『  忍れど ― (1) ―  』 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 え〜〜〜〜??? ―  で できないってば 」

 

平日の午後、閑散としたギルモア邸に青年の悲鳴? が響きわたった。

なにごと?? と 駆け寄る人影も ない。

 

「 だ だ だから 無理だってば〜〜〜 できないです、 できません〜〜

 むり〜〜〜〜〜 」

やたら拒否に終始する声に なにやら落ち着いた声が理詰めで

迫っているらしいのだが ・・・ よく聞こえない。

「 え?  だから やったこと、ないもん むりむりむり〜〜

 え?  学校で?  学芸会では ぼく ・・・ 大道具係でしたっ 

「 わ〜〜〜  できないよ〜〜 

 

 「  お前は 人でなし になりたいのか 」

 

 びん ・・ ! と張った声が 腹に響く低音で 響いてきた。

 

「 はへ・・・? 」

「 だから。 島村ジョー。 おぬしは 人でなしになりたいのか と

 聞いておるのだ。 」

「 ひ ひとで なし・・・? 」

「 そうだ。 人非人 ともいうが。  オマエはそういうニンゲンなのか 

「 そ そ そんな ・・・ だってなんにもしてない・・・ 」

「 だから。 吾輩の依頼を受けるに なんの支障もないな? 」

「 え?? そ そ そ〜いうワケじゃ〜〜  

「 心配するな。 このグレート・ブリテン様が 個人指導する。

 密着個人指導だ、誰でも三日で名優になれる。 

「 ・・・ そ そういうの・・・ こだいこうこく とかいうんじゃ・・・

 七日で10キロ痩せます とか・・・ 」

「 おっほん!  怪し気な痩せ薬と一緒にしないでいただきたい。

 王立演劇スクール卒の名優が 手とり脚とり指導するのだぞ?

 ― できない は ありえない。 」

「 できない しかぼくの辞書にはないよぅ〜〜  

「 だから 安心したまえ。  ではさっそく発声を ・・・

 ヴォイス・トレーニングだ。  地下へ来い 

「 ち ちか・・・? 

「 ああ。 マドモアゼルのレッスン室 があるだろう?

 こころよく使用の許可をくれたぞ、彼女は。 

「 え・・・ フランが ・・・・ 」

「 おう。 存分に使ってくれ と。 そして

 ジョーに しっかり演技を叩きこんでね  と さ。 」

「 う ぬ ぬ〜〜〜 」

想い人の声音を完璧に真似られ 最強の ( はず ) 戦士 009は

かなり動揺した。 

「 おっほん。 これは極秘だが 」

「 ・・・ え? 」

「 おぬしの相手役 は ― 決定ではないが ― おぬしの想い人 

 かもしれぬ。 

「 え!?  え〜〜〜 ふ フランが?? 」

「 さあ それは言えぬが。 しかし もしそうなれば ―

 堂々と彼女といちゃくちゃ ・・・・できる かもしれぬなあ 

「 え え え〜〜〜〜 ・・・ そ そう? 」

「 女子萌え の演技を指導するゆえ ―  

 まあ ステキ! ジョーってこんなに素敵なヒトだったの?  

 おぬしの 忍ぶ恋 は実を結ぶ ・・・ かもしんなあ〜 」

 

   くわ〜〜〜〜〜ん  ・・・ !

 

このセリフで 009はついに陥落した。

「 ・・・ わ わかったよ ・・・ 協力 する ・・・ 」

がっくり肩を落とし でもちょっとばかりはわくわくしつつ

ジョーは グレートの軍門に降った。

 

「 お〜〜〜  それでこそわが友 わが仲間〜〜〜 

 では さっそく ― トレーニング開始とゆこう! 」

「 ・・・ ・・・ 」

ジョーは 邸の地下へと<連行>されていった。

 

 

 

 さて 007 こと 我らがグレート・ブリテン氏は ―

 

現在 出身地・英国倫敦とニッポンの湘南地区の双方を本拠地としている。

氏は 俳優として活躍を続けており、本国では中堅劇団で演出家としても活動、

演劇界ではかなり名も売れている。

 ― それでも 日本では 張大人の店『 張々湖中華大飯店  』で店員をする。

 

「 はん? なぜか・・と?

 人間観察にはうってつけ の仕事だとは思わんかね?

