『  夏を迎えに  ― (2) ―  』

 

 

 

 

 

 

     ザザザザ  −−−−   サァ −−−−−−

 

幅の狭い葉を付けた樹々の間を 風が吹き抜けてゆく。

身体に当たれば 最初は心地よいが次第に皮膚は強張るように冷えてゆく。

 

「 少し冷えるわねえ・・・ すぴか 寒くない? 」

フランソワーズは 握っている娘の手の温かさを確かめる。

「 ・・・・・ 」

返事が ない。 

「 ?  すぴか ・・・? 

母は少し不安になり 足を止めて彼女の顔を覗きこんだ。

「 ・・・ あ。  なに おか〜さん 」

ようやっと いつものくっきり見開かれた瞳が母に向けられた。

 

     ・・・ ああ よかった・・・

     具合でも悪いのかと 思ったわ

 

     すぴかが ぼんやりしてることなんて

     ・・・ これまでに あった??

 

すぴかは 赤ん坊の頃からカンの強い子で 甲高い声で夜泣きした。

泣きたいだけ泣くと す〜す〜 眠ってしまうのだが・・・

付き合う方はたまったものではなかった・・・

本人は いつもとびきり元気で丈夫、そして滅茶苦茶に走るのが速い。

母譲りの碧い瞳 はいつだってキラキラ輝きかっきり周りを見ている。

 

「 寒くない?って聞いたんだけど・・・ 聞こえなかった? 」

「 え ごめん〜〜  すぴか さむくないよ 」

「 そう? それならいいけど・・・ ねえ なにを聞いていたの 

「 あ  うん ・・・ ね〜 おかあさん。

 ここにも 海 ・・・ ある? 」

「 え 海???  さ さあ・・・ この辺にはない はずよ 」

「 ふうん〜〜 でもね でもね  なみのおと、聞こえる ・・・ 」

「 え?? ど どこ? 」

「 ・・・ ほら ほらほら〜〜〜 ザザザザ 〜〜〜 って!

 ウチの下の海と 似てる音・・・ する ・・・ 」

すぴかは 立ち止まって宙をみつめ耳を澄ませている。

「 え  ・・・・ ? 」

フランソワーズも 娘とならんで耳を傾けてみた。

「 ?  ・・・ あ  ・・・ あら  ホント ・・・? 

「 ね!  ザザザ〜〜〜  ってきこえるよね?? 

「 ええ ・・・ あ わかったわ! 」

「 どこ?? どこに海 あるの? 」

「 すぴかさん。 あのね あれは あのザザザ −−−− は

 波の音 じゃないのよ 」

「 へ?? 」

「 ほら ・・・ あの樹、松林を風が吹き抜ける音 よ 」

「 え〜〜〜〜〜  そうなんだ〜〜〜 」

「 すぴかさんは すご〜〜〜く素敵なお耳だわねえ 」

「 え  そ そっかな〜〜 」

「 そうよ だって お母さん、波の音がする って

 すぴかさんに言われて気が付いたもの 」

「 えへ・・・ ね なみのおと みたいだよね 」

「 そうね  こんな山に近いところでも 海 を感じるのねえ  

「 うん ・・・ あ またちょうちょさん達 ・・・ 」

すぴかは 今度は近くの木を見ている。

「 あら 本当 ・・・ 小さいのがいっぱい ・・・ 」

「 おか〜さん  ほっかいどう は 夏にちょうちょ?

 ウチや学校だと ちょうちょ は春だよ? 」

「 そうねえ  ここは夏でもそんなに暑くないからかな

 わあ 凄いわねえ たくさん飛んでる・・・ 

「 ウン ・・・ あ きらきら〜 してるのもいるね! 」

「 本当ね!  綺麗ねえ 」

「 ほう石みたい・・・ むらさき色のもいる! 」

「 青いのもいるわね ・・・ すごい 

「 うん ・・・ 

二人は 群れになって飛ぶ小さな蝶々達を眺めていた。

「 ・・・ これだけいるのなら どこかに巣があるかも ね 」

「 巣??? ちょうちょのす?

