『 海の底には ― (1) ― 』
海原はとろり・・・・と凪いで まるで油を流したみたいにまったりと揺れている。
その表面には ― 数多の星々の光が撒き散らされ ・・・ 水平線の彼方まで輝きが見えた。
先ほどまで緩やかに吹いていた海風も いつの間にか止んでいた。
― 彼女は待った。
じっと海面を見つめ 耳を澄ませ。 ただひたすら 待つ。
やがて ほんのすこし うねりがでてきた。 船体がわずかだがゆっくりとローリングし始める。
・・・ 来る。 来るわ・・・! うん、同じ気象条件ですものね!
フランソワーズは ぐっと舵をにぎりしめつつ海面に目を凝らした。
もうすぐ きっと、いや必ず。 海面は奈落の底へと引き込まれてゆく ―
― 大渦巻きが発生するのだ。 ・・・ そう、あの夜と同じに・・・
「 ・・・ くっ! 待っててね、ジョー!! 必ず助けるからッ 」
「 ワン ! 」
すぐ足元で <相棒> の頼もしい声がした。
彼女はそっとその丸い茶色毛のアタマを撫でる。
「 頼むわね。 あなたのご主人が待っているわ! 」
「 ワワン!! 」
ぺろり。 暖かい舌が彼女の手を舐め、返事をしてくれた。
「 メルシ♪ ね 見てて? これからが 003の実力の見せ所 ですからね! 」
フランソワーズは、いや003は索敵用サイボーグとして付与された超感覚を
最高レベルに展開して ― 待った。
やがて。
・・・・ ゴ ・・・・ ゴゴ ・・・ ゴゥ ・・・・〜〜〜〜〜 !
不気味な音が どこからともなく低く、しかし強く聞こえ始めた。
「 ! 来たわッ !! ・・・ よ〜し ・・・! 」
003は舵を固定しなおすと、舳先にでてじっと前方の海面を睨んだ。
さあ ・・・! 行くわよッ !
「 うわあ・・・・ ねえねえ ジョー? 海の色が全然違うわ〜〜 」
「 すご・・・・い〜 宝石みたい、 ううん、宝石よりもずっとキレイだわ・・・ 」
「 きゃ・・・ こんなに冷たいの? 海面なのに・・・ 」
さっきから フランソワーズはさえずり続けている。
「 ねえ ねえ ジョー 〜〜 カモメさん達が飛んで来たわ。
お〜〜い? どう? ちょっとは休んでゆかな〜い?? そうだわ、パンくずがあるわ。
ねえ・・・ オヤツがあるのよ〜〜 」
ふふふ ・・・ っとにコドモみたいだなあ・・・
あんなにキラキラした瞳で ふふふ ・・・
・・・ キレイなのは海じゃなくて きみ さ・・・
ジョーは操舵室の窓から そんな彼女を眺め自然に笑みが浮かんできてしまう。
ちらり、と計器類を眺めるが それらはまったく平穏な状況を報告しているだけだ。
この辺りでしばらくフローティングしていても差し支えはなさそうだ。
ジョーは 自動操舵に切り替えアンカーを降ろした。
「 ねえねえ ジョー・・・! すごいのよ〜〜 」
「 はいはい、 今ゆくよ。 まったく今日のきみは <すごい> しか言っていないぞ? 」
パーカーを引っ掛けると ジョーは甲板へのドアを開けた。
「 ワン・・・ッ! 」
茶色毛のカタマリが 飛んできてジョーの足元に座った。
「 お〜〜 よしよし、ご苦労。 うちのお転婆姫のお守り、お疲れさん・・・ 」
ジョーはぽんぽん・・・・と茶色のアタマとかるく叩いた。
「 ワワン♪ 」
「 まあ! お転婆姫 だなんて〜〜 」
「 クビクロだって同意しているぞ? なあ? 」
「 クゥ〜ン ・・・ 」
「 まあ〜〜 お前だって一緒になって喜んでいたでしょう、クビクロ〜〜 」
「 ははは ・・・ クビクロも初体験を楽しんでいるんだろ?
