていた。 「私も判らないよ。こんな場所初めてだもん・・・それになんか怖いよ」 レナが知らないと聞いてフォルは正直ちょっと怖かった。 「よく来てくれた。」 突然目の前から六枚の羽を持つPCが話し掛けてきた。 「君達二人は選ばれた二人だ・・・。最近の世界じゃあ、魔物が増えたりネットワークが不安定だったり  妙なことが多発してるだろう?」 「選ばれた二人・・・?それにあなたは?」 レナは何が起こってるかわからない状況にただただ質問をした。 「俺の名前はミカエル。システム管理者だよ。君達二人は特殊アイテムに当選したんだ。  当選というよりも力を持つものとして。。かな。これから先世界が滅びるかもしれない  その救い立てをして欲しい・・・」 レナとフォルはえ?とお互い思っていた。 「今から・・・これを授けよう、エンジェルリング。  いまから二人にインストールさせてもらうよ。」 ミカエルは、そう言って二人にエンジェルリングを手渡し、そのリングを輝かせる。 リングは高速回転し、まばゆい光があたりを包む、二人のPCを包んだ。 そしてPCのデータを変革していく・・・・。 光が止むと同時に、二人のPCの背中には片翼の天使の羽が見えていた。 「現実でも力が必要になるだろう・・・直に届くはずだ・・・・これ以上はサーバーが持たない。  また会うことになるだろう。・・・・」 そう言ってフィールドは元のエリアへと戻されていった・・・。 「レナ・・・・?これはどういう事なんだ・・?」 「判らない・・・でもこの羽、装備品として数えられてるよ。ホーリーウイング。  外せないみたいだけど・・・不正アイテムじゃなさそうね。」 「それより世界が滅びるって・・・?」 「このままフォルが剣士に転職したら後で私フォルの家に行くよ。」 そう言ってフォルが剣士になると、二人はログアウトするのだった。 ピンポン フォルがログアウトするなり、家のチャイムが鳴っていた。 「宅急便でーす」 フォルはすぐさま外へと繰り出し、ハンコを押しそれを受け取る。 差出人不明・・・そんな怪しい中身をすぐさまチェックする。 中に入っていたものは・・・ルナと彫られた指輪だった。 もう一つ、MD(マジックディスク)が入っていたのでそれをフォルはかけてみた。 「俺だミカエルだ。もうネットで話は聞いただろう。今この世界は誰もしらないところで破滅へ向かっている。  それはおのずと判るはずだ。だがその破滅を食い止めるためにもその指輪を授ける。  その指輪は普段は難しい光の魔法も使えるようになるはずだ。死ぬなよ・・・」 そこでメッセージは途切れていた。と再び家のチャイムが鳴り響いていた。 「フォル〜!私!!あけて!」 フォルは急いでドアへ向かうとレナを自宅へ招きいれた。 「あ、やっぱりフォルも貰ったんだね?」 レナは指輪をみるなりそう言った。 「え?フォルも・・??ってことはレナも貰ったのか?」 「これよ、見て!」 そう言ってレナは自分のものとあまり変わらない包みを取り出して中身を見せた。 そこにはセイントと彫られた指輪で、恐らく自分の物と変わらないであろう物質だった。 「ルナ・・・セイント・・・どこかで二つとも聞いたような気がするなあ」 レナは何かひっかかる事があるらしく、あごに手を置き考える仕草を見せている。 「どっかの遺跡に書いてあったんじゃないか?」 フォルがそう言うとレナは閃いた!という表情を見せた。 「そうよ遺跡よ!封印の遺跡。あそこの石碑に『世界が危機の時、ルナがセイントを発する』  って。行こう!封印の遺跡へ!」 レナは好奇心旺盛にそう言った。 「あそこならモンスターもでないしな・・・オッケー。行こうぜ」 二人はこれからおこる真実など知るよしも無くその場へと向かっていた。 「俺の家から歩いて三分じゃあ拍子抜けだぜ。これで遺跡だもんな(笑)」 フォルは遺跡とは思えないな、と愚痴をはたいていた。 「えーと・・・あった。フォル!こっちよ。この石碑。」 そう言って、堂々と建てられた石碑を二人は読んでいた。 「本当だ。確かに書いてある。・・・ん?なんか指輪がはまりそうな穴が二個・・・」 フォルは石碑に指輪をはめる穴を見つけた。その穴の下にはルナ、セイントと書いてあった。 「よし、この指輪をはめよう。フォルもね?」 そう言って二人は指輪をその穴へとはめ込んだ。 すると激しい音とともに奥の石像の場所に階段が出来ていた。はめた指輪は不思議と二人の指へと戻っていった。 「え・・・なにあれ・・・」 レナが指を指す方向には階段の方向だった。フォルが目をやるとそこにはドラゴンがたたずんでいた。 「・・・封印の守護神か・・・?どちらにしても倒さなきゃ駄目だな・・・あんな奴がここにいたら危ないだろう?  封印かわかんないけど、自分たちでやったことだしやらなきゃ」 そう言ってフォルは魔法の剣を腰から抜いた。そして魔力が刀身を形どっていく。 (魔法剣は柄しかなくて、精神を武器に転換する。基本的に本人が心から斬る意思が無いもの以外切れない) 退かないフォルを見てレナは、この人を好きになって良かった・・と感じながら自分も槍を取り出す。 