みんな子供

 

「ピークニック、ピークニック、お弁と持ってピークニック。」
 ギルモア邸に、なにやら浮かれた声が響く。
「気候もよくなってきたし、明日あたりお弁当持って、公園にでも行きましょう。」
 フランソワーズのそんな言葉がきっかけで、すっかり舞い上がってしまったジョーの歌声だ。
「・・・・・・ピクニックというほど、大げさなものでもないんだけど。」
 フランソワーズは思ったが、ジョーが喜んでいるのでよしとした。彼女にとって、それが何より最優先だった。他のメンバーも、おおむね賛成だ。
 が、ここに一人異を唱えるものがあった。
「ピクニックなんて、子供じゃあるまいし。くだらねえことで、よくあんなに浮かれられるもんだぜ。」
 ジェットだ。しかし、彼はすぐにその言葉を撤回した。いきなり鼻をつかまれ、青い瞳が間近に迫ってきたからだ。
「そんなセリフを2度と言ってごらんなさい。ただじゃおかないから。今日はずっと、「聴いてる」から。ね?」
 抑えた声が、かえって迫力で、ジェットは黙って頷いた。ジョーの歌声が、庭を横切っていった。



 その後も、メンバーたちは1日中、それこそいやと言うほど、ジョーの歌につき合わされた。そして・・・・・・。
「ピークニック、ピークニッ・・・・・・。はっ!!」
 ジェットは、風呂上りの髪を拭きながら、愕然とした。
「・・・・・・俺、歌ってた?」
 そろりと聴くと、
「ええ、確かに。」
 と、返事があった。
「・・・・・・移ったんだ。」
「・・・・・・そうね。」
 がっくりと肩を落とすジェットに、さすがのフランソワーズも、同情を禁じえなかった。

 おわり


***** 大雪さまよりのコメント *****

 

童心に帰るって、いいことですよね〜?(ダメ?)

 

***** 管理人より 感謝の辞 *****

 

『 音速的少年 』 の大雪さまよりリンク記念に頂戴いたしました♪

うふふふふ・・・わかります! 知らず知らずにってネ

それにしてもジョ−君、よっぽど嬉しかったんだね〜

 

大雪さま☆素適なお話、ありがとうございました(>_<)

 

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