海の上に出た犬って そんなにいないだろうからね。 」
「 そうねえ。 お前、全然恐がっていないものね、凄いわ〜〜 」
「 ワンッ! 」
「 何回か釣りに連れていったからね。 ・・・ ああ 本当いすごく深い色だなあ・・・ 」
舳先に来て、 ジョーも海の濃い <あお> に見入っていた。
「 最高の夏休みね♪ 」
「 ああ ・・・ 遅くなってゴメン。 」
「 ううん そんな謝らないで? ジョーはお仕事、忙しかったんだもの。
こんなステキなバカンスに誘ってくれて 最高にうれしいわ〜〜 」
「 フラン ・・・ 」
ジョーは 明るく笑う彼女を抱き寄せキスをした。
「 ・・・ クビクロが見てる わ よ? 」
「 いいよ ・・・ コイツはもう慣れっこだろ・・・ 」
「 うふ ・・・ ねえ? 彼にもそろそろお嫁さんを見つけてあげないと ・・・ね? 」
「 あ〜 ・・・ そうだなあ ・・・ 夏休み中に考えてみようか。 」
「 ええ♪ ねえ? 君はどんなコがお好み? 」
「 − ・・・ わん?? 」
「 ゴールデン・レトリバー ・・・とか言うなよ? そんな高級な嫁は諦めろ〜〜 」
「 う〜〜〜? ワンッ ! 」
「 そんなこと、言ってない、って。 」
「 あ そうか よかった〜〜 」
二人と一匹は 声を上げて笑った。
フランソワーズ号 ― 中古のクルーザーに これは博士が命名した。
ごくありきたりの、旧い型の中型クルーザーなのだ。 当然 ・・・ <なにもしていない>。
維持するのが面倒になった持ち主が安くオークションに出していた。
「 ドルフィン以外の船も あってもよかろう? 諸君らにはオモチャだろうが な 」
ギルモア博士は 鷹揚に笑い、 ごく基本的なセキュリティを施すと、ジョーにキイを渡した。
「 ジョー 君なら簡単に操舵できるじゃろう?
ま ・・・ 誰かさんと海の上でデートでもしてくるといい・・・ だ〜れも邪魔せんからなあ〜 」
「 は 博士・・・! ・・・ あ でも操舵は自動なんですよね? 」
「 自動にもセットはできる。 しかし基本は <マニュアル車> じゃよ。
自分自身の手で動かし、 大海原を楽しんでおいで。 海上デートのために腕を磨けよ? 」
「 ありがとうございます。 デート って博士ってば・・・
わあ〜 いいなあ〜 この舵輪っぽい舵〜〜 ・・・ しかし こりゃマジ、勉強しなくちゃなあ。 」
ジョーは 新しいオモチャ にわくわくしていた。
「 ね? すご〜〜く水が冷たいの・・・ 沖の方の海ってこんなに冷たいのねえ・・・ 」
フランソワーズは相変わらず舳先にへばりついている。
「 泳ぐつもりだったけど。 これじゃ ・・・ ちょっとね? 」
「 うん? ・・・・ ああ 本当だ。 この陽射しなのにねえ ・・・・ 」
ジョーも海面に手を浸し、怪訝な顔をしている。
「 この辺りには特別な海流でもあるのかな? 海図にはなにもなかったんだが ・・・ 」
「 お天気は ・・・ 特に変わりはないようね? 」
「 う ん ・・・? いや 気圧計がおかしいな。 風力計も・・・
おい、 フランソワーズ、クビクロをつれてキャビンに入っていろ。 」
「 あら。 こんな時こそわたしの出番じゃない?
必要な情報を言ってちょうだい、 すぐに50キロ四方を調べてデータを渡すわ。 」
「 ありがとう! じゃ・・・ おい、クビクロ! お前はキャビンだ。 」
「 ワン !!!! 」
冗談じゃないですよ! という顔でクビクロが吠え立てる。
「 ワン ワン ゥ〜〜〜〜 ワン! 」
低く唸ると 彼はどっかとジョーの足元に座り込んでしまった。
「 ふふふ ・・・ ご主人様の側を離れません、って。 」
「 もう ・・・ あ それじゃさ、フラン。 彼に救命胴衣、着けてやってくれ。
もちろんきみも だぞ。 」
「 アイアイ サー♪ クビクロ〜〜 いらっしゃい。 」
「 ・・・ クゥン? 」
「 ほら そんな顔、しないの。 犬かき はお得意でしょうけれど、今は非常事態なの。
え〜と・・・? こうやって ・・・と。 」
フランソワーズは器用にクビクロに救命胴衣をくくりつけ 彼女自身も着用した。
「 ・・・・・・・ データ 送ったわ。 本当にヘンね?この付近だけ気圧が ・・・? 」
「 うむ。 この地域にだけ特殊な海流があるのか・・・? いや それは考えられないな。
しかし この数値からすると うわっ!? 」
― グラリ ・・・! 突然 フランソワーズ号の船体が激しく傾いだ。
「 きゃ 〜〜〜〜 !! 」
「 大丈夫かっ?! 」
「 え ええ ・・・ ああ! わたしも防護服を持ってくればよかったわ! 」
「 ワワン!! 」
「 クビクロ! よかった〜〜 こっちにおいで。 」
船体は激しくローリングし続け ・・・ いや 引き摺りこまれそうになっている。
― 何に ・・・?
「 いったい何が・・・ う ・・?? 」
「 ジョー! どうしたの? え??? 」
二人は海面を見て 絶句した。 ほんの半時間前まで鏡のごとく凪いでいた海原・・・
今 そこには ―
グワ −−−−− ゴォ 〜〜〜〜・・・・・!
