§ 願わくば花の下にて春・・・・§
「 ほら・・・ ここ。 まだ 満開に近いだろう? 」
「 ・・・ わあ・・・ 凄いわ・・・・  」
低木の間を抜けると 小高い丘の中腹に出た。
そこには。
まだ 春が、爛漫の春が残っていた。
地形の関係で海風が当たらない場所なのかもしれない。
数本の桜が 一杯に広げた枝に幾百 幾千もの花々を残していた。

ひら ・・・ ひら・・・ひら・・・・

時折、微風にのって白い <春の雪> が宙に舞っている。
ジョ−とフランソワ−ズは ただじっと見つめていた。

ギルモア邸の裏庭は そのまま雑木林に繋がっている。
そしてそれは付近の小さな山に入ってゆくのだが、季節の使者はちょっとばかり置き土産をしていったらしい。
「 ・・・・ う〜ん ・・・ ああ、すごい・・・ 」
ジョ−はそのまま すとん、と腰を落とすと桜の樹を見上げた。
「 なあに? ・・・ アラ・・・本当ね ・・・ 雪みたい。 ああ、こういうのを花吹雪って言うのね・・・ 」
フランソワ−ズも隣に座り空を見ている。
「 いいねえ・・・・ ここでもう一回お花見だ。 」
「 そうね。 ああ・・・ こんなに花びらが・・・ふふふ ジョ−、あなたの髪、綺麗よ〜 」
「 え? あは、埋もれちゃいそうだね。 」
ジョ−は笑って そのまま仰向けに寝転んだ。
「 ・・・・ いつか、さ。 」
「 なあに。 」
「 ・・・・ きみと、さ。 こうやって ・・・ いつまでもいつまでも花びらに埋もれていたいな・・・ 」
「 ジョ− ・・・ 」
ふわ・・・っと亜麻色の髪も桜の花散る地に広がった。
「 ジョ−と一緒なら。 こんな綺麗な春に埋もれるなら。 」
「 ・・・・・・ 」
永遠の春が二人を取り巻くのは・・・いつのことだろう・・・・





Last updated : 08,10,2008.                               index



*****   管理人より 
うわ〜〜〜 いいですねえ〜〜 二人で仲良く お花見デ−ト♪♪
拙作 『 プリマヴェ−ラ 』 のイメ−ジで描いてくださいました。
悲しい終わりではなくて、 二人は仲良くらぶらぶデ−ト・・・・ はい、もうこの二人は永遠の春〜〜♪♪

春のミニアチュ−ル ( 細密画 ) をどうぞお楽しみくださいませ。
しぇる様〜〜〜〜 ありがとうござました♪♪