 中華飯店の店員 とは 役者としては最高の修業になるね 」

 

氏は嘯き、演劇活動と共に嬉々として中華飯店の店員や出前持ちまで

こなしているのだ。

 

 

 そんな ある日 ―

 

ニッポンのギルモア邸にて ・・・

「 マドモアゼル 少々お付き合い願えないかね 」

「 ?  なんですの  ミスタ・ブリテン 」

昼下がり のんびりテイー・タイムを楽しんでいる時のことだ。

「 小生の恥を話すことになるが ・・・ 

叶わなかった恋 への  逝ってしまった恋人への 追善供養に・・と

『 ロミ・ジュリ 』 を上演したい 」

「 まあ ステキね。  そのエピソードもドラマみたい 」

「 ふふん ・・・ それで だ。

 マドモアゼルにも手助けをお願いしたいのだが 

「 ?  ああ 地下のレッスン室でしたら どうぞご自由に使って?

 わたし 今はバレエ団のリハで忙しくて・・・ 」

「 いや 忝い・・・ そのお忙しいところ にお願いなのだが。

 マドモアゼル、キャストとして参加してくれないか 

「 え ・・・ わたし お芝居はできないわ 」

「 これこれ ダンサーが何をいっているのかね? 」

「 そりゃ ・・・  『 ロミ・ジュリ 』 は 踊ったことがあるけど 

「 それは頼もしい  是非お願いしたい 」

「 ・・・ でも・・・ グレートが主演するの? 」

「 吾輩か? うむ 今回は 脚本・演出担当だ。 」

「 あら ・・・ 」

「 あのな 自分自身の世界を己の手で描けるという誘惑は

 最大であってだな ・・・ ま それはさておき。

 今回 ジュリエットを引き受けてくれるか 

「 え〜〜〜 主演じゃない〜〜〜  」

「 いかにも。  ダンサーはアクターでもあるだろう? 」

「 それは ・・・ そうだけど。  ・・・ ロミオは?

 グレートの劇団の方? それともゲストを呼ぶの? 」

「 いや 

「 ?? 」

「 ふっふっふ〜〜  なにを隠そう、ロミオは ―  」

 

     え〜〜〜〜〜〜〜〜 ???  

 

     それ・・・ 無理じゃない ・・・?

 

「 だって ・・・ 100%シロウト ってか 超ダイコン よ? 」

 

ジュリエットをオファされたダンサーは カノジョの恋人に対して

実に無慈悲な評価を下したので ある。

 

「 いや。 磨かれざる原石 かもしれん。 なにせ最新型ゆえ 」

「 う〜〜〜〜〜ん ・・・? 」

「 安心したまえ。  マドモアゼルの顔に泥は塗らぬ。

 あまりにあまり・・・ な時は キャストを換える 」

「 ・・・ 最初からやめた方がいいかも よ? 」

「 いやいや  ぶっちゃけ アヤツの外観は女子受けする。 」

「 外観だけ はね。 黙って立ってるだけ なら ね。 」

「 お〜〜 手痛いお言葉ですなあ マドモアゼル〜〜〜

 まあ ちょっとは試してみようではないか 」

「 ・・・ いいけど ・・・ グレート、面白がってない? 」

「 ・・・・ 」

老練の名優は  にやり、 と笑った。

 

 ― そんな密約?の後、 島村ジョークンの役者修業が始まってしまった

のである。

 

 

「 ・・・・  はあ〜〜〜〜〜   」

フランソワーズは ふか〜〜〜いため息を吐いた。

「 ・・・ あ  あの ・・・? もう 一回 ・・? 」

レッスン室の中央では ジョーがもじもじしつつ立っている。

「 ・・・ 」

 

     まあ なんて目 してるの?

     ・・・ まるで 置き去りにされそうな仔犬みたい・・・

 

「 も  もう一回 ・・・ さっきの  えっと  スキップする?

 あ ・・・ それとも 発声練習 ・・・ する ? 