巨大な渦が。 すべてのモノを海底へ 地獄へ と引きこむ巨大な漏斗が猛り狂っていた。
「 ・・・ これ か ・・・ 」
「 ・・・ すご ・・・ 」
二人は渦巻く海流に目を奪われ 言葉が出ない。
クルーザーは ちょうど渦に雪崩れ落ちてゆく絶壁の縁に<止まって>いるらしい。
「 ! いけない ・・・ 見とれている場合じゃなかった・・・ 」
「 え あ そ そうね。 でも 本当にすごい ・・・ 」
「 うん ・・・ あの渦が発生したときに 呑み込まれなかったのは奇跡だよ。 」
「 ・・・ そう ね ・・・ 」
「 このまま上手く 渦の反対がわに脱出できればいいんだが ・・・ 」
ジョーは舵を必死にあれこれ操作している。
グラッ ・・・・ 再び激しい揺れが フランソワーズ号をもみくちゃにする。
「 うわ 〜〜 ッ 」
「 きゃあ 〜〜 ! 」
さすがの二人も クルーザーの床に投げ出された。
− カチャ −−−−ン ・・・! キャビンの窓ガラスが割れた。
「 ・・・ って ・・・ 思いっきり打ったぞ・・・ 」
ジョーは頭を抑え ゆっくり起き上がる。 操舵室の窓も粉々だ。
「 う? なんてヤワなんだ! あ ・・・ そうか。 これはただのクルーザーだものなあ・・
ドルフィンとは違う、か。 」
ドルフィン号は 彼らの移動手段でもあり同時に 時には<戦艦> の役目も果たす。
装甲は頑丈だし当然 ガラスが割れることもない。
そろそろ立ち上がり 舵に手を伸ばせば ― すぐ下に彼女が倒れている。
ジョーはあわてて抱き起こした。
「 フラン? おい フランソワーズ!? 大丈夫か! 」
「 ・・・う ・・・ あ ・・・ 」
ぴたぴたと頬を叩かれ ようやっと彼女が目を開いた。
「 ・・・あ ・・? う・・・ イタ ・・・ 」
「 やあ 気が付いたね? さっきの大揺れで ・・・ 頭をぶつけてしまったんだよ。 」
「 あ・・・ そうなの ・・・? イタタ ・・・ 」
「 どうだ、< 能力 > は正常に稼働するかい。 」
「 ・・・・・ はい、大丈夫。 ああ サイボーグでよかったわ〜 」
フランソワーズは少しよろけつつも立ち上がった。
「 今の状況を教えて ジョー。 」
「 ― 最悪 とは言わないけれど あんまりよくない。 」
「 え ・・? 」
「 海面を見てごらん? 」
彼女は 脚を踏みしめつつ、窓ににじり寄った。 そして ―
「 ・・・・・ えッ?? 」
― ゴ −−−−−−− ・・・・・・・
外、というかフランソワーズ号の真下は 切り立った水の絶壁だった。
「 な!? これは ! 」
「 ああ。 どうやらこの船は大渦巻きの外縁ぎりぎりに乗っかっているらしい。 」
「 ・・・すごい・・・渦 ・・・! 底が 見えない。 」
「 きみの能力をもってしても不可能、 か。 」
「 深すぎるの。 わたしの可視範囲は超えてないはずなんだけど ・・・
屈折率の関係かしら ・・・ <見えない> なにも見えないわ。 」
「 そうか。 よし。 聞いてくれ、フラン。 」
「 ? 」
ジョーは真正面から彼女を見つめた。
「 ・・・ ぼくが船端を蹴って跳ぶ。 その瞬間に最大レベルに加速する。
反動で多分 クルーザーはこの渦の外に落ちる。 」
「 え!? ・・・ 蹴る・・・って・・・そのあと、ジョー は ・・・? 」
「 なんとか ・・・なるさ。 海に落ちてもすぐに 」
「 だ だめよ だめ! だってこの渦なのよ?? たちまち引きこまれてしまうわ!
