『 夏を迎えに ― (2) ― 』
ザザザザ −−−− サァ −−−−−−
幅の狭い葉を付けた樹々の間を 風が吹き抜けてゆく。
身体に当たれば 最初は心地よいが次第に皮膚は強張るように冷えてゆく。
「 少し冷えるわねえ・・・ すぴか 寒くない? 」
フランソワーズは 握っている娘の手の温かさを確かめる。
「 ・・・・・ 」
返事が ない。
「 ? すぴか ・・・? 」
母は少し不安になり 足を止めて彼女の顔を覗きこんだ。
「 ・・・ あ。 なに おか〜さん 」
ようやっと いつものくっきり見開かれた瞳が母に向けられた。
・・・ ああ よかった・・・
具合でも悪いのかと 思ったわ
すぴかが ぼんやりしてることなんて
・・・ これまでに あった??
すぴかは 赤ん坊の頃からカンの強い子で 甲高い声で夜泣きした。
泣きたいだけ泣くと す〜す〜 眠ってしまうのだが・・・
付き合う方はたまったものではなかった・・・
本人は いつもとびきり元気で丈夫、そして滅茶苦茶に走るのが速い。
母譲りの碧い瞳 はいつだってキラキラ輝きかっきり周りを見ている。
「 寒くない?って聞いたんだけど・・・ 聞こえなかった? 」
「 え ごめん〜〜 すぴか さむくないよ 」
「 そう? それならいいけど・・・ ねえ なにを聞いていたの 」
「 あ うん ・・・ ね〜 おかあさん。
ここにも 海 ・・・ ある? 」
「 え 海??? さ さあ・・・ この辺にはない はずよ 」
「 ふうん〜〜 でもね でもね なみのおと、聞こえる ・・・ 」
「 え?? ど どこ? 」
「 ・・・ ほら ほらほら〜〜〜 ザザザザ 〜〜〜 って!
ウチの下の海と 似てる音・・・ する ・・・ 」
すぴかは 立ち止まって宙をみつめ耳を澄ませている。
「 え ・・・・ ? 」
フランソワーズも 娘とならんで耳を傾けてみた。
「 ? ・・・ あ ・・・ あら ホント ・・・? 」
「 ね! ザザザ〜〜〜 ってきこえるよね?? 」
「 ええ ・・・ あ わかったわ! 」
「 どこ?? どこに海 あるの? 」
「 すぴかさん。 あのね あれは あのザザザ −−−− は
波の音 じゃないのよ 」
「 へ?? 」
「 ほら ・・・ あの樹、松林を風が吹き抜ける音 よ 」
「 え〜〜〜〜〜 そうなんだ〜〜〜 」
「 すぴかさんは すご〜〜〜く素敵なお耳だわねえ 」
「 え そ そっかな〜〜 」
「 そうよ だって お母さん、波の音がする って
すぴかさんに言われて気が付いたもの 」
「 えへ・・・ ね なみのおと みたいだよね 」
「 そうね こんな山に近いところでも 海 を感じるのねえ
」
「 うん ・・・ あ またちょうちょさん達 ・・・ 」
すぴかは 今度は近くの木を見ている。
「 あら 本当 ・・・ 小さいのがいっぱい ・・・ 」
「 おか〜さん ほっかいどう は 夏にちょうちょ?
ウチや学校だと ちょうちょ は春だよ? 」
「 そうねえ ここは夏でもそんなに暑くないからかな
わあ 凄いわねえ たくさん飛んでる・・・ 」
「 ウン ・・・ あ きらきら〜 してるのもいるね! 」
「 本当ね! 綺麗ねえ 」
「 ほう石みたい・・・ むらさき色のもいる! 」
「 青いのもいるわね ・・・ すごい 」
「 うん ・・・ 」
二人は 群れになって飛ぶ小さな蝶々達を眺めていた。
「 ・・・ これだけいるのなら どこかに巣があるかも ね 」
「 巣??? ちょうちょのす?