「 いえ。  ちょっと休憩しましょう 」

「 ホント?  あ〜〜 ちょっと 上 いってきてもいいかなあ 

ジョーは天井を指す。 上 とは 自分の部屋ということなのだろう。

「 どうぞ。 休憩は15分よ 

「 了解〜〜〜 」

ぱっと顔を輝かせ ― 彼は実に活き活きとした表情になると 

レッスン室を飛び出していった。

 

       はぁ〜〜〜〜〜〜・・・・・

 

フランソワーズは 本気で文字通り < アタマを抱えた >。

「 ・・・ ここまで 芸術オンチだとは思ってなかった ・・・ 」

 

 

グレートから ジョーの < 役者へのてほどき > を 頼まれた。

「 え・・・ だってわたし、 演劇のことはわからないわよ? 」

「 いやいや  ・・・ 全ての舞台芸術には クラシック・バレエがある。

 ともかく〜〜 アヤツの身体を柔軟に、自由に動けるように

 入門編 を 指導してほしい 」

「 ・・・ バレエ入門 なら ・・・ 」

「 それで 頼む。 その後 発声・演技は吾輩が しごく。 」

「 まあ〜〜 怖い〜〜〜 」

「 なにせどん素人を使うんだから 仕方あるまい。 」

「 動きの基礎を教えるのはいいけど ・・・

 でもぉ〜〜 演劇に関しては わたしだってジョーとたいして変わらないかも 

「 いやいや それは謙遜というもの。

 長年 マドモアゼルの舞台を拝見している吾輩の目を信じてくれ。 」

「 わかりました。 それじゃ ・・・・ 立ち方、歩き方 から レクチュアします 」

「 頼む。 脚本は早急に上げるから ・・・ ジュリエット 

「 きゃ〜〜 ・・・ でも これも勉強です お願いします 

「 こちらこそ  」

 

  ― ということで 本人のまったく与り知らぬところで ジョーの

運命? は 決まってゆく ・・・

 

 

「 あ あの ・・・・?  レッスン室へ行け・・・ってグレートが 」

ジョーが おずおずと顔を覗かせた。

「 ええ まっていたわ。 え〜と・・・・ ええ その恰好でいいけど・・・

 靴下は脱いでね。 」

「 は はい ・・・ 」

「 いい? それじゃ ・・・まずリラックスしましょうか 

 ストレッチ しましょ 」

「 は はい ・・・ 」

「 そんなに緊張しないで ・・・ それじゃね まず座って 」

「 ハイ 」

「 身体 ほぐしましょ?  学校の時 ストレッチとかしたでしょ  

「 ハイ ・・・ 」

「 そこに座って。  そうね 脚を投げだして広げて ・・・ 」

「 ハイ。 」

「 ? ジャージ よねえ それ? 」

「 え?  これ? 」

彼は だぼだぼしたズボンを引っ張った。

「 そう それ。  」 

「 ウン。 いつもジョギングの時 穿いてるヤツだよ 」

「 そらなら 柔らかい生地よね  もっと脚、開くでしょ? 」

「 え ・・・・ 

「 ほ〜ら〜〜〜 」

「 あ あ〜〜  いててててて・・・・ ! 」

フランソワーズは 彼の右脚をもって開脚の手伝いをしたのだが ―

 

      え   うそ???

 

      009の股関節って ・・・ 固定??

 

「 ほら〜〜 チカラ 抜いて?  こうやって〜〜 」

「 ・・・ すっげ −−− 」

すら ・・・っとごく自然に180度 開く彼女の脚に

ジョーは ほれぼれ 、 いや ひたすら心底感心して 眺めているのだ! 

 

      ぜ 003 って。

      ・・・ やっぱ特別仕様なんだ〜〜

 

「 さあ いっしょに・・・ なに見てるの? 」

「 あ! い いえ ・・・ 」

「 ストレッチして身体をほぐしましょう?  いきなりレッスンしたら

 筋肉を傷めるわ 

「 れ れ れっすん??? ぼ ぼくが??  

「 そうよ。 俳優さんは身軽に動けなくちゃ 」

「 は はいゆう??  ぼくはそんなんじゃ ・・・ 」

「 はい 左右がむずかしいなら 前後・・・縦に開いてみて? 」

 

   すと・・・っと 前後に180度、彼女の脚はすらり、と開く。

 

「 すっげ〜〜〜〜〜〜 」

「 すごくなんかないわ 誰でもできるのよ  ほら   こうして 」

「 ?   い いててててて〜〜〜〜〜 あ 脚〜〜〜 もげるぅ〜〜〜 」

ジョ―の脚は けっこう長くてかっこいいのだが。

彼女はかなりのチカラで引っ張ったり 押したりしたのだが 

 

         かっちん   こっちん

 

 

     !? なんで??

 

     これ・・・ ニンゲンの股関節なの?

     どうやって生きてきた わけ?