この縁のところがぎりぎりの境界なんでしょ? ジョー、あなた、そう言ったじゃない? 」
「 ― 今はそれしか方法がない。 急がないと クルーザーごと 呑み込まれてしまう。 」
「 ・・・ ジョーと一緒なら・・・怖くないわ! 」
「 ダメだ! きみはこの海域を抜けたら博士と連絡を取れ。 いいな! 」
「 ! だけど! ジョーはッ!? 」
「 やるんだ。 」
「 ― わかったわ・・・ でも! それですぐに すぐに! 救援に来るわ! 」
「 まずはきみの安全を確保しろ。 ぼくは ・・・ なんとかなる。 」
「 なんとか・・・って そんな! だ だめよ ジョー そんな・・・! 」
「 信じてくれよ。 ・・・ ふふふ ・・・ ぼくだって 009 なんだぜ? 」
「 ・・・ ジョー ・・・ 」
「 さあ 急げ。 操舵の方法はわかったね? 」
「 はい。 」
「 よし ・・・ 防護服、持ってきてよかった。 おい、クビクロ? 彼女を守れ。 」
「 ・・・ ク ク ゥ〜ン ・・・ 」
「 ぼくの命令だ。 頼むぞ。 」
「 ワンッ ! 」
クビクロは それまで不安げにジョーの周りをうろうろしていたが 一瞬で シャン! とした。
ピ!っと耳を立て、フランソワーズの側に座る。
「 よし。 なにがあっても彼女の側から離れるな。 いいな? 」
「 ワンッ ・・・! 」
「 よし。 それじゃ フラン。 きみにこの船の舵を預ける。 」
「 ― はい。 」
甲板に赤い防護服姿が現れた。 彼はちらり、と振り返り 笑った ― ように見えた。
そして。 ジョーは 船端を蹴り大きくダイブでする。
その瞬間 クルーザーは大きく揺れ ― 恐ろしく急な < 水の急斜面 > の外側にぐらり、と傾いた。
「 ジョー −−−−− ! わたしも、飛び込むから! 」
「 ! 来るな!! ここは危険だッ 」
「 なに言ってるのよッ わたしだって 」
「 だ だめだ〜〜 クビクロッ 彼女を放すなっ! いいか 命令だぞ! 」
「 ・・・ クゥ〜〜〜ン! 」
「 ?? あ クビクロッ !? 」
クビクロにがっちり服の裾を銜えられ フランソワーズは身動きが取れない。
「 は 放して! ジョーを助けるのっ 」
「 ゥ 〜〜〜〜〜〜 」
「 お願いよ、 ねえ! もう〜〜 」
「 ゥゥ 〜〜〜〜 ウウ 〜〜〜 」
クビクロは服を銜えたまま 低くうなり、脚を踏ん張っている。
「 放してってば! 」
パシ ・・・! 彼女に叩かれても クビクロは微動だにしない。
グラリ ・・・ !
再び船は大きくゆれ、次の瞬間 <水の絶壁> を外側へと滑り落ちていった。
「 あああ!? ジョー −−−−−−−− !!! 」
≪ フラン ! 全速でこの海域を離脱しろ! ≫
≪ ジョー !! すぐに助けにくるから ≫
≪ ・・・・・・・・ ≫
≪ ジョー? ジョー??? 応えて〜〜〜!!!! ≫
≪ ・・・・・・・ ≫
ぷつりと脳波通信は途絶えてしまった。
気がつけば ・・・ クルーザーは大海原にゆらゆら漂うばかり。
「 ・・・ ク ゥ ・・・ン ・・・ 」
クビクロが すまなそうな顔で彼女に擦り寄ってきた。
「 あ・・・ クビクロ ・・・ さっきはごめんね。 ぶったりして ・・・ごめん ごめん ね ・・・ 」
「 クウン ・・・ 」
「 ご ごめ ごめん ・・・ 」
パタ パタ パタパタ ・・・・ 大粒の涙がクビクロの顔におちる。
ペロリ ・・・ 暖かい舌が涙を舐め取ってくれた。
「 ああ ああ ・・・ごめん ごめんね ・・・ 」
フランソワーズはきゅ・・・っとクビクロを抱きしめた。
「 クゥン・・・ ワン? ク〜〜〜ン ・・・! 」
彼女の腕の中で、クビクロは低く鳴くと カリリ・・・と床を掻いた。
「 ! そうだわ! そうだったわね! い 急いで博士に連絡を取らなくちゃ!