・・・ あ けむしさんのオウチかあ 」
「 え ・・・ まあ そうかも・・・ 」
「 あのね おか〜さん。 ウチの裏山にも けむしさんのオウチ
あるんだよ 知ってる? 」
「 ・・・知らない ・・・ 」
「 もうねえ〜 すご〜〜いんだあ その木はよけて通るよ。
あは この前 おと〜さんってばさわっちゃってさ 」
「 あ! あの時ね〜〜 うわ〜〜 って言いながら
走って戻ってきたのよ、 お父さん。 」
「 あはは ・・ さわっちゃダメだよねえ 」
「 そうね ねえ すぴか。 毛虫さんのオウチ、
見つけにゆこうか 」
「 え ・・・ けむしさんのおうち ?? ここで? 」
「 そうよ〜〜 きっとどこかの木に 巣があるのよ。
そっちの雑木林の中で 登れそうな木、探さない? 」
「 やる〜〜〜〜〜!!! 」
「 よおし 行くわよ 」
「 うん♪ 」
すぴかは わくわく・・・もう ちょんちょん跳ねつつ
お母さんと 雑木林に入っていった。
ガサ ガサガサ ―
「 ・・・ おか〜さんってば ・・・ 」
林の中 大きな樹の根本で、すぴかはぽか〜〜〜んと
上を眺めている。
「 よ・・っと・・・ すぴか〜〜? いらっしゃ〜〜い 」
「 ・・・ え う うん ・・・ 」
すぴかのアタマの上で すぴかのおか〜さんがさっさか
樹を上ってゆくのだ!
ショート・パンツの白い脚が なんだか魔法みたく動いて
樹を登るのだ。 あの お母さんが!!!
< お行儀 > を いつも一番大切にしていて
すぴかさん。 お行儀がわるいわ。
この一言に なぜかすぴかはいつも しゅ〜〜ん・・・となってしまう。
お転婆・すぴか は < お行儀 > とは
どうもあまり仲良くはなれそうもない・・・ 今のところ。
そして お母さんはいつもとてもキレイなのだ。
お顔だけじゃない、姿勢も動き方も。
自転車に乗っていても お母さんはキレイだ。
「 おと〜さん ・・・ おか〜さんってさ いつもキレイだよね 」
「 あ? ああ そうさ。 すぴかのお母さんは世界一 キレイ(^^♪ 」
お母さんとらぶらぶのお父さんは にまあ〜〜っと笑っている。
「 おそうじしてても 自転車にのってても キレイだよ? 」
「 ああ そうだねえ ああいうのを 優雅 っていうんだよ。 」
「 ゆうが?? 」
「 うん。 お母さんの国の言葉でいうと エレガンス ってことかな 」
「 えれがんす??? ・・・ ふうん・・・ 」
すぴかは こそ・・・っとため息を吐く。
おか〜さん ・・・ 大好き。
でも。
すぴか ・・・ おか〜さんみたくじゃ ない・・・
おか〜さんみたくに なれないよぅ
すぴか おか〜さん 大好きなのに・・
その! お母さんが 今 さっさか木登りをしているのだ!
「 ・・・ おか〜さん ・・・ すご ・・・ 」
「 え?? なに〜〜 」
「 な なんでもなあい〜〜 すぴかも のぼる! 」
「 いらっしゃ〜〜い まずね そこの一番下の枝にぶら下がって 」
「 ん! ここから よ・・・・っと 」
すぴかは懸垂の要領で ひょいひょい登り始めた。
「 ん〜〜 コドモはいいわねえ・・・ 身体 軽くて 」
「 しょ・・・っと。 え なに おか〜さん 」
ひょこん、と金色のちっこい頭がフランソワーズに現れた。
「 すぴかさん 木登り 上手ねえ 」
「 ふっふっふ〜〜♪ おか〜さんも じょうずだね 」
「 ふふふ でしょ? お母さん、小さい頃にね〜〜
お兄さんにしっかり教わったから 」
「 へえ〜〜 すご〜〜い〜〜〜 」
「 ふふふ あ ねえ 見て? 」
「 ん? 」
お母さんは 隣の樹を指している。
「 おとなりさん? 」
「 毛虫のおうち ― ここから見えるわよ すぴか 」
「 え どこ・・・?
」
「 ほら こっち。 あの枝の先 」
「 ・・・ うん? あ わああ〜〜 すっご・・・! 」
もしゃもしゃ・・・ 葉っぱがくっ付き合っていて
その中に もぞもぞ うぞうぞ 毛の生えたモノが蠢いている!