 

「 ・・・ ねえ わざと逆らってる? 」

「 え??  なんで??  いって〜〜よ〜〜〜〜  もうむり〜〜〜 」

「 ・・・・ 」

彼の顔は真っ赤。 冷や汗までたらたら・・・ これはどうも < マジ > らしい。

 

     世の中には こういうヒトもいるの ね ・・・

 

     う〜〜〜ん ・・・ 

 

     博士に頼んで再改造してもらった方が・・・

 

003は本気で思った・・・

「 あ〜 ストレッチがムズカシイなら ・・・ 

そうね なにか好きなダンスとか ある? ジャズダンスとか ヒップ・ホップとか 」

「 だ だ  だんす??  ・・・ やったこと、ないデス。 」

「 は??  ねえ ジョー 真面目に。

 ダンス・パーティとか あったでしょう? 学生時代に 

「 ぼく 真面目です、島村ジョー 大真面目です 

 だんす ぱ〜 ??  ないっす そんなの なかったよ〜〜 」

「 う〜〜〜〜ん ・・・ じゃあ 一緒に動いてみましょうか 」

ね? と 彼女は彼に手を差し出した。

 

    わ♪  わっはは〜〜〜〜ん

    フランと〜〜 手 つないで〜〜〜  るん♪

 

な〜んのコトはない、二人はお手々つないでレッスン室をスキップ・スキップ〜〜

 して回ったのだ ・・・

 

    ・・・ なんなのよ〜〜〜〜

    信じられない〜〜〜〜

    これじゃ 幼稚園、いえ ベビークラス じゃないのぉ〜〜〜

 

「 は〜い 上手にできましたね〜〜 

 じゃあ 今度は ウオーキング・ステップ。 いち に いち に 

 一緒に歩きましょう 元気にね〜〜 」

「 う? あ・・?  お? 」

 

    !  も〜〜〜〜〜 

    なんだって同じ側の手脚がでるの???

    も〜〜〜〜

 

フランソワーズは 心底呆れかえってしまった  が。

ジョーは 外見とは裏腹に? 生粋のニホンジン。

盆踊り と 運動会でいやいややった花笠音頭 それに マイムマイム ・・

くらいがせいぜいの < 踊り体験 >、 

そんな どこにでもいる・ニッポンの青少年 には いきなりダンス は無理なのだ。

 

「  はあ ・・・・ 

「 あ あの? つぎは なにすれば 」

「 あ ああ ごめんなさい。  ダンスのレッスンはこれでお終いね。

 次は ヴォイス・トレーニング ね 」

「 ぼ?? 

「 あ〜〜 発声の練習。  グレート先生がきますよ〜 」

「 あ そうなんだ 」

「 だから ちょっと待っててね〜〜 」

「 は〜い  あ  フランソワーズせんせい 楽しかったです♪ 」

「 はいはい ・・・ ジョーくん、待っててね 」

「 はい 

 

   パタン。  ドアを閉めてから

 

        はあ 〜〜〜〜〜 こりゃ 前途多難だわ ・・・

 

フランソワーズは ふか〜〜〜いため息を吐いたのであった。

 

 

「 ・・・・・  」

その日の昼ごはん時  ―  009は リビングのソファで 潰れて  いた。

 

「 おひるごはん〜〜  ・・・?  あら どうしたの? 」

 

「 ・・・・・・ 」

「 え なに? 」

「 ・・・ しんでます ・・・ 」

「 へえ?  グレートのトレーニングはキツかったのかしらねえ 

 ねえ お昼ご飯 なに食べたい? 」

「 ・・・ な なんでもいっす ・・・ 」

「 あらまあ。  あ  グレート? お疲れさまあ 〜 」

俳優・グレート氏は 飄々と現れた。

「 おう マドモアゼル。  こちらさんは? 

「 ええ 死んでる のですって 

「 ほ〜〜う ・・・?  このボーイは 未体験の事に関しては

 甚だしく弱い ということかね  

「 ―  009 の 最大ウィーク・ポイント ってことね! 」

「 左様。  009殺すのに銃はいらぬ、芸術で攻めればよい ってことだ 」

「 ふふふ そうかも〜〜〜 

 でもね スタジオの日本のトモダチは皆 いろいろ やるわよ?