な 泣いているヒマはないわ。 ねえ?そうでしょ。 」
「 ワンッ ! 」
「 今、すぐに帰ります。 」
フランソワーズはぱっと立ち上がると しっかりと舵を握りしめた。
「 全速で帰還。 クビクロ? よ〜〜く踏ん張っていてね! 」
「 ワン! 」
まもなく 小型のクルーザーは最大出力で走向しはじめた。
あの海流は どうやら一月に一度、現れるらしい。
彼女が ぼろぼろになったクルーザーで帰還すると、博士は直ぐに調査を開始した。
それとなく、この国の保安機関からも情報を得、解析した。
「 ・・・ ふむ ・・・ これ以上の調査は外からでは無理じゃな。 」
「 外から? 」
「 そうじゃ。 実際にその海域に潜って調査・観察してみなければ な。
海底の地形などは どうも現行の海図とはかなり違っているらしい。 」
「 それでは 」
「 うむ。 事故のあと すぐにピュンマに応援を頼んだのだが。
運悪く、丁度彼の国の奥地へと出かけた後でなあ・・・ 連絡がなかなか取れんかった・・・
先日、やっと首都に戻ってきて・・・ すぐにこちらに向かう、と。
いや もう出発しているよ。 ただ ・・・ 彼の国からは遠いのでなあ ・・・ 」
「 あ ・・・ そうですねえ・・・ 飛行機の便も乗り継ぎが悪いですものねえ ・・・ 」
フランソワーズは ちらり、とカレンダーを見る。
もうすぐ。 もうすぐ あの日 から一ヶ月目の日がやってくる。
そんな彼女を眺め、博士は誤解したらしかった。
「 まあ そう焦っても仕方あるまいよ、フランソワーズ。
海の専門家の到着をまって、改造した <フランソワーズ号> で捜索に向かうといい。
大丈夫じゃよ。 アイツは 009 なんじゃから。 イワンが保証しておっただろう? 」
スーパー ベビーは ただひと言告げて そして眠ってしまった。
ウン。 大丈夫。 009ハ 生キテイルヨ。 元気ダヨ ・・・
「 ・・・ ええ ・・・ それは安心しましたけど。 でも ・・・ 」
「 丁度 夜の時間に入ってしまったからのう・・・ しかし急変があればイワンは目覚める。
ここは ピュンマの応援とイワンの目覚めを待とうじゃないか。 」
「 いえ あの! 」
「 うん? なんだね。 本当にあの海域の構造は ナゾだらけだ。 」
「 いえ ・・・ なんでも・・・ あ! あの〜〜 クルーザーの改造って? 」
「 うむ。 以前はごく普通のクルーザーにちょいと馬力をプラスしただけじゃったが。
今回はな、根本から < 変えた > ぞ。 」
「 まあ ・・・ どんな風なのですか? 」
「 見かけは以前と同じ、ごく普通の、それもちょいと中古なクルーザーさ。
しかし 内部はな ― 潜水仕様に変換できる。 」
「 え そ それじゃ あの船で潜ることができるのですね?! 」
「 そうじゃ。 まあ・・・ドルフィン号と同じ、とまで行かんがな。
捜索のための潜水行動は可能じゃよ。 ああ 勿論 <攻撃> は できんが。 」
「 十分ですわ。 」
「 フランソワーズ? ピュンマの到着を待て。 いいな? 」
思い詰めた表情の彼女に 博士は重ねて言った。
「 あ ・・・ はい ・・・ 勿論 ・・・ 」
「 無茶はいかん、 いいな? くれぐれも ・・・ 」
ぽん、と大きな手が彼女の肩に置かれた。
「 ・・・・・・ 」
フランソワーズは俯いたまま じっと佇んでいた。
― 伏せられたその濃い睫毛の下の瞳に 強い光を漲らせつつ ・・・
チャプン ・・・ !
緩い波が フランソワーズ号の船体を洗う。
「 ・・・・・・ 」
フランソワーズは <能力> をフルパワーで展開し ― 待つ。
「 ・・・ ウ 〜〜〜 ? 」
彼女の足元で クビクロが低く唸った。
「 ええ ・・・ 来たわ。 すごいのね、お前にも判るのね。 」
「 ワン! 」
「 救命胴衣は大丈夫? 次の波が来たら ― 潜るわよ! 」
「 ワ ワンッ 」
パタパタパタ ・・・ クビクロは尾を盛んに振り <同意> を示した。
「 今夜もお星様だけ ね。 博士 ・・・ ピュンマ ・・・ ごめんなさい!
でも わたし。 もう 待っていられない。 」
ゴ ・・・ ゴゴゴ ・・・・ ゴ ゥ 〜〜〜〜〜
低い海鳴りにも似た音が聞こえ始めた。
「 来た ・・・! 」
フランソワーズは しっかと舵を握り、潜水仕様にチェンジした船を ― 突入させた。
防護服に身を固めた003は。 ― クルーザーごと渦の中へ!
「 うわあ・・・ すごい・・・! なんだかドルフィン号みたい・・・ 」
潜水したフランソワーズ号はぐんぐんと大渦巻の真っ只中を進んでゆく。
「 同じ船とは思えないわ・・・ さすが博士〜〜〜 」
彼女は夢中になって操舵していた。
ゴゴゴゴ ゴウ 〜〜〜〜〜〜 ・・・・・ !
「 ・・・ え?! こ これは・・・? なに ・・・ 舵が 舵が 利かない !?? 」
ガクン、と船体が大きく揺れた。
「 なに?? なにか が 船を覆ったわ?? 何かに 捕まったの? 」
たった今まで自由に操舵できた船は 半透明のシールドにつつまれ引き込まれてゆく 。
「 ・・・ 見えない! なぜ ? 」
003の視覚は未知の現象をキャッチはしたが それを解析する間もなく、船体は真っ直ぐに
大渦巻きの中心に 落ちていった。
「 !? きゃ きゃぁ 〜〜〜・・・・・ ! 」
意識が途切れる寸前に、彼女は足元のクビクロがしっかりと防護服の裾を銜えているのを感じていた。
ジョー ・・・・・!!! 今 今 ゆく わ ・・・・!
