意 見 陳 述 書(第1回審尋へもどる)
             陳 述 人  塙   清 一 
1.私は現在(財)茨城県環境保全事業団が産業廃棄物最終処分場の建設を進めております笠間市福田町の予定地から約300メートルの所に住んでおります。
  私は、この地に生を享け、今年で52年になろうとしていますが、この福田が、いかにすばらしい所であり、かつ貴重な所であるか、その自然が失われようとしている今ほど強く感じているときはありません。ここに出席している人はすべて同様の思いをしていることでしょう。
2.産業廃棄物最終処分場の建設予定地は、かつて山頂に、富士浅間神社を祀った、信仰の山でした。地元では「おふっちゃん」と称し、氏子として各家順番に、代々丁重に祀ってきた、たいへん重要で神聖な場所であります。それが、高度成長期に採石場として掘られ、最勢期には、深さ40メートル近い巨大な穴ができました。
 その後、業者の倒産により放置され荒廃した状態でした。もちろん神社の社は、移転させられ、現在は処分場建設敷地内にあるため、私たちは自由に参拝もできません。

 また、砕石場として操業していた当時、周囲の家々では、井戸水が枯れ、井戸の堀りたしや、他の場所に掘り直しをしたのを憶えております。
しかし、自然の回復力とはすばらしいもので、放置されてから20年近くが経過する間に、すばらしく美しい湖が出現し、そこから水が溢れていくつもの湿地を形成し、ハッチョウトンボやオゼイトトンボなどの貴重な動物、また、シランをはじめとする多数の植物の貴重な宝庫となったのです。
 さらに溢れた水は、福田地内の中央を流れる涸沼川に注ぎ、多くの農家の田畑を潤し、上水道の水源としても利用されてきのたです。

 一度は破壊されましたが、豊かな再生力により復活したすばらしい自然の恵みを受けながら、私たちはしっかり地域に根付いて生活したいと願っていました。
3.ところが、行政は、我々の血税を使い、せっかく再生した自然を破壊しようというのです。本件最終処分場の着工により、ふじみ湖とその周辺の自然環境に対する破壊が、現在かなり進行しています。 
 県や事業団は、地元住民の意志を無視し、今まで和の心を持って団結していた地元住民の心を修復不可能なまでに分断しようとした上、ふじみ湖の水の放出による井戸水の水位低下にも因果関係はないとうそぶき、貴重な動植物を守るため湿地保全を約束したことも忘れたような工事をしています。また、社を工事現場内に囲い込んで、私たちが参拝するのを妨害していることさえ認識していません。
このような県や事業団に対しては全く信用することはできません。
 裁判所におかれては、一刻も早く私たちの申立てをお認めになるよう衷心よりお願い申しあげます。
                                   以上