管理会社見直し・選定の方法
・・・比較検討について・・・



はじめに
 管理会社の見直しを検討するにあたって、留意点・進め方等の要点を纏めました。自主管理から管理会社に業務の一部又は全部を委託する場合にも、利用してください。

・管理会社を新たに選定する場合
 自主管理等から管理会社に業務を委託する場合、管理委託費の支出増加になますので、組合員の合意形成の為、その必要性を確認しておきます。
1.高齢化等により役員等だけでは、管理組合の運営が困難な場合
2.業務の一部を専門家に委託したほうが業務効率が良い場合
等により管理会社に新たに業務委託を行います。

・管理会社を変更する場合
 管理会社を変更する場合にも、変更の必要性を確認しておきます。管理会社を安易に変更することは、管理の継続性等の面からもリスクを伴います。(管理会社評価チェックリスト)
1.管理組合の運営が管理会社主導で進められて場合
 本来、管理組合の運営は管理組合が主導し、管理会社はその指示のもとに業務を遂行するべきですが、管理組合の役員が多忙な都の為、管理組合の運営を管理 会社に任せっきりになっている場合があります。そのような状態が長く続くと、管理組合の意思が働きにくくなり、管理会社が主導的な運営を行い、必ずしも管 理組合の為の運営になっていない場合があります。このような場合は、管理組合から管理会社への申入れを行うことが必要です。再三の申入れにもかかわらず改 善されない場合は、管理会社の変更を検討します。
2.管理会社の対応に問題がある場合
 管理会社が管理組合の指示に従わない、管理会社の対応が遅い等管理会社の対応に問題がある場合、担当者の個人的な資質であるか会社自体の問題かを確認します。会社や組織の問題であれば、管理会社の変更を検討します。
3.コストダウンを目的にする場合
 管理費の大部分が管理委託費として管理会社に支払われているケースが多い状況です。この為、管理委託費の低減を目的に管理会社の変更を検討する管理組合 が多いのですが、この目的で管理会社を変更した場合、必ずしも結果は良くありません。コストとサービスとはトレードオフの関係にあり、管理委託費を下げた ことにより、サービス水準が下がることが発生します。
又、管理会社を変更したことにより、修繕工事が多くなり、結果として管理費・修繕積立金が不足する場合もあります。
 コスト削減を目的にする場合は、作業内容がコストにあっているかどうか、余分な業務を委託していないか等、業務内容を分析したうえでコストに見合っているかどうかを検討します。その上で管理会社と費用交渉を行い、交渉が不成立の場合に初めて管理会社の変更を検討します。

●管理会社変更を検討する前に
1.管理会社とのコミュニケーション
 管理会社を変更することはリスクも伴います。変更を検討する前に、理事会や総会、日常の業務なとで管理会社と接触するときに、管理組合の意向や不満、課 題等を伝えて、改善を促すことが重要です。理事会等にマンション管理士等の専門家が出席するだけで管理会社に対応がかなり異なってきます。大きな管理組合 で顧問として専門家を理事会等に出席させるのは、管理会社に緊張感を持たせるとともに、より適切な管理を主導し、ライフサイクルコスト(※)を低減するこ とができるためです。
2.管理組合主導で管理会社任せにしない
 役員になり手不足や役員の知識不足などで管理が管理会社まかせになっている場合があります。このような場合は、役員に第三者の専門家を招くことも検討します。
3.資料の保管
 総会議事録や理事会議事録等の資料を保管することは管理者の義務ですが、それ以外にも、修繕関連の資料、会計関係資料、管理関係の資料など、管理組合に は保管すべき資料が多くあります。マンションの場合は、保管期限間がそのほとんどの書類で永年保管になります。このため、保管時の整理が重要になります が、あまり意識されていません。輪番制などで役員が頻繁に変わる場合は、特にこの傾向があり、管理組合によっては、管理会社に預けたままになっているがあ ります。
特に、管理会社に預けている資料については、注意が必要ですので、「どんな資料をあずけているか」、「管理会社が適切に管理しているか」「管理会社の倒産等の不足㋨事態にどのように対処するかけ」など、事前に確認しておくことも重要です。
 管理会社の変更を検討する時になって、管理会社にアクションを起こしても遅い場合がありますので、日常的に確認しておく必要があります。