 ニホンジンだけど ジャズダンスやコンテも 」

「 吾輩の劇団にも優秀な若手が多いぞ。  ・・・ この御仁は特別かもな 」

「 そう ・・・  大変ね グレート 

「 ・・・ 

名優氏は肩をすくめる 両手を広げてみせた。

「 ま。 それはともかく。 ランチにしようではないか 

「 そうね  ねえ 美味しいお茶 淹れてくださる  

「 おうよ、姫君〜〜〜 」

 

    ぴんぽ〜〜〜ん   玄関チャイムが鳴った

 

「 あら?  は〜〜〜い  ・・・ 大人だわ〜〜 」

フランソワーズは玄関に跳んでいった。

 

「 ほえ〜〜〜 ええお天気さんで。  ほい 差し入れやで〜〜〜 」

「 いらっしゃい〜〜 大人   嬉しい! でも どうして? 」

「 ほっほ〜〜 嬢ちゃん。 グレートはんが張り切っておったで

 ワテも応援しよ、思いましてん。  ジョーはんは? 」

「 ダウン 」

「 ほへ? そないに激しいアクション・シーン ありまっか?

 裟翁はんの御作に 

「 うう〜〜ん ・・・ 基礎レッスンで ダウン 

「 あいや〜〜〜 ま お昼にしまほ。

 グレートは〜〜〜ん お茶 たのんまっせ〜〜〜〜 」 

「 おうよ〜〜  ウーロン茶がよいかね 」

「 ハイナ。  オヤツもありまっせ〜〜 」

「 嬉しいわ。  博士〜〜〜 お昼にしましょう〜〜 」

フランソワーズは 書斎に声をかけた が。

「 ほい 庭におるよ。 

テラスから 麦わら帽子をかぶった博士が戻ってきた。

「 あら お庭にいらしたのですか 」

「 うむ。 盆栽の剪定と庭掃除 をな。  

 あ〜〜〜〜 ・・・ 久々にグレートの発声練習が聞けたなあ 」

「 あら ・・・ 庭にまで聞こえてました? 

「 うむ  もっともグレートの声だけ だったがな 」

「 ふふふ・・・ 練習生は  伸びてますわ 」

「 あ はは ・・・・ 」

博士も 苦笑いである。

 

 ― わいわいと賑やかなランチ・タイムになった。

 

「 ん〜〜〜 んん〜〜〜〜 」

ソファで伸びてたヒトも ひたすら食べまくった。

「 美味しい! ねえ この栗 ? 」

「 ハイナ  この土地の新栗でっせ〜〜 」

「 これは ほう〜〜〜 いい香だな。 松茸かい 

博士は土瓶蒸し に目を細める。

「 ハイナ ギルモア先生。  これも土地のとれとれでっせ〜〜 」

「 和牛はいいねえ・・・ 最高だ 」

「 ほっほ〜〜  えげれす人もびっくり でっか  

 ジョーはん どうでっか〜〜 

「 〜〜〜〜〜〜 んん   え? 」

「 え じゃのうて。 美味しいでっか ききましてん 」

「 あ! うん なんもかんもおいし〜〜〜〜〜〜ですぅ〜〜〜〜〜 」

「 お気に入り ありまっか 

「 へ? あ・・・・ ぜんぶ! み〜〜〜んな おいし〜ですぅ〜〜

 あ これも 〜〜〜  んま〜〜〜 」

「 ・・・ この食欲魔神には松茸は勿体ないと思うぞ。 大人〜 」

「 ハイナ。 この地のシイタケ、ええですやん〜〜〜

 チーズ焼き どうでっか〜〜〜 」

「 たべる〜〜〜〜〜!!!! 

 

「 ねえ ・・・やっぱり無理じゃない? 」

黙々〜〜と箸を動かすジョーに視線を向け フランソワーズはこそ・・・っと

呟いた。

「 ・・・ うむ ・・・・ 」

 

   〜〜〜〜♪♪  ♪

 

フランソワーズのスマホが鳴った。

「 あら 誰かしら。    ― え? アメリカから??  

 はろ〜〜〜  どしたの〜〜  え? 」

「 ジェットからだ〜〜 ねえ ねえ なんだって?? 」

「 そ〜なのよぉ〜〜  ええ グレートの発案でね ・・・

 え?  あら 来てくれるの?  ジェロニモ Jr. も?