 ・・・ あ けむしさんのオウチかあ 

「 え ・・・ まあ そうかも・・・ 」

「 あのね おか〜さん。 ウチの裏山にも けむしさんのオウチ

 あるんだよ 知ってる? 」

「 ・・・知らない ・・・ 」

「 もうねえ〜 すご〜〜いんだあ  その木はよけて通るよ。

 あは この前 おと〜さんってばさわっちゃってさ 」

「 あ! あの時ね〜〜  うわ〜〜 って言いながら

 走って戻ってきたのよ、 お父さん。 」

「 あはは ・・ さわっちゃダメだよねえ 」

「 そうね  ねえ すぴか。 毛虫さんのオウチ、

 見つけにゆこうか 

「 え ・・・ けむしさんのおうち ??  ここで? 」

「 そうよ〜〜 きっとどこかの木に 巣があるのよ。 

 そっちの雑木林の中で 登れそうな木、探さない? 」

「 やる〜〜〜〜〜!!! 」

「 よおし  行くわよ 」

「 うん♪ 」

すぴかは わくわく・・・もう ちょんちょん跳ねつつ

お母さんと 雑木林に入っていった。

 

 

  ガサ  ガサガサ ―

 

「 ・・・ おか〜さんってば ・・・ 」

林の中 大きな樹の根本で、すぴかはぽか〜〜〜んと

上を眺めている。

「 よ・・っと・・・  すぴか〜〜?  いらっしゃ〜〜い 

「 ・・・ え  う  うん ・・・ 

すぴかのアタマの上で すぴかのおか〜さんがさっさか

樹を上ってゆくのだ!

ショート・パンツの白い脚が なんだか魔法みたく動いて

樹を登るのだ。  あの お母さんが!!!

 

< お行儀 > を いつも一番大切にしていて 

 

   すぴかさん。 お行儀がわるいわ。

 

この一言に なぜかすぴかはいつも しゅ〜〜ん・・・となってしまう。

お転婆・すぴか は < お行儀 > とは 

どうもあまり仲良くはなれそうもない・・・ 今のところ。

そして お母さんはいつもとてもキレイなのだ。

お顔だけじゃない、姿勢も動き方も。

自転車に乗っていても お母さんはキレイだ。

「 おと〜さん ・・・ おか〜さんってさ いつもキレイだよね 

「 あ? ああ そうさ。 すぴかのお母さんは世界一 キレイ(^^♪ 」

お母さんとらぶらぶのお父さんは にまあ〜〜っと笑っている。

「 おそうじしてても 自転車にのってても キレイだよ? 」

「 ああ そうだねえ  ああいうのを 優雅 っていうんだよ。 」

「 ゆうが?? 」

「 うん。 お母さんの国の言葉でいうと エレガンス ってことかな 」

「 えれがんす???  ・・・ ふうん・・・ 」

すぴかは こそ・・・っとため息を吐く。

 

     おか〜さん ・・・ 大好き。

     でも。

     すぴか ・・・ おか〜さんみたくじゃ ない・・・

     おか〜さんみたくに  なれないよぅ

 

     すぴか  おか〜さん 大好きなのに・・

 

その! お母さんが 今 さっさか木登りをしているのだ!

 

「 ・・・ おか〜さん ・・・ すご ・・・ 」

「 え??  なに〜〜 」

「 な  なんでもなあい〜〜  すぴかも  のぼる! 」

「 いらっしゃ〜〜い  まずね そこの一番下の枝にぶら下がって 」

「 ん!  ここから  よ・・・・っと 」

すぴかは懸垂の要領で ひょいひょい登り始めた。

「 ん〜〜  コドモはいいわねえ・・・ 身体 軽くて 」

「 しょ・・・っと。 え なに おか〜さん 

ひょこん、と金色のちっこい頭がフランソワーズに現れた。

「 すぴかさん 木登り 上手ねえ 」

「 ふっふっふ〜〜♪  おか〜さんも じょうずだね 」

「 ふふふ   でしょ?  お母さん、小さい頃にね〜〜

 お兄さんにしっかり教わったから  」

「 へえ〜〜 すご〜〜い〜〜〜  」

「 ふふふ  あ ねえ 見て? 」

「 ん? 」

お母さんは 隣の樹を指している。

「 おとなりさん? 」

「 毛虫のおうち ― ここから見えるわよ  すぴか 」

「 え  どこ・・・?  

「 ほら こっち。 あの枝の先 」

「 ・・・ うん?  あ わああ〜〜 すっご・・・! 」

 

  もしゃもしゃ・・・ 葉っぱがくっ付き合っていて

その中に もぞもぞ うぞうぞ 毛の生えたモノが蠢いている!

