管理会社の評価 チェックポイント
・・・自己 評価リスト・・・



1.管理員関連
管理人は、マンションの窓口担当者としての顔になりますので、殆どの項目で〇になることが必要です。
自主管理や巡回管理等で常勤の管理人がいない場合は評価除外になります。
・挨拶などの基本的なコミュニケーションができる
→居住者に日常的な挨拶ができていること。高圧的であったり、偉ぶっていたりすることは論外ですが、管理業務以外の事で長時間立ち話をしているのも問題があります。
・特定の居住者のみに親しくしていない
→管理業務はユニバーサルサービスが基本です。どの居住者にも公平に対応することは当たり前ですが、理由もなく特定のお子様や高齢者などのみに親切にしていると、他の居住者からのクレームになります。
・管理員としての適切な知識とスキルを有している
→人手不足等で、充分な教育も実施せずに管理業務を任せているケースもあります。任された管理人も困っているでしょうが、管理組合にとっても大迷惑です。最低限の知識を有する管理人を雇用するように要求する必要があります。
・居住者からの提案や要望等に迅速・適切に対応している
→日常清掃など現場でできることはすぐに実施することが居住者への信頼感に繋がります。現場では判断できないことは速やかにフロント担当者 に報告し対応することが必要です。直ぐにできないことは、居住者に説明できるようにすることが求められます。
・書類等は整理・保管されていて、必要な書類はすぐに提供できる
→居住者に必要な書類は、要求があればすぐに提供できることは勿論、管理規約・細則類・月報・週報・日報等や点検結果の書類が整理されていること。鍵はキーボックス等に保管されていて、収容数・貸出先等が記録されていること等は最低限求められます。
・管理室等管理組合が貸与しているスペースは清潔に保たれている
→管理室や清掃員控室等は管理組合が管理会社に貸与していますが、管理人や清掃員が管理組合の了解なしに多くの私 物を持ち込んだり、整理・整頓されていないケースがあります。管理組合は定期的にこれらのスペースもチェックすることが必要です。長期間継続 して勤務している管理人や清掃員等の中にはあたかも個人の専用スペースかのように使用しているケースが見られます。
・日常清掃の指導・確認がなされている
→清掃業務も日々進化しています。定期的に清掃業務を確認し、指導する必要があります。又、清掃の用具は消耗品ですので、必要に応じて調達・交換することが求 められます。穂先の短くなった箒やヘッド部分が摩耗したモップを使用してるような場合は、管理会社の管理が行き届いていない証拠です。水拭きが適切でない 床を水モップで清掃しているなど、管理の姿勢が疑われるケースもあります。
・日報・月報・引継ぎ資料等は期限を定めて管理・保管されている
→日報・週報・月報等の報告書は、日常管理の中で、特に管理組合に報告すべき事項や注意すべき事項、その日に発生した特記事項、外注管理の結果など必要事 項が記載されていれば充分です。又、管理組合に報告した後は、長期に保管する必要がないので、期限を決めて廃棄することが必要です。マンションでは長期保 管が必要な書類が多数存在しますので、これらの資料作成に必要な一時資料類は長期保管の必要がありません。マンション内でのスペースは限られているので、 管理組合のスペースを有効に活用する配慮も必要です。
・設備のトラブル時に緊急対応ができる
→火災報知器の発報や設備異常が発生したときに、異常の場所や内容を特定し、関係者に即座に連絡することが必要です。人命に関わる場合などは居住者に緊急 連絡し、安全処置を行います。
・建物や設備等を目視等で点検している
→巡回時等に建物外観や外構工作物等を目視で点検するとともに、機械設備等は異音の発生等の異常がないことを確認します。地下ピット等危険を伴う場所につ いては専門家に任せる必要があるので除外します。機械室等に設置されている設備の異常に長期間気が付かないなどは論外です。

