平成15年(モ)第38号  起訴前の証拠保全申立事件

申 立 人   川  崎  悦  子
               外10名

相 手 方  財団法人茨城県環境全事業団

               証拠保全申立補充書

                                2003(平成15)年3月3日

水戸地方裁判所 民事部 御中

               申立人ら代理人

                           弁 護 士   安  江    祐
                                            外

 頭書事件につき、平成15年2月14日付け証拠保全の申立補充書(以下、「本
件補充書」と言います。)記載の湿地の検証の具体的方法について、以下の通り
追加して補充します。

 検証の具体的方法

1 写真撮影及びビデオ撮影による検証

  湿地部分の富栄養化の状況、シランの生育地の環境の現状、澤遊生物相
(珪藻類などを含む)の現状については、数名で湿地内に立ち入り、カメラ及び
ビデオカメラで撮影を行う方法により検証を行う。
なお現場において河野昭一京都大学名誉教授(植物生態学)が撮影箇所等に
つき指示する。

2 水質検査

 湿地部分の水質検査においても、同様に野外用測定器により電気伝導度、
PH、水温を測定する方法により行う。なお、湿地保全の状況を確認する上
では、溶存酸素の測定をすることが望ましいが、現段階では申立人側で専
門家及び器具を準備することができない。相手方において可能であれば、
調査器具の提供等、本件検証における測定調査に協力されたい。

 湿地帯への立入りについて

 なお、検証のために湿地帯に立ち入ること自体の環境への影響であるが、
植物は大半が休眠期にあり、長靴など底の軟らかい靴を履いて、少人数で湿
地内への立ち入りをする範囲であれば、植物その他環境に対して深刻な負荷
を及ぼす可能性はないと考えられる。

 現地における検証方法の対応について

 本件湿地は、「ふじみ湖」から出る水系の下流に位置しているが、現在は
流れが遮断されている結果、水は他の水源(井戸)から供給されているため、
少なくとも供給される水量、水質(溶存酸素、その他のイオンの量的、質的
変化)によって、湿地内生育、生息する植物、動物の生活環境は、著しく改
変されている可能性がある。また、検証の実施時期如何では、冬期休眠中の
ものもある。
 しかしながら申立人らは湿地への立ち入りが許されず、現状を把握するこ
とができない状況にある。したがって、検証の具体的方法については、上記
河野教授の現場での指示に応じ、例えば水や泥のサンプル採取などをするほ
か、現場の状況に応じた現状把握ための検証方法をとられるよう希望する。

四 本件検証後の専門家による湿地の保全状況の検証の必要性について

 また、生態系の保全状況を把握するためには、今回の検証以後も、その時
期に応じた本件湿地における複数箇所での水や泥のサンプル採取と分析等の
化学的分析が不可欠であり、今回の検証のみでは十分とはいえない。
相手方が本件湿地部分を保全することを大前提として本件処分場建設を進め
ている以上、相手方におかれては、申立人による専門家による湿地保全状況
の検証を可能とすべく、今後の専門家による任意の継続的な調査立入、調査・
サンプル採取、分析に協力されるよう強く要望する。

五 疎明方法

 1 甲23    河野昭一「ふじみ湖のトンボ相について」

               証拠保全申立書へもどる