カツ カツ カツ ・・・・
なるべく音をたてないように静かに歩いているのだが。
ぴかぴかに磨き上げられた廊下は 足を下ろす度に大きな音を響かせる。
「 ・・・! どうしてなのかなあ。 他の人たちは皆 滑るように歩くのに・・・ 」
彼は溜息をつき ・・・ またそっと足を出し ― 床が弾き返すその音に溜息をついた。
「 ・・・ ヨソモノのくせに ってことか? 床が一番正直だ・・・ 」
ほどなく 目的の場所に着いた。
うねうねと揺れる草や貝殻を浮き彫りにした大きな扉が 彼を迎えた。
「 ・・・・・ ! 」
左右に立つ警護兵が 彼を認めさっと道を開けてくれた。
「 あ ・・・ ありがとう。 ご苦労様です。 」
「 ・・・・・・ 」
目礼が返ってくるだけだ。
「 中には入りませんから。 母上に御挨拶するだけです。 」
「 ・・・・・・ 」
再び慇懃な目礼が返ってきた。
「 ・・・ ふう ・・・ 」
彼はそっと溜息を吐き、 大きくそのドアをノックした。
コッ コッ コッ ・・・・!
「 母上! お休みのところ、失礼いたします。 ジョーです! 」
「 ・・・・・・・・・ 」
室内からは 何の応えもない。
彼は構わず続けた。
「 海岸の見回りに行ってまいります。 昨夜の嵐の影響が気になりますので・・・
母上、大風は収まりました ・・・ たまには外の風に当たられれば・・・ 」
「 ・・・ お一人で行っておいでなさい ジョー 」
くぐもった声が 低く聞こえた。 帳の奥からの応えなのだろう。
「 ・・・ はい。 それでは ・・・ 午餐の時間までには戻ります。 」
「 ・・・ あ ジョー? 」
「 はい? 」
「 この季節には ・・・ 風 のためにいろいろなものが海岸に打ち上げられているはず・・・
なにか そなたの心に響くものがあるやもしれません。 」
「 ・・・ はい。 」
「 気の済むまで歩いてくるといいわ。 こちらのことは・・・ 構いません。 」
「 ありがとうございます、母上。
本当にいらっしゃいませんか? 外の空気を吸えばご気分も少しは優れられるかも ・・・ 」
「 ・・・ そう ・・・ それでは なにか ・・・ 風の香りのするものでも 持ってきてくださいな。
そなたが持ってきてくれるなら、元気になれましょう・・・ 」
「 はい! ・・・では 失礼いたします。 」
彼はドアの前で頭をさげると 静かにその場を去った。
・・・ 風の香りにするもの、 か ・・・
コッ コッ コッ ・・・・ 固い足音が磨き上げられた廊下を遠ざかっていった。
宮殿を出、広い庭園を横切り ― 城門をくぐる。
「 あ ・・・ これは若様。 お出掛けですか。 」
城門の脇の小屋から 初老の兵士が飛び出してきた。
「 あ はい。 海岸まで ・・・ 見回りに行ってきます。 昨夜の嵐も気になるので 」
「 あ〜〜 そりゃご苦労様ですなあ〜 どうぞくれぐれもお気をつけて! 」
「 ありがとう! もう海も静かだし ・・・ 大丈夫ですよ。
母上にもなにか・・・ ご気分が優れるようなものをお持ちしたいし。 」
「 いやあ〜〜若様。 大風の後にはね、 いろいろ・・・ 妖魔が誘うんでさ。
いろいろなモノを海から寄せてきてね。 」
「 へえ ・・・ それじゃせいぜい気をつけます。 じゃ・・・ 」
彼は 白銀のマントを翻し城門を抜けていった。
「 ・・・ふうん ・・・ 丁度 この季節だったよなあ・・・
あの坊やが海岸に流れついていたのは さ。 ― 王妃様は大した御方だよなあ ・・・
国王陛下に懇願して見ず知らずの坊やを 引き取りなすったんだもの ・・・ 」
「 おやっさん? なんです? 」
後ろに控えていた若い兵士が 小声で聞いた。
「 うん? いや ・・・ なに。 俺たちの この海の王国も栄えるだろうってことさ。 」
「 え? ・・・ ああ ウチの若様と隣国のお姫様とのご婚儀でしょ?