「 う わ ・・・ ウチのうら山のよか すっご・・・ 」
「 ね? ・・・ 樹 枯れないかしらねえ 」
「 おひっこし してもらう? 」
すぴかが 思わず手を指しだした。
「 あ 触ったらダメよ 手が腫れるわ 」
「 ん ・・・ ねえ おか〜さん アレが蝶々になるんだよね〜〜
あ さっきいっぱいいたのが ・・・ 」
「 そうみたいね〜 すごいわあ
」
「 あの木 ・・・ 葉っぱとかオイシイのかなあ 」
「 毛虫さんには 美味しいのかもね 」
「 きっとさ ず〜〜〜っと毛虫のオウチ なのかも・・・」
「 そうねえ 代々棲んでいるのかも 」
「 だいだいって ? 」
「 あ ず〜〜っと ってこと。
お父さん・お母さん のもっと前・・・ お祖父さん・お祖母さん
そのまた前のおと〜さん・おか〜さん の頃からず〜〜っと
っていうこと 」
「 そっかあ・・・ へえ ・・・
じゃ そっとしといてあげるね 」
「 そうねえ ここはず〜〜っと前から毛虫さんたちの場所なんだものね 」
「 ウン ・・・ ず〜〜っと ね 」
「 ニンゲンたちが やってくる前からかもしれないわ 」
「 そっかあ ・・・・ 先にきてる方がかち? 」
「 勝ちってことはないけど。 でも 先にいるヒトを後から来て
押しのけるのは あまりよくないなあとお母さんは思うわ 」
「 あ う〜ん ・・・ そうかも 」
「 でしょ 」
「 でも あの木 ・・・ すごいよ? 」
「 そうねえ ・・・ でもね 殺虫剤ぶ〜〜〜 ってしてもいいかしら 」
「 ・・・ けむしさん達 かわいそう ・・・ 」
「 自然界の掟 ・・・あ 約束かな、 に 任せるのがいいかも ね 」
「 ふうん ・・・ 」
「 この巣があるから 沢山の蝶々が見られるのかもしれないし 」
「 ふうん ・・・ なんか ・・・ よくわかんない すぴか 」
「 お母さんも あんまりよくわかんないけど ね 」
「 ・・・ ん ・・・
けむしさんたち〜〜〜〜 キレイなちょうちょになってね〜〜 」
すぴかは隣の樹に エールを送った。
「 ・・・ すぴかさんは なんでもよく見てるのね 」
「 え へ ・・・そ そう?? 」
「 うん。 お母さん すごいな〜〜って思うなあ ・・・
ほら ここからだと 沢山の樹とか葉っぱとか 見えるでしょ 」
「 そだね〜〜 ね ここって やっぱ海 だよ おか〜さん
木やはっぱの海だあ〜〜〜 ざざざ〜〜〜 って音もするし 」
「 ・・・ ふうん すぴかにはそう見えるのね 」
「 ウン! ウチの下の海はさあ 青かったりこん色だったり
するじゃん? でも ここは みどりの海 だよ 」
「 緑の海 か ・・・ じゃ お母さんとすぴかさんは
緑の海で 泳いじゃうわね 」
「 あはは そうだね〜〜 ざぶ〜〜〜んって♪ 」
「 そうねえ ・・・ あ ほら。 こっち見て すぴか 」
「 え なに 」
「 ほら ここの枝の間から ・・・ 別荘のお庭が見えるわ 」
「 どこ・・・? ・・・・ あ〜〜〜 ホントだあ〜〜〜
す〜〜〜ばるぅ〜〜〜〜〜〜〜 ! 」
すぴかは 枝の上からわさわさ手を振る。
「 わ! 危ない すぴか! ここは木の上のなのよ 」
フランソワーズは慌ててこのお転婆娘を押さえた。
「 あ? そっか〜〜 なんかアタシ 忘れてた〜〜 」
「 気をつけて〜〜 ここから落ちたら・・・ 大変よ 」
「 はあい ねえねえ すばるとおと〜さん なにやってるのかなあ
お庭で ・・・ あれぇ ねえ あれ テーブル だよね? 」
「 え ・・・ あらそうねえ。 上にいろいろ・・・
お野菜とか見えるわ 」
「 ホントだ〜〜〜 あ すばるってば ほうちょう持ってるよ 」
「 わかった! お父さんとすばる、お外で晩御飯 作ってる ! 」
「 え〜〜〜 お外でえ??? 」
「 確か 携帯ガス・コンロがあったし。
ね〜〜 すぴかさん 今晩はお外で晩御飯かも 」
「 うっわ〜〜〜〜〜〜〜♪
ねえねえ おか〜さん なにかおみやげ とってこ〜 」
「 おみやげ? 」
「 ウン 木の実 とか ・・・ ウチのうら山にはさあ
どんぐりの木 あるんだよ〜 知ってた? 」
「 え 知らない〜〜 ねえねえ 帰ったらお母さんにも教えて!