●管理会社変更の手順
1.変更の目的
  マンション管理業協会の正会員だけでも300社以上あります。この中から最適な管理会社を選択するには大変な努力が必要です。コスト面だけで比較するので あれば、公開入札という手段もありますが、管理委託費の安いところを選択して、トラブルになるケースが多いので注意が必要です。サービス水準が低下した り、修繕費用がが増加したりなどで結果的に管理の費用が増加するなどの多くのトラブルによる相談ケースが多いため、このような事態にならないため、管理会 社変更の目的を明確にして、スクリーニングする必要があります。
・規模
大手に委託するか、中小に委託するか。委託先の規模を明確にします。小規模のマンションが大手の管理会社に委託する場合は、管理費の負担が増えるわりにはサービスが期待できません。
・分野
変更の理由により得意分野でスクリーニングすることも必要です。
例として@セキュリティー対策A日常管理B管理人の質BLCC(ライフサイクルコスト)の低減C賃貸管理DリゾートE高齢者対策F再生・建替え計画
等多くの目的の中で最適な管理会社を絞っていきます。
最終的に10社程度まで絞ったところで、各社にヒアリング(1次ヒアリング)を行い、各社のデータを収集しておきます。
2.合意形成
組合員に管理会社の変更の必要性・経緯・制定状況などの情報を開示して、組合員の意見を収集し、合意にいたる状況を作ります。必要によっては、説明会を開催します。又、ヒアリングの結果について比較資料等を作成します。
3.絞れ込み・事前比較
ヒアリングや説明会の結果、区分所有者の意見等を参考にして、5社程度に絞り込みを行います。この時点で各社の詳細比較資料を作成します。
4.提案・見積もり依頼
各 社からの提案と見積もりを依頼します。管理会社の基本姿勢を確認するためです。提案にあたって、各社にマンションの現状調査を依頼されますが、出来る限り 管理組合の役員か専門家の立会を実施してくだ゜さい。管理会社がどこを主体に確認するかによって管理会社の姿勢が分かるためです。
5.ヒアリング
提案書・見積書に基づていのヒアリングを行います。ヒアリングは組合員に公開する場合と、非公開の場合があります。どちらにするかは管理組合の状況より変わります。
6.理事会・総会での決定
ヒアリング結果と見積もり内容を精査して、変更予定の管理会社を選定します。ここまでで重要なのは、談合や組合員による不当な介入です。不適切な管理会社を排除するうえで情報収集を充分行い、専門家の意見も聞いたうえで判断することが重要です。
7.移管手続
  総会で承認された管理会社と委託内容の詳細を確認していきます。又、新旧の移管時に旧管理会社が移管の手続きには消極的になりますので、事前に必要な書類 や情報は管理会社が決定するまでに収集しておく必要があります。経験のある専門家と事前に相談しておくことも重要です。
8.変更後の評価
  1年経過後に管理会社の評価を行います。契約事項が遂行されているのは当然ですが、移管手続が滞りなく終了しているか、組合員への対応状況、業務遂行状況、書類の保管状況や管理組合のの資産保全状況など確認します。
業務水準が期待したレベルに届いていないときは、管理会社の再変更を検討します。
長期間の管理を継続している場合は、その管理会社の管理を尊重しますが、1年程度であれば、連続性のリスクに対するリスクは少ないので、交代するのであれば早めの方が良い為です。
勿論、期待したレベルに届いて入れば、変更の必要はありませんが、更に、良くするための要求は行いましょう。リプレース直後は、管理会社も積極的に協力するケースが多いためです。

※ライフサイクルコスト
建物を建設してから、解体・廃棄するまでのトータルコストをいいます。例えば、大規模修繕で多少費用が掛かっても、次の修繕までの期間が長くなったり、日常管理の費用が低減されることにより長期にわたるとコスト削減になる場合があります。
マンションの管理においては、ライフサイクルコストを低減することが重要です。

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