オレたちにもご祝儀がたくさんあるといいっすねえ〜 」
「 まあ な ・・・ 若いモンは精だして若様たちにお仕えしろよ! 」
「 へいへい〜 別嬪さんの姫様だもんな〜〜 若様は運がいいや 」
「 おいおい ムダ口叩いてないで。 厩の掃除は済んだのか 」
「 へ〜い ・・・ ただ今〜〜 やれやれ・・・ 」
ぶつくさ言いつつ、若者は厩の方角に駆け出していった。
ヒュウ ・・・ 風はまだ昨夜の <嵐> の残りをひっぱっていた。
青年は セピアの髪を風に揺らしつつ、海岸線を歩いてゆく。
サク サク サク ・・・ サク ・・・ 湿った砂地に足跡がくっきりと残されてゆく。
「 ・・・ ここは いいな。 足音が響かないもの・・・ 」
彼はふと足を止め 目の前にひろがる海に視線を投げた。
― 海。 広大は水の台地は 今、 ゆるりゆるりと揺れている。
その上には 半透明な白い空が覆いかぶさっていた。
そう・・・ この国の人々の髪の色に よく似た色の 空 が ・・・
なにかが 違う。 自分の知っていることと ・・・何かが。 それが何なのかわからないが。
彼はずっと ずっと感じている、この不思議な感覚をもう一度噛み締めている。
「 やはりぼくは ・・・ 違う世界の人間なのだろうか ・・・ 」
海を見ても空を見ても 他の人々とは違う 何か を感じていた。
こんな嵐の翌朝、この海岸に倒れていて・・・ 散策にきた王妃に拾われた。
そして王宮で養われてようになってからも 彼はしばしば高熱を出し、寝込んでいた そうだ。
これは彼自身もはっきりと記憶がない。
彼の記憶は ― つい一月ほど前の嵐の翌朝までしか遡れないのだ。
「 ・・・ どうして覚えていないのかなあ・・・
母上や乳母たちは ・・・ 熱の病のせいだ、というのだけれど・・・ 」
ふうう ・・・ 溜息が風に絡め取られ散らばってゆく ・・・
海は広いけれど 空は ― なぜか彼には閉塞感を感じさせるのだ。
「 ぼくは ・・・ 誰なんだ ・・・ 」
波打ち際で彼が助けられたとき、 覚えていたのは < ジョー > という名前だけだ、という。
「 名前しか ・・・ 持っていなかった のか ・・・ 」
ふうう ・・・ もう一つ、溜息を吐くと、彼は再び歩き始めた。
「 ・・・ ふうん 本当にいろいろなものが寄せてきているなあ ・・・
ガラクタだけじゃないぞ。 ・・・ うん? なんだ ・・・ ? 」
彼は身をかがめ 足元に光る欠片を拾いあげた。
「 あ ・・・ 貝殻だ ・・・ やあ キレイだなあ。 母上が喜ばれるかも 」
母上、 とずっと呼んでいるけれど。 彼女自身がそう望んだのだけれど。
彼女 ― この国の王妃は彼の母親というには若すぎる年齢なのだ。
国王陛下とは歳が離れている風だったが 仲は睦まじい。 ただ 世継ぎがいない。
「 ― 世継ぎ か ・・・ 」
掌に乗せた薄い貝殻が カチャリ、と音をたてる。
王妃に拾われ 育てられ ― 彼は国王夫妻の養子となった。
そして ・・・ 来月には。
「 こんな こんな ぼくが。 自分が誰なのか、どこから来たのかも解らない・・・・
こんな風来坊がこの国を継いでよいのだろうか。 」
高位の貴族とか王族の中から養子を迎えれば・・・と進言もしたのだが。
王妃は優しく笑い、しかしはっきりと首を横に振った。
「 ジョー。 そなたがよいのです。 そなたには立派にこの国を統べることができますよ。
国王陛下も そなたになら安心して任せられる、と仰ったでしょう? 」
「 ・・・ しかし 母上 ・・・ 」
「 母の言葉を信じてなさい。 隣国の姫君と一緒にこの国を盛り立てて下さい。 」
「 ・・・ はい。 」
最近、 気分がすぐれない、と引き篭りがちの母に それ以上は言えなかった。
老いてなお、国政の重責を担う国王の姿を見ても 同じだった。
・・・ でも。 本当に ・・・ これでいいのか・・・?
国王の手助けをする、というのなら喜んで引き受けるだろう。
王宮を護り、海を守る ・・・ そんな仕事なら身を挺してやりぬく。
しかし。 一国の王となり この国を、民達を統べてゆく ― そんな事が許されるのだろうか。
さらにジョーは 来月に控えた隣国の姫との婚儀にも躊躇い 戸惑っている。
ヒュウ ・・・ また 風が少し強くなった。
「 ・・・ そう ・・・ こんな風に こんな場所を 歩いたことがあったような ・・・ 」
彼の歩みは 再びゆっくりになってきた その時。
ワン ワンワン ・・・!
遠くから獣の鳴き声が聞こえ ― なにか色のカタマリが突進してきた。
「 ・・・ ?! な なんだ ・・・・! 」
カタマリは ダ −−−−っと海岸線を駆けてくると、彼の目の前でぴたり、と止まった。
ワン ッ !!!!!