 

「 う  わ ・・・ ウチのうら山のよか すっご・・・ 」

「 ね?  ・・・ 樹 枯れないかしらねえ 」

「 おひっこし してもらう? 」

すぴかが 思わず手を指しだした。

「 あ 触ったらダメよ  手が腫れるわ 

「 ん ・・・ ねえ おか〜さん アレが蝶々になるんだよね〜〜 

 あ さっきいっぱいいたのが ・・・ 」

「 そうみたいね〜  すごいわあ  

「 あの木 ・・・ 葉っぱとかオイシイのかなあ 」

「 毛虫さんには 美味しいのかもね 」

「 きっとさ ず〜〜〜っと毛虫のオウチ なのかも・・・」

「 そうねえ 代々棲んでいるのかも 」

「 だいだいって ? 」

「 あ ず〜〜っと ってこと。

 お父さん・お母さん のもっと前・・・ お祖父さん・お祖母さん

 そのまた前のおと〜さん・おか〜さん の頃からず〜〜っと

 っていうこと 」

「 そっかあ・・・ へえ ・・・

 じゃ そっとしといてあげるね 

「 そうねえ ここはず〜〜っと前から毛虫さんたちの場所なんだものね 」

「 ウン ・・・ ず〜〜っと ね 

「 ニンゲンたちが やってくる前からかもしれないわ 

「 そっかあ ・・・・ 先にきてる方がかち? 」

「 勝ちってことはないけど。 でも 先にいるヒトを後から来て

 押しのけるのは あまりよくないなあとお母さんは思うわ 」

「 あ  う〜ん ・・・ そうかも 」

「 でしょ 

「 でも あの木 ・・・ すごいよ? 」

「 そうねえ ・・・ でもね 殺虫剤ぶ〜〜〜 ってしてもいいかしら 」

「 ・・・ けむしさん達 かわいそう ・・・ 」

「 自然界の掟 ・・・あ 約束かな、 に 任せるのがいいかも ね 」

「 ふうん ・・・ 」

「 この巣があるから 沢山の蝶々が見られるのかもしれないし 」

「 ふうん ・・・ なんか ・・・ よくわかんない すぴか 」

「 お母さんも あんまりよくわかんないけど ね 

「 ・・・ ん ・・・ 

  けむしさんたち〜〜〜〜  キレイなちょうちょになってね〜〜 」

すぴかは隣の樹に エールを送った。

「 ・・・ すぴかさんは なんでもよく見てるのね 」

「 え へ ・・・そ そう?? 」

「 うん。 お母さん すごいな〜〜って思うなあ ・・・

 ほら ここからだと 沢山の樹とか葉っぱとか 見えるでしょ 」

「 そだね〜〜 ね  ここって やっぱ海 だよ おか〜さん

 木やはっぱの海だあ〜〜〜 ざざざ〜〜〜  って音もするし 」

「 ・・・ ふうん  すぴかにはそう見えるのね 」

「 ウン!  ウチの下の海はさあ 青かったりこん色だったり

 するじゃん?  でも ここは みどりの海 だよ  」

「 緑の海 か ・・・ じゃ お母さんとすぴかさんは 

緑の海で 泳いじゃうわね 

「 あはは そうだね〜〜  ざぶ〜〜〜んって♪ 」

「 そうねえ  ・・・ あ ほら。  こっち見て すぴか 」

「 え なに 」

「 ほら ここの枝の間から ・・・ 別荘のお庭が見えるわ 

「 どこ・・・?  ・・・・ あ〜〜〜 ホントだあ〜〜〜

 す〜〜〜ばるぅ〜〜〜〜〜〜〜 ! 」

すぴかは 枝の上からわさわさ手を振る。

「 わ! 危ない すぴか!  ここは木の上のなのよ 

フランソワーズは慌ててこのお転婆娘を押さえた。

「 あ?  そっか〜〜 なんかアタシ 忘れてた〜〜 」

「 気をつけて〜〜  ここから落ちたら・・・ 大変よ 」

「 はあい  ねえねえ すばるとおと〜さん なにやってるのかなあ

 お庭で ・・・ あれぇ ねえ あれ テーブル だよね? 」

「 え ・・・ あらそうねえ。 上にいろいろ・・・

お野菜とか見えるわ 

「 ホントだ〜〜〜  あ すばるってば ほうちょう持ってるよ 」

「 わかった! お父さんとすばる、お外で晩御飯 作ってる ! 