2.フロント担当者関連
フロント担当者は一般に複数の物件を担当しています。管理会社は事業を行っている以上、担当者に複数の物件を担当させることはやむを得ないことで す。その為多くの場合、担当者がすべての物件で充分に対応することが出来ない状況です。下記事項の全ての項目でベストの状況になっていることは厳しい現実であることを認識する 必要がありますが、よりベターな状況を求めることは管理組合としては当然のことです。
・総会・理事会等の議事録案は2週間以内に作成している
→議事録は会議終了後、1週間程度以内に作成することが望ましいです。2週間以上経過すると、議事内容の正確性が保てなくなりま す。尚、議事録の内容については、決議結果と議事の要旨が簡潔に記録されている事が望ましいです。議事録は公開されますので、個人情報やセキュリティー上の課題 など管理組合として公開すべきでない情報は記述すべきではありません。
・理事会等が定期的に開かれている
→年1回の総会開催は義務ですが、理事会も2ケ月に1回程度は開催されることが必要で、それ以下の場合は管理会社の姿勢が問われます。担当者としては理事 会の開催数が多くなると仕事量が増えるので、極力開催しないように勧めることもあります。特に、管理委託費の低い管理会社程、その傾向があるので注意が必要で す。
・総会・理事会の議事進行を管理組合主導で実施している
→理事会での議事は管理会社からの報告事項が主体になるので、管理会社の担当者が議事進行を主導するケースがあります。管理会社からの報告事項が主体で あっても、管理組合の議長が議事進行を行うことが必要です。管理会社の担当者が管理組合の議事進行を無視するようであれば問題外です。
・組合員への情報発信等は管理組合の承認のもとに行われている
→「管理会社からのお知らせ」等の内容で、管理会社や関連会社からの広告内容が配布されることがありますが、事前に管理組合の承認がない情報を管理会 社の立場で配信することには問題があります。さらに、管理会社に都合の悪い情報を組合員や居住者に連絡することを担当者が妨害するケースもあります。管理組合と管理会社とが対立した場 合、管理組合の意向を無視して管理会社に有利な情報を組合員等に知らせるため、管理会社の担当者が組合員等に直接接触するケースもあります。管理会社主体で懇親会等組合員向けのイベントを実施することは避け るべきです。
・マンション内の問題を把握し、解決のための施策を行っている
→騒音問題など本来居住者同士で解決すべき問題が管理会社に持ち込まれることがあります。管理会社としては中立的な立場で対応することが求められます。 課題を管理組合に丸投げすることなく、担当者が課題解決の為の努力を行うとともに経過・結果を理事会に適宜報告することが求められます。
・未収金等の督促業務を実施している
→管理費等の未収金を専門部門に任せているケースもありますが、現場の状況を熟知しているのは現場の担当者です。滞納が発生した場合は、個別の事情により やむを得ない場合もあります。専門部門などに任せることなく滞納が発生した事情を把握し、適切な対応を提示することも担当者の責任です。
管理組合からの改善提案等に積極的に対応している
→管理組合からの提案に対して管理会社の都合で対応に消極的な場合があります。担当者としては会社に雇用されている立場上、管理会社の方針を無視すること はできませんが、顧客ファーストの前提で管理組合に対応することが良い管理会社といえます。管理会社との取引のない業者等にも積極的にアプローチし、管理 組合の要望に応えることが管理組合としてはベストな担当者とい えます。
・小修繕の工事でも相見積をおこなっている
→小修繕工事の場合、管理会社の関係部門や関連会社が修繕を行うことがあり、その会社の見積もりのみで工事決定することが有ります。ごく少額の場合を除 き、複数の見積もりを取得しておくことが原則です。但し、エレベータ設備や機械式駐車場等その設備を保守している業者しか修繕できない場合があります。この場合は、同様の事例を担当者が例示 することが望ましいです。
・業者から提出された見積もりに対して適切に説明・提案ができる
→管理組合の役員は組合員に工事内容等について説明する義務がありますので、担当者が見積もりを取得した場合は、管理組合にその内容を説明する義務も生じ ます。また、工事内容等について他の方法があれば、必要に応じて管理組合に提案することも求められます。専門的な内容であれば、業者や専門家に説明させる ことも必要です。
主担当者は管理業務主任者の資格を有している
→重要事項説明などの一部の業務を除いて担当者が資格を有している必要はありません。この為、管理会社によっては無資格の担当者を派遣してくる場合があります。資 格が無くても優秀な人材はいますが、資格を有していることは最低限の知識を有していることになりますので、原則として主担当者は資格を有している ことが求められます。

3.管理体制
管理会社として基本的な事項です。小規模の管理会社では24時間対応などは対応できないことがあります。コストとの兼ね合いにもなりますので、管理組合として必要な項目は最低限クリアすることを管理会社に要求します。
月次報告は理事会等で報告されている
→月次報告は書面で送られてくるだけでなく、理事会等で報告することが必要です。内容を説明し、役員が質疑・確認することにより、情報共有ができます。書 面を理事長に送付すれば、管理会社としては最低限の義務を果たすことになりますが、理事会等で報告しないと内容を確認する機会がなく、管理が管理会社任せになっ てしまいます。
・管理員に対して年1回以上の集合教育を実施している
→法令の改正や管理員のスキル向上などのため、定期的に教育することが必要です。研修センターなどを独自に準備していることがベストですが、セミナー会場等に専門家を招いて、教育することだけでも実施する必要があります。
・フロント担当者のバックアップ体制が確立している
→担当者が休暇を取得した場合などに担当者に代わって業務を行う副担当者の設置や簡単な事務をこなすアシスタントなど担当者をバックアップする体制が出来ていることが求められます。
関係者への定期的な指導がなされている
→フロント担当者や担当者をサポートする社員に対しても定期的に社内教育を実施する体制が必要です。
専門的な業務をサポートする体制がある
→管理組合の会計を専門的に扱う部署や技術サポート部門等を設置することにより業務を効率的に遂行することが出来ます。
清掃や点検等を下請け任せとはせず必要に応じて改善提案がある
→管理状態に応じて特別清掃を提案したり、点検結果から機器の更新計画を作成する等、結果の報告だけでなく改善のための提案を必要に応じて実施します。
・24時間365日の緊急体制がある
→トラブルはいつ起こるか分かりませんので、いつでも連絡を受ける体制が必要です。警備会社に委託するケースが多いのですが、管理会社(関連会社を含む)で受付ける体制があるとベストです。
・緊急対応時にフロント担当者や関係部門との情報共有がなされている
→緊急対応を行っても、その後の二次対応や管理組合への報告が必要になります。管理会社等の翌営業日には関係者にその情報を通知し、必要なアクションを起こすことが必要です。
・保管書類の整理・管理が適切になされている
→規約類等を管理会社が預かるケースがあります。管理組合から預かった書類はいつでも取り出せるように保管し、定期的に管理組合に保管状況を報告することが必要です。
鍵が適切に管理されている
→鍵はキーボックスに保管され、保管リストにより保管状況を定期的に確認している事は当然のことです。キーボックスから取り出すときは貸出リスト等により使用者が常にわかるようにしておき、紛失等が発生しないようにすることは最低限必要です。
重要書類・個人情報等が適切に管理されている
→竣工図面等が書庫などに保管しており、保管状況を定期的に確認することも必要です。業者等に貸し出すときは貸出リスト等により貸出先がわかるようになっていることは必須です。

