2003年ミラノALS/MND国際会議参加、報告第3弾!

その時は突如としてやってまいりました。

実は、スピーチのチャンスが来るならば“この演題”の後と、翻訳家YM様より情報がもとらされていたのですが、私がその見込み時間を読み違いていたのでした。

予測より数時間も早く来た展開に、私の介護メンバー達も一瞬浮き足立ったかに見えましたが、実はその緊迫感を待ち望んでた如く、私のスピーチは一瞬にしてその準備は整えられました。
全く頼もしい介護メンバー達です。

ところでここで、情景をご想像し易くして頂ければと思い、私の書きました“事前打ち合わせ書”をご紹介します。
結してこのとおりに、事は進みませんでしたが、粗筋は辿れるものです。

◆同盟会議での動作について
今回の私のスピーチは公式なものでなく、同盟会議事務局の好意によるものです。
従いまして、会議期間中14.15日のどの段階にその機会が巡って来るかわかりません。

その為、作業の迅速化をはかる上で、以下の役割分担をお願いします。
※スピーチは2、3分です。
※実施出来ない場合、無理にでもCD−Rを渡します。

川村氏(註:翻訳家)
普段⇒NHKのカメラ(註:記録用)にて、自由にご撮影下さい。
スピーチ時⇒カメラを石野氏にわたし、スピーチをお願いします。

石野氏(註:ケアスタッフ)
普段⇒定点カメラにて、自由にご撮影下さい。
スピーチ時⇒NHKカメラを川村氏より引継ぎ、撮影をお願いします。

木村氏(註:娘の友人)
普段⇒川村氏の助手をお願いします。
スピーチ時⇒CD−Rを会場にお配り下さい。

栗原さん(註:ナース)
普段⇒私の介護をお願いします。
スピーチ時⇒私を前方へ連れ出して下さい。※万が一川村氏が離席の場合、スピー
チをお願いします。

久保さん(註:ケアスタッフ)
普段⇒私の介護をお願いします。
スピーチ時⇒定点カメラを石野氏より引継ぎ、撮影をお願いします。

娘(註:中学生)
普段⇒文字盤をお願いします。
スピーチ時⇒CD−Rを会場にお配り下さい。

妻(註:短気)
普段⇒どなたか離席する折り、その仕事をフォローして下さい。写真を撮って下さい。
スピーチ時⇒写真を撮って下さい。

以上、宜しくお願いします。【舩後】

お読み頂きましてお判りのように私は、自分に関連した事を音楽仲間に無理を言い、CD−R55枚に録音をしてもらい、資料として用意を致しました。
何かを残す事を参加患者の使命と考える私は、スピーチが実施出来ない場合には無理にでも、同盟会議参加各国にCD−Rを渡そうと考えたのです。

こんな患者が日本にいる事を、知って貰う為に!
少なくとも日本では、患者が主体と成り得る事を、知って貰う為に!

ここで折角ですので、当日行ないました私のスピーチの内容と、配布致しましたCD−Rの内容をご紹介します。

◆国際会議ご挨拶(スピーチ)
はじめまして、私は日本からまいりました、JALSAメンバーの舩後と申します。
どうか、宜しくお願いします。
さて、私はこの度の国際会議に際しまして、発表の準備を進めてまいりましたが、実は同盟会議事務局様のご意向でそれを残念ながら断念致しました。
でも諦め切れず、同盟会議事務局様にあらためてご相談申し上げましたところ、このようにご挨拶の時間を戴けました。
本当に感謝です。
ありがとうございました。
ところで、折角戴けました貴重な時間です。
その時間を無駄に費やさない為に私は、資料としてCD−Rを用意してまいりました。
内容は、私が個人としてしています、ALS広報活動の一部です。宜しくお受け取り下さい。

なお、ジャケットの絵は、私がまだ手の動くうちに、パソコンにより描いたものです。
テーマは「雪にたたずむ旅館(Japanese Hotel in the Snow)」です。どうぞ、お楽しみ下さい。

それから中に、私のメールアドレスが記してあります。
必ずご返事致します。皆さんからのメールを心よりお待ちしてます。
ご静聴ありがとうございました。日本から舩後でした。失礼します。

◆ご挨拶(CD−R)
この録音は私の友人が作る、ラジオ番組(※註:後述)から抜粋したものです。
日本のある地方都市で流されています。
番組では、ALS患者応援企画が実施され、その一連で、私の詩を朗読してもらっています。
私は国際会議に参加させて頂くにあたり、少しでも日本のALS関連活動をお知らせしたく、このCD−Rを用意致しました。
どうぞ、お受け取り下さい。ありがとうございました。

□JALSAメンバー、舩後靖彦
e-mail:funa@mtd.biglobe.ne.jp
http://www1.odn.ne.jp/~aae03880/index.html   
〒261-0012
ディアフレンズ美浜
日本千葉県千葉市美浜区磯辺2-21-1
Tel043-303-0581
Fax043-303-0583

□内容
@番組テーマ曲『POP & ROCK in the JUMP』です。私の作詞です。

A私の詩の朗読です。
『春のしらべに思う』
春のしらべにまどろむ朝。頬には温もり感じ、桃色と染まる。自然の奏でる多重奏にしばし心奪われ、魂の安らぎ与えくれることに、いつしか感謝する。

新しき息吹感じる朝。期待は胸高鳴らせ、頬赤くそめる。
そしてそれは決して目にとまらず、私を君を包み込み、至福いざなう時と化すことに涙する。

あー春のしらべ、ありがとう。身動ぎできずとも、幸せ感じ得る朝与えくれ。
あー春のしらべ、永遠にあれ。我等魂に、安らぎ与え続けん為にも。

□ジャケットのイラストは、ALS発病後に私がパソコンで描いたものです。

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【続く】
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※註の説明
FM MiMi こちら情報流通新聞編集部

私の福岡の友人が作るFMコミュニティ放送局(福岡市)のラジオ番組で、私が作詞し鹿児島の友人が作曲した番組テーマ曲が、福岡の友人達の演奏で10/5から毎週流されています。
●局 名:FM MiMi
●番組名:こちら情報流通新聞編集部
●日 時:日曜午後(夜)九時半〜十時
インターネット放送があります。FMMiMiで、ヤフーなどでお調べ下さい。
パソコンでお聴き頂けます。(→ストリーミングを再生可能なアプリケーションが必要となります)

また、ALS患者応援企画で、番組内で私の詩も朗読してもらっています。
さらに、ALSチャリティーCD制作企画なども現在進行中の、私達ALS患者にとりまして実に頼もしい番組です。

心より感謝しています。
お時間があったら是非お聴き下さい。
宜しくお願いします。【舩後】


【続く】