茶色の瞳が ひた・・・!と彼を見つめ、太い尾を千切れんばかりに激しく振っている。
「 ?! な なんだ?? オマエ は ・・・ なんなんだ?? 」
「 ワン !! 」
「 え?? お おおい〜〜 なんだ?? 」
獣は 困惑するジョーに纏わりつき、しきりとマントを銜えて引っ張るのだ。
「 おいおい・・・ どうしたんだい? オマエは ・・・ この国では見かけない獣だけど・・・
ぼくを知っているのかい? 」
「 ゥ 〜〜〜 クゥ〜〜〜ン ・・・・ 」
マントをしっかり銜えたまま 茶色毛の獣は悲しそうな唸り声をあげる。
「 わかったよ? なんなんだ? え・・? こっちへ行くのかい? 」
「 クゥ 〜〜〜ン ・・・ ! 」
ジョーはマントを引っ張られたまま、彼に着いていった。
「 だから 何があるんだい? あ・・・!? 」
波打ち際から すこし砂地に入ったところに ― ヒトが 倒れていた。
「 そうか! オマエは それで! ・・・ ああ ?! 」
ジョーは 迷わず駆け寄った。 そのヒトは赤い奇妙な服を纏っていた。
「 これは ・・・! キレイな 女性 ( ひと ) だ ・・・ 」
彼はそのヒトの側に屈み込むと、そっと頬に手をあて呼吸を確認した。
「 ・・・ うん、大丈夫・・・ 気を失っているだけだ。 」
「 ワン!!! ワ ワン 〜〜〜!! 」
「 やあ ・・・ 彼女はお前のご主人なのかい? お前が助けたんだね? 」
「 ワン ワン〜〜 ワン ! 」
獣は ジョーと彼女の回りをうろうろと歩きまわり、じっとジョーを見つめた。
「 ? なんだい? なんでそんな ・・・ 哀しそうな目で見るんだ? 」
「 クゥ 〜〜〜 ン ・・・・ 」
「 大丈夫だよ? お前のご主人はちゃんと介抱する。
え〜と。 まずは城に連れてゆかなくちゃ な・・・ 失礼しますよ、お嬢さん。 」
ジョーは 彼女をそっと抱き上げた。
「 ・・・う ・・・ う ・・・ん ・・・? 」
彼の腕の中で 彼女が微かに身じろぎをした。
「 !? おい? しっかりして・・・? わかりますか? 」
「 ・・・・ う ・・・? 」
「 ああ よかった・・・ 気分はどうですか? どこか・・・痛むところは? 」
「 ・・・・・・ 」
彼女はゆっくりと首を横に振った。 金色の髪から雫が垂れる。
「 そうですか。 でもこんなに身体が冷えてる・・・ 温めなければ・・・
ああ この獣が走ってきて ぼくをさかんに呼ぶのですよ。 」
「 ワン !! ワワン ! 」
「 ああ そうだよね。 大丈夫、君のご主人はぼくに任せてくえたまえ。 」
「 クゥ 〜〜 ン ・・・ 」
「 賢い獣ですねえ。 ず〜っと鳴いていて・・・ なんだい? って聞いても必死な様子で・・・
それで彼に引っ張れて来てみたら ・・・ ここにきみが。 」
今までぼんやりとしていた彼女の瞳が 突然ぱっと大きく見開かれた。
「 うん? どうしましたか。 」
「 ・・・・・・・・ !!! 」
彼女は まじまじとジョーをみつめると 次の瞬間 ・・・ きゅう〜っと抱きついてきた。
「 あ? あれれ・・・ ああ 大丈夫ですよ。 なにも恐ろしいことはありません、お嬢さん。
どうぞご安心ください。 さ 行きましょう。 城には腕のいい侍医もいます。 」
彼は自分も 以前にこの海岸に流れ着き助けられたのだ、という。
「 ・・・ ? 」
「 海からきた 海より深い瞳をしたお嬢さん? きみの名前は?
あ 失礼、ぼくは ジョー。 今はこの国の王宮に住んでいます。 」
セピアの瞳が、大地の温かさを持った瞳が 怪訝な表情で彼女を覗き込む。
「 ・・・・・ ・・・ ?? 」
「 ああ 無理しないでいいですよ。 さあ 城に行きましょう。
ゆっくり休めば 声も出るようになりますよ。 」
「 ・・・・ ・・・ 」
ジョーは彼女を抱きあげると ゆっくりと立ち上がった。
海辺で倒れていた美しい女性 ( ひと ) は ― 声を失っていた。
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updated : 09,11,2012.
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********** 途中ですが
え〜〜 原作 あのオハナシ です。
以前書きました 『 わだつみの都 』 の別バージョン メルヘン風味?
・・・ まあ いろいろと あと一回 お付き合いくださいませ♪