「 え〜〜〜 お外でえ???  」

「 確か 携帯ガス・コンロがあったし。 

 ね〜〜 すぴかさん 今晩はお外で晩御飯かも 」

「 うっわ〜〜〜〜〜〜〜♪  

 ねえねえ おか〜さん なにかおみやげ とってこ〜 」

「 おみやげ? 」

「 ウン  木の実 とか ・・・ ウチのうら山にはさあ

 どんぐりの木 あるんだよ〜 知ってた? 

「 え 知らない〜〜 ねえねえ 帰ったらお母さんにも教えて!

 すぴかさんの裏山 案内してよ 」

「 うん いいよ〜 でも ここは・・・ 」

「 北海道は涼しいから まだ木の実は青いかもね  」

「 そっかあ ・・・ 」

「 その代わり すぴかさんが見つけたこと、教えてあげよ? 

 ほら 毛虫の巣 とか たっくさんの蝶々とか 」

「 あ そっかあ〜〜  」

「 ね!  じゃあ そろそろ降りようか。

 すぴかさん、先におりて。 まずね その枝にしっかり掴まって

 下の枝に足 おろす 

「 ん〜〜 わかった  ・・・ うわ ・・・ たかい・・・ 」

「 ふふふ たった今まで平気で騒いでたのに 」

「 で でもぉ〜〜 

「 大丈夫よ  すぴかさん 平気で登ってきたじゃない?

 気をつけなくちゃいけないけど そんなに高くないんだ〜 と思って

 お母さん 先におりようか? 

「  う ・・・ うん ・・・ 」

「 そう? じゃあ ・・・ 下までおりたら呼ぶからね〜

 ちょっと待っててね  」

「 う うん ・・・ 」

お母さんは するするり・・・ 本当に滑るみたいにあっと言う間に

木の上か 降りていってしまった。

「 ・・・ おか〜さん ・・・ すご ・・・ 」

「 すぴかさあ〜〜ん?  きこえる? 」

「 うん! 

「 お母さんのいう通りに降りてみて〜〜  いい? 」

「 うん! 」

「 まず 今 いる枝に座ってね  脚 のばして〜〜 

 下の枝に足がつくでしょ? 」

「 え  ・・・ う〜〜〜んしょ  あ  ついた! 」

「 よかった!  あ 枝から手 離したらだめよ 」

「 うん だいじょぶ〜〜 」

「 そしたら その枝にゆっくり 両足のせて 」

「 ・・・ うん 」

 

すぴかはお母さんの指示の通りに動き ―  するりん・・・っと

一番下の枝まで 降りてこれた。

 

「 ・・・ わ・・・っ 」

「 はい お帰り〜〜 すぴかさん 」

「 あはは〜〜  おか〜さん ただいまあ〜〜 

 

  ぽん。  最後は元気よく飛び降りた。

 

「 すぴかさん すごいわあ  すぐに降りてきたわね 」

「 えへへ・・・ おか〜さんもすごい〜〜〜 

 おか〜さんってば 木登り めっちゃじょうず〜〜〜 」

「 うふふ〜〜  すぴかさんくらいの頃にね お母さんのお兄さんに

 教わったの。  スカートのまま 木登したりして お母さんのお母さんに

 ものすご〜〜〜く叱られたわ 

「 うっぴゃ・・・ スカートでぇ? そりゃ ヤバいよ〜〜 」

「 うふふ ・・・ あ! お父さんにはナイショよ 

「 わ〜かってるってば☆  あ〜〜 おなかすいたぁ〜〜 」

「 そうね お父さんとすばるの晩御飯 な〜にかなあ〜〜 

「 な〜にかなあ〜〜 」

すぴかはお母さんと手を繋いで すきっぷ すきっぷで

別荘に戻って行った。

 

    えっへっへ〜〜〜〜♪

    おか〜さんってば〜〜〜

 

    うっふっふ〜〜〜〜

    きのぼり名人 ってホントだねっ

 

    すぴかといっしょだあ〜

 

 

― さて 別荘の裏庭では。

 

「 おと〜さん  おやさい ぜんぶきったよぅ〜 

「 お サンキュ すばる〜 」

「 おにく きった おと〜さん? 