すぴかさんの裏山 案内してよ 」
「 うん いいよ〜 でも ここは・・・ 」
「 北海道は涼しいから まだ木の実は青いかもね 」
「 そっかあ ・・・ 」
「 その代わり すぴかさんが見つけたこと、教えてあげよ?
ほら 毛虫の巣 とか たっくさんの蝶々とか 」
「 あ そっかあ〜〜 」
「 ね! じゃあ そろそろ降りようか。
すぴかさん、先におりて。 まずね その枝にしっかり掴まって
下の枝に足 おろす 」
「 ん〜〜 わかった ・・・ うわ ・・・ たかい・・・ 」
「 ふふふ たった今まで平気で騒いでたのに 」
「 で でもぉ〜〜 」
「 大丈夫よ すぴかさん 平気で登ってきたじゃない?
気をつけなくちゃいけないけど そんなに高くないんだ〜 と思って
お母さん 先におりようか? 」
「 う ・・・ うん ・・・ 」
「 そう? じゃあ ・・・ 下までおりたら呼ぶからね〜
ちょっと待っててね 」
「 う うん ・・・ 」
お母さんは するするり・・・ 本当に滑るみたいにあっと言う間に
木の上か 降りていってしまった。
「 ・・・ おか〜さん ・・・ すご ・・・ 」
「 すぴかさあ〜〜ん? きこえる? 」
「 うん! 」
「 お母さんのいう通りに降りてみて〜〜 いい? 」
「 うん! 」
「 まず 今 いる枝に座ってね 脚 のばして〜〜
下の枝に足がつくでしょ? 」
「 え ・・・ う〜〜〜んしょ あ ついた! 」
「 よかった! あ 枝から手 離したらだめよ 」
「 うん だいじょぶ〜〜 」
「 そしたら その枝にゆっくり 両足のせて 」
「 ・・・ うん 」
すぴかはお母さんの指示の通りに動き ― するりん・・・っと
一番下の枝まで 降りてこれた。
「 ・・・ わ・・・っ 」
「 はい お帰り〜〜 すぴかさん 」
「 あはは〜〜 おか〜さん ただいまあ〜〜 」
ぽん。 最後は元気よく飛び降りた。
「 すぴかさん すごいわあ すぐに降りてきたわね 」
「 えへへ・・・ おか〜さんもすごい〜〜〜
おか〜さんってば 木登り めっちゃじょうず〜〜〜 」
「 うふふ〜〜 すぴかさんくらいの頃にね お母さんのお兄さんに
教わったの。 スカートのまま 木登したりして お母さんのお母さんに
ものすご〜〜〜く叱られたわ 」
「 うっぴゃ・・・ スカートでぇ? そりゃ ヤバいよ〜〜 」
「 うふふ ・・・ あ! お父さんにはナイショよ 」
「 わ〜かってるってば☆ あ〜〜 おなかすいたぁ〜〜 」
「 そうね お父さんとすばるの晩御飯 な〜にかなあ〜〜 」
「 な〜にかなあ〜〜 」
すぴかはお母さんと手を繋いで すきっぷ すきっぷで
別荘に戻って行った。
えっへっへ〜〜〜〜♪
おか〜さんってば〜〜〜
うっふっふ〜〜〜〜
きのぼり名人 ってホントだねっ
すぴかといっしょだあ〜
― さて 別荘の裏庭では。
「 おと〜さん おやさい ぜんぶきったよぅ〜 」
「 お サンキュ すばる〜 」
「 おにく きった おと〜さん? 」
「 おう 切ったぞ〜 でっかい皿 出すから すばる〜〜
かっこよくもりつけてくれ 」
「 うん♪ うわ〜〜〜〜 おにくだあ〜〜〜 」
ジョーとすばるが しっかり白いエプロンをしてわやわややっている。
テラスから持ち出したテーブルの上には 野菜やら肉類が並び
即席鉄板焼き の準備が整っている。
「 やっほ〜〜〜 たっだいまァ〜〜〜 」
「 ジョー すばる〜〜 御飯の用意、大丈夫? 」
表から 女子チーム が賑やかに戻ってきた。
「 あ おか〜さ〜〜ん ! すぴか〜〜 おかえり 」
「 お帰り フランソワーズ すぴか。
林の中の散歩は 楽しかったかい? 」
「 ジョー♪ ええ と〜〜っても。
ね〜〜〜 すぴかさん? 」
「 うん♪♪ あのね あのね おと〜さん!