「そうね。私達がやらないとね。フォル!行くよ!!」 ドラゴンは何度もその炎の息で攻撃してきた。二人は水の魔法で耐えしのぎながら、 何度も攻撃を加える。回復の魔法と同じ効果を持つ水を何度も飲みながら。 そして倒れたのはドラゴンが先だった・・・。 「モンスターを倒したからレベルスコープに記録されたみたい。」 「レベルスコープ?なんだよそれ」 フォルは初めて聞く単語に首をかしげた。 「能力を数値化するの。RPGみたいにね。・・・なにこれ。強さが剣士のクエストのドラゴンと同じ」 その言葉を聞いて、フォルはぞっとしていた。 「・・・ってことは、現実とネットを絡めて何かおころうとしてるんじゃないのか・・?」 「ミカエル・・・ミカエルめ。この世界に何の価値があるというのだ・・・?」 まるでフォルの言葉に反応するようにそこに現われた。まるで悪魔・・・。 「我がルシファーの計画を遂行するには貴様らのその力・・・指輪の力が忌まわしい。消えてもらおう」 そう行ってルシファーと名乗る悪魔は魔法をこちらへ放ってくる。 「ふざけないでよ!消えてもらおうで、はいそうですかで死にたい人なんていないわよ!フォル・・・戦おう!」 レナは強くルシファーへ言った。その心に反応するように槍の魔法力は強みを増していた。 「レナ・・・・。そうだ、ふざけるな!俺たちは何も判らないまま死にたくなんてない」 フォルとレナは強く武器を構えると攻撃をしかけた。 「・・・弱い。俺の足元すら及ばない・・・」 そう行ってルシファーは手から黒い波動をフォル目掛けて発射させる。 「あ・・危ないフォルーーー!!」 レナがそう言ってフォルの前へと飛んだ・・。時間にして一瞬。 「きゃああああああああ!!」 ルシファーの攻撃をかばったレナはその言葉とともにそのまま倒れてしまう。 「レナ!?おいレナ!?」 フォルが彼女を抱え名前を何度も呼ぶが息はあるものの彼女は目を閉じたまま動かなかった。 「お前もその女の二の舞だな・・・。」 そう行ってルシファーは標的を再びフォルにあわせ魔法を発しようとしていた。 「散れ」 すでにルシファーの魔法は放たれていた。ゆっくりとだが確実にフォルたちへ襲ってきていた。 「こんなところで終わりかよ・・?レナも守れないで終わりか?何のための剣術だ、魔法だ・・。  こんな所で負けられない!レナを守るんだ!!」 フォルはそう言って魔法力を全開にしようとすると、フォルとレナの指輪が光りだした。 と思えばその指輪から光の筋が収束してルシファーの魔法目掛けて飛んでいった。 その光は魔法を打ち消しさらにルシファーを貫いた。 「く・・・まさかもう覚醒するとは・・・ミカエルめ・・・・まぁいい。指輪の正体がわかっただけでもいい」 そう言ってルシファーは闇と溶けてどこかへ消えていった。 フォルはルシファーがいなくなって安心するとすぐに、レナを抱えて走り出していた。 「レナ・・・死ぬなよ・・・俺はお前を死なせやしない!」 その翌日。フォルはずっと病室でレナが目を覚ます事を待っていた。 「う・・う・・」 「レナ!!」 「フォル・・・?」 フォルはレナが目を覚ましたことに気が付くとそのなを強く呼んだ。 「フォル・・・ゴメン・・・ゴメン」 レナは突然泣き出し、フォルへ謝っていた。 「何言ってんだよ・・・俺はお前が無事ならそれでいいんだよ」 「ありがとう・・・。でも・・でも・・。」 「どうしたんだ・・よ?」 フォルは半分涙目でなんとかレナを気遣ってやろうと必死に声を出した。 「動かない!私の足動かないよ・・・」 フォルはその言葉に時が止まったようなショックを受けた。 「闇の力に押さえつけられているようで・・・動かない・・・多分ルシファーの魔法よ。」 フォルは自分を責め続けた。どうしてレナを守れなかったのか、と。 そして決意した。真相を確かめるために。レナを救うために。 「レナ。俺はあのネットゲームを調べることにする。無論現実も。  どうしてルシファー・・・悪魔の王がこの世に出てきたのか。この指輪はなんなのか。  あれはただのネットゲームなんかじゃないはずだ。だから俺は調べるよ」 レナの肩へ手を置き大丈夫だぞ、と微笑をかけた。 ・・・その翌日。 医者は身体に何の異常もなく、歩けないはずもないという事でレナを退院させることにしていた。 だがフォルには判っていた。治療できるはずがないからこうしたんだ、と。 レナの両親は去年レナをかばいモンスターに殺されてしまっていた。だからレナは一人だった。 そこでフォルはレナを自分の家に泊める事を決意していた。レナも快く同意していた。 フォルの親はかつてレナの家族と仲がいい事からも、それに同意してくれた。それに既に付き合ってることを知っていた。 何よりも今はレナを安心させることが最優先だと思ったからだ。 そして二人の真実を探す現実とネットをめぐる冒険が始まるのだった・・・。 レナを救うためそして真実を掴むための過酷で困難な・・・。

第一章〜始動、発動〜 に踏み込む

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