「 おう 切ったぞ〜 でっかい皿 出すから すばる〜〜

 かっこよくもりつけてくれ 」

「 うん♪  うわ〜〜〜〜 おにくだあ〜〜〜 

ジョーとすばるが しっかり白いエプロンをしてわやわややっている。

テラスから持ち出したテーブルの上には 野菜やら肉類が並び

即席鉄板焼き の準備が整っている。

 

「 やっほ〜〜〜 たっだいまァ〜〜〜 」

「 ジョー すばる〜〜  御飯の用意、大丈夫? 」

 

表から 女子チーム が賑やかに戻ってきた。

「 あ おか〜さ〜〜ん ! すぴか〜〜 おかえり 」

「 お帰り フランソワーズ  すぴか。

 林の中の散歩は 楽しかったかい? 

「 ジョー♪  ええ と〜〜っても。  

 ね〜〜〜 すぴかさん? 」

「 うん♪♪  あのね あのね おと〜さん!

 おか〜さん ってばねえ〜〜〜 

すぴかは たたたた・・・・っとお父さんの側に駆け寄った。

 

    ・・ ヤバ ・・・!

 

フランソワーズは ちょっとばかり真面目な声で娘を呼んだ。

「 すぴかさん? 」

「 あ・・・・ っとぉ ・・・

 あの〜〜〜  さあ  おか〜さん ってば ね〜〜 

 う〜〜んといろんなコト しってるんだよ 森のこと!

 あ それでねえ けむしさんのおうち とか 好きなんだって!  」

「 へえ? そうなんだ??  パリには森がいっぱいあるのかい? 」

「 え・・・っとぉ〜〜〜 」

「 それに きみが毛虫好きだって 知らなかった〜〜〜

 へえ〜〜〜〜 意外な面があるんだねえ  ぼくのオクサンは♪ 」

「 え っと ・・・ まあ たまには ね 

 ねえ ねえ それより 晩ご飯のメニュウはなあに? 」

「 あ ・・・ へへへ〜〜 すばる すばる、ちょっとおいで 

「 なに〜〜 おと〜さん 」

すばるは トングを器用に扱い肉を大皿に盛っていた。

「 あら 素敵なお肉ねえ〜〜 すばる君 

「 えへへ〜〜 でしょ? おか〜さん ・・・ 

 ねえ なに おと〜さん? 」

「 すばる 今晩のメニュウを発表しよう! 」

「 うん! おと〜さん いっしょにはっぴょう〜〜 」

「 おう いいぞ〜 

すばるとお父さんは  いっせ〜の〜〜 せっ ! で 発表した。

 

   今晩は  てっぱんやき  で〜す〜〜〜 

 

「 うわ〜〜〜〜〜 すっご〜〜〜〜 

「 このお肉 焼くのね  すてき! 」

「 えへへ〜〜〜  やさい、 僕がきった! 」 

「 そうなんだ〜  わ〜〜〜 たまねぎ〜〜 大すき〜 」

「 ふふふ・・・ BBQしたいトコだけど 道具ないし

 鉄板焼きなら なんとか・・・って思ってさ。

 野菜も肉も 地元で調達したんだ 」

「 わあい〜〜〜  ね ごはんにしよ〜〜 ! 

 おと〜さん おか〜さん すばる〜〜〜 」

「 そうだね じゃあ 」

 

    いただきまあ〜〜〜す☆  

 

カセット・ボンベに点火して 鉄板焼き・ナイト が始まった。

 

  ジュウ 〜〜〜〜〜  ジジジジ ・・・・

 

「 こっち焼けたぞ〜〜 」

「 はい! ほらほら すばる〜〜 」

「 あ  うん ・・・  あ おいし♪ 」

「 ん〜〜  ねえ ジョー、 このピーマン ・・・ 新種? 

「 え 地元の露地モノだけど ? 」

「 そう??  ものすごく美味しいわ! シャキシャキしてて

 甘いの!  」

「 え どれ?? すぴか たべる〜〜 

すぴかは 勇んでピーマンにお箸を伸ばした。

「 ・・・ どう すぴか? 」

「  〜〜〜〜 ん!!  おいし〜〜〜〜!!  ねえ おと〜さん

 このぴーまん めっちゃウマ! めっちゃおいし! 