おか〜さん ってばねえ〜〜〜 」
すぴかは たたたた・・・・っとお父さんの側に駆け寄った。
・・ ヤバ ・・・!
フランソワーズは ちょっとばかり真面目な声で娘を呼んだ。
「 すぴかさん? 」
「 あ・・・・ っとぉ ・・・
あの〜〜〜 さあ おか〜さん ってば ね〜〜
う〜〜んといろんなコト しってるんだよ 森のこと!
あ それでねえ けむしさんのおうち とか 好きなんだって! 」
「 へえ? そうなんだ?? パリには森がいっぱいあるのかい? 」
「 え・・・っとぉ〜〜〜 」
「 それに きみが毛虫好きだって 知らなかった〜〜〜
へえ〜〜〜〜 意外な面があるんだねえ ぼくのオクサンは♪ 」
「 え っと ・・・ まあ たまには ね
ねえ ねえ それより 晩ご飯のメニュウはなあに? 」
「 あ ・・・ へへへ〜〜 すばる すばる、ちょっとおいで 」
「 なに〜〜 おと〜さん 」
すばるは トングを器用に扱い肉を大皿に盛っていた。
「 あら 素敵なお肉ねえ〜〜 すばる君 」
「 えへへ〜〜 でしょ? おか〜さん ・・・
ねえ なに おと〜さん? 」
「 すばる 今晩のメニュウを発表しよう! 」
「 うん! おと〜さん いっしょにはっぴょう〜〜 」
「 おう いいぞ〜 」
すばるとお父さんは いっせ〜の〜〜 せっ ! で 発表した。
今晩は てっぱんやき で〜す〜〜〜
「 うわ〜〜〜〜〜 すっご〜〜〜〜 」
「 このお肉 焼くのね すてき! 」
「 えへへ〜〜〜 やさい、 僕がきった! 」
「 そうなんだ〜 わ〜〜〜 たまねぎ〜〜 大すき〜 」
「 ふふふ・・・ BBQしたいトコだけど 道具ないし
鉄板焼きなら なんとか・・・って思ってさ。
野菜も肉も 地元で調達したんだ 」
「 わあい〜〜〜 ね ごはんにしよ〜〜 !
おと〜さん おか〜さん すばる〜〜〜 」
「 そうだね じゃあ 」
いただきまあ〜〜〜す☆
カセット・ボンベに点火して 鉄板焼き・ナイト が始まった。
ジュウ 〜〜〜〜〜 ジジジジ ・・・・
「 こっち焼けたぞ〜〜 」
「 はい! ほらほら すばる〜〜 」
「 あ うん ・・・ あ おいし♪ 」
「 ん〜〜 ねえ ジョー、 このピーマン ・・・ 新種? 」
「 え 地元の露地モノだけど ? 」
「 そう?? ものすごく美味しいわ! シャキシャキしてて
甘いの! 」
「 え どれ?? すぴか たべる〜〜 」
すぴかは 勇んでピーマンにお箸を伸ばした。
「 ・・・ どう すぴか? 」
「 〜〜〜〜 ん!! おいし〜〜〜〜!! ねえ おと〜さん
このぴーまん めっちゃウマ! めっちゃおいし! 」
すぐに歓声が上がった。
「 ふっふっふ〜〜〜 そうだろう そうだろう
ちょいと工夫したんだ 今日はさ 」
「 ふうん ・・・ あ〜〜〜 おいし〜〜〜〜 」
「 ホント 美味しいわぁ ねえ ジョー なにか特別な味付けでも
したの? 」
「 の〜の〜 新鮮なピーマンを さ・・・っと鉄板で焼いて
ささっと出汁を漬けただけだよ 」
「 でも普段のより全然オイシイわよ 」
「 うふふふ それは さ。 ピーマンを縦に切ってるだけ。 」
「 縦に??? なにか ちがうの? 」
「 大違いさ。 横に切るとね、繊維も切ってしまうから
シャキシャキ感が落ちて 苦味もでちゃうんだ。
だから 縦に切ると ・・・ こんなにオイシイのさ 」
「 ふうん〜〜 ジョーってお料理も詳しいのね〜〜 」
「 あは ・・・・これ この前たまたまウチの雑誌で見たのさ。
で 今回やってみたら ― 大当たり〜 」
「 ホント おいし〜〜 ねえ すばるも食べてみて? 」
「 う ・・・ うん ・・・ 」
野菜苦手〜〜 なすばるは 微妙〜〜な表情だ。
「 あ でもお皿に乗せた分、食べてるじゃない? 」
母は息子のお皿をちらッと見た。
「 ・・・ う うん ・・・ 」
「 どう 美味しいでしょう? 」
「 ・・・ あ う うん ・・・ 」
ささ ・・・
隣から箸が伸びてきて すばるの皿からピーマンを持っていった。
「 あ あら。 すぴかさん、 すばるのお皿のピーマン 食べないで?