4.コンサル業務
コストに影響しますので、最低限必要な項目を管理会社に要求してください。フロント担当者は通常複数の物件を担当しているため、この業務まで手が回らない ことがあります。この場合、マンション管理士等の外部専門家を活用することも検討してください。尚、専門家に依頼する場合は管理会 社に有利な提案にならないように、管理会社とは独立した専門家に依頼することが必須になります。
経費削減・防犯・防災計画等の提案がなされている
→経年劣化による修繕費用の増加や社会的劣化による設備等の陳腐化に対する対応策を適宜検討する必要が出てきます。日常管理のみに追われているとマンション自体が陳腐化し、資産価値が低下してしまいます。専門家からのアドバイスを適宜受けてください。
・特別清掃や植栽管理等、美観の維持に配慮した提案がある
→マンションは見た目も重要です。庭や草木が乱れていたり、外観が汚れていたりすると価値にも影響します。美観を損なう状態にならないように適切な対応が必要になります。
・法の改正や最新の話題等の情報提供がある
→法令は時々改正されます。改正に合わせて管理規約等の改正や細則の新設なども必要になります。又、法令等の改正以外にもLED照明などの省エネ・新しい 管理方法や修繕の方法等、マンションに関するハード面の進歩は日進月歩の感があります。常に、最新の情報を入手し、管理組合として取り組みを検討する必要 があります。
・管理規約や細則等の見直し提案がある
→原始規約を何十年も改定していない等論外です。法令等の改正に合わせて規約類の改正が必要です。規約類の改正を行っていなかったため、不適切な居住者の対応に訴訟費用等多額の費用が発生することもあります。
・収支や予算について適切なアドバイスがある
→予算は前年度踏襲する傾向がありますが、管理状態等に応じて適宜予算化する項目も発生します。収支のバランスが取れていない場合は対策を検討する必要が あります。管理費に余裕がある場合は、修繕積立金に組み入れる、不足する場合は支出を抑えるなどの検討が必要になります。
・長期修繕計画を定期的に更新している
→長期修繕計画は凡そ5年程度で見直すことが必要です。又、修繕計画には根拠となるデータが必須です。根拠データがないと専門でも判断やコメントをすることができません。
・設備維持や工事等について専門技術者からのアドバイスがある
→マンションの管理には、ハード面・ソフト面で多くの専門家がかかわる必要があります。管理組合は勿論、フロント担当者でも専門的な分野については充分情報を持っていません。必要に応じて各分野の専門家のアドバイスが必要になります。

5.その他
1〜4項に入らない項目です。項目等の見直しにより、分類を各項目に移動する場合があります。
・修繕工事を管理会社以外でも実施している
→修繕工事を全て管理会社の系列会社等で実施しているケースもあります。この場合、問題があるケースが多くみられますので注意が必要です。
・管理業協会の会員である
→多くの管理会社がマンション管理業協会に加入しています。管理会社が会費等の問題で管理業協会に加入していない場合もありますが、管理会社が管理業協会に入っていないと管理組合のリスクも高まります。
・会社の業績等をHPで一般公開している
→管理会社として情報をオープンにする姿勢が問われます。会社の状況等をHP(home page)等で公開してる場合は、意識が高いと考えて良いでしょう。
・担当者以外の対応は親切で適切である
→管理会社に連絡を行うと担当が不在の場合でも、丁寧に対応し、素早く担当者に連絡することが求められます。担当者以外の対応に疑問が残る場合は、会社としての姿勢が問われます。
・責任者が近隣の拠点にいて、トラブル時の対応が可能である
→責任者が本社にいて地方は担当者任せでは、重要・緊急事態に迅速な対応ができません。
会社がマンションの管理に精通している
→不動産会社がついでにマンションの管理をしているなど、事業の主体がマンション管理でない場合、管理業務がおろそかになったり、優秀な人材は主業務に回されたりします。

※この資料は、管理組合が管理会社を自己評価するための資料です。各項目は各自の判断で評価してください。
※他社との比較やより正確な評価をする場合は、マンション管理士等の専門家にご相談ください。



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