すぐに歓声が上がった。

「 ふっふっふ〜〜〜  そうだろう そうだろう  

 ちょいと工夫したんだ 今日はさ 

「 ふうん ・・・ あ〜〜〜 おいし〜〜〜〜 

「 ホント 美味しいわぁ  ねえ ジョー なにか特別な味付けでも

 したの?  」

「 の〜の〜 新鮮なピーマンを さ・・・っと鉄板で焼いて

 ささっと出汁を漬けただけだよ 」

「 でも普段のより全然オイシイわよ 」

「 うふふふ  それは さ。 ピーマンを縦に切ってるだけ。 」

「 縦に???  なにか ちがうの? 」

「 大違いさ。 横に切るとね、繊維も切ってしまうから

シャキシャキ感が落ちて 苦味もでちゃうんだ。

 だから 縦に切ると ・・・ こんなにオイシイのさ  」

「 ふうん〜〜  ジョーってお料理も詳しいのね〜〜 」

「 あは ・・・・これ この前たまたまウチの雑誌で見たのさ。

 で  今回やってみたら  ― 大当たり〜 」

「  ホント おいし〜〜  ねえ すばるも食べてみて? 」

「 う ・・・ うん ・・・ 」

野菜苦手〜〜 なすばるは 微妙〜〜な表情だ。

「 あ でもお皿に乗せた分、食べてるじゃない? 」

母は息子のお皿をちらッと見た。

「 ・・・ う   うん ・・・ 」

「 どう 美味しいでしょう? 」

「 ・・・ あ  う  うん ・・・ 」

 

   ささ ・・・  

 

隣から箸が伸びてきて すばるの皿からピーマンを持っていった。

「 あ あら。 すぴかさん、 すばるのお皿のピーマン 食べないで?

 まだまだ いっぱいあるからお代わりしてちょうだい。 」

「 ・・・ え  あ 〜〜〜 」

「 すぴか。 もっと欲しいのなら 言ってくれ? 」

「 ・・・ あ ・・・ 」

すぴかが珍しく 顔を真っ赤にして黙っている。

「 ?? どうした すぴか 」

「 ・・・ あ  ・・・ の 」

「 う〜〜〜〜〜   ち がう〜〜〜〜 」

突然 すばるが声を上げる。

「 な なんだ すばる? 」

「 ぼ 僕が!  たのんでるの 〜〜  

「「 たのんでる?? 」」

「 う  うん ・・・ 僕 ・・・ にがてなオカズ・・・

 すぴかにたべてね・・・って 」

「 ・・・ ま あ ・・・ 」

「 だから ・・・ぴーまん にがてだから 僕 ・・・

 すぴかがたべて くれて ・・・ 」

「 もしかして ・・・ず〜っと頼んできたの? 

「 ・・・ うん ・・・ 」

「 ・・・ そっか ・・・

 すぴか ありがとう。 これからは すばるが自分で食べるようにするよ。

 すばる 食べられるようになろうな 」

「 ・・・ ん ・・・ 」

「 そうね〜 この夏休みに練習しましょ?

 ほら ここのお野菜はと〜〜っても美味しいから 

「 ん ・・・  すぴか  ・・・ ごめん ・・・ 」

「 すばる ・・・ ぴ〜まん おいしいよ? 」

「 ん ・・・ 」

 

家族みんなでほっこり・・・ お庭での晩御飯を終えた。

 

 

  ひら ひらひら〜〜〜  

 

まだ暗くなっていない庭に 蝶々がたくさん飛び交っている。

「 うわああ〜  蝶々さんだあ〜〜 」

「 ね!  あ むらさきのはね!  」

「 うわ うわあ〜〜  あ こっちは 青いの、いるよ〜〜

 ひかってる??  光ってるよね!  」

「 すご〜〜い〜〜〜〜  」

子供たちは 蝶々と戯れている。

「 わ ・・・ ここは相変らず 蝶々がすごいねえ 」

「 そうね ・・・ なにせ 毛虫のオウチ があるのよ 

「 へ ・・ええ?  あれ?? あれ 見て! 

ジョーが 蝶の群れを指した。

「 どれ?  あ ・・・ え??  あ あれは  」

「 ウン  いつか教わったよね 幻の蝶 だって ・・・

 ホントに ・・・ いるんだ ・・・ 」

「 ここに ・・・ いるのね ・・・ 」

 

< 幻の蝶 > も 子供たちと ひらひら〜〜戯れていた。

  

    ウソだろ ・・・ !  ― って?  

 

 さあ どうでしょうね〜〜   なにしろ 【島村さんち】 ですからね♪

 

 

*****************************         Fin.      *******************************

Last updetad : 07.27.2021.               back       /     index

 

 

*************    ひと言   *************

なんてことない 夏休み話 ・・・・ 

短くて 事件もなくてすみません <m(__)m>

あ ・・・ 博士 忘れてた ・・・ ああ ★