まだまだ いっぱいあるからお代わりしてちょうだい。 」
「 ・・・ え あ 〜〜〜 」
「 すぴか。 もっと欲しいのなら 言ってくれ? 」
「 ・・・ あ ・・・ 」
すぴかが珍しく 顔を真っ赤にして黙っている。
「 ?? どうした すぴか 」
「 ・・・ あ ・・・ の 」
「 う〜〜〜〜〜 ち がう〜〜〜〜 」
突然 すばるが声を上げる。
「 な なんだ すばる? 」
「 ぼ 僕が! たのんでるの 〜〜
」
「「 たのんでる?? 」」
「 う うん ・・・ 僕 ・・・ にがてなオカズ・・・
すぴかにたべてね・・・って 」
「 ・・・ ま あ ・・・ 」
「 だから ・・・ぴーまん にがてだから 僕 ・・・
すぴかがたべて くれて ・・・ 」
「 もしかして ・・・ず〜っと頼んできたの? 」
「 ・・・ うん ・・・ 」
「 ・・・ そっか ・・・
すぴか ありがとう。 これからは すばるが自分で食べるようにするよ。
すばる 食べられるようになろうな 」
「 ・・・ ん ・・・ 」
「 そうね〜 この夏休みに練習しましょ?
ほら ここのお野菜はと〜〜っても美味しいから 」
「 ん ・・・ すぴか ・・・ ごめん ・・・ 」
「 すばる ・・・ ぴ〜まん おいしいよ? 」
「 ん ・・・ 」
家族みんなでほっこり・・・ お庭での晩御飯を終えた。
ひら ひらひら〜〜〜
まだ暗くなっていない庭に 蝶々がたくさん飛び交っている。
「 うわああ〜 蝶々さんだあ〜〜 」
「 ね! あ むらさきのはね! 」
「 うわ うわあ〜〜 あ こっちは 青いの、いるよ〜〜
ひかってる?? 光ってるよね! 」
「 すご〜〜い〜〜〜〜 」
子供たちは 蝶々と戯れている。
「 わ ・・・ ここは相変らず 蝶々がすごいねえ 」
「 そうね ・・・ なにせ 毛虫のオウチ があるのよ 」
「 へ ・・ええ? あれ?? あれ 見て! 」
ジョーが 蝶の群れを指した。
「 どれ? あ ・・・ え?? あ あれは 」
「 ウン いつか教わったよね 幻の蝶 だって ・・・
ホントに ・・・ いるんだ ・・・ 」
「 ここに ・・・ いるのね ・・・ 」
< 幻の蝶 > も 子供たちと ひらひら〜〜戯れていた。
ウソだろ ・・・ ! ― って?
さあ どうでしょうね〜〜 なにしろ 【島村さんち】 ですからね♪
*****************************
Fin.
*******************************
Last updetad :
07.27.2021.
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************* ひと言 *************
なんてことない 夏休み話 ・・・・
短くて 事件もなくてすみません <m(__)m>
あ ・・・ 博士 忘れてた ・・・ ああ ★