 まあ〜〜〜 楽しみねえ〜〜〜  あ ちょっと待ってね 〜

 ねえ グレート 」

フランソワーズはスマホを持ったまま 俳優氏を呼んだ。

「 はあん?  なんだね。  新大陸からか 」

「 そ〜なの〜〜  ジェットも参加したいんですって。

 ジェロニモ Jr. と一緒ですってさ 

「 ふむ・・・  大道具作成やら 音響や 照明 ・・・

 仕事は山ほどある。  うぇるかむ、と伝えてくれたまえ。 

「 は〜い 了解。  あ〜〜 ハロウ?  あ 聞こえた? 」

「 ・・・・ あの さ ぼくのことは ・・・ 言わないで・・・ 」

ジョーは 蚊の鳴くよ〜な声で訴えているが。

「 え? そ〜なのよ〜〜〜  なんと〜〜〜 ジョーがね〜 」

「 ・・・ ああ ・・・・ 

「 はい はい お待ちしてますわん  じゃあね〜〜 

 うふふ ・・・ スタッフも増えて 楽しみね〜〜〜 」

スマホを置くと ジョーの想い人は にっこりと微笑んだのであった。

「 ・・・ ・・・・ 」

 

    どよ〜〜〜ん ・・・

 

ランチで少しはリカバーした009は 再び落ち込んでしまった。

「 あら どうしたの?  美味しいランチで元気チャージ! でしょう? 」

「 あ  う うん ・・・  でも 」

「 でも? 」

「 ・・・ 皆 来るのかなあ 」

「 え? ああ 楽しいじゃない?

 そうだわ〜〜 アルベルトにも声 かけようかしら。 

 ねえ グレート〜〜〜  音響はアルベルトに任せない? 

 

    ああ ・・・  ジョーは ますます絶望的なため息を吐いていた・・・

 

 

基礎的なトレーニングと平行し、 脚本読み が始まった。

原作は勿論 シェイクスピアなのだが グレートの脚色で

少し変わった演出となっている。

 

 「 〜〜〜 ::::: ・・・・・ ? 」

 

恋する青年の独白 ― なのだが。

 

      はあ〜〜〜〜   ・・・・

 

演出家氏は ふか〜〜〜いため息を吐く。

「 ・・・ あ あの ぼく・・・ まちがえた?? 」

「 いいや。 ちゃんと脚本通り読んでいるよ、 < 読んで > ね。 」

「 そっか よかった〜〜 」

青年は 皮肉にも気づかずにこにこ・・・している。

「 あのなあ ・・・ ちょいと聞きたいのだが 」

「 はい? 」

「 my boy、お前さんは というものを したことがないのかね ? 」

「 え??  ・・・ あ  あの ・・・  して マス ・・・ 」

「 は?? なんだって?? 」

「 ・・・ だから ぼく ・・・ いま 恋して  マス ・・・ 」

「 だったら 恋するオトコの切ない気持ち、表現できるだろう? 」

「 ・・・ ぼく ・・・ 誰にも言えなくて ・・・ 」

「 はあ〜〜〜  忍ぶれど ・・・ で終わりか 

「 ?? なに??  

「 いや なんでもない。 ブレークだ、休憩しよう 

「 わい!  ちょっとコンビニ、行ってきていい? 」

「 かまわんよ 」

「 ありがと〜〜 イッテキマス〜〜〜 」

 

恋する青少年 は 嬉々として出かけていった ・・・

 

 

      はあ〜〜〜〜〜  こりゃ 吾輩のメガネ違い か・・・

 

演出家氏 は アタマを抱えた。 

― そして ・・・  主演予定のカノジョを呼んだ。

「 マドモアゼル。 男役 を引き受けてくれ 」

「 え   え え〜〜〜 ?! 」

「 タカラヅカ歌劇、 知っておるだろう? 」

「 ええ 大好き!  わたしね〜〜 ○組のトップの××さんが〜〜 

「 ストップ。 それならハナシが早い。

 マドモアゼル、 ロミオを引き受けてくれ  」

「 じゃ じゃあ  ジュリエットはどうするのよ〜〜〜 」

「 それは 吾輩がやる。 」

 

          え〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ???

 

 

Last updated : 10,30,2018.                  index     /    next

 

 

************   途中ですが

さあ どんな 『 ロミ・ジュリ 』 になるのかな?

以前書いた 『 木曜日 』 の 変形バージョン かも

ジョーは 全く芸術ダメ でしょうね (^^)

わたくし、 グレート氏のファンなんです☆